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小麦とにんにくの準備と夏休み

クロタラリアのすき込み

りんどうの切り花出荷をしていると、お盆と彼岸の出荷の山があり、その谷間の時期は、小麦とにんにくの圃場作りやホワイト六片の植え付け、草刈り、諸々の草取りの作業で、谷間の時期とはいえかなり慌ただしい日々になり、夜は夜で乾燥を終え冷蔵保存中(氷温冷蔵)のにんにくの出荷のための皮剥き作業で過ごしています。

彼岸のりんどうが咲いて来る前に秋植えの畑の準備を終わらせるために、逆算して結構煽られる時期になります。とはいえ、何かレジャーやお出かけができるのはこの時期ならではなのですが。。

小麦畑では、収穫後の休耕期間に播種したマメ科のクロタラリアが旺盛に茂っていて、これをトラクター(ロータリー)ですき込む作業を行いました。何回か書いておりますが、小麦は連作障害があり、またそれに起因して豪雪地では雪腐れ病を起こしやすくなるために、イネ科でなくマメ科の緑肥を作付けし連作回避をするとともに、小麦栽培に必要なチッソの補給を行うという工程を組み入れています。自然栽培であればこれのみで良いのですが、冬が長く気温の低い当地では、加えて鶏糞等も施すことで、収穫量を見込むことになります。

小麦の刈り取りから次の播種まで2か月という短い期間に生育させてすき込みし、しかもその後播種まで腐熟の期間が2〜3週間必要です。速攻で旺盛に育つ品種のマメ科の緑肥というと限られていて、小麦ではクロタラリアという緑肥を組み合わせることになります。

 

ネマコロリ

去年は同じクロタラリアという種でもネマックスという丸葉で柔らかいタイプの緑肥種子を栽培しました。ただ値段も結構高かったため、今年はいくらか安いネマコロリという品種のクロタラリアを購入し作付けしました。7月23日に播種し、8月26日にすき込みをしました。断然こちらが早いです。すき込み時点で背丈は120cm。1か月ですごい生育です。ネマコロリは細葉タイプで、生育は旺盛だがすき込み作業に困難な場合もあり、その際は早めの段階ですき込むようにという記述も見かけましたので、トラクターで手に負えなくなってしまうくらい伸びる前に、また天気もちょうど翌週から雨模様になるとの予報もあり、少し早いんでしょうがすき込みをしました。

しかし想定していた以上に柔らかくすき込むことができました。おそらく、今年の猛暑を受けて、暑さを好むクロタラリアは例年以上に短期間でぐんぐん生育し、かえって柔らかい状態で体が大きくなったのではと思います。西和賀のワラビが豊富な雪解け水といきなりの春の日照で急激に太く柔らかく育つ、というのと同じ感じの理屈? 今年の天候はクロタラリア緑肥にとっては好条件だったようです。背丈が伸び植物体の量が増えることでチッソ量も増すし、旺盛な生育で雑草を抑えることにも貢献してくれています。これから3週間以上かけて腐熟させたのちに、2度目の耕耘をして、そして小麦播種をします。

 

南部小麦とアリーナ乾燥中

乾燥中の、右が南部小麦、左がアリーナ小麦です。8月15日に脱穀しました。まだ脱穀直後そのままの状態なのですが、近々、籾摺り機でゴミの茎葉や殻などのゴミ飛ばしと玄麦に付着した薄皮の除去の作業を行い、玄麦として完成します。注文もいただいておりますので、早めに行い出荷をしたいです。米の籾摺りの時に小麦が混じるため、本当は小麦用の籾摺り機もあったら便利なんですが、なかなかそこまでは余裕がありません。。

 

ツキザワの家クラフト展1

さて、お盆には、去年もでしたが、古民家ツキザワの家でクラフト展が完済され、行ってきました。右奥はウッド工房ブナの森の竹澤さんのブースです。このサイトでも書いておりますが、栗の木の片袖机を作っていただいた方です。不慮の火事で工房の建物を失い、自宅の中に工房を再構築しての制作活動をされています。飾られている写真はこの古民家のオーナー、写真家瀬川強さんの写真です。

 

ツキザワの家クラフト展2

こちらは山のうえアイアン田中正博さんの鉄アートの品々です。また今回、木の家具製作の「nokka」工藤さんと、西洋木皿作家「waranoue」藤原さんとお会いすることもできて、良い時間を過ごさせていただきました。

