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田植えが終わり管理作業の日々

田植え後の亀の尾

5月の連休以後、農繁期に入っておりますが、5月は降雨続きの毎日で、土が乾かず耕耘作業にとても難儀した春になりました。とはいえ、田の方は、耕耘(田おこし)はこなれた土が求められる畑作りと違って、どうとでもなりますし、代かきや田植えは雨の中でもできますので特に支障はないのですが、切り花りんどうも栽培している当園では、去年まで水田だった圃場を春の5月にいきなり細かく砕土した畑にするという毎年の新植分床作り作業。。それは雪解けが遅く春も低温で雨の多い奥羽の山中ではいつも難事業で、6月第1週に苗が搬入される時期までにりんどう定植圃場の畝立てまでをやり終える課題に直面して、いつも憂鬱な気分になりがちです。。今年はまさにぬかるんだ畑作りになった年で、1週間くらい前までりんどう苗を植え付けていましたが、マルチの穴のボコボコの土をかき回して、そして通路のボコボコを手でほぐして、プラグ苗を土の隙間がない状態に密着して植え付けていくという、近年では状態の悪い中の作業になりました。こういう時に、ラジオとかで、県内平野部からの投稿で「畑におしめりの雨を待ってます」などの文言を聞くと、雨の多い当地ではイラッと来たりする、そんな、全体としてはいつものような5月でした。

 

除草機作業中

とはいえ、田植えも終わり、今年も量では亀の尾、ササシグレ、ひとめぼれの順に植え終えて、6月のいまは畦畔農道の草刈りと、水田の除草機をかける時期になっています。りんどうの芽かき草取り作業、タラノキの管理作業などの合間にですが、水田除草機で十分に除草をするためには、土を露出させて固くしてしまってはダメですので、深水にし、田面を柔らかく保ち、除草機もただ条間をまっすぐ一直線に進むのではなく、稲の株に接触するくらいジグザグに満遍なく動かして除草を行うことになります。この時期の稲は除草の回転器具が接触しても大丈夫で、植わっている稲ギリギリを攻める手法で分げつも誘引され、生育効果も上がると言えましょう。エンジン部分は背中に背負うタイプの刈り払い機で、ポールの先端にアタッチで取り付けるタイプの3条の水田除草機です。

 

亀の尾(6月27日)

西和賀町沢内の今年の稲の生育は遅れています(写真は6月27日)。関東以西(あるいは東北南部より南)で時折り「真夏日」のニュースを目にし、農家や評論家が猛暑による白濁米や減収を心配する声を報道したりしていますが、当地はなかなかそうした暖気の恩恵に預かる日は少なく、現在のところでは、さすがに今日は暑かったなという日も最高で28℃弱が1日あったかなと思います。うちの田に限らずですが分げつがなかなか進まず、現段階では茎数確保に不安があります。有機稲作のテキストなどで関東以西をモデルにした記述になるのでしょうが、例えば太い大苗2本植えで、といった推奨がこうした寒冷地ではあまり参考にならないことを痛感します。大きく太い苗ができればそれは良いことですが、苗作りの時期もまだ周囲には雪があり、地温自体が低く、まず芽出しまでの温度確保が最初の難関で、実際に出芽率も下がる傾向がありますし、薄まき推奨の苗箱作りは確かに危険です。結果、田植え後に目立つ欠株を長時間の手植え補植で補うような形を何度もくり返して来ており、毎年が気象との戦いの日々です。例外的に、昨年に関しては播種後に気温が高めで出芽も良かったですね。雪解けも早くて春のスタートが早く、作業的にも余裕を持って進められたし、夏も良い高温でお米も良く穫れました。その分、平年並みの遅めの消雪と冷涼傾向が続いた今年は厳しさを余計に感じるところです。りんどうの開花も遅れるのではという声が聞かれます。

稲の除草作業も終盤になってきました。除草機で掻き回して雑草を浮かせて退治する手法ですが、浮いた雑草が地面に再び着地しないように、浅水管理がセオリーの一般論に逆らって、深水を続け、かつ土を柔らかい状態にキープします。以前からの水田と、小麦やにんにくから転作した水田では雑草に違いがあり、やはり水田を長く続けている田はヒエやコナギが多いです。水面下の小さいコナギは除草機で浮かせてやれますが、水面から顔を出した雑草は除草機では取りきれず、手取りになります。手取り除草は厄介な作業ではありますが、重い除草機をジグザグに時間をかけて進ませる重労働の機械作業と比べて、どちらが楽とも言い切れません。気軽に毎日1時間手取りしよう、と空身で気軽な気持ちで田に入る時間を取りながら、雑草の多い箇所を集中的に歩いて、あと少しに迫った中干しまでの除草期間を乗り切りたいものです。一様に全部をくまなく作業するという除草機械的発想ではなく、草の多い箇所を選んで手取りするというやり方になります。100%を目指すことは不可能ですし、どう効率的に除草するか、でしょうか。

なお、いまは今年からの第6期中山間直接支払交付金の新年度に入り、役員としては役場に提出する書類作りにかなりの時間を取られています。いちばんは協定に入れる農地面積の確定ですが、それ以外にも面倒な書類がいっぱいあり、つくづく役所書類は苦手です。。朝からいきなり強い雨の日とかは諦めて1〜2時間PCに向かいもしましたが、目の前に迫る農作業を犠牲にもできず、夜間や朝食後とかに少しずつ小刻みにやるしかないのですが、本当にやることが多いです。消防の行事もあるし、りんどう関係の役員会やらいろんな集まりで、小規模農業経営者は本当にあれこれ多忙ですよね。全部一人でこなしますので。今夜も結局ブログ記事を書いてしまい、中山間事務は明日に先延ばしにしました。

 

南部小麦(6月27日)

