奥羽おひさま米-亀の尾〜2023年産氷温貯蔵米販売中です

¥2,100¥16,800

秋の籾摺り玄米が完売し、このほど冬の間籾で氷温貯蔵していた亀の尾を出庫し玄米にいたしました。

農薬化学肥料を使用せず、天日乾燥で仕上げた「亀の尾」になります。米ぬかのみ施用する農法に合った品種を求め、2021年初めて貴重な種籾を入手でき作付けにトライいたしました。米ぬかも投じず無肥料自然栽培米として取り組んでいます。この収穫された種籾を冷涼な当地の気象に向くよう自然な選抜を続けて、今後も作付けをいたします。2022年は低温や長雨の影響で登熟は遅れましたが、無事当地のような冷涼地帯でも栽培ができたことには胸をなで下ろしているところです。山形の庄内地方で生まれ、主に酒米として使われながら、飯米としても良食味の評価の高いお米をお試しいただけたらと存じます。

→ご自由な数量、複数品目の組み合わせご希望の方はこちらのお問い合わせフォームよりお願いいたします。

商品コード: R5 カテゴリー: タグ: , , ,

説明

農薬・肥料不使用 の自然乾燥米を栽培しています。

 

 

ハセ2023年
2023年の稲刈り完了直後の様子です(2023.10.18)。

2023年は稲作にとって特異の年になりました。夏の猛暑で大豊作かと思いきや、それほどの量が穫れておりませず、8月9月にうんと乾いて高温でもあり、日中も田への水入れを繰り返しましたが、稲刈り時には一変した雨続きとなり、少雨の盛夏には予想すらしなかった、一部の田にバインダーが入れない状態が続き、稲刈り作業は苦戦しました。その後のハセ掛け乾燥中も雨が続き、脱穀も遅くなったシーズンになっています。ただ結果的に10月の下旬に秋らしい好天があり、その期間に良い状態での脱穀取り込みを済ませることができ安堵しております。

ハセ熊被害さらに、今年は熊による食害も尋常でありませんでした。稲刈り前の田も、通常は山岸の田の山側の数メートルの範囲での被害であったのが、1枚の田全体に渡って非常に荒らされましたし、家の屋敷の栗の木まで被害が出て、初めての経験になります。またこれも初めてのことですが、ハセに掛けた稲さえも夜な夜な荒らされては朝掛け直して、といういたちごっこなっていました。この点で100kg程度熊の親子の胃袋に入った、あるいは実が付いていても稲穂としてはダメにされたかと推定しています。

またハセに掛けた直後に強い冬型の季節風が吹いて、一部ハセ柱も折られて掛け直したり、トラクターで引っ張って傾いた柱を広範囲に稲ごと元に修復する作業、といった出来事もあった秋でした。

7月に続いたしつこい長雨は、秋田市やここ西和賀町でも水害を起こしましたが、農薬を使わない農法では、その過剰な多湿により品種により病害を招いていて、収量を下げる原因にもなった年でもありました。

背負式エンジン除草機栽培ですが、農薬・肥料不使用の自然栽培になります。右の背負式刈り払い機に装着するタイプの除草機を中心に、初期のチェーン除草や、中干し直前の下駄踏み除草をいろいろ組み合わせています(下駄は今年は使用しませんでした)。

 

チェーン除草ちなみに2023年の稲作は、ここ西和賀町では作柄が良くありませんで、背が短く収量が上がらなかった、カメムシ被害が多かった、などと言われています。自分の農法では肥料面や除草面での減収がどうしても前提になり、一概には言えませんが、豊作だったとは言えない1年でした。

 

稲扱き日本海側の米どころは雪国でもあり、北になれば晩秋は気温も低く、雨にも悩まされるため、天日干しは容易ではなく、米の乾燥が思うように進まない傾向があります。乾燥も段階を設けており年内までに食べていただく新米時期限定の高水分米、来年前半まで貯蔵する16%、来年後半の夏季に出荷する15%米としております。天候を睨んでの米の脱穀のタイミン グは難しいですが、毎年好天を祈りながら、稲作最後のこの外作業を進めております。今年も稲刈り時からハセ掛け後に長雨が続きやきもきさせられましたが、ちょうど脱穀作業を行った週は好天に恵まれて、適切な水分での取り込みができました。