 

菊池・nokka・waranoue

初対面であったnokkaさん、waranoueさんと話し込んで時間が過ぎ閉館時間となってしまい、詳しく写真を撮ることができませんでした。左は、木工竹澤さんと同じく古くから陶芸をなさっている菊池窯・菊池啓二さんの作品、右が新しい作家2名、上がwaranoue、下がnokkaの作品です。どうぞご本人のサイトで大きい写真もご覧いただけたら幸いに思います。

これも前にも書いていることなのですが、私自身はアート創作とは無縁な無芸の人間ですが、農業の土台に、芸術や創作活動の気持ちを持っていたいと常々持っていて、農業の営みは創作の精神とは無縁であってはいけないと感じている者です。そういう意識を持っていると、自ずと文芸やアート活動に取り組む人たちに対し親近感を覚え、関係性ができてくる気がしています。彼らとの交流は大切にしたいと思っています。

 

カズグリ自生地

さて、冬の手首骨折の関係で時々北上市への通院があるのですが、その際は遠回りの遠足を楽しむこととしていまして、今回はお盆繁忙期の後の休息ということで診療後に足を伸ばして探索してきました。

花巻市東和町の「カズグリ自生地」の探訪です。っカズグリというのは野生種の栗の突然変異種で、唯一ここにある木だけです。囲いの柵の中には唯一の変異株の木から接ぎ木で増やした数本が実を付け始めています。家のそばの栗の木が既にイガを形成していたのを見て、かねてからチェックしていた自生地に訪れることにした次第です。

 

カズグリ

数個のイガが数珠つなぎに連なっている不思議な栗の実です。

 

早池峰ダム

そのあとに、早池峰ダムに出かけました。早池峰山が奥に写っております。

折壁峠から早池峰山

帰路に着き、折壁峠を至りました。ここからは広大な山裾の背後に早池峰山が構えていて、とても良い景観をなしております。ここから紫波町方面へ抜け、花巻経由でなめとこラインを通って西和賀に戻りました。

 

月山山頂

7月の下旬にちょ山形県の山、月山に登る予定だったのが、りんどうの出荷が激しく、断念。そのリベンジでお盆後に月山8合目の駐車場がやや空くだろう8月22日(火)に月山行きを決行しました。正面が月山の頂上である月山神社ですね。上りが3時間ちょっと、下りが2時間ちょい、という感じのスケジュールでした。ほとんどが岩で組まれた登山道のため、つまづいて転びそうになるようなゴロゴロの岩の道でして、ここで転んだら骨折だな、という意識で一歩一歩進む感じでしたね。昔会社の近くにあった登山靴の店(巣鴨の辺り)で足の形を取って作ってもらった軽登山靴が活躍してくれました。

 

goro登山靴

30年前に購入したgoroの軽登山靴です。いまはこのような茶色の川の登山靴はあまり見かけませんかね。30年前のスタイルでした。。またいまは多くの方がストックを両手に持って登っていましたが、これは岩の道での転倒防止や、また斜面を登る時のヨイショの力入れにも使えます。自分は急な登りの場所は太ももを手で押すようにして登ってましたが、ストックを使った方がずっとスマートですね。

 

八紘一宇

八紘一宇、、全ての事象には差別などなく、一つの家に平和に暮らすように生きることが理想とする、というように解釈されるんでしょうか。そのような、信仰の雰囲気に満ちた山なんですね。随所に見られたお花畑も、どこか現実を超えた世界のごとくに咲いておりました。

 

月山登山入り口鳥居

下って、ほとんど駐車場近く。鳥居の中に写るのが月山です。登る時に撮影すべきですが、上りは別ルートでした。

 

月山8合目ライブカメラ

月山登山が気になり始めてから、月山8合目の駐車場のライブカメラというサイトを時々見ておりました。全部で170台停められるそうですが(右奥にまだスペースがあります)、苦労してカーブの多い狭い山道を上り詰めここまで来て車が停められない、となると結構悲惨ですよね。土日やお盆は到底無理でしょう。朝岩手を発って向かうというのでは。。ほぼ下山したタイミングでのライブカメラの画像を記念に保存しておきました。ちなみにこの日は火曜日で、混雑予想はなかったので、まず安心はしていましたが、時間はけっこうかかり、朝4:45に家を出ても結局8:30過ぎての到着でした。途中すき家で朝ごはんも食べましたし。

