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にんにくの収穫が終わりました

にんにく乾燥中

7月になり一転して高温晴天が続き、むしろ雨が欲しい日々になっていますが、ちょうどにんにくを収穫した時も珍しく好天で、今年は助けられました。とはいえ、稲も生育が遅れ分げつも不足気味だったし、にんにくも小麦も1週間遅れでした。稲については現在は遅れを取り戻しています。にんにくはホワイト六片から収穫になりますが、7月8日からのスタートでちょうど例年より1週間遅れとなりました。

昨年(2023年度)、冬に長野へ寒天作りに出かけている間に杉の枝とかで詰まった水路から畑へと水が溢れ入水し、にんにくとその畑に植えた小麦の大半が枯死するという事故がありました。その結果貴重なタネとして維持していくべきにんにくの収量が大幅に減り、結果2024年秋に植え付けたりん片の数も少なくて小さかったことがありまして、今年は八木や八幡平などはほぼ出荷ができる量は確保できませんでした。

希少な在来品種と異なりホワイト六片については、不足した種を購入することができますので、購入種子を植え付けたことで、十分な収穫量を得ております。その出来は良いようです。八木や八幡平なども出荷はほとんどできないものの、今夏のにんにくの出来は割と良くて種にするにんにくは良いものを確保しておりますので、来年に向け期待をしているところです。来年産でやっと水害からの脱却ができます。

また、昨年秋に「最上赤」を入手し、少量ですが出荷が可能です。また数年前から植え付けを続けていた「富良野」(美瑛地区産)が出来がとても良く、種に良いものを回すこともできましたし、それより小さめのもので恐縮ですが、出荷用も少量準備しております。富良野については、トウ立ちが100%八幡平と同様の形で見られたことと、にんにくの形も八幡平っぽい丸みを帯びた形で、ほとんど区別はつかない感じです。

上の写真左の最上赤は、まだ初めての収穫で特徴も掴みきれておりませんが、山形県産の割と名の知れた品種になります。

ちなみに、にんにくの乾燥法はとても気を遣う大事な工程になりますが、今年は段ボール乾燥を行ってみました。切り花りんどうを出荷するときに業者さんから500枚とかの配送をしてもらうのですが、そのときにお願いし、箱ではなく厚手の段ボール紙をいただいて、ハウス内に2枚敷き、その上になるべく重なり合わないようににんにくを並べます。段ボールの材質がにんにく乾燥に何か効果的な働きをしているかもしれないという説があり試してみました。1品種だけならそのままゴロゴロと並べば良いですが、品種や産地で10種以上に区別して栽培しているので、混ざり合わないよう、ネット袋に入れてから並べました。上部の空間には小麦が掛かっていますので、直接の日光は避けられます。とはいえ、今年は以上な高温晴天続きで、乾燥には良かったですが、高温の障害が出ないように扇風機をかけながらでした。穀物の乾燥もですが、温度と風の両方が伴うことが大事です。

 

ホワイト六片主要品種

当園でまず主力になるホワイト六片ですが、今年に限っては先に述べた事情により農協購買で佐藤政行種苗さんから仕入れたホワイト六片(ニューホワイト六片と記載された「白玉王」系統)を主に出荷をいたします。新しい現代の品種になりますが、実は当園では数年前より、前回のブログでも記載いたしました青森県の山下一夫氏よりイモグサレセンチュウに侵されない生長点培養のにんにくを購入し、種として植え付けております。それら優良種子は畑も旧来の場所とは変えて土壌病害に侵されないにんにくの生産に切り替えているいまは途上の過程です。にんにくの種子は結構お金もかかりますので、いろんな品種を少しずつ購入して種にのみ使い増やしていくという時間のかかる計画になります。特に培養されたにんにくというのは手間もかかりますし、市販の種用にんにくよりもかなり高額になりますから。

