岩手県へ移住してから、早池峰山はずっと気にかかっていた山でした。岩手山は知らなくても早池峰はご存知という方も多いかと思います。神楽とか神社とかと結びついた独特の雰囲気を持つ山ということはひしひしと感じておりましたし、ハヤチネウスユキソウがまた有名で、これを目当てに多くの登山客が訪れます。
ハヤチネウスユキソウは7月に開花期を迎えます。今年は何もかもが前進傾向でしたので、6月後半には開花の情報も見られるようになっていました。前回の大鳥池と以東岳の登山で今年は終わりかと思っていましたが、どうしてもこの7月は逃したくなくて、去年と同様に梅雨前線がま上に来て雨続きの秋田岩手ですが、貴重な晴れ間を狙って、平日の7月16日火曜日に出かけてきました。投稿が遅れてタイムリーではなくなってしまいましたが、現在はお盆出荷用の切り花りんどうの出荷に追われていて、かなり前の感覚になってしまいました(りんどうの開花も前進しており、お盆の最中にはなくなっていると思います)。
夏は土日祝日はかなり手前の駐車場(岳という場所)から走行が規制されるため、河原の坊駐車場(キャンプ場)まで乗り入れができる平日を選んで向かいました。朝4時半に家を出て2時間、河原の坊には6時半時点で4割くらいが埋まっていました。一番心配なのは、遅くなり登山が遅れるということよりも、駐車場がもし満車だったらどうしようかという不安でした。確かにもし満車だったら、どうすればいいんでしょうか。。
河原の坊駐車場で朝食や歯磨きなどを済ませ、舗装路を登山口まで歩きます。35分くらいでしょうか。それなりに傾斜もあり標高を上げていくのがわかります。そして登山口である小田越に着き、ここからが登山開始です。そもそもここには駐車場がないために、夏の交通規制に関係なく、ここまで歩いて来なければなりません。タクシーとか車から降ろしてもらう人はここで降りてすぐ登山開始ですが。。
五合目まで来ました。小田越から山頂まで2時間くらいの行程で十分に日帰り登山の山ですが、この辺りから巨岩の上を歩くという感じで、傾斜もあり、歩きにくさはレベル高めです。
大きな一枚岩を梯子で登ります。
そして山頂へ。こうした山の雰囲気は、やはり信仰や神社とかの習俗を身にまとった山と思わずにはいられませんね。
わかりにくいですが石仏も見えます。オレンジの祠(ほこら)には神様が祀られているのでしょう。
さて、大半の登山客はそのまま往路を引き返して下山するのですが、せっかくなので早池峰の東側に位置する「剣ヶ峰」を縦走することにしました(剣ヶ峰往復で1時間20分くらい)。最初のハヤチネウスユキソウの写真はこの縦走路の前半部分の岩稜地帯で撮影しました。3〜5本の群れが点在するという形になっていて、カタクリのような群落ではありません。岩場は剣ヶ峰へ向かう前半のみで、後半は土にハイマツ地帯となっており、ウスユキソウはありませんでした。早池峰への登山コースでは登山道とお花地帯はロープで区切られていて、ウスユキソウを間近に見る番所は少なかったと思います。こちら剣ヶ峰稜線ではまさに歩く足元にあちこちに咲いていて、しかも見頃の花たちでした。
再び早池峰登山道に合流し、下山します。同じような花が咲いておりますが、これはハヤチネウスユキソウではないのですかね。あるいはウスユキソウが花期が過ぎた状態でしょうか。。
これらが今回出会った7月の花たちです。
最新のトレッキングポールに30年前の登山靴です。去年月山に出かけた時に多くの人がポールで登山していて、先月の以東岳の折に通販で買ったものです(3千円)。確かに登りも下りも腕の力が添えられて楽でしたし、転ばぬ先の杖にもなりました。大きな岩の乗り越えや梯子の昇降の時は邪魔にはなりますが、時間的にはわずかです。靴の方は、巣鴨の辺りの「goro」というオーダーの登山靴屋さんで買ったものです。今回、キャラバン社のソックスを購入し、履いてみました。素晴らしいフィット感で、以東岳の時に感じたつま先とかの痛みが一切ありません。登山用の靴下(中厚というものでしたが十分厚みがありました)、とても大事です。キャラバンといえばキャラバンシューズで有名ですね。18歳の頃、北アルプスのお膝元松本市にいて、登山用品をいくつか買いましたが、最初はみんなキャラバンシューズです。男子は灰色、女子はピンク色です。土踏まずの部分に滑り止めの金具が付いていました。今は全く見ることがありませんが、良い靴でしたね。当時で5千円くらいだったと思います。当時というのは40年前です。
ところで、30年前の登山靴、革の感じはとてもよく、下山後はミンクオイルとかで保全はしておりますが、靴のソール部分は大丈夫なのかと、ふと気になりました。早池峰小田越コースはほとんど岩場で、岩自体、多くの登山者に踏まれてテカテカしていました。見るからに何となく滑りやすそうと思いましたが、30年前のソールで今後も大丈夫だろうか、少し調べてみた方が良さそうに思いました。いずれこういう登山靴で歩いている人は全く見かけませんね。。確かに重いです。
