
おひさま米のページにお越しくださりありがとうございます。

小規模の家族労働で作業を進めています。規模は小さいですが、稲作という農耕文化の意味を確かめつつ、野良の営みに向き合っていきたいと思っています。

【使用資材・肥料】
牛糞堆肥・米ぬかのみ
米ぬか中心の米つくりです。お米の食味を上げるのは米ぬかが適しているといわれます。私たちは地域内で精米された米の米ぬかを採取して、春の元肥とし てボカシ肥料にし、牛糞堆肥とともに施しています。田に入れる米ぬかの半分をまず春先 にボカシ肥料として発酵させ、町の堆肥センターより購入した地域畜産農家から出た牛糞の堆肥と一緒に田に散布します。写真のように切り返しが大変なので、生のままで撒いて土中で発酵させれば楽ともいえますが、初期の肥効を得たいし、イネの生育中に発酵が進むと「窒素飢餓」を招く恐れがあるため、作業場内で発酵させておきます。
米ぬかのもう半分は田植え後、イネ の根が活着してから。畦畔から、そして田の中を歩いて風案配を考慮しながら手で撒き散らします。そのうちに糸ミミズが発生し、土もトロトロになってきます。それでも草は出てくるので、写真のように除草機で除草します。早め早めの除草機がけが好結果をもたらせ てくれます。
除草はチェーン・エンジン除草機・下駄除草を組み合わせています。除草の最後は手取りです。除草機は 雑草も初期の小さいうちのもの。雑草も大きくなりますと手で取るしかありません。取るといっても、土の中に埋め込むのです。7月の第1週までです。その後は中干しして土を固めるので、草取りはもうしません。なるべく深水にしてヒエを始め草を抑えるべく努力はするのですが、完全に抑草というわけにはいきませんね。
自然乾燥の米作りです。1束ずつイネを上げていく作業。 刈っていく機械作業の倍かかります。その日刈り取ったイネはその日のうちに掛けなくてはいけないので、計画的に作業を進めます。1年の農作業のハイライトです。でも刈りたてのイネのにおいは良いですよね。子どもがたまたま軽トラの 荷台に乗っている写真ですが、稲の束は運搬車(キャリア)で田の中からハサ場まで運びます。横の棒は、竹を使っている地域もあるようですが、当地ではスギ の間伐材を使っており、「ホケ」と呼んでいます。稲刈り時期になると作業場の2階からホケを下ろしてハサ場まで運んで組み立て、稲扱きが終わるとほぐしてまた作業場まで引きずって運び、2階へ上げる。面倒な作業です。雪の少ない地方だと、ハサ場のそばにホケをしまっておく簡単なトタンの収納場を作っていますが、豪雪地ではなかなか簡単なものではすまされません。
掛けて約10日で水分17%まで下がり、短期貯蔵消費分としては実に瑞々しく美味しいお米になります。約3週間で16%まで下がり、標準の出荷米とし、さらに最初からハウス内で雨避け乾燥させたものは15%台まで乾燥し、翌夏の最後の出荷分にしています。
あすこの田はねえ (稲作挿話より)
あすこの田はねえ
あの種類では窒素があんまり多過ぎるから
もうきっぱりと灌水(みず)を切ってねえ
三番除草はしないんだ
・・・・・・一しんに畔を走ってきて
青田のなかに汗拭くその子・・・・・・
燐酸がまだ残ってゐない?
みんな使った?
それではもしもこの天候が
これから五日続いたら
あの枝垂れ葉をねえ
斯ういふ風な枝垂れ葉をねえ
むしってとってしまうんだ
・・・・・・せわしくうなづき汗拭くその子
冬講習に来たときは
一年はたらいたあととは云へ
まだかがやかな苹果(りんご)のわらひを
もってゐた
いまはもう日と汗に焼け
幾夜の不眠にやつれてゐる・・・・・・
それからいいかい
今月末にあの稲が
君の胸より延びたらねえ
ちゃうどシャツの上のボタンを定規にしてねえ
葉尖(はさき)を刈ってしまふんだ
・・・・・・汗だけでない
泪も拭いてゐるんだな・・・・・・
君が自分でかんがへた
あの田もすっかり見てきたよ
陸羽一三二号のはうね
あれはずゐぶん上手に行った
肥えも少しもむらがないし
いかにも強く育ってゐる
硫安だって君が播いたろう
みんながいろいろ云ふだらうが
あっちは少しも心配ない
反当三石二斗なら
もうきまったと云っていい
しっかりやるんだよ
これからの本当の勉強はねえ
テニスをしながら商売の先生から
義理で教はることでないんだ
きみのやうにさ
吹雪やわづかの仕事のひまで
泣きながら
からだに刻んで行く勉強が
まもなくぐんぐん強い芽を噴いて
どこまでのびるかわからない
それがこれからのあたらしい学問のはじまりなんだ
ではさやうなら
・・・・・・雲からも風からも
透明な力が
そのこどもに
うつれ・・・・・・
当園ではH24年まで3度、「陸羽132号」を作付けしました。当地は 賢治先生の時代の花巻よりもやはり寒くて、適地ではありませんでしたので、H25年からは栽培を終了しました。美しい、印象的な文章ですね。