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束の間の釣り行脚

下野除草の効果

 

田植えやりんどう苗の植え付けも終わり、にんにくや小麦の収穫までのいまの時期は、ひたすら草取り、草刈りの毎日です。そこに面倒な中山間直接支払いの事務作業も加わり、第5期が始まるということでいろいろあって、農作業的には少し落ち着いた雰囲気はあるものの、いずれせわしない毎日です。

とりあえず田の除草作業は終了としました。チェーン除草を何回かかけて、フィニッシュは除草下駄です。ある程度草が大きくなり、田の土も少しふわっとした泥の柔らかさが取れて、それでいて固すぎずちゃんと草を埋め込んでくれる微妙な土の感触。この辺りでは田植え後1か月、6月20〜25日頃がベストのタイミングでしょうか。踏んだところは写真のごとく綺麗に埋め込んでくれるのですが、株間は残ります。全部の面積を2本の足で歩き覆い尽くさなければなりません。

1反歩で4時間という感じですね。

最終的に下駄で踏み潰すのであればチェーン除草はいらない気もしますが、初期の抑草は無駄ではないし、株間は下駄で踏めないので、この株周りはあらかじめチェーンで抑えておきたいということですね。

 

 

除草下駄ピアノ線

除草下駄の構造はこの通りです。このピアノ線で雑草を泥に埋め込みます。青い取っ手を手に持って緑の紐を持ち上げるようにしながら歩きます。長靴の足は黒い、昔のトイレの下駄のような帯に入れます。通販で購入しましたが、製作しているのは岩手県金ケ崎町の農家の方でした。

下駄除草は雨の日や朝の早い時間帯など、りんどうの葉や土が濡れているような時に行います。りんどうはお盆・彼岸と家計を支えてくれる重要な品目で、乾いているときはりんどうの草取りを中心に行っています。宿根草なので、春に整地して植えるような畑とは違い、経年の雑草たちがうごめいていて、放置しておけばネットも引き上げられず、りんどう自身も見えなくなってしまいます。りんどうはハウス栽培の花々とは違って、土地利用型。面積があるために、低単価の量で稼ぐ品目。もともと田に植えるため、面積も広い。草取りは大変な作業になるのです。

農作業全般に言いえることですが、これまで、農業を始めて10年経っても、なかなか感覚がつかめずに、これくらいの作業にこれくらいの時間がかかって成果はこれくらいだ、という感触のないままにがむしゃらに突き進んできた感じがありました。思いや意志だけ突っ走って、頭で思ったようには進まないで、挫折感っぽいものを常にどこかで感じながら1日が終わっていく。

20年を過ぎたこの頃は、その辺りが少しは見えていて、客観視できてきているんでしょうか。この作業はこの成果、という行動と結果がわかり始めている気もします。20数年経ってやっと、です。。冷静になれている分、野球で言えばボールがスローで見える。去年はこれでダメだったからこうしてみるかというところも、行動→その結果、が見えていないと、自信のない勘に頼ったむやみな試みで成果もわからない、という虚しさが残ります。理想が高すぎても、もちろん低くてもダメですね。いまのこの目の前の状況と自分の現状をピタリと見て取り、手応えのある作業を積み重ねていく。そんな農家でありたいものです。

 

アリーン出穂

アリーナ小麦がうっすら色づいてきました。岩手でも大半の地域はそろそろ小麦の刈り取り時期です。しかし雪消えが遅く気温も低いこの地域は2〜3週間遅くなります。雪が早く消えた今年も5月にすごく寒くて、プラマイゼロのいつも通り。特に極晩生であるアリーナは7月末の刈り取りで、南部小麦が当地で7月15日頃なのでプラス2週間という感じです。岩手の各地より2週間遅れになる西和賀地方です。

 

部分日食

部分日食がありました。以前子どもたちに太陽を見るぺらっとしたレンズを買ったものですが、突然日食だと言われても所在がわかりません。でもスマホで写すと写真のように別位置に欠けた太陽が小さく写し出されるのです。不思議なことです。メインの太陽は欠けているとあまりわかりませんが。