昨年の不慮の水害がなければ今年から全面的に山下氏による優良種苗のみで販売分も賄える出荷状況になれたのですが、事故があったために量が減ってしまい、また追加で山下氏から購入しましたし、当面必要で多めの購入が可能なホワイト六片については上記の市販のものを購入しました。山下氏以外からの購入種苗は病害に侵されているかも、というように伝わっては語弊がありますが、ただそれらは土壌病害の可能性はゼロではありませんし、新しいクリーンな圃場にセンチュウを持ち込むことになっては大変なことですので、山下氏以外からの購入は旧圃場に植えており、今年の秋に種としては植え付けをしません。当園としては今後今年の秋から100%生長点培養による安全なにんにくのみを植え付けて、そのにんにくを種としてだけでなく全量出荷用に仕向けます。センチュウ病害が持ち込まれることはありません。青森等のにんにくの産地では、残念ながらイモグサレセンチュウを根治することができません。それで毎年土壌消毒を行って作付けをしているようですが、畑からセンチュウをゼロにすることはできません。それににんにく専業ですから、これまでにんにくを作付けしたことのない新たな畑をヘクタール単位で準備するということもできません。センチュウ害をゼロにするには、生長点培養によるにんにくりん片を入手し、それをこれまでにんにくを作付けしていなかった圃場に植え付けをするという以外にありません。当園ではまだそれが可能ですので、そのような道を歩んでいきたいと思います。これは本当に大切なことなので、ご家庭でにんにくの種子の購入される場合には十分なご検討をなさることが必要です。

その中で、上の写真ですが「福地ホワイト六片」のまさに原産地である「苫米地」地区のにんにくと、私がいま岩手県で生産しているということから、苫米地を含めた旧福地村(現・三戸郡南部町)より伝播し岩手の紫波町で引き継がれていた「紫波」系が、当園のこれからの主力になる系統になります。それ以外にも福地村や田子町などで植えられていた「元祖系統」(これは系統としては地区の混ざりがあります)や、青森から岩手に入ってすぐの「大野」系統もあります。当面これらをいただいた時の状態で他と混ぜずに区別して植え付けていこうとは思います。

ただ今年のいま出荷できるホワイト六片は「白玉王系」(購入種苗)・「紫波系」・「元祖福地&田子系」の3系統になります。また「八木」は全量種に回すため出荷はできませず、八幡平はあと1kg残すのみになりました。また「最上赤」「富良野」が加わりましたので、今年は当面八幡平にんにくのページにカートを設置いたしました。冬の農閑期にいろいろ調査して富良野や最上赤のページも独立して作ります。

ちなみに八幡平にんにくもいろいろあり、私が盛岡農業高校から2009年秋に入手した「盛農系」と山下氏より入手した「西根系」「葛巻系」があり、さらに今年の秋には同氏より「軽米系」が加わる予定です。ただ、最初に私の入手した八幡平盛農系はたぶん西根(松尾)系になると思います。盛岡農業高校の先生が授業の一環として、また貴重な岩手在来のにんにくの種を絶えさせてはいけないという思いで八幡平地域から取り寄せて高校で栽培を続けた由来のものです。そのことが取材され岩手日報紙に掲載されたその記事を読み、高校へ出向いて先生とお話をし、200りん片分くらいだったかを分けてもらって植え付けをしました。現在はそれを山下氏に委託し生長点培養していただいたにんにくを種に新規圃場にて生産しております。

さらに、この秋には山下氏より、とても味が良いと思われた上海系統からの選抜と、旧南郷村(現在は八戸市に合併)のピンク系を少量導入することになっておりまして、これも楽しみの一つです。南郷は福地地域とも近いのですが、このピンクは寒地系のホワイト六片系統と異なり暖地系だそうです。もともとにんにくは中央アジアが原産地で、シベリアとかシルクロードとか、あるいは南西諸島とかを経由して日本に入って来たそうですが、暖地系寒地系がごちゃ混ぜになりながら各地に根付いて在来種になったということのようです。その後に、にんにくの名称にはその原産(日本の)の土地名と皮の色が入り、最初は「福地」のホワイト系(寒地系)ですという名称でしたが、県内で複数の系統がバラバラに作付けされて「福地」の名が消えたのかもしれませんね。むしろいまは福地からやや離れた田子町が青森の最も有名な産地になっています。田子は私が昨秋に購入した白玉王と言われる品種が多いようです。

