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田植えが終わり管理作業の日々

田植え後の亀の尾

5月の連休以後、農繁期に入っておりますが、5月は降雨続きの毎日で、土が乾かず耕耘作業にとても難儀した春になりました。とはいえ、田の方は、耕耘(田おこし)はこなれた土が求められる畑作りと違って、どうとでもなりますし、代かきや田植えは雨の中でもできますので特に支障はないのですが、切り花りんどうも栽培している当園では、去年まで水田だった圃場を春の5月にいきなり細かく砕土した畑にするという毎年の新植分床作り作業。。それは雪解けが遅く春も低温で雨の多い奥羽の山中ではいつも難事業で、6月第1週に苗が搬入される時期までにりんどう定植圃場の畝立てまでをやり終える課題に直面して、いつも憂鬱な気分になりがちです。。今年はまさにぬかるんだ畑作りになった年で、1週間くらい前までりんどう苗を植え付けていましたが、マルチの穴のボコボコの土をかき回して、そして通路のボコボコを手でほぐして、プラグ苗を土の隙間がない状態に密着して植え付けていくという、近年では状態の悪い中の作業になりました。こういう時に、ラジオとかで、県内平野部からの投稿で「畑におしめりの雨を待ってます」などの文言を聞くと、雨の多い当地ではイラッと来たりする、そんな、全体としてはいつものような5月でした。

 

除草機作業中

とはいえ、田植えも終わり、今年も量では亀の尾、ササシグレ、ひとめぼれの順に植え終えて、6月のいまは畦畔農道の草刈りと、水田の除草機をかける時期になっています。りんどうの芽かき草取り作業、タラノキの管理作業などの合間にですが、水田除草機で十分に除草をするためには、土を露出させて固くしてしまってはダメですので、深水にし、田面を柔らかく保ち、除草機もただ条間をまっすぐ一直線に進むのではなく、稲の株に接触するくらいジグザグに満遍なく動かして除草を行うことになります。この時期の稲は除草の回転器具が接触しても大丈夫で、植わっている稲ギリギリを攻める手法で分げつも誘引され、生育効果も上がると言えましょう。エンジン部分は背中に背負うタイプの刈り払い機で、ポールの先端にアタッチで取り付けるタイプの3条の水田除草機です。

 

亀の尾(6月27日)

西和賀町沢内の今年の稲の生育は遅れています(写真は6月27日)。関東以西(あるいは東北南部より南)で時折り「真夏日」のニュースを目にし、農家や評論家が猛暑による白濁米や減収を心配する声を報道したりしていますが、当地はなかなかそうした暖気の恩恵に預かる日は少なく、現在のところでは、さすがに今日は暑かったなという日も最高で28℃弱が1日あったかなと思います。うちの田に限らずですが分げつがなかなか進まず、現段階では茎数確保に不安があります。有機稲作のテキストなどで関東以西をモデルにした記述になるのでしょうが、例えば太い大苗2本植えで、といった推奨がこうした寒冷地ではあまり参考にならないことを痛感します。大きく太い苗ができればそれは良いことですが、苗作りの時期もまだ周囲には雪があり、地温自体が低く、まず芽出しまでの温度確保が最初の難関で、実際に出芽率も下がる傾向がありますし、薄まき推奨の苗箱作りは確かに危険です。結果、田植え後に目立つ欠株を長時間の手植え補植で補うような形を何度もくり返して来ており、毎年が気象との戦いの日々です。例外的に、昨年に関しては播種後に気温が高めで出芽も良かったですね。雪解けも早くて春のスタートが早く、作業的にも余裕を持って進められたし、夏も良い高温でお米も良く穫れました。その分、平年並みの遅めの消雪と冷涼傾向が続いた今年は厳しさを余計に感じるところです。りんどうの開花も遅れるのではという声が聞かれます。

