説明
さっぱり風味の岩手原産にんにくです
深い雪の布団に土もにんにくも守られながら、奥羽の純粋な自然がじっくりと育ててくれています。
にんにくといえばアスパラと並び多肥栽培の代表的作目で、一般に大量の化学肥料が投入されて大玉を目指す農法が主流になりますが、当園ではあくまで有機質肥料のみで育てたにんにくにこだわりたく、そうしたお客さまのご希望に応えたいと思っています。化学肥料を使わないことと、自然な乾燥によって、キツさのないマイルドな味わいのにんにくになるようです。今後とも生き生きした旨味を出せるよう研鑽し努力してまいりたいと思います。
他の作目と比べてにんにくは農法により特に違いが顕著に出ると思っています。化学肥料を投入した大型の流通品と同じようなサイズにはなりませんが、小さめのボディにエッセンスがいっぱい凝縮されたさわやかな味覚を楽しんでいただければと思い生産を続けています。黒にんにくにお使いいただいても良い風味が活かせていると評価をいただいています。自作なさっている方も青果素材としてご利用いただければ幸いです。
毎年7月末までに配送ご希望の場合は、生(半生)にんにくでの出荷となります。なおお盆過ぎ8月20日頃からに通常の乾燥にんにくの出 荷を 始めます が、例年 9月10日〜10月10日頃の期間は秋の繁忙期につき、出荷を停止させていただいており、宜しくお願いいたします。
八幡平にんにく
岩手県八幡平地域で栽培されて来た在来品種
八幡平地域(旧松尾村等)で昭和50年代に出荷されていた品種で、現在はほとんど流通の見られない希少にんにくになります。
八幡平にんにくは少量の作付けで、現状では Mサイズ以上はなかなか収穫できないので、S品の出荷でお願いいたします。
岩手県内のにんにく在来種として、この八幡平系が知られており、おそらくこの1 種のみになると思われます。当園では2009年秋 に、八幡平系を守り育てていた盛岡農業高校より譲られてこの種球を植え付け、以後少しずつ拡大を進めてきました。ただ欠株が多く大きくなりにくい傾向が続 いて、なかなか拡大につながってこず、挑戦を続けています。
にんにくの品種では何といってもメジャーな青森産種苗(福地ホワイト六 片)が種子購入も容易で見た目も良く、栽培しやすいのですが、岩手固有の在来作物に着目し力を入れたいと思っています。なかなか一朝一夕にはいきませんが、 全国に広く流通 する青森のホワイト六片よりも、「岩手産品種」と、そしてここ西和賀地方からもほど近い秋田県産八木にんにくをしっかりお届けできるよう準備をしているところです。
「八幡平系」については岩手日報紙上でも何度か取り上げられており、「無農薬栽培に適した」との評価もなされています。実際のところ出芽率が低く結球も大きくなれず、拡張栽培 には 「八木」以上に苦戦していますが、当園でも種球を選抜していく中でしっかりしたものを増やしていき、名実ともに岩手産のにんにく の生産に力を注ぎたいと思います。 地域の食育・食文化とも密接なつながりを持つ昔ながらの「在来品種」が見直される傾向に あります。品種特性に見合った栽培技術を確立し、 安定供給を目指します。
休眠は八木以上に深いため、貯蔵中の発根や発芽は現れにくいです。
〜盛岡農業高校による「八幡平にんにく」の取り組み〜
昭和50年代に一時出荷が栄えたものの、55年冷害を機に岩手県八幡平地域ではこの地に伝わる在来にんにく栽培が減少し、寒さに強いほうれん草栽培に切り替えたり、にんにくでもホワイト六片を作付けし、幻の存在となった「八幡平系」ですが、この品種をもう一度盛り上げようと取り組んだのが盛岡農業高校です(2000年代の後半)。植え付け後の欠株を減らすための土壌学的研究や、イベント等でのにんにく販売、現在はよく見られるようになった「にんにく醤油」の開発や販売など、その多面的な取り組みは岩手日報紙でも取り上げられたところです。盛農では教育の一環として、この品種を守りながら商品開発に力を注いでいました。右は同校で製造したにんにく醤油です(2009年秋)。
絶品! 八幡平の「にんにくの芽」