種まきー培土なお育苗の土は県内「花巻酵素」さんの有機質肥料入りの「自然育苗培土」(有機JAS認証取得)を購入使用しております。肥料の使用はこの育苗培土のみになります。

 

2023年は3品種での稲作となりました。気温水温の低い冷涼地という条件を考えた時に、県や国が推奨し新しく開発されている多肥栽培を前提とした短稈品種では農法に合わないということを農家として痛感しています。多肥により倒伏したりすることのない農法にとっては、推奨品種とは真逆の長稈種で、冷害に強い特性を持ったお米が望ましく、それらは結果的に古い在来品種でした。その例として2021年に「亀の尾」、今期2023年に「ササシグレ」を導入し、従来からのと「ひとめぼれ」を合わせ3品種で作付けしています。また岩手県で「銀河のしずく」という品種を開発し、耐いもち性が高いことから、種苗の配布が始まれば導入したいと思っています(現在は当地区は作付け対象外地域になっています)。ササシグレにつきましては、味が良い長稈種で自然栽培での作付けも多い米ですが、歴史が示すようにいもち病に非常に弱く、低温で冷水・比較的多雨のこの地域では困難な点も多く、作付け面積は少量に止める予定です(魅力的な品種であり栽培は続けます)。「いわてっこ」については無肥料栽培では難しく、かつカメムシ害にとても弱いため作付けを休止しています。


「亀の尾」

亀の尾の亀米ぬか施用にとどめた肥料を使わない栽培を行っていますため、ことにこちらのような寒冷地での栽培ではやはり稲の背丈が取れにくく、結果、穂につく籾の数量も減収したり、田の場所によっては極端に短くなってハセにうまく掛けにくかったりということがあります。大量の肥料を入れても倒伏しないことを目的に改良されている現代主流の短稈の品種ではうまくいかないとつくづく感じています。

亀の尾年譜やはり昔からの長稈のお米が農法には合っているようで、金肥といわれた貴重な化学肥料が少ない時代のお米が、現代でも化学肥料を使わない農法には適しているのかと強く感じています。こうした観点で食味の良い、東北の寒冷地でも耐えうるようなお米を模索して、2021年、亀の尾の種籾を譲られて入手でき、初めて作付けをしました。

1893年(明治26年)9月29日、山形県庄内地方の篤農家阿部亀治は、水口の冷水が当たるところで立派に立っている3本の稲穂を発見し、突然変異だろうと後に言われていますが、その寒さに強い稲穂を持ち帰って籾を栽培し、亀の尾は生まれました。中生種で対冷性、米質・食味が良く、少ない肥料でも生育量が大きいという特性を有しています、とあり、酒米としても有名ですが(「夏子の酒」という漫画のモデルになった品種)、飯米としての通販等の流通もあり、食べていただくお米として栽培を続け、出荷いたします。なお記載は「中生種」とされていますが、当園では最晩生種になります。

亀の尾稲刈り日
稲刈り日の亀の尾(2021.10.14)

2022年は6月に低温、8月に雨続きに見舞われた年でしたが、亀の尾はお盆を過ぎても出穂せず、結局前年1作目と同等の8月20日になって出穂が始まり、しかしながら10月の中旬には無事登熟し稲刈りをすることができました。昨年も感じましたがじっくり待って出穂し、そして割合短期間で登熟させる、という特性のようです。本来は東北でも暖かい庄内地方のお米です。このより冷涼な条件下でも頑張って実を付けたその籾を種として翌春に作付けする、これをくり返しながら、奥羽山間部の気象に合った亀の尾が育成されていけばと願っています。また出穂時期が遅いことで、カメムシの侵入時期とずれているためか、カメムシ害が少ないことも亀の尾の魅力です。同じ亀の文字なんですが。