いずれ当園では「ホワイト六片」として苫米地や紫波(岩手県)のものを、「八幡平」としては西根や葛巻、軽米を生産いたします。八木、最上赤はその通りで、「富良野」はむしろ「美瑛」だと山下氏は仰っています。南の品種である「南郷ピンク」「上海選抜」は味が良いということもあり、楽しみですね。この福地地方よりも冷涼である奥羽の里で暖地系にんにくがどう育つかどうかですが、暖地系は北国では無理とか、できても小さいとかいうような意味ではなく、その年々の気象によって暖地系寒地系各品種にりん片の分化の仕方に特性があるようで、りん片の数の多い少ないに品種の違いを見るべきかと山下さんは考えているようでした。

 

ソルガム

秋ににんにくを植える予定地です。小麦刈り取り後、すぐに緑肥ソルガムを蒔いて生育中です(山下氏はスダックスとクロタラリアの混播で、私も来年はそれも試してみたく思います。緑肥による土づくりと、花巻酵素さんの大豆粕を植え穴への局所施用、そして晩秋の米ぬか散布が施肥設計になります。加えて畝間にはライ麦の緑肥を蒔き(雪に強い緑肥用ライ麦のようです)、生育過程で刈り倒してにんにくの上に敷き草とするという手法を取り入れてみます。

 

下駄除草作業中

田んぼの方は出穂期を迎え、水と温度が必要な時期です。今日は雨が降っていますが、総じて旱魃傾向で、水路へは川から豊富に流れて来ますので、昼夜問わず、灌水は続けました。7月前半の時期に中干しを行いますが、中干し中の高温乾燥で、ヒビはもちろん入るのですが逆にいま現在の水を流し入れる時期に水が溜まってくれず、何度も大量に流し込むことになっています。何か所かの田では部分的に水が抜けない場所があって、そこを乾かそうとすることで他の全体が乾きすぎになってしまうということもあります。篤農家は「溝切り」を行うのですが、その機械は持っておりませんし、なかなかそこまでやって来なかったのが実情です。

中干しに入る直前に、除草下駄による除草を行いました。田がまだ柔らかい状態で下駄で通路を踏んで歩くことでピアノ線が雑草を埋め込んでくれるという仕組みです。大きな草にも効果があることでやる価値は大いにあるのですが、株間の方は踏み歩けないため、ここに根元がある草はいくらか先の通路に張り出した部分を踏み込めても、その後復活してしまうことはあります。完全なものではありません。

 

除草下駄

除草下駄です。岩手県内の金ヶ崎町の方が制作販売しているものを通販で買いました(10年くらい前になります)。写真に写る田の部分はたまたま水が来ていない箇所で、こういう所では草は埋め込めません。水があり田が柔らかいうちです。

 

中干し期の亀の尾

そして中干し中の亀の尾です。ここは生育が良い田ですが、ずっとにんにくと小麦を作っていた圃場のため、田に転換してチッソがいろいろ出て来ているのでしょう。そういう田はいもちの危険があり、ササシグレなどいもち耐性の弱い品種は植え付けられません。極晩生の亀の尾ですが、今年も去年に続いて気温が高いため、無事育ってくれると思います。お盆までに穂が出てくれればと願います。

いま現在はお盆需要期のりんどうの出荷に追われています。りんどうもにんにく等と同様に遅れていて、さらに7月の高温乾燥で開花が抑制されてもいて、本当なら今日明日で最大の出荷量を求められるのですが(8月8日金曜日のセリが最大の山場ですので)、出荷量のピークは+3日くらい遅れてしまうのではと思います。あと1週間りんどうに専念し、その後はにんにくの出荷作業に着手します。今年のにんにくも宜しくお願いします。

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長雨の夏です

にんにくの収穫

7月からずっと雨ばかり続いています。7月初旬のにんにく掘り、中旬の小麦刈り取りも雨の中に行ったようなものでしたが、それに輪をかけて8月の上旬からまたお盆にかけてしつこい長雨と時には豪雨で、まいったまいったの夏になっております。当地は物理的な災害は免れましたことは幸いに思っておりますが、同じ東北の知人関係では圃場の被害にも遭われており、大変でした。お見舞いいたします。

7月に掘った今年のにんにくに関しては、割合と大きめなものにできていて、この点は安堵しています。ちょうどハウスに掛け干してから1か月経ち、お盆用りんどう出荷戦が終わったことから、いま集中的に皮むき作業を進め、出荷を開始しているところです。今年のにんにくもどうぞ宜しくお願いいたします。

