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田植えが終わり管理作業の日々

田植え後の亀の尾

5月の連休以後、農繁期に入っておりますが、5月は降雨続きの毎日で、土が乾かず耕耘作業にとても難儀した春になりました。とはいえ、田の方は、耕耘(田おこし)はこなれた土が求められる畑作りと違って、どうとでもなりますし、代かきや田植えは雨の中でもできますので特に支障はないのですが、切り花りんどうも栽培している当園では、去年まで水田だった圃場を春の5月にいきなり細かく砕土した畑にするという毎年の新植分床作り作業。。それは雪解けが遅く春も低温で雨の多い奥羽の山中ではいつも難事業で、6月第1週に苗が搬入される時期までにりんどう定植圃場の畝立てまでをやり終える課題に直面して、いつも憂鬱な気分になりがちです。。今年はまさにぬかるんだ畑作りになった年で、1週間くらい前までりんどう苗を植え付けていましたが、マルチの穴のボコボコの土をかき回して、そして通路のボコボコを手でほぐして、プラグ苗を土の隙間がない状態に密着して植え付けていくという、近年では状態の悪い中の作業になりました。こういう時に、ラジオとかで、県内平野部からの投稿で「畑におしめりの雨を待ってます」などの文言を聞くと、雨の多い当地ではイラッと来たりする、そんな、全体としてはいつものような5月でした。

 

除草機作業中

とはいえ、田植えも終わり、今年も量では亀の尾、ササシグレ、ひとめぼれの順に植え終えて、6月のいまは畦畔農道の草刈りと、水田の除草機をかける時期になっています。りんどうの芽かき草取り作業、タラノキの管理作業などの合間にですが、水田除草機で十分に除草をするためには、土を露出させて固くしてしまってはダメですので、深水にし、田面を柔らかく保ち、除草機もただ条間をまっすぐ一直線に進むのではなく、稲の株に接触するくらいジグザグに満遍なく動かして除草を行うことになります。この時期の稲は除草の回転器具が接触しても大丈夫で、植わっている稲ギリギリを攻める手法で分げつも誘引され、生育効果も上がると言えましょう。エンジン部分は背中に背負うタイプの刈り払い機で、ポールの先端にアタッチで取り付けるタイプの3条の水田除草機です。

 

亀の尾(6月27日)

西和賀町沢内の今年の稲の生育は遅れています(写真は6月27日)。関東以西(あるいは東北南部より南)で時折り「真夏日」のニュースを目にし、農家や評論家が猛暑による白濁米や減収を心配する声を報道したりしていますが、当地はなかなかそうした暖気の恩恵に預かる日は少なく、現在のところでは、さすがに今日は暑かったなという日も最高で28℃弱が1日あったかなと思います。うちの田に限らずですが分げつがなかなか進まず、現段階では茎数確保に不安があります。有機稲作のテキストなどで関東以西をモデルにした記述になるのでしょうが、例えば太い大苗2本植えで、といった推奨がこうした寒冷地ではあまり参考にならないことを痛感します。大きく太い苗ができればそれは良いことですが、苗作りの時期もまだ周囲には雪があり、地温自体が低く、まず芽出しまでの温度確保が最初の難関で、実際に出芽率も下がる傾向がありますし、薄まき推奨の苗箱作りは確かに危険です。結果、田植え後に目立つ欠株を長時間の手植え補植で補うような形を何度もくり返して来ており、毎年が気象との戦いの日々です。例外的に、昨年に関しては播種後に気温が高めで出芽も良かったですね。雪解けも早くて春のスタートが早く、作業的にも余裕を持って進められたし、夏も良い高温でお米も良く穫れました。その分、平年並みの遅めの消雪と冷涼傾向が続いた今年は厳しさを余計に感じるところです。りんどうの開花も遅れるのではという声が聞かれます。