亀の尾資料館2018年に研修会で見学に訪れた山形県鶴岡市近郊の「亀ノ尾の里資料館」での写真を数点掲載しました。

 

 

 


自然乾燥し、氷温の貯蔵をしています

ハウス稲乾燥野外とハウスのハセ乾燥: 全量ハセ掛け天日干し栽培をしておりますが、2013年産からは特に翌年の夏期シーズンに出荷する米のために、田1枚約7aの量を最初から小さいですがハウスの中で雨に当てずに乾燥させています。金属の稲架台を使っています。野外では困難な水分15.0%を達成し、翌年の夏期にお客様の元に届いてから食べ終えていただくまで品質の劣化がないようにと努めております。

籾の送風乾燥現在作付けの多い亀の尾の7アール分に限定してハウスに掛けております。これは脱穀技すぐに-2度設定の氷温冷蔵庫に搬入し、籾のまま来年の春まで熟成させてから籾摺りし、秋までの供給といたします。野外の通常のハセに掛けた品種についても、メッシュの袋に取り込んでおり、取り込み時の水分量に応じて適宜扇風機送風乾燥を補助的に使い、野外の乾燥だけでは困難な15%台(ほぼ16.0%を基準にしています)の水分量を達成しています。

太平洋側でしたら初冬までずっと外に干していられるのですが、日本海側の気候では11月になれば冬型が続いて雨や雪になり、日照は望めないのがほとんどで、つらいところです。

 

籾の氷温貯蔵翌春出荷用は氷温籾貯蔵で: 脱穀した籾の6割はすぐに籾摺りし、出荷を始めますが、残りは籾の状態で、2014 年秋より作業場内に設置した冷蔵庫にて、冬期の5か月間ほどお米を-1度(-2度設定)の温度に保つ低温貯蔵を行っています(写真右は庫内の籾貯蔵)。この一定の庫温でじっくり氷温熟成したお米は4月初めに玄米にいたしまして、秋まで供給させていただきます(後半6か月分)。氷温熟成米は食味・鮮度上の好結果が得られていると感じています。4月の2回目籾摺り以降はそれを玄米で約12度で冷蔵します。なお、冬期間は雪のため窓から籾摺り機の煙突が出せず籾摺りは困難です。出来秋の時点で春の雪融け時頃までの前半6か月見込み出荷分を新米の時期に籾摺りし、雪解けまで玄米で常温貯蔵して注文に応じ出荷するという形にしています(常温といっても真冬はかなり寒いです)。

新米は高水分米から出荷します: 新米の時期には、全ての品種ではタイミング上できませんが、一部ハセ掛け後およそ1週間で脱穀した水分約17%の高水分米をお届けできるよう努めています。慣行のJA出荷米等では14.5%乾燥出荷が指導されているようですが、それは翌年の夏以降までの出荷を見越した乾燥で、仕方ないとは思いますが、当園では出荷時期に応じて対応できますので、新米出荷後の2か月くらいのうちに食べていただくという限定で高水分米を出荷しています。寒くなっていく時期ですので問題はありませんが、できれば冷暗所に貯蔵していただいて、また、しまいっぱなしではなく日々開封して食べていただけたらと思います。


栽培を支える農具たちについて

ハーベスタ2023老朽化し突如修理不能の呼称をきたしたていたハーベスタを、中古ですが更新しま した。コンバイン&乾燥機の稲作が圧倒的に多くハセ掛け乾燥・脱穀方式は極めてマイナーであることから、バインダーや特にこのハーベスタの良品はなかなか手に入りにくい状況になっています(新品ではまだ製造はありますが、ディーゼルで結束機付きだと100万円を超えるようです)。