ホワイト六片・八木ともに例年よりはM品(当園では最上位規格)が多いですが、量的にはSサイズが主流にはなっています。八幡平だけはどうしてもMサイズに至らずS品あるいはSS規格品になり、この点は少し限界も感じています。八幡平は100%トウ立ちする品種で、これは折り取ってにんにくの芽として食べているわけですが、取り遅れるとにんにくが小型化しますため、まめに見歩いて折り取っていたつもりではあるのですが、どうしたものか、大きく出来るコツを得たいものです。

 

小麦の収穫

小麦については、既に報告させていただいていますが、アリーナ小麦とライ麦が雪により融雪時に消失していて、改めて大雪の冬だったということと、雪で株が消失する=「雪腐れ病」なんだという事態を認識しました。長期間の積雪に耐え切れず枯死してしまったというような物理的現象ではなくて、多雪による原因菌の増殖作用した病気であるということのようです。北海道の産地ではこの対策として晩秋に薬剤散布までしているそうでした。薬とかの問題じゃないんじゃないのと思っていましたが、とにかくれっきとした病気だということです。当園で行うべき耕種的防除について専門家にも尋ね、知見も得られたので、来年こそはと思っています。

・肥料が少ないと菌に負けやすい。
・麦を連作していると菌に負けやすい。
・播種の覆土が深くなっていると菌に負けやすい。

こういうことが調べた結果として得られました。肥料については化学肥料を使いませんので鶏糞や豚糞を使用しており、これは現状通りとします(本当は牛糞が良いのですが)。田と違って麦は無肥料の自然栽培は難しいです(ライ麦はOKです)。ヒントは緑肥にあり、マメ科緑肥で窒素分をしっかり補給するとともに、同じくマメ科等緑肥を使うことで麦→豆→麦の作型となって、連作障害を回避する効果も得られます。この緑肥の使用は既に行っており、収穫後すぐに耕耘して種を蒔きました。ここ沢内は融雪の遅れから平地より刈り取りが3週間遅れ(今年は増してや遅かったです)、また次の積雪が早いため小麦の播種も遅らせることができません。他より短い小麦の休耕期間に緑肥を蒔き、十分成長させてからすき込んで、土になじませ、そして小麦の播種ができます。今年のような雨続きの天気だと、小麦の刈り取りができないイライラよりも、早く緑肥を蒔きたいストレスでした。十分に緑肥が生育しないうちに時間切れとなり耕耘して小麦を蒔くというのは効果も薄いですから。緑肥の種代も結構高額になるんです。

 

クロタラリア (ネマックス)

小麦に先んじて行ったにんにくの収穫の跡地、秋にアリーナの作付け予定地となる畑にマメ科のクロタラリア という緑肥の播種(商品名はネマックス)を7月18日に行いました。ほぼ30日後の8月16日のクロタラリアの様子です。緑肥を蒔いたのは別の南部小麦の畑も同様で、雪腐れに強い南部小麦でもやはり連作が続くことはマイナスですのでマメ科を挟み、雪腐れ菌により強く、かつ地力窒素増強で収量も上げたく、やれることは行ってみています。

みなさん大抵の方は「ごんべえ」などの播種機で種まきをされると思います。大規模の農家はトラクターの後ろに何条もの播種装置を設置して5条とか7条蒔きをしていきますが、当園の規模では手押しのタイプになります。この度やっと導入するに至り、この秋の播種から使用します。いままでトラクターの尾輪で蒔き溝を付けて蒔いておりましたが、播種機使用で覆土も一定になり、各条間もマークを付けて正確に隣接畝の位置を決められるので、その間を除草中耕することで草対策もできます。

なお、小麦に関しましては、今回の8月上旬の集中豪雨で(豪雨というのは一時的にですが)、春蒔きの農林61号は収穫が不能となり、アリーナやライ麦に続き残念な結果となりました。61号は茎が極端に細くて、昨年も登熟期になると折れてしまってそういう穂が集中的に鳥害に遭ったりという感じでした。初年度は秋蒔きで春に完全雪腐れ、そしてすぐその春に春蒔きした2作目の去年は上記の状態に、そして3作目の今年は思い切って相当量の豚糞を投入し前半は生育も良く、やっぱり雪の影響を受けない春蒔きは良いなと思ったりしましたが、7月末からお盆までりんどう出荷に集中していたこの2週間の間です。長雨による茎折れとやっぱりの鳥食害、それに雨で一層進んだ雑草繁茂で状態が一変し、バインダーを畑に入れてみましたが、収穫を諦めました。ここはかなり頑張って草取りしたのですが、やはり小麦と雑草が春に同時出芽スタートになるというのは農薬を使わない栽培には致命的なんですね。麦はほんと難しいです。