稲の除草作業も終盤になってきました。除草機で掻き回して雑草を浮かせて退治する手法ですが、浮いた雑草が地面に再び着地しないように、浅水管理がセオリーの一般論に逆らって、深水を続け、かつ土を柔らかい状態にキープします。以前からの水田と、小麦やにんにくから転作した水田では雑草に違いがあり、やはり水田を長く続けている田はヒエやコナギが多いです。水面下の小さいコナギは除草機で浮かせてやれますが、水面から顔を出した雑草は除草機では取りきれず、手取りになります。手取り除草は厄介な作業ではありますが、重い除草機をジグザグに時間をかけて進ませる重労働の機械作業と比べて、どちらが楽とも言い切れません。気軽に毎日1時間手取りしよう、と空身で気軽な気持ちで田に入る時間を取りながら、雑草の多い箇所を集中的に歩いて、あと少しに迫った中干しまでの除草期間を乗り切りたいものです。一様に全部をくまなく作業するという除草機械的発想ではなく、草の多い箇所を選んで手取りするというやり方になります。100%を目指すことは不可能ですし、どう効率的に除草するか、でしょうか。

なお、いまは今年からの第6期中山間直接支払交付金の新年度に入り、役員としては役場に提出する書類作りにかなりの時間を取られています。いちばんは協定に入れる農地面積の確定ですが、それ以外にも面倒な書類がいっぱいあり、つくづく役所書類は苦手です。。朝からいきなり強い雨の日とかは諦めて1〜2時間PCに向かいもしましたが、目の前に迫る農作業を犠牲にもできず、夜間や朝食後とかに少しずつ小刻みにやるしかないのですが、本当にやることが多いです。消防の行事もあるし、りんどう関係の役員会やらいろんな集まりで、小規模農業経営者は本当にあれこれ多忙ですよね。全部一人でこなしますので。今夜も結局ブログ記事を書いてしまい、中山間事務は明日に先延ばしにしました。

 

南部小麦(6月27日)

南部小麦が色付いてきました。岩手の平野部ではいまはまさに刈り取り期で、晴天の今日などあちこちで刈り取っていることでしょう。西和賀は岩手の標準的地域に比べ2週間遅れます。消雪の遅さと春の低温が原因ですね。今回は40cm間隔で播種したことが良かったのでしょうか、昨年晩秋の好天が幸いしたのでしょうか、とても良い状態で、多収が見込まれます。とはいえ、いまは小麦の大敵である赤カビ病の発生時期です。こまめに圃場を歩き見回って、疑わしい状態の穂を見つけたら穂を切って圃場外へ持ち出して処分します。南部小麦の刈り取りは、例年ですと7月10日頃になります。実際は水分の%で判断します。水分が高い状態で刈り取ると、ハウスにハセ掛けをするわけですが、その後の乾燥が進みにくい嫌いがあります。しっかりとした乾燥(30%以下)を確認してからの刈り取りがベストですね。

 

にんにくとアリーナ(6月27日)

にんにく畑とアリーナ小麦の圃場です。にんにくは球の肥大に直結するトウ摘み(主に八幡平系)の時期を終え、あとは収穫適期を待つだけですが、どうやら今年は稲と同じく、またりんどうと同じく、遅れているようです。もっと暑くなって欲しいと願うばかりですが、これまでの遅れが急速に取り戻せることもないでしょう。なお、にんにくですが、今年の雪解け時の4月22日と、試験的に1か月後の5月22日にマルチを剥がしました。春から収穫期にかけて、にんにくの根域にマルチで高温の環境を作っていると、割れ、裂球を生じさせる可能性があるそうです。西和賀はにんにくの収穫時までに30℃超えしたりすることはあり得ませんが、念のためマルチを剥がしてみました。4月に剥がした2列はすぐに籾殻をリビングマルチとして施用しました。が、5月22日にマルチを剥がした残りの畝は、籾殻を持って来て散布する時間も取れず、そのままで収穫期を迎えます。使用する籾殻自体は残っているんですがね。雑草の具合にそれほど違いもなさそうなので、来年からはまだそう忙しくない4月に全部剥がして、すぐに籾殻でマルチングしてやることが作業手順の上でも効果的と思いました。あるいは前年の根雪直前に剥がしても同じかもしれませんが。

アリーナ小麦は極晩生で、南部小麦よりもさらに2週間後の刈り取りになります。こちらは強力の品種で、南部小麦と違い穂の色が白がかった茶色になり、とても背が高いです。背が高いことで、穂の長さも南部よりありまして、収量は多くなるありがたい品種です(スイス原産の小麦でパンに向く品種です)。

 