八幡平の最大の特徴は、100%立派なトウ立ちがみられることです。そして、実に美味です。スーパー等でトウすなわち「にんにくの芽」にあまりお目にかかれない理由は、流通する最主力品種であるホワイト六片があまりきちんとしたトウ立ちをしないという性質によると思われます。八幡平にんにくは当地では6月下旬に立ってくるので、毎日見回って摘んでやります。そうしないとにんにくが小さくなってしまうからです。そして摘み取ったトウ(にんにくの芽)は食べます。油炒めは絶品です。また冷蔵庫でかなり長期間持ちますので、ゆっくりと時間をかけて食べることができます。
有機質をしっかり使用しています
よく「にんにくを作ると土を壊してしまう」という言い方がされます。多肥料設計と密植栽培が原因だと思います。それを避け、土に負荷のかからない栽培法で、永続的農業のスタイルを目指していきたいと考えたく思います。当園では、連作にならないよう毎年小麦と輪作としています。前作となる小麦の刈り取り直後に耕耘して緑肥ソルガムを播種し、1か月後に米ぬかと石灰(カキガラ石灰)、そして鶏糞を撒いてからソルガムをすき込みます(写真)。ある程度のにんにくの大きさを確保するために鶏糞も多投入にならない程度に使用しております。そして緑肥を腐熟させる期間を空けてから、まず休眠が浅く出芽の早いホワイト六片から植え付けを始め、次いで休眠の深い八木と八幡平を植え付けます。晩秋のまさに積雪が始まる直前の時期に植え付けた畝全体に米糠を散布し、雪の下で春までかけて腐熟させ追肥の役目を担わせます。特に米ぬかはかなり投入しており、乳酸菌補給に役立ってくれていると思っています。
【使用資材・肥料】
緑肥(ソルガム)/鶏糞/米ぬか/石灰(カキ殼・貝化石)
不思議なことに有機質だけで栽培したにんにくは、強烈な「にんにく臭さ」が少ないです。もちろん無臭ではなく、翌日ににおいが残らないとまではいきませんが、さっぱりした風味です。これは自然乾燥にもよるところが大きいと思います。
多めの肥料分を要求するにんにく栽培では経験上「完全な自然栽培」は難しいと感じています。米ぬかや緑肥の利用を効果的に取り入れつつ、チッソ量確保に保管的に鶏糞を補給する形となっています。にんにくの畝に米ぬかを撒いていく作業はにんにくが生育を終えてからになり、11月下旬のまさにシーズンの最後の工程になります。これで1年が終わったなと実感が起きる感じです。
にんにく栽培にとって種の確保は大変重要な要素です。にんにくは土壌の病害虫の影響を受けやすく、連作は病害を増加させるし、購入した種子(りん片)が何らかの病害を既に受けている場合もあります。現在最も安全な方法は、珠芽(しゅが)と呼ばれる空中の茎の部分にできる塊を種にすることと言われています。珠芽を植え付けると、翌年にはにんにくの形で収穫されるのですが、一部は数個に分球せずに1個のまま写真のような形に出来上がり、私はこれをスライムと呼んでおります。スライムは1球であるため植え付け種として体積が大きいことから、その翌年には大きな、そして安全なにんにくに育ってくれることが期待されるのです。スライムは茎葉がひょろっとしていて、雑草の陰になり見落としてしまいそうで、慎重に収穫すべきです。横幅は2cmくらいでしょうか。細い茎を持って、そうっと抜けば、可愛らしいスライムがコロリンと地面から出てくる。楽しいですね。来年はしっかり育って、種用にふさわしい大きさになって欲しいものです。
灯油を使わない自然な乾燥にこだわっています
にんにく栽培でいちばん難しいのが<乾燥作業>です。通常の市場出荷のものは石油を使って乾燥しています。均一で迅速な乾燥が求められ るからです。白さが綺麗で見た目重視の商品作りの目的もあります。当園は米や小麦と同様に自然乾燥をモットーにしています。直接ビニールハウス内に置いたのでは光線が強すぎ て良くありませ ん。写真のようにビニール屋根の上にシルバータフベルを掛けて柔らかな遮光をしています。出荷用は空中に吊るす形にしています。どんなに日差しが強い日でも外気より若干涼しい感じになっています。また小麦も同時乾燥中で、鳩除けに防風ネットで囲っています。
にんにくは乾燥温が35度を超えると茶色の飴色に変色する部分が出てしまいます(「煮え」と呼んでいます)。そうならないよう、穏やかな気温でじっくり乾燥を心がけています。重さで3割減の時に乾燥を終了し、種子用を除き-2度設定(これで-1度)の冷蔵庫で貯蔵しています。
にんにく栽培の四季





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