長雨については、ブルーベリーにも影響があり、晴れていればちょうど完熟して良い感じだな、というべきものが、収穫してみるとぶよぶよした感じで張りがなく、食べても発酵臭のような風味でものにならず、出荷には至りませんでした。こちらも時期的にはりんどうのお盆出荷と合致し、ふだんでしたらお盆出荷終了後のお盆最中にちょうど完熟で良かったりしたのですが、やはり時期が重なる品目というのは農家として避けなければならず、結果的にどちらかを捨てる事態になるのだなということを、長雨が元凶ではあるのですが、感じさせられました。薄力品種で期待もしていた農林61号は作付けをやめることにしますし、ブルーベリーについてはりんどう出荷前の小木ながら風味の良い「アーリーブルー」だけに絞って植栽を続けたいと思います。これは前から思っていたのですが、毎年雪で折られてアーリーブルーが順調に育っていないのが現状です。来春もまた10本以上挿し木をし、3年かけて定植に持っていきたいと思います。

 

下駄除草

田んぼは6月にひたすら除草を続け、その後に中干し、そして現在出穂の時期になっていますが、田についても限られた除草期間(田植え後1週間後から1か月間)を今年も何とか精を出しやりました。エンジン除草機で3回除草機かけを行い、それで残る最終工程は中干し作業直前(6月末)の除草下駄踏みで締めくくります。

 

除草下駄

岩手県金ケ崎町の方が製造した除草下駄は大きくなった雑草もひと踏みで泥に沈めてくれます。今年は3回除草機で歩いたため土が固くならず、どの田も容易に踏み込むことができました(土が硬い場合は無理です)。エンジン除草機についてはある程度雑草が根を張り生育してしまうと上を撫でるだけで除草になりません。また株の直近や株間はできません。できるだけ初期に2回集中的に行い、3回目は無駄だったかなとも思い、2回+この除草下駄にするという流れで次年度は臨みます。ごく初期にチェーン除草をかけることも株間条間関係なく除草できる点はメリットですが、植えたての活着前の稲ではダメージを与え、タイミングは難しいです。

有機栽培の基本は大きい成苗を2本植えするというものですが、当地のような寒冷地では分けつが進まず2本では足りないという見方が大勢です。それに加え活着の早さを考えるとより小さめの苗の段階で早く植えるということが、除草開始時期の上でもとても大事な気がします。寒冷地では田植えの遅れることが嫌われます。特に亀の尾やひとめぼれは奥手ですので、植え遅れは厳禁です。小さめでも早く4本くらいずつ植えて、小さければそれだけ早く活着し早めの除草に入る。まさに草を見ずして草を取る。種蒔き時に薄蒔きにすれば、それだけ育苗にも時間がかかり、また薄蒔きは田植えでの欠植がつきものですね。来年の籾播種はいろいろ考えながら、教科書セオリーではなく土地の風土に合った農法を見つめ直してみたいと思います。

今年は稲の出穂が遅れています。騒がれているような猛暑では東北北部は決してないのです。今日などは多分25度まで上がらないでしょう。お盆を過ぎたら秋の気配ですね。長雨の多湿でいもち病も心配ですし、稲刈りも遅れます。今月上旬のしつこい前線は既に秋雨前線だったんでしょうか? 夏よ去るな、が本音です。

 

虚空蔵堂ご開帳

さて、地元ラジオカー684号リポートで知ったのですが、盛岡に、丑年と寅年だけを守ってくれるお寺があるそうで、不退院虚空蔵堂(ふたいいんこくぞうどう・浄土宗)という仙北町にあるお寺ですが、13年ぶりに本尊のご開帳が行われるという情報がありました。ちょうど私は寅年でもありますし、これはお参りに行った方がいいなと思って、その開帳の日7月13日は雨でもありにんにく掘りも終わっていましたので、出かけて、またこの機会に祈祷を受けてきたところです。

