比較的暖かい秋で好天に恵まれて、りんどうの出荷とか稲の脱穀作業が終わった後のいわゆる秋仕舞い作業も順調に進みました。好天はハセ掛けの稲にも良い環境だったと言えるし、何よりも秋に作付けをしたにんにくと小麦がこれまでにないほどの良い生育となっていて、大変ありがたいことでした。とはいえ、秋仕舞いも結構な量があり、数日で決着が付くものではありません。
いちばんが、りんどうの片づけです。残った残茎を、十分に枯れてから草刈機で刈り払い、花の収穫車で通路を歩きながら丁寧に集め、軽トラで捨て場まで運んで捨てます。雨降り後は濡れて重くなっているのでやりません。また刈り払い時にりんどうが濡れていると刈り刃を通じてウイルスが伝染することがありうるので、乾いているときに刈ります。主に午後1番の作業で刈って、1品種2日くらいかけて運び出します。これが終わらないうちに雪が降ってくるとネットごと雪に乗っかかられて、支柱が折れます。。
お盆の早生品種はもう完全に枯れて軽くなっているし、ボリュームもないので、ネットを重ね、りんどうがまだネットに引っかかって立脚している状態で刈り払い、そしてネットから取り外すようにしながら集めます。彼岸品種はボリュームもあり、背丈もうんと高いので、まずは半分ほど手で追って(いわゆる花茎取り作業)いったん集めて運び出し、残りは半分サイズになった状態で自力で立脚できるので、ネットを完全に外して、その残って立っている残茎を刈り払って、運び出します。
今期で廃園にするりんどう圃場は、強引にネットを外し、支柱も全部抜いて、倒れたりんどうの茎を丸ごとトラクターですき込んでいきます。今年は極晩生のつい最近まで収穫していた生々しいりんどうを潰したので、耕耘は2回かけて埋め込みました。小麦畑の緑肥のすき込みと同じような作業です。
りんどうが濡れているような時は他の仕事を進め、たとえば脱穀後に残ったハセの紐を解いて横棒(ホケ)を解体し、軽トラの荷台で集めて、収納している小屋の2階へ搬入します。これもけっこうしんどい仕事です。ただ、空中戦の作業になるため、仮に積雪があっても進められる作業ですので、りんどうの片づけのような地際の作業が優先です。ブルーベリーや他の庭木果樹等の雪囲いもあります。ビニールを外して骨組みだけになったパイプハウスの下の方の横パイプとビニペットも雪で曲げられてしまうので外します。
タラノキも11月になれば完全に写真のような1本の棒状態になるため、ノコギリで伐採して集め、作業場に収納します。伐採するときに、来春芽が出る場所は既にわかるので、地際から2芽くらい残してその上で伐採します。上の状態で2月まで置いておき休眠が覚めるのを待ちます。寒天仕事が終わった頃には芽吹きを開始できる時期になっています。
小麦の作業も完全に終わり、製粉するものは製粉し、玄麦はそのままに例年のように10月末で注文を締めさせていただいて、残った在庫を秋田市の窯ベーカーカボチャさんに納入します。いつもは取りに来てくれるのですが、今年は店が休みの日も忙しかったようで、私が届けました。カボチャさんは秋田市南部の河辺町にあり、有機の小麦だけで、しかも全部薪窯で焼いているお店です。カンパーニュを販売しているのですが、サイドメニューとしてアップルパイ(写真)が非常に美味しいです。パイ生地は南部小麦全粒粉で仕込んでいるそうです(1個450円くらいでした)。
さて、せっかく秋田まで来たので、前から気になっていた秋田大学鉱業博物館へ出かけてきました。秋田大学には鉱山学部という学部があって、それに付随する施設になります。膨大な鉱物が陳列されてあり、解説は専門的で、とても全てを熟読することはできそうもありません。素人にとっては鉱物の魅力をさっとなぞるということしかできませんが、それでも十分な時間、石の世界に浸ることはできます。一番下の子が小学生だった時はこの近くのアスレチックの公園や、男鹿に足を伸ばして水族館ガオなどにも行きましたが、いまはそういうこともなくなってしまいました。帰り道に横手のまんが美術館で矢口高雄展を見てその直後に氏がお亡くなりになったのももう3年くらい経ちましたか。。さすがにこの鉱業博物館は小学生では飽きてしまったかもです。
この前の2月の寒天出張からの帰りには新潟の糸魚川でヒスイを購入しましたが、そうした縁がある鉱物は、グッと身近になります。
出口にある土産コーナーでは、化石を販売していました。レプリカなどではなく本物だそうです。我慢ができず、アンモナイトと三葉虫を購入し末娘にあげました。時々取り出して観察したりデッサンしたりして欲しいものです。2つ合わせて3,500円くらいでした。
さて、11月16日には、盛岡市中心部にできた話題の商業施設「モナカ」で、当園にも年に1度農業体験に学生が訪れる盛岡の専門学校と共同で、西和賀物産展が開催され、私も亀の尾とササシグレを持参し販売してきました。こういう機会はあまりなく、米などそう売れるものでないのですが、にんにくがとにかく今年はダメでしたので、仕方ありません。秋仕舞いもだいたい目処がついていたので、楽しんできました。パッケージや台に置くポップ的なものなどよくわからずに、ゼロからの勉強の機会でした。
一緒に参加した町内の鉄アート作家「山のうえアイアン」も素晴らしい展示をしてくれていました。長女にブローチを購入。チタンだそうです。
そのアイアン宅に初めて訪れて来ました。旧湯田町内の左草という地区に住居を得て、付随する小屋は作業場になっていました。王国が準備できました。ここでどのように自分の創作の世界を展開してくれるのか、わくわくします。中央に見えるのは手作りの薪ストーブです。右奥には何かプレスに関する大きな機械がありました。
森林資源の豊富なここ西和賀町ですが、他に木を扱うクラフト作家さんも数名います。森林や木の活用に関心を持って協力隊として入植した人もいます。そうした仲間たちと共に、森林資源を価値を持った商品として活用したり、また山そのものの保全・治山とか環境面の啓蒙活動的なことも展開していきたいといった将来の目標の一端もアイアンは話してくれました。私たち農家は冬は仕事ができにくい期間になりますが、クラフト作家さんは冬に精力的に創作活動を行い、夏には森や田畑を相手に暮らしていく、そういう二刀流が成り立ちますね。われわれ農家も室内の加工を取り入れればそれはできるのですが、そう簡単にはいきませんよね。食材の提供までしか現状では当園は行えず、その分他の希少な食産業への従事ということで2か月の寒天出張を取り入れたりしています。ここでお酒造りなどができるようになれば年間を通して地元での活動ができるわけですが。。
秋仕舞いが終わって、りんどうの草取りを行っていましたら、2年前に植えたフユイチゴが実を付けていました。本当に冬のイチゴだったんですね。今年は秋が暖かかったから生育が良く、根雪の前に実がなってくれたのでしょう。たぶん普段の年であれば気温が足りずに、実をつける前に雪の下になっているのではと想像します。