いずれ山形に入り真室川から最上川を下って鶴岡へ向かう道を走り、途中から左側(南側)へ曲がって山道をかなり走ります。今回、帰りは山形市へ出てから岩手に戻ったので、コースとしては月山スキー場の方からのルートの方が近かったかもしれません。が、情報ではそちらの駐車場代で1,000円かかることと、多分使いたくなるリフトに乗るならば往復で確か1,500円だったか、です。一人での登山でしたし、節約したわけですが、大回りの走行時間でガソリン代と、少し使った高速代を入れれば大差はないかもしれませんが。。いずれ、鶴岡の月山8合目からのルートの方が正統の道のようで、まあこちらにして良かったのかもです。

山形市では博物館等のある大きな公園のすぐそばの「かすみが温泉」に入ってきました。ここは市営で入浴料も200円、シャンプーや石鹸付きという穴場的な温泉でした。駐車場も問題なく停められました。夕食にラーメンを食べ、おみやげに山形の地酒セット等を買い、深夜の12時頃に家に着きました。かなり暑い日で下山して車でお風呂に向かうまでの間に500mlの飲み物を3本飲みました。月山の山頂部では涼しい風も吹いていて汗が冷たく感じられたくらいでしたが、下界の山形県内はかなり相当暑く、登山によりかなり水分も消費したのだと思います。

それに比べ、当地西和賀沢内では、数日前に初めて32.0℃の今期最高記録が出たとラジオで言っていた通り、35℃とかにはならない地域です。それはありがたいことですが、外で作業をしていると30℃でも暑いものです。でも田にとっては高温が大事ですので、寒さの夏をオロオロ歩くよりは、猛暑の方がずっとありがたいですね。

あとは、もう、彼岸りんどうの出荷までに草取りと草刈りに専念するのみです。隙間を見てにんにく植え(ホワイト六片から)も始めておきたいものです。とはいえ秋の品種も咲き進んできて、もうじき最初の1箱ができるまでとなり、お尻に火が着いた状態で他の済ませるべき農作業を進めています。

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稲のハセ掛け中です

2021秋の作物風景

切り花りんどうを営む複合農家として、9月は本当に忙しいです。8月のお盆時期にかなりの低温があったことで、秋のお彼岸向けりんどうは開花が前進し、また稲では晩生系に低温影響がみられたようで、晩生系の多い当園は稲刈りは全般に遅れました。

その間にんにくの植え付けと小麦の播種が加わるため、猛烈に忙しい日々になります。作業場での選別作業はもっぱら電灯に頼る夜間の仕事となり、日暮れの早い日中の時間は順序を考えつつ有効に使わなくては間に合いませんね。

 

2021ハセ全景

ハセはハウスの中にも干していて、外はこれで全量になります。左から、いわてっこ、ひとめぼれ、ササニシキ、チヨニシキの順に刈り、掛けています。

 

亀の尾稲刈り日

こちらは最後の亀の尾です。ちょうど出穂期に低温に当たって出穂が遅れ、今年はあまり穫れないと思います。次回は多めに種子用を確保してしっかり塩水選もして、この寒冷地域で無事充実して実った当地向けの種籾を得たいと思います。種は何でもそのように採った方が購入種より良いですね。

 

ハウス乾燥中

こちらはハウス乾燥の稲です。いわてっこ、ひとめぼれ、ササニシキと運搬車1台分はこちらに掛けて、そしてハーベスタもすぐこの中に置いているので(写真は稲を掛けるためにハーベスタは外に出して運搬車が乗り込んでいますが)、数日の乾燥で17%前後に下がった状態で脱穀し、新米時期限定のやや高水分の米として出荷し、みずみずしいところを味わっていただいています。

通常の農協出荷のお米は最初から来年秋までの貯蔵を前提にした14.5%の乾燥が求められるので、一貫して低水分のお米になりますから、せっかく個別に自由に出荷する形態ですので当園ではこの時期だけは高水分米を提供しております。ササニシキまでここで乾燥し脱穀まで済ませた後、現在は刈り取りが一番遅れた亀の尾を全量このハウス内に掛けて乾燥を挽回しています。上記の外掛けはここのところ雨も多く、まだまだ乾かないでしょう。とはいえ11月になると冬型気象も増えてもう手遅れで、乾燥できるという状態でない気候になりますので、来週の晴れ間に勝負をかけることになるでしょう。長く掛ければ良いというものでないことを経験で学んでいます。