 

七内川

さて、中3になった息子と遊ぶ機会もだんだんなくなって寂しいところです。部活がぎっしりで仕方ないんですけど、中総体というスポーツの節目が終わって、3年生は引退ということになり、これからは高校受験に専念という時期になります。とりあえず息子に時間ができたので、イワナ釣りに行きました。

最初に行ったのはうちの前の川をしばらく遡った上流の堰堤です。前々から気になっていたところで、竿を出し、餌釣りとルアーとをやってみましたが、イワナの姿は見えたものの、釣れませぬ。雪解け直後頃のもっと水量がある時期なら釣れるのではないでしょうか。

 

和賀川1

別に日には和賀川本流からやや林道を奥まで進んで橋のところから入って釣ってみました。奥羽山脈の深い源流域ですが、結構明るく開けた感じ。本当の奥はまだまだあるのですが、それを極めるにはテントを背負って2日くらいの行程で、とネットでも記載があり、そこまでは踏み込みません。林道がちゃんと進めるかどうかもわかりませんしね。

 

和賀川のイワナ

でも、写真の浅い川で息子が1匹釣りました。上に写るのは私の竿で、息子はこの時テンカラで釣ったと言っていました。この1匹で終わり。県道まで戻り、コイン精米所から米ぬかを採取して戻りました。

 

和賀川2

そして昨日、3回目。ここは結構な大きさの堰堤。魚影も濃いのですが、朝10時頃来た時には残念、先客がいて、家に戻り、午後3時に出直して竿を出しました。ここでもやはり息子が1匹。私もこの場所ではかつて釣ったことがありますが、今回は息子にやられました。先客がいた影響もあったでしょうか。どんな山奥でも、釣り人はいるものです。関東から来る人はおそらく和賀川本流の源流域を目指すんだと思いますが、車で簡単に行ける支流部は、どこも盛岡とか北上など近郊からの客に責められています。私の家の近くも釣り人は多く、農道に平気で車を停められて自分の農業車両が入って行けず腹立たしい思いもさせられること多々です。

ここはルアーもやってみましたが、釣れず。こういうところでは川虫も採取できないので、ミミズに頼るしかありません。春先に釣具屋で買ったミミズをバケツに移し、畑の土を入れて飼っています。水をやりすぎても、干からびさせてもダメで、とにかくミミズの存在を忘れないことです。草取りをしていてミミズを見つけたらこのバケツに放ちます。とりあえず2か月あまり元気です。飼っている土に牛乳をかけると良いと昔何かで読みました。

最初に、中山間の事務に追われつつ、と書きましたが、実際、この地区には430の田があり(これでも小さい地域です)、これをその農家ごとにプリントして、管理者の異動はないか、5年10年後の田畑の管理はどういう計画で考えているのか、を1筆ごとに書けと言う。こういう結構辛い事務負担を農家に強いるのですね。当然、ほ場データはエクセルで管理することになりますが、国から降りてきたんでしょう、今回の第5期対策用の書式に、現状の430筆の地番や面積、管理者のデータを移植する作業は、まず同じエクセルの別データからコピペでできはしました。しかし、それを各農家ごと、団地ごと、作付け品目ごとに並び替えるフィルターができる環境がちゃんと準備されていない。想定されていない。各地域の事務担当(ここは私ですが)で適当にやってくれ、という感じで、しらっと大変な負担を求めてくるんですね。この並べ替え作業の解決に半日要しました。そうしないと各農家ごとにほ場一覧を渡せませんから(国は分かっていないんだろうか)。

もともと農家なので、エクセルにそんなに通じているわけじゃありません。中山間事業の事務も、多くは農協や役場をリタイヤした人がやっているのです。もともと補助金関係の事務に通じた人たちですね。役場や農協職員はどの地域にも必ずいるのですから、そういう人向けに、天下りじゃありませんが、事務の仕事を与える事業なのか、と疑ってしまいますね。。まあ私も事務手当はもらっていますし、やるしかないですけどね。