だいぶ登山口まで戻ってきた頃に、麓の方から救急車の音が響いてきて、また空にはヘリが現れました。同時に消防隊が数名のグループで5組くらいすれ違って登っていきました。総勢で20名くらいでしょうか。山頂で動けなくなっている人がいるらしく、ヘリも来たのだが山頂付近はガスってて近づけないということで、しばらく滞空していましたが、撤退していきました。確かに剣ヶ峰から登山コースに戻った時間帯、下からガスが立ち込めてきて、涼しい冷気を感じていました。標高の低い下山路は天気は良かったですが、山頂付近は確かに見えません。
早池峰登山の半分以上は岩場です。上の方に土はありません。岩100%の急な斜面で転倒すれば、骨折の可能性も大きいし、そうなれば自力で降りられず救助を頼むしかありません。トレッキングポールは確かに有効と感じました。早池峰の山頂は人も多く安心感もあるでしょうが、剣ヶ峰の方だったら人は少ないです。幸い、山の稜線上は多分どの山でも携帯の電波はありますので連絡は取ることはできますが、稜線じゃなければ、だいたい圏外のことが多いです(以東岳の時も大鳥池の辺りは全くの圏外でした)。こういう可能性も考えて登山しなくてはなりません。夏の日の長い時だから良かったですが、救助が登って行ったのは午後3時前でした。10月とかであれば1時間後にはに日没ですね。ちなみに、消防隊員はポールは使わずに登っていました(人を運搬するという目的からも当然でしょうか)。
そして、早池峰登山後、天気はずっと悪く、特に24日からの1週間は大変な雨量でした。秋田から山形へのよく通る地域では大規模な被害が発生し、去年の月山や今年の以東岳の際に通った戸沢村も最上川の氾濫が起き、残念に思います。娘が山形市に住む以前には、冬の長野出張の折に、この最上川を鶴岡まで降って、日本海経由で長野県に向かったものでした。山形県の海沿いにある「あつみ温泉」など、いつか泊まってみたいと思いながら通過していました。当園のタラノキの品種「あすは」は山形に入ってすぐの真室川の育種家より分けてもらったものですが、この真室川も被害が出たようで、駐在所の警官の方も勤務中にパトカーごと流されてお亡くなりになられて、とても痛ましいことでした。
大雨の直前の23日に、前日22日に刈り取ったアリーナ小麦跡地の耕耘と緑肥播種を行い、そこまではギリギリ間に合ったものの、その後の大雨続きで発芽不良が目立ちます。出荷がいま盛りのりんどうも、特に白の品種で雨による花の腐りが目立ち、今年は減収は避けられません。春からの草取り椅子(タイヤ付き)に座っての延々と続いた1株1株の芽かき&草取り作業ですが、多雨によりあっけなく無効にされてしまう、悲しさです。にんにく畑も、冬の間に杉の枝葉で詰まった水路からの溢れ水で畑一面が2か月間冠水し、大半が腐れて消失するという残念な結果になっていて。。。いまのところ稲のみが頑張って生育を続けています。これまでの高温傾向によって、稲には良い夏となっています。が、まだいもちの発生には警戒を続けなくてはいけませんし、いずれこれ以上の雨はもう不要です。去年は夏場に田んぼがとても乾き、水を入れればそれは済むことですが、その反動で稲刈り時期に雨続きとなり、稲刈りがなかなかできず参った秋になりました。とはいえ、田畑が大規模に冠水し収穫が不能になった山形・秋田の農家さんも多いかと思い、本当にお見舞い申し上げます。
今日から8月ですが、まだ梅雨明け宣言は出ません。ぐずついた気候ということで最高気温もせいぜいが28℃、最低は19℃という感じで、酷暑の南日本に比べれば快適なのですが、とにかくお日様が見たいです。
余談ですが、7月19日には、3月のうちからチケットを買っておいた仙台フィルのコンサートに長女・長男を連れて行ってきました。場所は日立システムズホールというホールで、曲目はモーツァルトのピアノ協奏曲第20番とマーラーの交響曲第1番など、です。ピアノ協奏曲自体、もしかしたら初めてだったかもしれません(東京時代にN響定期によく通いましたのでその時聴いていたかもですが)。ピアノの小山実稚恵は特に東北ではよく知られた人で、長大なカデンツァも見事でしたし、この曲もモーツァルトのピアノコンチェルトの中でとても人気の高い名曲です。マーラーの「巨人」は何度か聴いておりますが、今回左の方のかなり前の席で、ハープの音がよく聞こえました。指揮者の広上淳一さんも人気の方ですね。プログラムといいまた演奏者もすばらしく、チケット完売で当日券なしという盛況も理解できます。演奏会自体かなり長時間で、終演は21:30となり、このホールの近所の人気の「中華飯店」での食事は諦めましたが、贅沢な一夜となりました。