山下氏圃場

ビニールマルチを早めに剥がしてリビングマルチへ、とのサジェスチョンをくださったのは、青森県の野菜研究所という機関でにんにくの研究に携わっておられたにんにくの専門家山下一夫さんとの情報交換で教えていただいた農法になります。当園ではイモグサれセンチュウ害の出どころである青森県の産地からのホワイト六片種苗用の購入、あるいは八幡平系として岩手県内で種球として購入し植え付けたものに病害が既にあった気もします。にんにくにイモグサレセンチュウ被害を受けたという苦い経験がありまして、それをタネとしてりん片を植え付けることで、畑の土壌自身も、収穫される次のにんにく自身もセンチュウに感染させるという残念な状況に悩ませれていました(もちろん壊滅的な話ではなく一部のにんにくに被害が見られたということですが)。

この山下氏の手によって、センチュウ感染したにんにくであっても、その生長点付近を冬の時期に切り取って培養し、最初に得られるそのひょろひょろした状態のネギのような苗を春に植え付けて秋に1片のセンチュウフリーのにんにく片を確保し、そのりん片を購入する、あるいはその優良種子片を植えてもらって翌年に6片の球の状態のにんにくを作ってもらったものを購入するなどしています。そして当然畑もこれまでにんにくを植えたことのない圃場に移して新規ににんにく畑とし、センチュウやあるいは厄介なウイルスの元となるサビダニ被害もフリーであるにんにくの生産を、当園ではいま達成しようとしています。キロ単位で出荷する量をその優良種優良圃場で生産するには大変な時間もかかりました。昨年はさらにその優良にんにく増反の途上で、冬期の畑の冠水事故によって多くの優良にんにくが失われてしまったことも痛手でした。

上の写真はそのにんにく専門家の山下一夫氏の圃場に、田植え後の、そしてりんどうの新植苗の搬入をし植え付けがまさに始まる前の6月上旬に訪れて、圃場を見せてもらった時の圃場の様子です。上の写真ではマルチが見えますが、どの色のビニールマルチが畝内部を高温化させにくいかの試験だそうで温度計で計測していました。いちばん高温になったのが透明マルチと無マルチで、次いでシルバー(黒と同等)、白黒パンダマルチ(表が白で裏が黒)、そして最も地温が低かったのが草マルチだそうです。地温が高温になりすぎることで土中でのにんにくの割れ裂けが起こるらしく、やはりリビングマルチは地温の上がりすぎを抑制する優れた方式になります。

参考になるアドバイスがこの「緑肥の敷き詰め農法」というべき手順でした。写真奥に背が高く生えているのは緑肥作物です。私も小麦やにんにくでの休耕期間の7〜8月に緑肥を栽培しており、にんにく予定地は8月終わり、小麦予定地は9月初めにトラクターで耕耘してすき込んで、腐熟させ、にんにくや小麦を植え付ける、という工程を取り入れておりました。しかし、山下氏によれば、すき込みではなく、刈って、重ねて土の上に置く、という手法がミソになるようでした。これは自然農法の基本手法です。下手に耕耘したりするのでなく、刈った草を土の上に置く、それがリビングマルチとなりにんにくを保護するとともに、年数を重ねることでふかふかの土づくりに寄与してくれる。私など毎年小麦からにんにく、にんにくから小麦へと、緑肥を挟んで輪作しているものの、その都度耕耘をすることで、逆に、固い土壌を招いてしまっていたのではないか。。耕耘をやめて積み重ねた緑肥の上から植え穴を空けてにんにくのりん片を秋に植え付ける。そのことにより山下氏はふかふか土壌を獲得し、翌年の収穫時もにんにくの茎が抜き難くブチっと切れてしまったりすることなく、柔らかい土壌ですっと力を入れずともにんにくが抜けていく土づくりができるのであると。

山下氏は最初からビニールマルチなしで刈り敷き緑肥で通しておられますが、より気温の低い西和賀では、またにんにく以外に作目が多く雑草が取り切れないことも考慮すると、当園では秋の定植時には当園ではビニールマルチは必要です。当地では冬が早く来るためににんにく植え付けはとにかく早めにが鉄則になり、ホワイト六片など早く芽を出す品種は10月になってからの植え付けなどでは完全に遅い。10月になってから床作りをして植え付ければ雑草もそれほどではないでしょうが、9月最初などの時期に早く植え付けをすれば、やはり10月にはしっかり雑草は生えて来ます。9月の10日以降はりんどう彼岸出荷や、下旬になると稲刈りと小麦播種を迎えかなり多忙です。そのため9月最初ににんにく植えをするスケジュールでは植え付け時のマルチ使用は欠かせないですね。問題はそれをいつリビングマルチに切り替えていくかになりそうです。