南部小麦が色付いてきました。岩手の平野部ではいまはまさに刈り取り期で、晴天の今日などあちこちで刈り取っていることでしょう。西和賀は岩手の標準的地域に比べ2週間遅れます。消雪の遅さと春の低温が原因ですね。今回は40cm間隔で播種したことが良かったのでしょうか、昨年晩秋の好天が幸いしたのでしょうか、とても良い状態で、多収が見込まれます。とはいえ、いまは小麦の大敵である赤カビ病の発生時期です。こまめに圃場を歩き見回って、疑わしい状態の穂を見つけたら穂を切って圃場外へ持ち出して処分します。南部小麦の刈り取りは、例年ですと7月10日頃になります。実際は水分の%で判断します。水分が高い状態で刈り取ると、ハウスにハセ掛けをするわけですが、その後の乾燥が進みにくい嫌いがあります。しっかりとした乾燥(30%以下)を確認してからの刈り取りがベストですね。

 

にんにくとアリーナ(6月27日)

にんにく畑とアリーナ小麦の圃場です。にんにくは球の肥大に直結するトウ摘み(主に八幡平系)の時期を終え、あとは収穫適期を待つだけですが、どうやら今年は稲と同じく、またりんどうと同じく、遅れているようです。もっと暑くなって欲しいと願うばかりですが、これまでの遅れが急速に取り戻せることもないでしょう。なお、にんにくですが、今年の雪解け時の4月22日と、試験的に1か月後の5月22日にマルチを剥がしました。春から収穫期にかけて、にんにくの根域にマルチで高温の環境を作っていると、割れ、裂球を生じさせる可能性があるそうです。西和賀はにんにくの収穫時までに30℃超えしたりすることはあり得ませんが、念のためマルチを剥がしてみました。4月に剥がした2列はすぐに籾殻をリビングマルチとして施用しました。が、5月22日にマルチを剥がした残りの畝は、籾殻を持って来て散布する時間も取れず、そのままで収穫期を迎えます。使用する籾殻自体は残っているんですがね。雑草の具合にそれほど違いもなさそうなので、来年からはまだそう忙しくない4月に全部剥がして、すぐに籾殻でマルチングしてやることが作業手順の上でも効果的と思いました。あるいは前年の根雪直前に剥がしても同じかもしれませんが。

アリーナ小麦は極晩生で、南部小麦よりもさらに2週間後の刈り取りになります。こちらは強力の品種で、南部小麦と違い穂の色が白がかった茶色になり、とても背が高いです。背が高いことで、穂の長さも南部よりありまして、収量は多くなるありがたい品種です(スイス原産の小麦でパンに向く品種です)。

 

山下氏圃場

ビニールマルチを早めに剥がしてリビングマルチへ、とのサジェスチョンをくださったのは、青森県で長らく県の野菜研究所でにんにくの研究に携わっておられたにんにくの専門家山下一夫さんとの情報交換で教えていただいた農法になります。当園ではセンチュウ害の出どころである青森県の農家からの種苗購入などで(あるいは岩手県内でも既にセンチュウ害を受けた種球の購入植え付けにより)、にんにくの収穫品にイモグサレセンチュウ被害を受けたという苦い経験があります。そしてそれをタネとしてりん片を植え付けることで、畑の土壌自身も、収穫される次のにんにく自身もセンチュウに感染させるという残念な状況に悩ませれていました(もちろん壊滅的な話ではなく一部のにんにくに被害が見られたということですが)。この山下氏の手によって、センチュウ感染したにんにくであっても、その生長点付近を冬の時期に切り取って培養し、最初に得られるそのひょろひょろした状態のネギのような苗を春に植え付けて秋に1片のセンチュウフリーのにんにく片を確保し、そのりん片を購入する、あるいはその優良種子片を植えてもらって翌年に6片の球の状態のにんにくを作ってもらって購入するなどしています。そして当然畑もこれまでにんにくを植えたことのない圃場に移して新規ににんにく畑とし、センチュウやあるいは厄介なウイルスの元となるサビダニ被害もフリーであるにんにくの生産を、当園ではいま達成しようとしています。キロ単位で出荷する量をその優良種優良圃場で生産するには時間もかかりました。昨年はさらに冬期の畑の冠水事故によって多くの優良にんにくが失われてしまったことも痛手でした。

上の写真はそのにんにく専門家の山下一夫氏の圃場に、田植え後の、そしてりんどうの新植苗の搬入をし植え付けがまさに始まる前の6月上旬に訪れて、圃場を見せてもらった時の圃場の様子です。上の写真ではマルチが見えますが、どの色のビニールマルチが畝内部を高温化させにくいかの試験だそうで温度計で計測していました。いちばん高温にさせにくいのがやはり白のマルチでして、次が緑、そして黒、最後に透明が一番温度が上がったようでした。

なお、それよりも氏のアドバイスで最も共感を得たのが、「緑肥の敷き詰め農法」というべき手順でした。写真奥に背が高く生えているのは緑肥作物です。私も小麦やにんにくでの休耕期間の7〜8月に緑肥を栽培しており、にんにく予定地は8月終わり、小麦予定地は9月初めにトラクターで漉き込んで、腐熟させ、にんにくや小麦を植え付ける、という工程を取り入れておりました。しかし、山下氏によれば、すき込みではなく、刈って、重ねて土の上に置く、という手法がミソになるようでした。これは自然農法の基本手法です。下手に耕耘したりするのでなく、刈った草を土の上に置く、それがリビングマルチとなりにんにくを保護するとともに、年数を重ねることでふかふかの土づくりに寄与してくれる。私など毎年小麦からにんにく、にんにくから小麦へと、緑肥を挟んで輪作しているものの、その都度耕耘をすることで、逆に、固い土壌を招いてしまっていたのではないか、耕耘をやめて積み重ねた緑肥の上から植え穴を空けてにんにくのりん片を秋に植え付ける。そのことにより山下氏はふかふか土壌を獲得し、翌年の収穫時もにんにくの茎が抜き難くブチっと切れてしまったりすることなく、柔らかい土壌ですっと力を入れずともにんにくが抜けていく土づくりができるのであると。山下氏は最初からビニールマルチなしで敷き緑肥で通しておられますが、より気温の低い西和賀では、またにんにく以外に作目が多く雑草が取り切れないことも考慮すると、秋の定植時には当園ではビニールマルチは必要です。当地では冬が早く来るためににんにく植え付けはとにかく早めにが鉄則になり、ホワイト六片など早く芽を出す品種は10月になってからの植え付けでは完全に遅い。10月になってから床作りをして植え付ければ雑草もそれほどではないでしょうが、9月最初などの時期に早く植え付けをすれば、やはり9〜10月に雑草は生えて来ます。9月の10日以降はりんどう彼岸出荷や、下旬になると稲刈りと小麦播種を迎えかなり多忙です。そのため9月最初ににんにく植えをするスケジュールではマルチ使用は欠かせないですね。