 

小麦播種

小麦の播種も終えました。やはり積雪地で年内の生育期間が短く春の再開も遅れるので、うかうかしていられません。収穫と植え付けのどっちを取るか問われれば、生鮮品の切り花や生野菜は別ですが、植え付けを優先します。

トラクター尾輪で蒔き溝を付けて手蒔きし、長靴で覆土して歩く、のくり返しですが、来年こそはゴンベエ播種機を買いたい。。

 

麦わらカッター

少し前のお盆過ぎ、乾燥が終わって脱穀した麦わらを、この夏に入手したワラカッターで裁断し畑に戻す作業を行いました。この後にここは鶏糞と石灰資材を入れて耕耘し、畝立てしにんにく圃場になって、現在は植え付けも終了し、そして本日はその畑の草取りも完了しました。ホワイト六片は出芽も終え生育中です。八木と八幡平は植え付けも遅くなり、植え付け前にまずはマルチ穴の草取りを行ってからという作業工程に。。出芽は来春です。

 

アリーナ出芽

出芽した最近のアリーナの様子です。アリーナは古い品種ということもあってか背丈が長く、その分収量も上がるようで、有機栽培向けの品種と言えます。作付けは南部小麦の方が面積は大きいですが、収穫量はそれほど上がっていません。南部も割と古くからの小麦ですが、アリーナほど古くはないですし、背丈もやや低い。多肥栽培向けの現代品種なのでしょう。でもパンにしたときの風味が好まれて、人気の高い小麦です。

あとはドイツから取り寄せたライ麦品種をちょっとだけ無肥料で蒔き、出芽もしております。今年はあまりにも背丈が伸びて、稲刈りもハセ掛けも脱穀も泣きそうになりました。

 

 

ポポー・ガマズミ・アロニア

実のなる庭木は田舎暮らしの楽しみで、今年はベリー系を中心に結構植えました。日本の野生いちごは珍しい品目にはなるでしょうが、それ以外の珍しい小果樹では、写真左よりポポー、ガマズミ、アロニアといったあたりです。ポポーは4年目くらい? ガマズミは8年? アロニアは今年の新植です。ポポーはまだ実はならずガマズミは今年よく実を付けてくれ、焼酎に漬けて赤いさっぱりした風味を楽しんでいます。

 

ヤマブシタケ

貴重な秋の味覚も頂戴しました。山に大変お詳しい人からの戴き物で、これはヤマブシタケです。野生の椎茸等とバター炒めでいただきました。

 

香茸

こちらは香茸(バクロウ)です。現在乾燥用ネット籠で乾燥しています。

 

香茸の乾燥

乾燥がやや進んだ段階です。白い細々したものがこぼれ出るそうで、それも一緒に食べるということで、新聞を敷いて香茸を乗せています。近所の方からもち米もいただいたので、近々油揚げと一緒に香茸の炊き込みご飯を作ります。

りんどう夜なべ残業もあと少しです。最後の品種、風雅もあと2回くらいの出荷で終わりです。選別は夜間にやりますが、いまは出荷が週3度で中2日空いたりしますので、明るいうちに選別を済ませ、箱の入り本数に足りない数を追加で採花に行き、次回出荷まで在庫の花を持ち越さないようにしています。夜なべ作業だと、あと10本でもう1箱できるのに暗くて採りに行けないということが起きますので。

昼の時間はこれからは秋植えした小麦の除草やりんどうの秋仕舞い(膨大な作業です)に使いたいところですね。

りんどうの出荷が終われば、夜はにんにく在庫の全皮剥き作業があり、青果品用だけでなく黒にんにく用も準備いたします。

とはいえ、繁忙期よりは早く上がって夜の余暇も少しは持てており、いまはコミックの「孤高の人」を読んでいます。壮絶な物語です。土曜日の朝NHK第1で「山カフェ」という番組を聴いていますが、とても良い放送です。ここで紹介された本書の情報も有益でしたし、登山家長谷川恒男氏の話題も40年ぶりに思い出し、その昔北アルプスの麓松本市で同じ下宿の友人と山について話していてハセツネ氏の話を聞いたなあと懐かしく思い出し、ネットで画像検索したら、やっぱり記憶していた通りのお顔でした。

今夜も「孤高の人」で楽しみます。