さわうちの昔話

☆民話の里・さわうちの昔語り☆

 

沢内の民話ここ岩手県西和賀町沢内(旧沢内村)は昔から「沢内通り」の名で知られた古くからの山里。いろんな民話が数多く残されています。どこかで聞いたような、他の地域でも伝えられるような 似た話も多く、何かしら共通性のようなものが地域を越えてあったのでしょうか。そしてその話はどれも感性豊かに脚色され語られていて引き込まれてしまいま す。リアルなイメージが鮮明に浮かんでくる生々しい描写といった雰囲気で、これを子どもたちは身を乗り出すように聞き入っていたことでしょう。そんなお話の語り部さんも消えていく一方でしょうか。

ことに、「沢内三千石…」の隠された歌詞として有名な「およね物語」は沢内を代表する 民話(実話だそうですが)です。昔の暮らしの大変さが偲ばれますが、他方、こういう物語の豊かな土地に暮らすことは誇りのようにも思えます。

ここに収録した9作品は、かつて地域情報誌として私も編集に関わった「雪国通信」という小冊子に掲載するために、沢内村教育委員会から刊行されている「沢内の民話」の中から私が抄録という形で文章をコンパクトに(また適宜方言を翻訳しつつ)編集したものです。この本は、沢内への移住が決まった頃、これから隣人となる家へお邪魔した時に、そこのおじいさんがそっとこの本を差し出してくれ、譲り受けたものです。言葉は僅かでしたが、ここの歴史が書いてある本だから読んでみると良い、と理解し受け取りまして大切に保存してきました。数ある話の中から私が面白いと思ったものを選んで公開したもので、いずれも味わい深い物語です。