にんにくは連作はダメだと思い込み、当園では小麦との輪作をしていましたが、山下氏の場合、にんにく収穫後にスダックス等ソルガム系のイネ科の緑肥を蒔いて植え付け前に刈り倒してそしてにんにくを植え付けるのですが、そこでスダックス栽培が挟まれることでにんにくの連作が絶妙に回避され、畑をにんにくに固定しても連作にはならない。耕耘してしまわずに、自然栽培流に耕耘をしないことでかえって柔らかい土づくりを実現させてしまってもいる。見事だなと思いました。小麦で私が真夏の休耕期にマメ科クロタラリアを緑肥栽培していることも連作回避により雪腐れ等の病害を防ぐ目的ですので、それはにんにくでも同等なようです。研究所の研究員の経歴の方ですから、有機栽培や自然栽培に興味が向いてのことではありません。図らずも自然栽培の良い部分に出会って、それを活用しているということです。なるほど、ですね。

激務が続いた5月が終わって、ちょうど軽トラで遠乗りがしたくてウズウズと鬱積していた折に、八戸近郊の山下氏の圃場を見学させていただいて、さらに時間を忘れて遅くまで長居をさせていただきましたが、有益な時間でした。

農業について突っ込んだ会話ができることは時間を忘れ喜びです。いま現在、小麦を作付けしている当園では県の農業普及員が赤カビ病の観察のためによく訪れてくれます。その度にいろんな対話ができることは、一人で田畑に閉じこもって作業する自分には良い刺激、情報を得る時間になります。小麦の担当者は水稲の担当者でもあるので、稲の話もします。有機のことは専門外ですので、逆に私からも有機の話をして知ってもらいます。いくら日々の草取りや諸々の作業で立て込んで押しまくられていても、対話は大事な時間ですね。

 

蕪嶋神社

八戸近郊の山下氏の圃場を後にして、せっかくなので、ウミネコの繁殖地「蕪島」に向かいました。家とは逆方向で、帰宅は遅くなることは承知の上ですが、蕪島は見ておきたい。長年の希望でした。夕方で既に神社への階段は閉鎖されていて残念でしたが、山下氏との懇談が続いたからなので、それは仕方もなく、でも、十分に蕪島を楽しめました。光景としても美しいですね。

 

蕪島のウミネコ

浜辺にはいっぱいのウミネコ。良いですね。八戸に春から初夏に来られる機会があったら、ぜひ蕪島を訪れてみてください。

 

モミジイチゴ果実

当園では野いちご、木いちごの植え付けをしています。大した面積ではないし、趣味の域を出るものでもありません。オレンジの美味しい実をならせるモミジイチゴは最も惹かれるいちごです。いちばん最初はどれがそれか、どこにあるかもわからずに、フリマサイトで苗を購入したりしましたが、モミジイチゴ自体を知った後は、近所で見つけたりして、それを庭に移植したりしています。最初にわからずに購入することは教科書代、勉強代で、そこから実物を知り探究がスタートするのです。そうして植え付けたモミジイチゴが実を着けてくれました。きれいないちごですよね。外国にもあるかどうかは不明ですが、日本国内では最高の野いちごと思います。いつか増殖して商品化したら良いのか、趣味の域にとどめておくべきか、将来性は未知数ですが、こうした行いができることのために、都会から脱サラし、農家になったのですから、農家冥利に尽きるとも言え、こうした手間に時間は余計にかかるとは言え、楽しい残業タイムを与えてくれる存在ですよね。だから、やっていられるのでしょう。農業カテゴリー自体の中に楽しみがなければ、やっていられないでしょう。あとは月に2日の軽トラお出かけとです。