にんにくは連作はダメだと思い込み、当園では小麦との輪作をしていましたが、山下氏の場合、にんにく収穫後にスダックス等のイネ科の緑肥を蒔いて植え付け前に刈り倒してそしてにんにくを植え付けるのですが、そこでスダックス栽培が挟まれることでにんにくの連作が絶妙に回避され、畑をにんにくに固定しても連作にはならない。耕耘してしまわずに、自然栽培流に耕耘をしないことでかえって柔らかい土づくりを実現させてしまってもいる。見事だなと思いました。小麦で私が真夏の休耕期にマメ科クロタラリアを緑肥栽培していることも連作回避により雪腐れ等の病害を防ぐ目的で、それはにんにくでも同等なようです。研究所の研究員の経歴の方ですから、有機栽培や自然栽培に興味があるわけではありません。図らずも自然栽培の良い部分に出会って、それを活用しているということです。なるほど、ですね。

激務が続いた5月が終わって、ちょうど軽トラで遠乗りがしたくてウズウズと鬱積していた折に、八戸近郊の山下氏の圃場を見学させていただいて、さらに時間を忘れて遅くまで長居をさせていただきましたが、有益な時間でした。

農業について突っ込んだ会話ができることは時間を忘れ喜びです。いま現在、小麦を作付けしている当園では県の農業普及員が赤カビ病の観察のためによく訪れてくれます。その度にいろんな対話ができることは、一人で田畑に閉じこもって作業する自分には良い刺激、情報を得る時間になります。小麦の担当者は水稲の担当者でもあるので、稲の話もします。有機のことは専門外ですので、逆に私からも有機の話をして知ってもらいます。いくら日々の草取りや諸々の作業で立て込んで押しまくられていても、対話は大事な時間ですね。

 

蕪嶋神社

八戸近郊の山下氏の圃場を後にして、せっかくなので、ウミネコの繁殖地「蕪島」に向かいました。家とは逆方向で、帰宅は遅くなることは承知の上ですが、蕪島は見ておきたい。長年の希望でした。夕方で既に神社への階段は閉鎖されていて残念でしたが、山下氏との懇談が続いたからなので、それは仕方もなく、でも、十分に蕪島を楽しめました。光景としても美しいですね。

 

蕪島のウミネコ

浜辺にはいっぱいのウミネコ。良いですね。八戸に春から初夏に来られる機会があったら、ぜひ蕪島を訪れてみてください。

 

モミジイチゴ果実

当園では野いちご、木いちごの植え付けをしています。大した面積ではないし、趣味の域を出るものでもありません。オレンジの美味しい実をならせるモミジイチゴは最も惹かれるいちごです。いちばん最初はどれがそれか、どこにあるかもわからずに、フリマサイトで苗を購入したりしましたが、モミジイチゴ自体を知った後は、近所で見つけたりして、それを庭に移植したりしています。最初にわからずに購入することは教科書代、勉強代で、そこから実物を知り探究がスタートするのです。そうして植え付けたモミジイチゴが実を着けてくれました。きれいないちごですよね。外国にもあるかどうかは不明ですが、日本国内では最高の野いちごと思います。いつか増殖して商品化したら良いのか、趣味の域にとどめておくべきか、将来性は未知数ですが、こうした行いができることのために、都会から脱サラし、農家になったのですから、農家冥利に尽きるとも言え、こうした手間に時間は余計にかかるとは言え、楽しい残業タイムを与えてくれる存在ですよね。だから、やっていられるのでしょう。農業カテゴリー自体の中に楽しみがなければ、やっていられないでしょう。あとは月に2日の軽トラお出かけとです。

ちなみに、ベリー類は、ブルーベリーやラズベリー、ブラックベリー、ハスカップ、カシス、クランベリーやコケモモなど西洋のものもありますが、草イチゴ、クマイチゴ、エビガライチゴ、ノウゴウイチゴ、バライチゴ、フユイチゴ、カジイチゴ、ナワシロイチゴ、ニガイチゴ、ホワイトピーチベリー(これは国籍不明)があります。木ではジューンベリーなどいまが食べ頃になっていて、庭でイチゴの実った姿を目にするのは楽しいものです。

 

Googleマップ
Screenshot

余談ですが、最近はPC等で一番よく楽しみに使っているのがGoogleマップです。中山間交付金申請でいまはアプリとしてはエクセルに最も向かっていますが、息抜きの「空想軽トラ旅」にGoogleマップは良き友です。たまたま家の近くをストリートビューで見てみたら、草刈り作業中の自分の姿が。。。小麦やタラノキの圃場を刈っております。いま現在、りんどうの早生品種の草取りと芽摘み作業が最優先で、この写真の圃場の草刈りはその後にすぐやりますから、もう少しお待ちくださいです。田んぼや小麦やその他広大な面積の草刈りと園芸品目の株の近辺の精密な草取り、そして田の除草とキリがありません。おいしくてボリュームもある定食の店はないかな、大雨が降って買い出しに出た時とかに、どういうスポットを訪れようかな、などついGoogleマップに逃げたりしながら、草との戦いと諸々の管理作業、そして地域の交付金のための事務作業をこなす日々が続いています。