籾摺りライン籾摺り選別のラインは出荷するお米の品質に大変重要な要素です。せっかく良い田植えや稲刈りの機械を持っていても、お米の品質は最終的にここで決まるといっても過言ではありません。特に玄米でのご注文が多い当園の場合は、精米された米では米ぬかとともに脱落する籾米が限りなく除去されていることが求められます。2015年秋より、古いライスグレーダー&計量器を新型の選別機内蔵の計量器に更新するに当たって、古くなっていた籾摺り機の方も選別機と同タイプのものにセットで切り替えました。この籾摺り機も天日干しの米に向いているとされるインペラ式になります。それを1.90mmの LLの網で選別します。機能的には籾摺り部分は旧型と同等ですが、籾摺りの原理はより新しい方式になっています。

精米機また、精米も無料で応じております。7分付きとか も目視しながらですが可能です。 循環式タイプにより、米にやさしい熱を与えない方式になり、天日干しならこれだと言われ農業開始年に購入しずっと使っています。数年前にモーター部分を新品に交換しました。写真左側の秤は「カンカン」と呼ばれる分銅を用いるタイプで、現在のデジタル計量機と異なり故障がありません。

精米は年間を通じ、ご注文いただいてから行って発送いたしております。白米の方にはご希望により米ぬかを添付しておりますが、それによりサイズが膨らんで若干のサイズオーバーで増額することもあり、そうした数量では米ぬかは添付しない選択肢でカートの設定をさせていただいています。
ケンと田植え
現在は4条植え田植え機になっています。

お米の食味を上げるのは米ぬかが適しているといわれます。地域内で精米された米の米ぬかを採取して水田やにんにく畑に施用しています。ただし亀の尾やひとめぼれでは現在は施用をせず経過を見ています。実際、この数年で水稲は完全な自然栽培に移行していて、米ぬかは現在ではにんにく栽培に多用しております。

米ぬかのさまざまな利用法が紹介されていることから、昨今はなかなか入手し難くなっていますが、全量が当地域より集積していますので、この奥羽の里西和賀町沢内産で、100%地元産素材となります。

稲わらカッティングまたハセ掛け乾燥では稲わらを田から持ち出すことになり、そうではなく有機物として稲わらを田に戻すことも重要なことで、このためにわらカッターを使い、全部というのは労力的に難しく多くは畜産農家に引き取ってもらっておりますが、毎年田を決めて脱穀後の稲わらの還元を進めております。コンバイン稲作に唯一弱点を感じる点ではあります。秋の多忙な時期で結構機械の移動に力が入りますが、気合を入れてやり切ります。

 

ハサ柱

天日干しを行い続けるためには、ハセの柱を維持することが必須です。何十年も立ち続けた柱は風雨の侵食を受け、積雪と風雪に押され、だめになっていきます。適宜更新していくことが大切です。全国的には刈り取った後の田の中にハセを組む方式が主流ですが、こちらでは農道脇に通年立ち並んでいる柱に、稲刈りの始まる前にあらかじめ横に渡す棒(ホケ)を渡してハセを組んでおくという方式になります。なぜあらかじめハセ柱を埋めておく方式なのか不明ですが、おそらくは秋が短く、また晩秋は雨も多くなり雪も近いという地帯にあっては、稲刈りが終わってからおもむろにハセを田の中に組み立てるという悠長なやり方はとてもやっていられなかったのではないかと思っています。雨が降れば田の中は水も溜まったりしますしね。

柱は1m穴を掘って長さ4mの木を立て埋めるのです(大変な作業です)。バールを使って皮を剥ぎ、スコップで掘れるだけ掘ります。スコップだけでは深さが足りず、最後は手を伸ばして潮干狩り用の三本爪で土を掘り柄杓で土を取り出します。軽くて丈夫な栗の木がハセ柱に適しており、森林組合で入荷した折に買うことができます。なお、ハウスの中や、外のこのハセが足りなくなった時は、金属の三脚にパイプをかける稲架台を補助的に使用します。風情には欠けるかもしれませんが、便利です。

 

 

追加情報

重さ - kg

レビュー

レビューはまだありません。

“奥羽おひさま米-亀の尾〜2023年産氷温貯蔵米販売中です” の口コミを投稿します

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です