写真のご本尊が13年ぶりに公開された虚空蔵菩薩です。隣に丑と寅が描かれていますね。

 

虚空蔵堂お助け観音

境内にはお助け観音なる仏像が。いろいろお寺の方(というか地元町内会の方のようでしたが)に話を聞いたのですが、このお助け観音像か秘仏虚空蔵菩薩のどちらか忘れたのですが、雫石の御所湖の辺りの河原で流されてあるのを発見した人が祀った、と言われていました。何を助けてくれるのでしたか。。私は日中に行きましたが、裏の方には既に出店がいっぱい並んでいて、夕方からは地元の子どもたちが楽しみに出歩く行事になっていると思われます。下の娘は丑年なのでご開帳じゃくても来年も参拝してみましょうか。住職からも改めて話を聞いてみたいところです。

 

丑寅を守ってくれる

参拝料を払って住職に祈っていただき、お札をもらいました。うちに神棚はあるんですが、お寺でいただいたものを棚にあるお宮?に入れるのも変ですので、とりあえずその隣の同じ棚に直接置いていますが、こういう場合はどうすれば良いんでしょうね。

広島長崎の日を迎え、終戦の日も過ぎました。広島の日はりんどう出荷のまさに頂点の日になっています。りんどう選別の残業をしながら夜ラジオを聞きますが、原爆の日には特別な番組があります。今年はFMシアターというラジオ劇で『とうがきの花ことば』という作品を放送していました。とうがきとはイチジクのことだそうです。広島弁も上手で、ストーリーもわかりやすく結束機械の作業音を挟みながらもすっと入ってきて印象に残りました。介護施設で暮らすおばあさんが書き記す原爆の日直後の様子を担当の介護士さんが読みながら、だんだんと古老の若い日の姿に思いを馳せていくという話でしたが、良い番組でした。

同じ時期、作家の高橋源一郎さんの番組「飛ぶ教室」、これは毎週聞いていますが、広島市から生放送された8月5日の回も印象深く残っています。ちなみに、高橋さんのお母さんが8月6日当日の朝の広島に朝8時に着く列車の切符を買うために並んでいて、すぐ前の人で売り切れとなって切符が買えず、汽車に乗れず、という話をしていました。もし切符が買えていたら自分もいまこの世の中にいなかったと。

2番組を聴いて、平和や核兵器廃絶の概念を訴え続けることで戦争体験が継承されていくだけじゃないんだなと感じましたね。理論や説を学ぶのではなくて、個人の個別の戦争生活体験、それは多少後から脚色があったり記憶が変異したりする部分があっても構わないことで、一つ一つの実体験を物語として見聞きするということが、私たち後世の者が脳裏で追体験することになり、自分の自身の映像イメージを得ることにつながります。ニュースや報道、活字で論理によって(「抑止」の意味とか)戦争の危険を伝えることはもちろん大切でしょうが、ある意味「それはもっともなことだね」という概念の理解にとどまってしまうことかもしれない。そこから踏み込んでいくために、「物語」ということの大事さがあると感じました。純粋理性だけでなく実践理性を、ということにもなりましょうか。

ちなみに、「飛ぶ教室」はいろんな本を紹介し、それは結構参考にしたりしています。ちょっと古いところでは東京芸大への入試を扱った美術系の漫画『ブルーピリオド』が紹介され、買って娘とともに読みましたが、最近紹介されていた、松村圭一郎という人類学者の方が書いた『うしろめたさの人類学』がとても自分の感覚にフィットして、入手しました。まだページをめくる前にりんどうの深夜残業が到来し、少し印象が薄れてしまってますが、「商品と贈与」といった注目すべき論点を含んでいて、他日またお伝えできたらと思っています。

今日もまた雨が降り続いています。これから次の彼岸向けりんどう出荷、そして稲刈り等で忙しくなる前に、最後3回目の草刈りやりんどうの草取り、中間品種のりんどう収穫、にんにく畑の準備等々、気を抜くことはできません。夜間はにんにくの出荷準備のための皮むき作業になります。昨日は7月に刈り取ってハウス内に掛けていた南部小麦を脱穀し、そしてダメになった農林61号の畑をトラクターで麦・雑草もろとも綺麗に耕耘整地しました(秋に南部小麦を蒔けるための準備になります)。事務作業もいくつか残っておりました。