 

天峰山・桂松院

先週のことですが、買い出しの用もあり盛岡へ出かけまして、その時、まあ命の洗濯と言って良いでしょうか、久々に盛岡からR455で岩泉方面への国道を走りました。天峰山・桂松院という地点をGoogleマップで見つけて、訪れてみまして、草の中、仏像と紫の衣を羽織った石仏さんの佇まいを見てきました。こういうあまり人々が訪れないスポットを見つけてさりげなく訪れるのが好きです。

 

天峰山から盛岡岩手山方面の眺望

天峰山というのは知りませんでしたが、R455から北へ入ったところに展望台がありました。外山という地域です。放送局の電波塔らしきものもありました。息抜き、は大事です。こうした場所を目指して走り、無心になる。こうして日々の激務も乗り越えられれば、です。

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2024年秋作業繁忙期です

アリーナ脱穀前乾燥中

今年の夏は梅雨の頃から雨が多く、梅雨明け後の晴天もそれなりにあったかもしれませんが、あまり記憶になくて、日照が少なくとにかく湿度が高くムシムシした夏、という印象が強いです。9月の10日頃になってようやく晴れ間のある時にカラッとした空気になってくれた、という感じです(とはいえいまはひどい雨降りになっておりますが)。ハウス内で乾燥を続けていた南部小麦とアリーナ小麦ですが、なかなか水分が落ちず、現在は写真の束の段階から脱穀、そして籾摺り機による選別も終え綺麗な玄麦ができているのですが、メッシュの袋に入れてハウス内で追加の乾燥を続けているところです。水分計での計測はその時の外気の湿度に影響されるので、湿度が高い時は水分も高めに出る傾向もありますし、実際湿度が100%であればどんなに風を送っても乾燥はしてくれないと思います。とはいえ、これから空気も変わってきますので、秋晴れっぽくなってくれることを期待しています。今年の小麦も宜しく願いいたします。なお、製粉しての出荷は、ある程度注文がまとまってからの発注になりますので、晩秋の頃になるかと思います。

 

クロタラリア

小麦の栽培に当たり、近年取り入れているのが、豆科緑肥のクロタラリアの栽培とすき込みです。小麦刈り取り直後の7月15日頃、すぐ耕耘しクロタラリアを播種し、浅い耕耘で覆土、そして9月の最初に耕耘しすき込んで2〜3週間寝かせ(腐熟させ)、最終に耕耘し直後に小麦を播種します(9月25日頃)。小麦は肥料を入れないとなかなか育たなく、また特にこちらのような豪雪地では小麦の連作によって雪腐れ病が発生します。小麦に連作障害があるとすれば、アメリカなど見渡す限りの小麦地帯などではどうやって何と輪作しているのだろう、小麦だけの連作以外考えられないんじゃないの、と思わずにはいられませんが、雪が多いこの地方では、雪腐れ病のためだけに、ということでも確かに連作は良くないようです。しかも高温多湿の日本(ここは高温というよりは低温での多湿になりますが)というのは、小麦には不利な条件と思います。

 

クロタラリアのすき込み耕耘

緑肥をいままで深くすき込もうとロータリーを深めにして掘っていましたが、そうすると1度の耕耘ではすき込めず、連続2回掘っていました。今回は浅めに設定して回転を早めてみまして、そうすると1度の耕耘ですき込めました。背丈がちょうど良かったということもあるでしょうが。。あとは小麦播種直前に最終耕耘し播種になり、この時に深めに掘ります。天気だけがいちばんの心配です。昨今のニュースで見るゲリラ豪雨などに見舞われれば、秋ですししばらくは土も乾かず、小麦は種の適期を逃してしまいます。こなれないボコボコの状態で播種しても発芽率が落ちます。今年は7月後半に厳しい大雨が続きまして、山形や秋田で水害が起こりました。その時の気象は日本海側の気候である当地にも影響を与え、ちょうどクロタラリアの播種の直後に当たり、特に粘土質系の畑では水たまりができまして、クロタラリアの発芽不良に見舞われました。南部小麦とアリーナ小麦の2種を作付けしていますが、ちょうど晩生のアリーナ刈り取り後に蒔いたクロタラリアが大雨の影響を受けた形です。

また小麦作付け時期からの逆算で、緑肥は9月アタマにすき込まなければなりませんが、アリーナ刈り取り後のクロタラリアの生育は南部小麦よりどうしても1週間は遅れるために、その分遅れ、背の低い状態ですき込まざるを得ず、緑肥効果としては損をするということにもなります。2か月ちょっとというギリギリの小麦休耕期間に緑肥を育てすき込むので、スケジュールはタイトです。雪のない地域であれば、ゆっくり緑肥を育て、10月の中頃にでも小麦を蒔いて十分育ちますので、これは過酷な条件ではあります。

有機での栽培としては緑肥はとても貴重で大事な要素です。ただ、緑肥は種子代金が結構かかります。また何度も耕耘を繰り返し、軽油代もかさみます。稲など無肥料で、しかも代掻きと合わせても3回のトラクターがけですが、小麦の場合、収穫直後・緑肥播種の後の覆土・緑肥すき込み・小麦播種前の耕耘、で4度の耕耘になり、そもそも収量も販売単価も米よりも低いという、ほとんど常識ではメリットがない作目になります。楽しみの面での生産という側面も確かにありますが、実際は合理性や経営判断で全部を水田にしてしまっても、作業的に大変だし在庫が捌けるほど販売できないかもしれない。また田んぼにできないような条件の悪い畑もあります。稲と小麦は作型が違うため労力を分散できる、といったメリットもあります。有機での麦作はほとんど流通がないし、自分が取り組み続けることは需要に応える意味でも確かに有益ではあります。乾燥ハウス麦束収納能力にも限界があり規模の拡大は難しいですが、現状の3〜4反歩で2品種をという作付けを続けていきたいと思っています。

 