稲の除草作業も終盤になってきました。除草機で掻き回して雑草を浮かせて退治する手法ですが、浮いた雑草が地面に再び着地しないように、浅水管理がセオリーの一般論に逆らって、深水を続け、かつ土を柔らかい状態にキープします。以前からの水田と、小麦やにんにくから転作した水田では雑草に違いがあり、やはり水田を長く続けている田はヒエやコナギが多いです。水面下の小さいコナギは除草機で浮かせてやれますが、水面から顔を出した雑草は除草機では取りきれず、手取りになります。手取り除草は厄介な作業ではありますが、重い除草機をジグザグに時間をかけて進ませる重労働の機械作業と比べて、どちらが楽とも言い切れません。気軽に毎日1時間手取りしよう、と空身で気軽な気持ちで田に入る時間を取りながら、雑草の多い箇所を集中的に歩いて、あと少しに迫った中干しまでの除草期間を乗り切りたいものです。一様に全部をくまなく作業するという除草機械的発想ではなく、草の多い箇所を選んで手取りするというやり方になります。100%を目指すことは不可能ですし、どう効率的に除草するか、でしょうか。

なお、いまは今年からの第6期中山間直接支払交付金の新年度に入り、役員としては役場に提出する書類作りにかなりの時間を取られています。いちばんは協定に入れる農地面積の確定ですが、それ以外にも面倒な書類がいっぱいあり、つくづく役所書類は苦手です。。朝からいきなり強い雨の日とかは諦めて1〜2時間PCに向かいもしましたが、目の前に迫る農作業を犠牲にもできず、夜間や朝食後とかに少しずつ小刻みにやるしかないのですが、本当にやることが多いです。消防の行事もあるし、りんどう関係の役員会やらいろんな集まりで、小規模農業経営者は本当にあれこれ多忙ですよね。全部一人でこなしますので。今夜も結局ブログ記事を書いてしまい、中山間事務は明日に先延ばしにしました。

 

南部小麦(6月27日)

南部小麦が色付いてきました。岩手の平野部ではいまはまさに刈り取り期で、晴天の今日などあちこちで刈り取っていることでしょう。西和賀は岩手の標準的地域に比べ2週間遅れます。消雪の遅さと春の低温が原因ですね。今回は40cm間隔で播種したことが良かったのでしょうか、昨年晩秋の好天が幸いしたのでしょうか、とても良い状態で、多収が見込まれます。とはいえ、いまは小麦の大敵である赤カビ病の発生時期です。こまめに圃場を歩き見回って、疑わしい状態の穂を見つけたら穂を切って圃場外へ持ち出して処分します。南部小麦の刈り取りは、例年ですと7月10日頃になります。実際は水分の%で判断します。水分が高い状態で刈り取ると、ハウスにハセ掛けをするわけですが、その後の乾燥が進みにくい嫌いがあります。しっかりとした乾燥(30%以下)を確認してからの刈り取りがベストですね。

 

にんにくとアリーナ(6月27日)

にんにく畑とアリーナ小麦の圃場です。にんにくは球の肥大に直結するトウ摘み(主に八幡平系)の時期を終え、あとは収穫適期を待つだけですが、どうやら今年は稲と同じく、またりんどうと同じく、遅れているようです。もっと暑くなって欲しいと願うばかりですが、これまでの遅れが急速に取り戻せることもないでしょう。なお、にんにくですが、今年の雪解け時の4月22日と、試験的に1か月後の5月22日にマルチを剥がしました。春から収穫期にかけて、にんにくの根域にマルチで高温の環境を作っていると、割れ、裂球を生じさせる可能性があるそうです。西和賀はにんにくの収穫時までに30℃超えしたりすることはあり得ませんが、念のためマルチを剥がしてみました。4月に剥がした2列はすぐに籾殻をリビングマルチとして施用しました。が、5月22日にマルチを剥がした残りの畝は、籾殻を持って来て散布する時間も取れず、そのままで収穫期を迎えます。使用する籾殻自体は残っているんですがね。雑草の具合にそれほど違いもなさそうなので、来年からはまだそう忙しくない4月に全部剥がして、すぐに籾殻でマルチングしてやることが作業手順の上でも効果的と思いました。あるいは前年の根雪直前に剥がしても同じかもしれませんが。