一般の会社勤めでも何かとエクセルくらいはできないとダメでしょうが、いかんせん私は編集職上がりなんで、お役所文書も統計っぽい計算事務もやったことはないんですね。。まあでもエクセルでデータの並べ替え設定は何とか自力でできましたので、農家ごとに分けてプリントし、農地の現状を各農家に記入してもらう段取りは無事できました。

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田植えも終わり暖かい初夏に

田植え後の早苗2020

いつも田植え前後は寒気が入り続け寒い日が多いのですが、今年は5月半ばにかなりの低温が1週間あった後に突然初夏らしい好天に恵まれました。そして6月に入り、南の方で梅雨入りの声が聞こえる頃のいま、こちらが梅雨入りするまでの6月前半の時期だけはいつも晴天が続きます。水はふんだんに来ているし、りんどうのように成長期に水を欲しがる作目は田の取水口から水を入れてやり、灌漑します。土も乾いていたので、昨日今年初めてのりんどう灌漑を行いました。

 

やまなし開花2020

代かきの頃に、やまなしの花が咲きました。去年はまるで実がならなかったのですが、今年はどうでしょうか。実の元のようなのはできてはいますが。

 

タラノキ6月初め

タラノキも芽吹き始めて1か月でずいぶん大きく育ちました。飲食店需要が減って販売に苦戦した今年のたらの芽出荷でしたが、来年はまた何事もなかったかのように例年通りに受注が戻ってくれたら良いのですが。。タラノキは本当に成長がすごいです。5月連休頃にぷくっと米粒くらいの緑の塊が現れて、ぐんぐんと枝葉を付けて成長します。目に見えない遺伝子の設計情報が展開されて造形が進いんでいく姿には圧倒するものがあります。

周囲の畦畔や農道の草刈りもしなければなのですが、りんどうの苗植えもあり、いろいろ優先事項が多くて、草刈りは後手後手に。。

 

 

鯨山山頂からの展望

さて、コロナ禍でお出かけもなくひたすら仕事のみの日々でしたが、5月の最終日の日曜日に、三陸に行って来ました。田植えも終わったし区切りをつける「さなぶり」ですね。「鯨山」の登山というかハイキングです。山田町にある陸中海岸青少年の家に車を泊めて(ここは息子は学校のスポーツ行事関連で宿泊したことがあるようでした)、登り2時間、下り1時間といったコースです。鯨山山頂付近は大槌町になりますか。山頂からその方面が見えています。

結構傾斜が急な鎖場もあって、上り下りともに難儀した箇所もありましたが、天気も良く、楽しい休日となりました。

 

 

鯨山山頂鳥居

山頂には、鯨山神社。立派な鳥居があります。去年の夏に「鯨と海の科学館」に行った記事も書きましたが、この地方では捕鯨の伝統があったのですね。それで漁から帰港する時に見える大槌辺りの山が鯨の形に見えたことから、くじらさんと呼ばれているようです。こうして神社があるということは、豊漁や海の安全を願ったことと察せられますね。

 

 

鯨山神社(山頂)

こちらは鳥居のそばの神社ですね。

帰路は途中から登りの稜線コースと違う沢コースで下山しようと思っていましたが、登りの時にこの沢コースへの分岐点がわからず、ちょうど山頂で行き会ったベテランハイカーの方に分岐地点について尋ねてみたところ、では分岐点や迷いそうな場所にピンクの標識を付けてあげると言ってくれて、到着した私たちとすれ違いに下山されていきました。カップのスープやほっか弁で昼食を終え、帰路につきましたが、そのわかりにくい分岐点も標識を付けていただいてわかり、道中そのピンクじるしを見つけては回収し、終点の青少年の家へ着くちょっと前にその方に合流することができて、標識を返したのでした。ありがたいお心遣いに感謝でした。