今年の優良にんにく種

8月の末より小麦と同じ作型であるにんにくの植え付けも進めています。今年は年明けの冬、長野県出張中の時期に、杉の枝とかで詰まった水路から水が畑に流入していて、にんにくがダメになってしまう事故があり残念な年になりましたことはお伝えしております。近年、土壌病害やウイルスに侵されていない生長点培養のにんにく種子を専門技術者の方から購入し量を増やしているところですが、この貴重な優良にんにくも水難で量が減り、この秋また新たに注文をし、来年以降に備えました。左はホワイト六片の原種に近い田子原産の品種、右はこの秋よりスタートする山形県の有名な「最上赤」になります。八幡平系統では西根(八幡平市内)の由来の種が追加になりました。あとは休眠が最も深い八幡平系の植え付けを残すのみになっていますが、水難に耐えて生き残った種子りん片はどれも小さく量も少ないです。八木と八幡平については来年夏の収穫物も今後の種使用を最優先することで、出荷に耐えうるサイズのにんにくは来年は供給できないかもしれません。その分、ホワイト六片系統は来年の食用の通常出荷に耐えうる量を植え付けしておりますので、来年はホワイト六片主体の出荷ということで宜しくお願いいたします。

 

彼岸りんどう夜なべ作業

彼岸りんどうの最需要期を何とか乗り切ることができました。市況を見てみて、結果は大体良いタイミングで出荷できたのかなという感じで、最も値段が上がるはずの18日出荷20日販売は出荷量が下降し、値段もやや下がって、これで終わり、になりました。量的には16日月曜日の市場が最大の出荷量になるようですね。当園でもそうでしたので、多分どこの産地も同じと思います。花屋さんは今週の前半に仕入れたりんどうをこの3連休に売っているでしょうが、現在は追加での新たな出荷はもうありません。天気も悪いお彼岸でしたので、売れ行きはイマイチ振るわなかったかもですね。。

今年は全ての作目が前倒し出荷になっていて、彼岸りんどうまでそのように今年の傾向に引きずられました。紅葉と同じで暑い夏だったから逆に開花が遅れるかなと思ったりしましたが、そうではありませんでした。もっとも、前倒しのため、逆に彼岸需要期に間に合わずこれから遅れて出荷されたりんどうが大量に出回る、ということはないわけなので、価格の暴落はないのかなと希望的に観測しています。これからは極晩りんどうの出荷がまだ残ります。とはいえ、今年は高温多湿(当地では主に7月の多雨)により病害が多く、出荷量は平年よりも少なくなってしまっています。お盆の時など7月半ばから開花が始まっていて、日々の管理作業との兼ね合いがちょっと間に合わないよと、とっかかりが遅れて畑にかなり残してしまった苦い経験もありました。もっともムリクリ出荷しても値段はかなり安かった時期です。りんどうは高温多湿に弱い作目ですので、今年のような多雨の夏の状態が今後も続くならば、当地よりも暑くさらに深刻にダメージを受ける地域はより増えることと思います。いつものことですが、米とりんどうの出来は逆になります。なので、米の出来は悪くはないのかと思いますが、どうでしょうか。。高温多湿化の進展で産地が何でも北へ北へと移動していくことになりそうです。米も同じで、新潟はコシヒカリの適地でなくなる日も遠くない気がします。

 

稲2024年9月16日

稲刈りも近づいています。りんどう彼岸出荷が終わったら、稲刈りするか、小麦を先に播種するか、で迷います。いずれまずハセを作らなければダメなので、それが手始めです。土が乾けば小麦の耕耘と播種が優先になります。稲の写真は9月16日の左がササシグレ、右が亀の尾です。水口付近からの撮影になります。いつも気温の低いここでは十分熟せないかな、という極晩生の亀の尾ですが、今年はここでもよく育ってくれました。収量も以前よりも上がっているかと思います。9月中には亀の尾含めて稲刈りが終わるかと思いますし、10月上旬には、ひとめぼれと亀の尾については少量ですが早期脱穀米(17%水分のみずみずしい新米)の出荷をさせていただきますので、その際は宜しくお願いいたします(いつもお買い上げいただいています方々にはご案内をさせていただきます)。

 

2024秋アリーナ播種

どの作業に着手するか迷いましたが、土が乾いていたので、小麦の播種、まずはアリーナを蒔きました。稲刈りの場合、雨の後で土が湿っていても、バインダーがぬかるほどでない限りは稲刈りできますが、小麦播種はまずトラクターで耕耘してからとなりますので、天気の具合を見て、まずアリーナ約17アール分の耕耘と、そしてすぐに播種を行いました。南部小麦よりも晩生のアリーナを先に播種したのは、アリーナはヨーロッパ原産で南部小麦よりも雪腐れに弱かったことから、雪腐れの原因の一つである「根雪となる年内までに十分な生育がなされていない」という事態を回避し生育を少しでも進めておきたいとの考えでした。これで来年の収穫期が早まるというわけではないでしょうが、早く蒔いて、もしかして少しでも早く熟し収穫できるようになれば、その分来年の緑肥クロタラリアを大きく育ててすき込めることにもつながるとも言えます。

しかし播種翌日の昨日9月20日から東北は大雨となり、発芽不良がとても心配されます。どうしても水溜まりが起きてしまうので、種の腐れと流されることが懸念されます。

 

111コーヒー

さて、娯楽面ですが、前から気になっていた町内の「111coffee」に行ってきました。ジャンボスライダーがある焼地台公園内にあり、地元の若者が営んでいます。初めて飲んでみましたが、これはこれまでの中でダントツの美味しさでした! この店のコーヒー豆を買って、自分で淹れて飲んだことはありましたが、全然違う。やはり淹れ方が大事なんですね。本当に感動的な味でした。写真では何かが浮かんでいるように見えていますが、窓の外の何か(木とか)が写り込んでいるようです。お菓子も手作りで、品があり、閑静な公園内だし良い場所があるんだなとつくづく思いました。町内でカフェやクラフト作家、新手の宿泊サービス等での起業の機運が高まっていて、とてもわれわれにとっても励みになる昨今の西和賀です。地域おこし協力隊がらみでの参入者も順調に増えてきていて、われわれ農家もより時代の流れを意識した新しいモノづくりの達人を目指して精進しなくてはなりませんね。