ちなみに、ベリー類は、ブルーベリーやラズベリー、ブラックベリー、ハスカップ、カシス、クランベリーやコケモモなど西洋のものもありますが、草イチゴ、クマイチゴ、エビガライチゴ、ノウゴウイチゴ、バライチゴ、フユイチゴ、カジイチゴ、ナワシロイチゴ、ニガイチゴ、ホワイトピーチベリー(これは国籍不明)があります。木ではジューンベリーなどいまが食べ頃になっていて、庭でイチゴの実った姿を目にするのは楽しいものです。

 

Googleマップ
Screenshot

余談ですが、最近はPC等で一番よく楽しみに使っているのがGoogleマップです。中山間交付金申請でいまはアプリとしてはエクセルに最も向かっていますが、息抜きの「空想軽トラ旅」にGoogleマップは良き友です。たまたま家の近くをストリートビューで見てみたら、草刈り作業中の自分の姿が。。。小麦やタラノキの圃場を刈っております。いま現在、りんどうの早生品種の草取りと芽摘み作業が最優先で、この写真の圃場の草刈りはその後にすぐやりますから、もう少しお待ちくださいです。田んぼや小麦やその他広大な面積の草刈りと園芸品目の株の近辺の精密な草取り、そして田の除草とキリがありません。おいしくてボリュームもある定食の店はないかな、大雨が降って買い出しに出た時とかに、どういうスポットを訪れようかな、などついGoogleマップに逃げたりしながら、草との戦いと諸々の管理作業、そして地域の交付金のための事務作業をこなす日々が続いています。

 

天峰山・桂松院

先週のことですが、買い出しの用もあり盛岡へ出かけまして、その時、まあ命の洗濯と言って良いでしょうか、久々に盛岡からR455で岩泉方面への国道を走りました。天峰山・桂松院という地点をGoogleマップで見つけて、訪れてみまして、草の中、仏像と紫の衣を羽織った石仏さんの佇まいを見てきました。こういうあまり人々が訪れないスポットを見つけてさりげなく訪れるのが好きです。

 

天峰山から盛岡岩手山方面の眺望

天峰山というのは知りませんでしたが、R455から北へ入ったところに展望台がありました。外山という地域です。放送局の電波塔らしきものもありました。息抜き、は大事です。こうした場所を目指して走り、無心になる。こうして日々の激務も乗り越えられれば、です。

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初夏の管理作業進行中〜草との戦いの日々

トウ摘みの頃のにんにく畑

東北南部まで異例の梅雨明けと猛暑になっているようですが、こちらは梅雨の真っ最中で、最低気温が20度、最高気温が25度という感じで推移しています。風があって涼しさは感じられる時もありますが、湿度が高く、作物には心配です。

田植えが終わり、当園の柱品目でもある切り花りんどうの苗の新しい定植や、採花する株の芽かき(株仕立て)をあらかた終えて、そのりんどうや田、小麦畑の除草作業が毎日続いています。にんにくの収穫という期日までに草取り作業をまず終えることが課題になり、にんにく収穫・乾燥調整、そして小麦の刈り取り・ハセ掛け、に続き、りんどうの出荷の夏を迎えます。

今年のにんにくは現在産地では盛んに行われているようで、今年は出来が良いとの新聞記事や知人情報もありました。融雪が遅れる当地では約2週間遅れての収穫になり、雪の多かった今年はいつもより遅れています。7月初頭にホワイト六片を掘り、やや置いて八木・八幡平の順に掘っていき15日頃に完了する流れになろうかと思います。

 

八幡平にんにくの芽

6月20日頃から1週間、いつも八幡平のトウ摘みを行い、その2週間後が収穫という感じになっています。100%トウが立ちしかも美味しいのが八幡平の特徴です。一方、八木は100%トウが立たず、ホワイト六片は2割くらいにトウ立ちを認めるという品種間の相違があります。味としてはそれほど品種間の差はないのですが、八木や八幡平は休眠が深く、その分植え付けもゆっくり稲刈り後にすることができるし(別に早く植えてもいいのですが、9月は忙しいですね)、収穫後の食用にんにくとしても、早くから出芽し緑色が混ざってくるホワイト六片より、休眠が深い=持ちが良いという特性があります。

 