 

 

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束の間の釣り行脚

下野除草の効果

 

田植えやりんどう苗の植え付けも終わり、にんにくや小麦の収穫までのいまの時期は、ひたすら草取り、草刈りの毎日です。そこに面倒な中山間直接支払いの事務作業も加わり、第5期が始まるということでいろいろあって、農作業的には少し落ち着いた雰囲気はあるものの、いずれせわしない毎日です。

とりあえず田の除草作業は終了としました。チェーン除草を何回かかけて、フィニッシュは除草下駄です。ある程度草が大きくなり、田の土も少しふわっとした泥の柔らかさが取れて、それでいて固すぎずちゃんと草を埋め込んでくれる微妙な土の感触。この辺りでは田植え後1か月、6月20〜25日頃がベストのタイミングでしょうか。踏んだところは写真のごとく綺麗に埋め込んでくれるのですが、株間は残ります。全部の面積を2本の足で歩き覆い尽くさなければなりません。

1反歩で4時間という感じですね。

最終的に下駄で踏み潰すのであればチェーン除草はいらない気もしますが、初期の抑草は無駄ではないし、株間は下駄で踏めないので、この株周りはあらかじめチェーンで抑えておきたいということですね。

 

 

除草下駄ピアノ線

除草下駄の構造はこの通りです。このピアノ線で雑草を泥に埋め込みます。青い取っ手を手に持って緑の紐を持ち上げるようにしながら歩きます。長靴の足は黒い、昔のトイレの下駄のような帯に入れます。通販で購入しましたが、製作しているのは岩手県金ケ崎町の農家の方でした。

下駄除草は雨の日や朝の早い時間帯など、りんどうの葉や土が濡れているような時に行います。りんどうはお盆・彼岸と家計を支えてくれる重要な品目で、乾いているときはりんどうの草取りを中心に行っています。宿根草なので、春に整地して植えるような畑とは違い、経年の雑草たちがうごめいていて、放置しておけばネットも引き上げられず、りんどう自身も見えなくなってしまいます。りんどうはハウス栽培の花々とは違って、土地利用型。面積があるために、低単価の量で稼ぐ品目。もともと田に植えるため、面積も広い。草取りは大変な作業になるのです。

農作業全般に言いえることですが、これまで、農業を始めて10年経っても、なかなか感覚がつかめずに、これくらいの作業にこれくらいの時間がかかって成果はこれくらいだ、という感触のないままにがむしゃらに突き進んできた感じがありました。思いや意志だけ突っ走って、頭で思ったようには進まないで、挫折感っぽいものを常にどこかで感じながら1日が終わっていく。

20年を過ぎたこの頃は、その辺りが少しは見えていて、客観視できてきているんでしょうか。この作業はこの成果、という行動と結果がわかり始めている気もします。20数年経ってやっと、です。。冷静になれている分、野球で言えばボールがスローで見える。去年はこれでダメだったからこうしてみるかというところも、行動→その結果、が見えていないと、自信のない勘に頼ったむやみな試みで成果もわからない、という虚しさが残ります。理想が高すぎても、もちろん低くてもダメですね。いまのこの目の前の状況と自分の現状をピタリと見て取り、手応えのある作業を積み重ねていく。そんな農家でありたいものです。

 

アリーン出穂

アリーナ小麦がうっすら色づいてきました。岩手でも大半の地域はそろそろ小麦の刈り取り時期です。しかし雪消えが遅く気温も低いこの地域は2〜3週間遅くなります。雪が早く消えた今年も5月にすごく寒くて、プラマイゼロのいつも通り。特に極晩生であるアリーナは7月末の刈り取りで、南部小麦が当地で7月15日頃なのでプラス2週間という感じです。岩手の各地より2週間遅れになる西和賀地方です。

 

部分日食

部分日食がありました。以前子どもたちに太陽を見るぺらっとしたレンズを買ったものですが、突然日食だと言われても所在がわかりません。でもスマホで写すと写真のように別位置に欠けた太陽が小さく写し出されるのです。不思議なことです。メインの太陽は欠けているとあまりわかりませんが。

 