 

八時の芝居小屋

月に1回から1.5回でしょうか、息抜きも必要で、お盆のりんどうが一段落した8月28日、芝居を観てきました。去年はこの時期に月山に登ってきました。「八時の芝居小屋」という名目の小規模な劇で、盛岡の「もりげき」地下のタウンホールで不定期に行われているようです。盛岡まで1時間はかかりますし、行く時にはいろんな買い物や所用をすませますので、時間的には4時頃からの半日分のスケジュールになりますが、たまにはこうした観劇も必要ですよね。小規模な一人独白の短編が3つ4つという感じで大きな感動を得るタイプの回ではありませんでしたが、気分転換になりました。怪談系というかミステリー要素でした。11月にある四季の「ジーザスクライスト」も観てみたいですが、値段的に手が出ないでしょうね。。

「ジーザス」で思い出しましたが、春に出かけ私はとても感銘を受けた「大籠キリスト殉教公園」にお盆に帰省した子ども2人を仙台に送るという機会に連れて行きました。そしてその後には大川小学校の遺構にも。暑い日で大籠で300段の階段を上がるのは結構しんどかったですが、こうした施設を見せることは、経験した私が率先しない限りなかなか本人たちが思い立って足を運ぶということはないでしょうから、まあ連れて行って良かったのかなと思っています。

ちなみに、彼岸りんどうの出荷が一段落した昨日、9月20日は雨だったこともありますが、お昼前に出て、買い物がてら、盛岡で「ラストマイル」を観てきました。時間の余裕があったので、中央公園の駐車場に車を停めて、久しぶりに映画館まで(フォーラム盛岡)まで30分歩きました。ここの道は子どもたちが小さかった頃からよく通っていて、市民文化ホールのオルガンコンサートやら、ランチバイキングやら、映画やらで盛岡市街地へ向かう際によく歩いた道路です。また冬に盛岡の合同庁舎で土壌分析のアルバイトをしていた時も、雪で田沢湖線の電車が止まったりしたときなどに、ここまで車で来て、内丸まで歩いたものでした(約40分)。「ただ歩く」というのは農作業であれこれ忙しなく思案しながら歩くのと異なって、良い気分転換なんですね。傍観者として周りを観察する、という気持ちが心地よいのです。盛岡駅の中を横切って、西口から東口へ、そして開運橋を渡って大通りへ。帰路では途中クロステラスでいろんな地域の産品を眺めたり。冬の盛岡普及センターからの帰り道もそうでした。どんな地域で誰がどのような個性的な商品を出品しているのだろう。とても気にかかることです。ここにたらの芽を出荷していた時もあり、通勤する朝にたらの芽を出荷して、ということもやりました。盛岡へ通ったのは震災のあった年度から7冬でした。

「ラストマイル」から派生していまAmazonで「アンナチュラル」を観ております。面白いです。天気が回復すれば昼間稲刈り、夜りんどう、になりますので、いまだけの貴重な時間です。

 

唐揚げとエビチリ

8月の芝居鑑賞の時、前から気になっていた唐揚げが評判のお店へ寄ってみました(盛岡食堂高松店)。左ですがでっかい唐揚げが売り物です。NHK盛岡放送局のすぐ近くです。大衆食堂って良いですね。右は昨日「ラストマイル」を観る前に入ったエビチリのお店です。盛岡南イオンの近くのホーマック(いまはDCMとかいう?)そばの中華料理店です。PANOPANOというパン屋さん(昔サバの入ったパンを食べ美味しかったです)の路地へ入ってすぐそば、向かいはツルハドラッグです。わざわざ記事にするべきことでもありませんが、どうしてもエビチリが食べてみたくなって、検索し見つけた中華料理店です。大変美味しかったですが大衆食堂ではありませんでした。。私は量も多く食べますし、少なくとも食堂に関しては意識低い系の方が好みです。エビチリが食べられる店はそんなに多くなくて、弁当とかでも見ないですよね。見つけたのはやはりGoogleマップです。PCで一番使っている機能かもしれません。「エビチリ」で検索できるんですね。口コミも拾ってくれたりで。「大衆食堂」とかも打ち込んでおくと高級中華の店が排除されるかと思います。12:40頃の入店でも5分くらい待ったので、人気店ではあったと思います。写真のセットで1,100円でしたが、やはりもうランチも1,000円時代になってしまったんですね。

稲刈りで使う消耗品にバインダー紐がありますが、10年くらい前は1個700円くらいだったと思います(当園ではだいたい15アール分でしょうか)。いまは完全にその2倍の価格になっています。燃料代も上がっているし、お米の値段が上がるのも無理はないかもですね。南海トラフの注意喚起報道がきっかけだったかもしれませんが、今年は米は作柄が良いのではないかと思いますよ。去年の米をいっぱい買ってしまった人は、その分新米を買うのが遅くなりますよね。古いのから食べるでしょうから。当園では便乗で米を値上げすることはしませんが、ここ数年の間にゆうパック料金が小出しに値上がりし続けていて、自分の代金負担分が増えてきておりましたので、送料のみ、実際かかる額に改定させていただけたらと思っております。家に来てもらう集荷では高くなるので、郵便局へ持ち込みにし、スマホ割の料金で支払っております(土日祝日は出荷できません)。送料はその実費の額にさせていただいて、と思っています(実質100円ちょっとのご負担増になる感じですが)。