6月下旬の南部小麦

南部小麦もそこそこに伸びており、写真は6月21日ですが、いまがそろそろ収穫期という東北標準地の小麦と異なって、7月15日頃からの刈り取りとなります(例年よりもう少し遅れそうな気もします)。今年はヨーロッパ系であるアリーナ小麦とライ麦が春の融雪後に大部分が消失してしまっているという異常事態の小麦部門でして、もともと雪に弱いとされていた農林61号が以前に同様の目に遭ったことは仕方ないにしても、強健とされるライ麦やまた前に試みたスペルト小麦が雪に負け、そしてこれまで頑張ってくれたアリーナもまた今年の雪には勝てなかったという事実は、改めて寒さではなく雪が小麦の強敵であり、そしてヨーロッパに比べて日本が多雪の国であり、もしかしたら世界一なのかもしれません(新潟の津南や、青森八甲田山系酸ヶ湯など)。ただ、新潟や福島の豪雪地に比べ雪の量としてはやや少ない当地西和賀ですが、結局北にあり寒冷地でもあって、雪解けがうんと遅いのがネックなんですね。もっとも、さらに北の奥地の酸ヶ湯には負けますがね。

そんな中、日本産、岩手由来の南部小麦が豪雪に負けず春からの生育を屈強に再開してくれたことは、日本品種の誇りとも言えましょう。

 

農林61号出穂前畝間刈り後

なお、こちらは春蒔きした農林61号の出穂前6月22日の様子です。昨年も春蒔きしたのですが、痩せ地だったこともありうまく育たず、収穫できるものではありませんでした。小麦は肥料がないと特に寒冷地では難しいと思います。今年は別の畑で、鶏糞等肥料を多めに投入して播種しました。春蒔きのため雑草の発芽と同時スタートになることが、草対策の面で秋蒔きより難しくなるけれど、雪の影響が関係ない分は素晴らしいことです! われわれにとっては。

かなり繁茂していた畝間の雑草は、草刈り機で刈り取りました。完全じゃないですが、刈り草が畝間に横たわることは土作り上も好ましいことです。3アールそこそこの畑ですが、畝間刈りに2時間くらい要しました。収穫は本来の秋蒔きより当然遅れて、お盆頃になろうと思いますので、それまで7月にもう2時間草刈りに歩かなくてはなりません。。反面、狭いハウスでの小麦の乾燥スペースには苦慮していますが、南部小麦が乾燥し脱穀して空いた後のハセに61号を刈り取って掛けることができるのは利点です。

 

除草機後のひとめぼれ

田んぼは除草機がけを行っていて、ヒエやコナギが大量に浮かんできます。これが沈んで活着しないよう、常に深水を維持しています。今週3回目をかければあとは中干しの季節になり、草取りは終了します。なお、中干し中に株元の雑草を刈り取る用のアタッチを購入しましたので、水が引いて歩きやすくなった後に試してみたいと思います。

このような寒冷地では、稲の分けつがどうしても進みません。自然栽培・有機栽培の原則は大きい苗を育て少ない本数で、しかも間隔を空けて植える、という形です。基本はそのように努力していますが、果たして暖地のセオリーがこちらで通用するのか、いつも疑問には思うところです。確かに大苗を植えればいきなり深水にして抑草に役立つでしょう。しかし肥料が少ない農法で気温が低い環境では分けつが進みません。除草機をかけるのは分けつを促す目的もあるのですが、自然環境には逆らえず限界があります。成苗大苗を作るには時間もかかり、その分田植えは遅れます。それよりも苗が小さいうちに、ある程度密植で茎数を確保し早めに田植えすることが、秋の収量に関わってくる気がします。寒冷地は分けつが進みにくいだけでなく、当然登熟も遅れ稲刈りが遅れます。亀の尾にしてもひとめぼれにしても、もともと寒冷地用に作られた品種ではないですし、それを寒冷地で作付けする場合には、やはり早めの田植えというのが基本になり、大苗に育つのをじっくりと待つ余裕はないと言えるのではと思っています。

稲作は本当に地域ごと、田ごとに違った形になり、全国一律のやり方なんていうのはないと言っていいと思います。そういった微妙な部分を、ネット等の共通常識みたいな情報をうのみにするのではなく、自分の田に合うように修正をしていく作業が必要で、そのためには何年何十年と時間がかかるものですね。

 