七内川

さて、中3になった息子と遊ぶ機会もだんだんなくなって寂しいところです。部活がぎっしりで仕方ないんですけど、中総体というスポーツの節目が終わって、3年生は引退ということになり、これからは高校受験に専念という時期になります。とりあえず息子に時間ができたので、イワナ釣りに行きました。

最初に行ったのはうちの前の川をしばらく遡った上流の堰堤です。前々から気になっていたところで、竿を出し、餌釣りとルアーとをやってみましたが、イワナの姿は見えたものの、釣れませぬ。雪解け直後頃のもっと水量がある時期なら釣れるのではないでしょうか。

 

和賀川1

別に日には和賀川本流からやや林道を奥まで進んで橋のところから入って釣ってみました。奥羽山脈の深い源流域ですが、結構明るく開けた感じ。本当の奥はまだまだあるのですが、それを極めるにはテントを背負って2日くらいの行程で、とネットでも記載があり、そこまでは踏み込みません。林道がちゃんと進めるかどうかもわかりませんしね。

 

和賀川のイワナ

でも、写真の浅い川で息子が1匹釣りました。上に写るのは私の竿で、息子はこの時テンカラで釣ったと言っていました。この1匹で終わり。県道まで戻り、コイン精米所から米ぬかを採取して戻りました。

 

和賀川2

そして昨日、3回目。ここは結構な大きさの堰堤。魚影も濃いのですが、朝10時頃来た時には残念、先客がいて、家に戻り、午後3時に出直して竿を出しました。ここでもやはり息子が1匹。私もこの場所ではかつて釣ったことがありますが、今回は息子にやられました。先客がいた影響もあったでしょうか。どんな山奥でも、釣り人はいるものです。関東から来る人はおそらく和賀川本流の源流域を目指すんだと思いますが、車で簡単に行ける支流部は、どこも盛岡とか北上など近郊からの客に責められています。私の家の近くも釣り人は多く、農道に平気で車を停められて自分の農業車両が入って行けず腹立たしい思いもさせられること多々です。

ここはルアーもやってみましたが、釣れず。こういうところでは川虫も採取できないので、ミミズに頼るしかありません。春先に釣具屋で買ったミミズをバケツに移し、畑の土を入れて飼っています。水をやりすぎても、干からびさせてもダメで、とにかくミミズの存在を忘れないことです。草取りをしていてミミズを見つけたらこのバケツに放ちます。とりあえず2か月あまり元気です。飼っている土に牛乳をかけると良いと昔何かで読みました。

最初に、中山間の事務に追われつつ、と書きましたが、実際、この地区には430の田があり(これでも小さい地域です)、これをその農家ごとにプリントして、管理者の異動はないか、5年10年後の田畑の管理はどういう計画で考えているのか、を1筆ごとに書けと言う。こういう結構辛い事務負担を農家に強いるのですね。当然、ほ場データはエクセルで管理することになりますが、国から降りてきたんでしょう、今回の第5期対策用の書式に、現状の430筆の地番や面積、管理者のデータを移植する作業は、まず同じエクセルの別データからコピペでできはしました。しかし、それを各農家ごと、団地ごと、作付け品目ごとに並び替えるフィルターができる環境がちゃんと準備されていない。想定されていない。各地域の事務担当(ここは私ですが)で適当にやってくれ、という感じで、しらっと大変な負担を求めてくるんですね。この並べ替え作業の解決に半日要しました。そうしないと各農家ごとにほ場一覧を渡せませんから(国は分かっていないんだろうか)。

もともと農家なので、エクセルにそんなに通じているわけじゃありません。中山間事業の事務も、多くは農協や役場をリタイヤした人がやっているのです。もともと補助金関係の事務に通じた人たちですね。役場や農協職員はどの地域にも必ずいるのですから、そういう人向けに、天下りじゃありませんが、事務の仕事を与える事業なのか、と疑ってしまいますね。。まあ私も事務手当はもらっていますし、やるしかないですけどね。

一般の会社勤めでも何かとエクセルくらいはできないとダメでしょうが、いかんせん私は編集職上がりなんで、お役所文書も統計っぽい計算事務もやったことはないんですね。。まあでもエクセルでデータの並べ替え設定は何とか自力でできましたので、農家ごとに分けてプリントし、農地の現状を各農家に記入してもらう段取りは無事できました。