アリーナ小麦は極晩生で、南部小麦よりもさらに2週間後の刈り取りになります。こちらは強力の品種で、南部小麦と違い穂の色が白がかった茶色になり、とても背が高いです。背が高いことで、穂の長さも南部よりありまして、収量は多くなるありがたい品種です(スイス原産の小麦でパンに向く品種です)。

 

山下氏圃場

ビニールマルチを早めに剥がしてリビングマルチへ、とのサジェスチョンをくださったのは、青森県で長らく県の野菜研究所でにんにくの研究に携わっておられたにんにくの専門家山下一夫さんとの情報交換で教えていただいた農法になります。当園ではセンチュウ害の出どころである青森県の農家からの種苗購入などで(あるいは岩手県内でも既にセンチュウ害を受けた種球の購入植え付けにより)、にんにくの収穫品にイモグサレセンチュウ被害を受けたという苦い経験があります。そしてそれをタネとしてりん片を植え付けることで、畑の土壌自身も、収穫される次のにんにく自身もセンチュウに感染させるという残念な状況に悩ませれていました(もちろん壊滅的な話ではなく一部のにんにくに被害が見られたということですが)。この山下氏の手によって、センチュウ感染したにんにくであっても、その生長点付近を冬の時期に切り取って培養し、最初に得られるそのひょろひょろした状態のネギのような苗を春に植え付けて秋に1片のセンチュウフリーのにんにく片を確保し、そのりん片を購入する、あるいはその優良種子片を植えてもらって翌年に6片の球の状態のにんにくを作ってもらって購入するなどしています。そして当然畑もこれまでにんにくを植えたことのない圃場に移して新規ににんにく畑とし、センチュウやあるいは厄介なウイルスの元となるサビダニ被害もフリーであるにんにくの生産を、当園ではいま達成しようとしています。キロ単位で出荷する量をその優良種優良圃場で生産するには時間もかかりました。昨年はさらに冬期の畑の冠水事故によって多くの優良にんにくが失われてしまったことも痛手でした。

上の写真はそのにんにく専門家の山下一夫氏の圃場に、田植え後の、そしてりんどうの新植苗の搬入をし植え付けがまさに始まる前の6月上旬に訪れて、圃場を見せてもらった時の圃場の様子です。上の写真ではマルチが見えますが、どの色のビニールマルチが畝内部を高温化させにくいかの試験だそうで温度計で計測していました。いちばん高温にさせにくいのがやはり白のマルチでして、次が緑、そして黒、最後に透明が一番温度が上がったようでした。

なお、それよりも氏のアドバイスで最も共感を得たのが、「緑肥の敷き詰め農法」というべき手順でした。写真奥に背が高く生えているのは緑肥作物です。私も小麦やにんにくでの休耕期間の7〜8月に緑肥を栽培しており、にんにく予定地は8月終わり、小麦予定地は9月初めにトラクターで漉き込んで、腐熟させ、にんにくや小麦を植え付ける、という工程を取り入れておりました。しかし、山下氏によれば、すき込みではなく、刈って、重ねて土の上に置く、という手法がミソになるようでした。これは自然農法の基本手法です。下手に耕耘したりするのでなく、刈った草を土の上に置く、それがリビングマルチとなりにんにくを保護するとともに、年数を重ねることでふかふかの土づくりに寄与してくれる。私など毎年小麦からにんにく、にんにくから小麦へと、緑肥を挟んで輪作しているものの、その都度耕耘をすることで、逆に、固い土壌を招いてしまっていたのではないか、耕耘をやめて積み重ねた緑肥の上から植え穴を空けてにんにくのりん片を秋に植え付ける。そのことにより山下氏はふかふか土壌を獲得し、翌年の収穫時もにんにくの茎が抜き難くブチっと切れてしまったりすることなく、柔らかい土壌ですっと力を入れずともにんにくが抜けていく土づくりができるのであると。山下氏は最初からビニールマルチなしで敷き緑肥で通しておられますが、より気温の低い西和賀では、またにんにく以外に作目が多く雑草が取り切れないことも考慮すると、秋の定植時には当園ではビニールマルチは必要です。当地では冬が早く来るためににんにく植え付けはとにかく早めにが鉄則になり、ホワイト六片など早く芽を出す品種は10月になってからの植え付けでは完全に遅い。10月になってから床作りをして植え付ければ雑草もそれほどではないでしょうが、9月最初などの時期に早く植え付けをすれば、やはり9〜10月に雑草は生えて来ます。9月の10日以降はりんどう彼岸出荷や、下旬になると稲刈りと小麦播種を迎えかなり多忙です。そのため9月最初ににんにく植えをするスケジュールではマルチ使用は欠かせないですね。

