野良の小道具たち

 

 

どんな職業でも人間は道具を使って仕事をするが、農業のそれはきわめて広範で奥の深い道具たちに囲まれている。年に1度しか使わないものも含め、4年暮らしただけでもずいぶん多くのモノたちが増えてきている。従来からの農家には、現在では入手できない道具が眠っており、また時折日の目を見ることもある。使い込まれた道具には堂々たる存在感が宿っている。ここでは、現在では使用することの少なくなった農具の数々を中心にコレクションしてみた。ただし現在でもいくらか使うものに限定し、完全な懐古品は除外。もしリクエストがあれば探してみます。


動力除草機

エンジン除草機田んぼ用の除草機械。動力付きのため押すにはラクだが、ターンするときに重いのが難点。株間の草はもちろん取れない。使用期間は雑草の目立ち始める6月15日以降、分けつを止める7月10日まで(除草機かけは根の生育・分けつを活発促進するため、茎数を決める7月中旬(中干し時期)以降に使用すると収穫にならない茎が立ってしまう)。またガス抜きの効果もある。田植えがきちんとした幅でなされていないと稲をなぎ倒して歩くことになるので注意。

手押し除草機

手押し除草機手押しで草を取る田んぼ用の機械。ただ押すだけでなく、押し引きしてがりがりと一生懸命に働く。これも汗をかく大変な仕事。一条。動力と違い、少々稲に乗り上げても何ともない。株間はできない。動力の除草機を手にしてしまうと、もう手押しには戻れない。

 

 

 

金テコ

金テコ石の多い畑に支柱を立てるのに不可欠な道具。これで土中に穴を空け石にぶつかれば石を寄らせる。そののちに支柱をぶつ。抜くときに顎にぶつけないよう注意。

 

槌畑に太い支柱を立てるのに不可欠な道具。畝の端に立てる太い支柱は金槌では打てない。

 

草取り鎌

草取り鎌軽くて便利な草取り鎌。鍬よりもラクに作業でき、根こそぎ草を掻き取ってしまう。通路など固くなった地面に使用する。

 

笠とケラ

ケラケラは通気性抜群の雨具でムレのなさはゴアテックス以上であろう。笠はスゲ、ケラはマンダの皮でできている。ケラはさすがに着なくなったが、笠は手を使わなくて良いため、いまでもかぶることもある。便利だが車に乗ると引っかかって難儀。

 

日ゴモ

日ゴモ空気の澄んだ奥羽の山里では紫外線が強い。日射は晴れると刺すようで、古来日除けの装具が開発されてきた。背中は特に丸めると張るために余計暑く、晴れた日のしゃがんだ作業には日ゴモが有効。

モッコ

モッコ堆肥を背中に背負って運んだ篭。サダメシの木のシバを曲げて輪をこさえ、縄でぐるぐると編んで作った。中身が服を汚さないよう、ケラを着た上に背負う。近年は背中にものを背負って運ぶということが減った。モッコだけは現在使うことはないと思う。私は去年ヒエ取りのとき背負って田に入ったが…。

足踏み脱穀機

足踏み脱穀機現在では稲以外の穀物で少量のものを扱くときに必要となる。そば・麦等に現役として毎年使用される。

唐 箕

唐箕良いもみと悪いもみを分別し、悪いものや殻を飛ばす。そば・麦などの選別に現在も活躍中。写真はみどり学園の子どもたちと小麦を選っているところ。悪い実が勢いよく飛んでいくのがわかる。下に立てかけた木箱に良い(重い)実が入っていく。