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信州茅野で寒天作業に従事

岩手から長野へ出張しています。7回目となった寒天製造のため茅野市に滞在し、テングサの煮込みと濾過、濾液の箱(モロブタ)への注入と包丁による切断が自分の作業工程です。

野外に出した天は夜に凍らないとダメになってしまうため、気温が高い状態の時は煮込みを休止します。

15日はそういう日で、それで松本に出かけて来ました。大学時代から慣れ親しんだ近郊の美鈴湖まで足を伸ばして来ました。美鈴湖の向こうは常念・蝶ヶ岳です。

 

懐かしい北アルプスの景色は変わることなく、そして見る立ち位置により微妙に異なった姿を表してくれます。平野部からはそれなりに、視座が高まれば山懐も深く重厚に。

 

一方、こちらはその数日前にやはり釜が休止になり出かけた、近くの蓼科高原から見た八ヶ岳。まだ雪はほんどありません。

 

寒天を作るにはそれなりの準備作業が必要です。私の場合、北国で積雪のため早く農業のシーズンが終わることと、釜の作業で煮込み終了とともに帰宅することから、庭の作業準備段階から長野入りし働いていて、釜が終われば帰りますが、外作業(庭と呼びますが)の人たちは、最後に出した天の完成と、そして庭の片付け作業を引き続き行って、私より3週間くらい後まで稼ぎます。

最初は田に藁を敷くことからスタートします。そこにトカシという天の載る台木を運んでいます。

 

杭を打ってその上に木を乗せて縛り、天の載るカイリョウを積んで準備完了です。この長木は稲のハセ掛けに使う杉の棒です。

あとは、乾燥して軽くなった天が風で飛んで行かないよう防風ネットを張り巡らせて完了です。

 

釜の方もいろいろ準備があります。10か月使っていなかった釜は水を入れても漏れるので、少しずつ水を入れバーナーで沸かし沸騰させ蒸気の力で桶の木を膨らませて漏らないように釜を仕込んでいかなくてはなりません。

 

こちらは煮汁を濾す舟の下、濾過された液(ノリ)が溜まる部分です。上に写る柱の上に舟が乗っています。舟も終了時には降ろして洗い、そして開始時のいま上に上げます。総勢で8人くらいで担ぎ上げる作業です。

 

12月15日、松本でふとパルコを見つけました。地元ニュースで閉店が報道されています。私が大学で松本にいた時にオープンし、何を買うわけじゃないけど出かけてみた記憶があります。その40年後に閉店ですね。

確かディズニーランドもこの大学4年間にオープンしました。ニュースで当時見たのは覚えてますが、全く興味がありませんでした。ビデオ等でディズニー作品に親しんだ世代でもないし、ただ、後に子育ての中で自分も結構夢中で調べたりし、実際3度行きましたが。。

 

松本に着いて最初に市の美術館に行きました。駐車場も十分で助かりました。向かいにある芸術館で信州大学オーケストラのマーラー巨人を聴いた時から、この美術館は目に付いていました。

 

2009年に30歳というあまりにも若くして病気で亡くなった、長野県にもゆかりのある画家須藤康花さんの展示を観て来ました。ゆかりがあるというのはそのお父さんが長野県麻績村で自然農業を開始されたことによる移住のようで、おそらく定年後なんでしょう。それまでは大学で教鞭を取られた方のようでした。娘の死後いくつかの刊行物も手がけられ、そして松本に須藤康花美術館を開館されました。次回、今回の松本市美術館での展示が終わった後に、そちらの方も行ってみたいと思います。

 

絵とともに展示された詩の数々は、創作芸術というようなものではなく心の中から溢れ出た生々しい現実と思います。その文章と絵とが合わさって、心を揺さぶられます。通常の美術作品鑑賞とは異なった感動がありました。

メメントモリとかよく言われますが、芸術は死というものを意識した創作であるべき、と言った理解ができるかもしれませんが、この方はそんな生やさしい「世界観」とかではないと感じました。そもそも「概念」などではなく、病魔と戦う苦しい現実そのものの救いや解放の模索が絵を描くという行為だったと思います。ベートーヴェンの感じた苦痛に通ずると思いましたが、ベートーヴェンの絵もありました。本を入手したので、帰った後ゆっくり読みたいと思います。