最後に、「そうそう」、で始まる講談師神田伯山のラジオが面白くて、作業中、普段のラジオでお気に入りの番組じゃない時に、ポットキャストでずっと遡って自動再生で聴いております(本当は遡りじゃなくて時系列で聴きたいんですが、できません)。聴いていて思ったことですが、前に村上春樹氏と小澤征爾氏の対談の本を読み、ちょっとした感銘を受けました。普段われわれは何かを感じ、思った時に、それをいちいち言語化しないで直観的に頭に浮かべている、ということをやっていると思います。ブログ記事にしたりする時はもちろん頭で言葉にして反芻してみたりもしますが、それ以前の段階では通常頭の中で、ある形態の意識が生じている、という感じなのかと思います。その感覚的なことを村上春樹は綺麗に言葉で表現してくれて、まさに「そうそう」、そういうことを私も考えていたよ、という共感になりましたね。音楽についての本だったから、余計にそのような直観→言語化の妙を感じることができたのかもしれません。伯山のラジオを聴いてもそういう気がしていまして、やはり語りのプロだな、と思いながら笑わせてもらっています。本人も語っていますが、「吟味された言葉の選び方」が工夫されていて、それが意識の事象をくっきりと形にしていることなので、偽りようのない「本音」なんだと思います。村上氏の時と同様に「そうそう」と心地よく感じられるのですね。

この雨、また強くなってきました。播種したアリーナ小麦が心配で。。

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小麦とにんにくの準備と夏休み

クロタラリアのすき込み

りんどうの切り花出荷をしていると、お盆と彼岸の出荷の山があり、その谷間の時期は、小麦とにんにくの圃場作りやホワイト六片の植え付け、草刈り、諸々の草取りの作業で、谷間の時期とはいえかなり慌ただしい日々になり、夜は夜で乾燥を終え冷蔵保存中(氷温冷蔵)のにんにくの出荷のための皮剥き作業で過ごしています。

彼岸のりんどうが咲いて来る前に秋植えの畑の準備を終わらせるために、逆算して結構煽られる時期になります。とはいえ、何かレジャーやお出かけができるのはこの時期ならではなのですが。。

小麦畑では、収穫後の休耕期間に播種したマメ科のクロタラリアが旺盛に茂っていて、これをトラクター(ロータリー)ですき込む作業を行いました。何回か書いておりますが、小麦は連作障害があり、またそれに起因して豪雪地では雪腐れ病を起こしやすくなるために、イネ科でなくマメ科の緑肥を作付けし連作回避をするとともに、小麦栽培に必要なチッソの補給を行うという工程を組み入れています。自然栽培であればこれのみで良いのですが、冬が長く気温の低い当地では、加えて鶏糞等も施すことで、収穫量を見込むことになります。

小麦の刈り取りから次の播種まで2か月という短い期間に生育させてすき込みし、しかもその後播種まで腐熟の期間が2〜3週間必要です。速攻で旺盛に育つ品種のマメ科の緑肥というと限られていて、小麦ではクロタラリアという緑肥を組み合わせることになります。

 

ネマコロリ

去年は同じクロタラリアという種でもネマックスという丸葉で柔らかいタイプの緑肥種子を栽培しました。ただ値段も結構高かったため、今年はいくらか安いネマコロリという品種のクロタラリアを購入し作付けしました。7月23日に播種し、8月26日にすき込みをしました。断然こちらが早いです。すき込み時点で背丈は120cm。1か月ですごい生育です。ネマコロリは細葉タイプで、生育は旺盛だがすき込み作業に困難な場合もあり、その際は早めの段階ですき込むようにという記述も見かけましたので、トラクターで手に負えなくなってしまうくらい伸びる前に、また天気もちょうど翌週から雨模様になるとの予報もあり、少し早いんでしょうがすき込みをしました。

しかし想定していた以上に柔らかくすき込むことができました。おそらく、今年の猛暑を受けて、暑さを好むクロタラリアは例年以上に短期間でぐんぐん生育し、かえって柔らかい状態で体が大きくなったのではと思います。西和賀のワラビが豊富な雪解け水といきなりの春の日照で急激に太く柔らかく育つ、というのと同じ感じの理屈? 今年の天候はクロタラリア緑肥にとっては好条件だったようです。背丈が伸び植物体の量が増えることでチッソ量も増すし、旺盛な生育で雑草を抑えることにも貢献してくれています。これから3週間以上かけて腐熟させたのちに、2度目の耕耘をして、そして小麦播種をします。

 

南部小麦とアリーナ乾燥中

乾燥中の、右が南部小麦、左がアリーナ小麦です。8月15日に脱穀しました。まだ脱穀直後そのままの状態なのですが、近々、籾摺り機でゴミの茎葉や殻などのゴミ飛ばしと玄麦に付着した薄皮の除去の作業を行い、玄麦として完成します。注文もいただいておりますので、早めに行い出荷をしたいです。米の籾摺りの時に小麦が混じるため、本当は小麦用の籾摺り機もあったら便利なんですが、なかなかそこまでは余裕がありません。。

 

ツキザワの家クラフト展1

さて、お盆には、去年もでしたが、古民家ツキザワの家でクラフト展が完済され、行ってきました。右奥はウッド工房ブナの森の竹澤さんのブースです。このサイトでも書いておりますが、栗の木の片袖机を作っていただいた方です。不慮の火事で工房の建物を失い、自宅の中に工房を再構築しての制作活動をされています。飾られている写真はこの古民家のオーナー、写真家瀬川強さんの写真です。

 

ツキザワの家クラフト展2

こちらは山のうえアイアン田中正博さんの鉄アートの品々です。また今回、木の家具製作の「nokka」工藤さんと、西洋木皿作家「waranoue」藤原さんとお会いすることもできて、良い時間を過ごさせていただきました。

 

菊池・nokka・waranoue

初対面であったnokkaさん、waranoueさんと話し込んで時間が過ぎ閉館時間となってしまい、詳しく写真を撮ることができませんでした。左は、木工竹澤さんと同じく古くから陶芸をなさっている菊池窯・菊池啓二さんの作品、右が新しい作家2名、上がwaranoue、下がnokkaの作品です。どうぞご本人のサイトで大きい写真もご覧いただけたら幸いに思います。