やまなしの花遠景

田植え前、代かきの頃にちょうどやまなし(生物種としての名称はイワテヤマナシ)の花が咲きます。今年も5月15日頃に開花しました。ただ、このハンベエナシ(品種名というよりはこの個体名)という一種のみでは結実が難しく、現在サネナシ・ナツナシ(これらは品種名です)の2種の苗木を植え、開花に至る成長をしてくれるのを待っているところです。ハンベエナシは、優良な西和賀町左草地区由来の木を神戸大学の研究機関により接木植栽をし増殖したものを、再びこの西和賀町に搬送し植え付けたやまなしになります。

 

やまなしの花近景

実がなるのは9月頃で、割と大きめ、匂いも味も良好とのことで、本当に楽しみにしております。やまなしの花は写真ではわかりませんがうっすらと灰色がかっている白さが特徴で、町内にも屋敷内や保育所とかに植えてあります。「クラムボンは笑ったよ」「カプカプ笑ったよ」で知られるやまなしは、賢治さんも言っているように香りが特徴で、昔よく食べたなぁ、懐かしいと老人の方はおっしゃいますね。ただ、現在はほとんど食されることもなく、道路に落ちて車に轢かれたりしているような状況だったりもします。何とか復活させ、活用していきたいと思います。美味しいお酒になると物語で語られていますしね。

 

水沢のやまなし圃場

このイワテヤマナシを植え、商品化し活用していこうという岩手県内の取り組みについては紹介したこともありますが、水沢市の「パイオニア牧場」(畜産農家兼ステーキ屋さん)でも植栽を進め、この春に、上述したイワテヤマナシ研究者である神戸大学の片山先生の指導で多種のやまなしを植え付けしました。

 

水沢のやまなし看板

クラムボンとは何か。泡の形状をした霊的存在のようなイメージですが。。パイオニア牧場の上の看板の大きな画像はこちらからどうぞ。

 

ワイルドストロベリー 近景

当園ではブルーベリーを始め、ベリー類をいろいろ植栽しております。まだまだ始めたばかりでほとんど趣味の域というか試行錯誤の試み段階というもので、果樹と言えるサルナシやハスカップ、カシス、桑(マルベリー)、アロニア等のほか、コケモモ、特にイチゴについてはいろんなものを収集しています。スーパーに並ぶイチゴではなく昔からの野生由来のもので、野イチゴというカテゴリーになろうかと思います。自分なりの解釈ですが、野イチゴは木イチゴと草イチゴに分かれ、それぞれ西洋のもの、日本のものがあって、面白いものです。

ブラックベリーやラズベリーなどは西洋の木イチゴになりますが、日本にも木イチゴがあり、モミジイチゴ 、熊イチゴ、冬イチゴ、苗代イチゴなどです(寒冷地では難しいカジイチゴ、それにバライチゴというのも最近入手できました)。そのほかの野イチゴというのは、木化が少ない草イチゴと呼ばれるものになります。ヘビイチゴという草イチゴ系もあり、タラノキ畑に自生していたのを移植しましたが、美味しくないです。また外国の野イチゴ(草イチゴ系)も興味深いものがあり、代表的なのはワイルドストロベリーで、写真のようにいま盛んに採れていますが、ランナーの出ないウッドランドストロベリー というのもあり、今年植えてみました。さらにヨーロッパの野イチゴとして、森のイチゴといわれるフレーズ・デ ・ボア(高級感がありますね)や、アルパインストロベリー といったものもあって、これらも試しに植えていまして、いま苗状態のところを観察しているところです。

最初はこうして名のわかっている種や苗を購入して植えていますが、植えてみて特徴を知れば、山や川で見つけたときに何イチゴかわかるようになりますね。盗掘はよろしくないでしょうが、実から種を得ることはできますね。ヨーロッパの野いちごは種や苗で買って増やすしかありません。いろいろ肥料にも工夫して風味を醸成できればそれも楽しみだし、野イチゴジャムとして、木イチゴジャムと草イチゴジャム枠の2種製品を、あるいは全イチゴからブレンドして、オリジナルな野イチゴジャムを作るというのも面白そうです。フレーズデボアなどは単独で作った方が良いかも知れませんが。。

とはいえ、私自身は栽培農家ですので、そうした希望を持つ方々への食材提供というのがまずは役割かと思っています。やまなしもいろいろ加工してみたい方に果実を提供できればと思うところです。