NHKラジオ土曜朝の「山カフェ」で、登山道のピンク標識について話題になっていたことがありました。林道の道作りとか植生調査とか、さまざまな目的で山に入る人がそれぞれの目的でしるしを付けているものなので、登山客が登山のための道しるべだと思い込んではいけないということでした。確かに鯨山にも登山とは関係なさそうな意味の標識が多数あって、あまり頼りにはしませんでしたし、私たちのために付けていただいた今回の標識も紛らわしくなってはいけないので回収してお返ししたという次第です。こんな回収の機会も初めての経験でしたね。

 

吉里吉里海岸で釣り

1日の旅に色々盛り込みすぎるのが私の悪い癖なのですが、今回もせっかく海に来たのだからと竿をちょっとだけ出してみました。釣り餌が買えるところを探したり、砂浜を探したりするのに時間を取られ、結局わずかな時間の竿出しでしたが、釣れませんでした。三陸の道はいま震災後に大きく変わっていて、カーナビはあまり役に立たず、また、砂浜自体が少なくて、釣りをしない次女の希望で砂浜を探すのには結構難儀しました。あちこちで工事もしていて、あまり釣りという感じではなく、ここ吉里吉里海岸(海水浴場)は貴重でした。ここも工事中ではあったようですが日曜日だったので稼働はしていませんでした。

砂浜からの投げ釣りは秋田の方が良いかもしれず、三陸では船を除けば堤防釣りがメインになりそうです。が、海遊びしたい者には堤防じゃつまらないんですよね。。

息子が、今度は川釣りに行こうと言い、確かに奥羽の山深く、和賀川源流域に住んでいるので、やはりわれわれは地元を中心に渓流釣りをやって行こうと内心決意した次第でした。釣り関係では何十年も前の知識しかありませんで(釣りキチ三平の時代)、アマゾンで安い入門書を2冊購入しました。現代はイワナやヤマメもルアー釣りが盛んなようで、こうした分野は全くわかりませんで、学びながらやってみたいものです。

 

南部小麦畑

南部小麦が出穂してきました。いつも6月1日が標準出穂期なので、3日程度遅れています。雪解け自体は早かったけど、4月5月は確かに寒かったです。早い雪解けの恩恵はありません。あるとしたら、それは私の農作業が早くから始められた点で、それは何よりのことでしたが。

 

南部小麦の穂

麦や稲の穂を撮ろうとすると、必ずピンボケになるんですよね。ちょうど開花期になるいまの時期、雨があまり降らないことを願います。

 

りんどう定植2020

りんどうの苗も配布され、植え付けを進めています。128個入りのプラグ苗1枚植えるのに約1時間ですかね。これだけに集中すれば1日に10枚は植えられるのですが、いろんな作業や用事があるので、遅れていきます。

 

チェーン除草2020

こちら、田の除草も待ったなしです。長女と田の向こうとこっちでチェーン除草器具を引っ張りあいこで進めました。3枚の田で約1時間。残りはロープを外して私が直に田に入り引きました。しゃがんでのりんどうの植え付け作業をしながら、疲れて来たらチェーンを引く、という感じで仕事の能率上メリハリをつけます。

このチェーン除草だけでは除草は難しく、次は除草下駄の出動です。田植え後少しでも早くチェーンを引くことが理想ですが、あまり早く始めると草への効果は高くても、苗を傷めてしまうので、判断が難しいのです。昨日6月6日の1回でチェーン除草は終わりになりますか。除草下駄は後半戦で大きくなった草を埋め込む作業ですが、これも今度は遅くなりすぎると(たとえば7月になったりとか)、田が固くなってうまく田の泥に埋め込めなくなります。

その前に、米ぬかの散布があります。これは風のある晴天時は撒いた米ぬかが偏って沈殿してしまうので、雨の日の散布が理想です。雨が強ければ強いほど、撒いたその場所で米ぬかが沈んでくれるのです。それでしばらくトロトロ層を形成してくれるのを待って、除草下駄の登場となりますね。

6月は田の除草月間です。7月に入って上旬に中干しをすると、もう除草は実質上できません。作業は次のはにんにくの収穫、小麦の刈り取りに移ります。

間髪を縫ってイワナ釣りができればいいのですが。。