これも前にも書いていることなのですが、私自身はアート創作とは無縁な無芸の人間ですが、農業の土台に、芸術や創作活動の気持ちを持っていたいと常々持っていて、農業の営みは創作の精神とは無縁であってはいけないと感じている者です。そういう意識を持っていると、自ずと文芸やアート活動に取り組む人たちに対し親近感を覚え、関係性ができてくる気がしています。彼らとの交流は大切にしたいと思っています。

 

カズグリ自生地

さて、冬の手首骨折の関係で時々北上市への通院があるのですが、その際は遠回りの遠足を楽しむこととしていまして、今回はお盆繁忙期の後の休息ということで診療後に足を伸ばして探索してきました。

花巻市東和町の「カズグリ自生地」の探訪です。っカズグリというのは野生種の栗の突然変異種で、唯一ここにある木だけです。囲いの柵の中には唯一の変異株の木から接ぎ木で増やした数本が実を付け始めています。家のそばの栗の木が既にイガを形成していたのを見て、かねてからチェックしていた自生地に訪れることにした次第です。

 

カズグリ

数個のイガが数珠つなぎに連なっている不思議な栗の実です。

 

早池峰ダム

そのあとに、早池峰ダムに出かけました。早池峰山が奥に写っております。

折壁峠から早池峰山

帰路に着き、折壁峠を至りました。ここからは広大な山裾の背後に早池峰山が構えていて、とても良い景観をなしております。ここから紫波町方面へ抜け、花巻経由でなめとこラインを通って西和賀に戻りました。

 

月山山頂

7月の下旬にちょ山形県の山、月山に登る予定だったのが、りんどうの出荷が激しく、断念。そのリベンジでお盆後に月山8合目の駐車場がやや空くだろう8月22日(火)に月山行きを決行しました。正面が月山の頂上である月山神社ですね。上りが3時間ちょっと、下りが2時間ちょい、という感じのスケジュールでした。ほとんどが岩で組まれた登山道のため、つまづいて転びそうになるようなゴロゴロの岩の道でして、ここで転んだら骨折だな、という意識で一歩一歩進む感じでしたね。昔会社の近くにあった登山靴の店(巣鴨の辺り)で足の形を取って作ってもらった軽登山靴が活躍してくれました。

 

goro登山靴

30年前に購入したgoroの軽登山靴です。いまはこのような茶色の川の登山靴はあまり見かけませんかね。30年前のスタイルでした。。またいまは多くの方がストックを両手に持って登っていましたが、これは岩の道での転倒防止や、また斜面を登る時のヨイショの力入れにも使えます。自分は急な登りの場所は太ももを手で押すようにして登ってましたが、ストックを使った方がずっとスマートですね。

 

八紘一宇

八紘一宇、、全ての事象には差別などなく、一つの家に平和に暮らすように生きることが理想とする、というように解釈されるんでしょうか。そのような、信仰の雰囲気に満ちた山なんですね。随所に見られたお花畑も、どこか現実を超えた世界のごとくに咲いておりました。

 

月山登山入り口鳥居

下って、ほとんど駐車場近く。鳥居の中に写るのが月山です。登る時に撮影すべきですが、上りは別ルートでした。

 

月山8合目ライブカメラ

月山登山が気になり始めてから、月山8合目の駐車場のライブカメラというサイトを時々見ておりました。全部で170台停められるそうですが(右奥にまだスペースがあります)、苦労してカーブの多い狭い山道を上り詰めここまで来て車が停められない、となると結構悲惨ですよね。土日やお盆は到底無理でしょう。朝岩手を発って向かうというのでは。。ほぼ下山したタイミングでのライブカメラの画像を記念に保存しておきました。ちなみにこの日は火曜日で、混雑予想はなかったので、まず安心はしていましたが、時間はけっこうかかり、朝4:45に家を出ても結局8:30過ぎての到着でした。途中すき家で朝ごはんも食べましたし。

いずれ山形に入り真室川から最上川を下って鶴岡へ向かう道を走り、途中から左側(南側)へ曲がって山道をかなり走ります。今回、帰りは山形市へ出てから岩手に戻ったので、コースとしては月山スキー場の方からのルートの方が近かったかもしれません。が、情報ではそちらの駐車場代で1,000円かかることと、多分使いたくなるリフトに乗るならば往復で確か1,500円だったか、です。一人での登山でしたし、節約したわけですが、大回りの走行時間でガソリン代と、少し使った高速代を入れれば大差はないかもしれませんが。。いずれ、鶴岡の月山8合目からのルートの方が正統の道のようで、まあこちらにして良かったのかもです。

山形市では博物館等のある大きな公園のすぐそばの「かすみが温泉」に入ってきました。ここは市営で入浴料も200円、シャンプーや石鹸付きという穴場的な温泉でした。駐車場も問題なく停められました。夕食にラーメンを食べ、おみやげに山形の地酒セット等を買い、深夜の12時頃に家に着きました。かなり暑い日で下山して車でお風呂に向かうまでの間に500mlの飲み物を3本飲みました。月山の山頂部では涼しい風も吹いていて汗が冷たく感じられたくらいでしたが、下界の山形県内はかなり相当暑く、登山によりかなり水分も消費したのだと思います。

それに比べ、当地西和賀沢内では、数日前に初めて32.0℃の今期最高記録が出たとラジオで言っていた通り、35℃とかにはならない地域です。それはありがたいことですが、外で作業をしていると30℃でも暑いものです。でも田にとっては高温が大事ですので、寒さの夏をオロオロ歩くよりは、猛暑の方がずっとありがたいですね。

あとは、もう、彼岸りんどうの出荷までに草取りと草刈りに専念するのみです。隙間を見てにんにく植え(ホワイト六片から)も始めておきたいものです。とはいえ秋の品種も咲き進んできて、もうじき最初の1箱ができるまでとなり、お尻に火が着いた状態で他の済ませるべき農作業を進めています。