にんにくは連作はダメだと思い込み、当園では小麦との輪作をしていましたが、山下氏の場合、にんにく収穫後にスダックス等のイネ科の緑肥を蒔いて植え付け前に刈り倒してそしてにんにくを植え付けるのですが、そこでスダックス栽培が挟まれることでにんにくの連作が絶妙に回避され、畑をにんにくに固定しても連作にはならない。耕耘してしまわずに、自然栽培流に耕耘をしないことでかえって柔らかい土づくりを実現させてしまってもいる。見事だなと思いました。小麦で私が真夏の休耕期にマメ科クロタラリアを緑肥栽培していることも連作回避により雪腐れ等の病害を防ぐ目的で、それはにんにくでも同等なようです。研究所の研究員の経歴の方ですから、有機栽培や自然栽培に興味があるわけではありません。図らずも自然栽培の良い部分に出会って、それを活用しているということです。なるほど、ですね。

激務が続いた5月が終わって、ちょうど軽トラで遠乗りがしたくてウズウズと鬱積していた折に、八戸近郊の山下氏の圃場を見学させていただいて、さらに時間を忘れて遅くまで長居をさせていただきましたが、有益な時間でした。

農業について突っ込んだ会話ができることは時間を忘れ喜びです。いま現在、小麦を作付けしている当園では県の農業普及員が赤カビ病の観察のためによく訪れてくれます。その度にいろんな対話ができることは、一人で田畑に閉じこもって作業する自分には良い刺激、情報を得る時間になります。小麦の担当者は水稲の担当者でもあるので、稲の話もします。有機のことは専門外ですので、逆に私からも有機の話をして知ってもらいます。いくら日々の草取りや諸々の作業で立て込んで押しまくられていても、対話は大事な時間ですね。

 

蕪嶋神社

八戸近郊の山下氏の圃場を後にして、せっかくなので、ウミネコの繁殖地「蕪島」に向かいました。家とは逆方向で、帰宅は遅くなることは承知の上ですが、蕪島は見ておきたい。長年の希望でした。夕方で既に神社への階段は閉鎖されていて残念でしたが、山下氏との懇談が続いたからなので、それは仕方もなく、でも、十分に蕪島を楽しめました。光景としても美しいですね。

 

蕪島のウミネコ

浜辺にはいっぱいのウミネコ。良いですね。八戸に春から初夏に来られる機会があったら、ぜひ蕪島を訪れてみてください。

 

モミジイチゴ果実

当園では野いちご、木いちごの植え付けをしています。大した面積ではないし、趣味の域を出るものでもありません。オレンジの美味しい実をならせるモミジイチゴは最も惹かれるいちごです。いちばん最初はどれがそれか、どこにあるかもわからずに、フリマサイトで苗を購入したりしましたが、モミジイチゴ自体を知った後は、近所で見つけたりして、それを庭に移植したりしています。最初にわからずに購入することは教科書代、勉強代で、そこから実物を知り探究がスタートするのです。そうして植え付けたモミジイチゴが実を着けてくれました。きれいないちごですよね。外国にもあるかどうかは不明ですが、日本国内では最高の野いちごと思います。いつか増殖して商品化したら良いのか、趣味の域にとどめておくべきか、将来性は未知数ですが、こうした行いができることのために、都会から脱サラし、農家になったのですから、農家冥利に尽きるとも言え、こうした手間に時間は余計にかかるとは言え、楽しい残業タイムを与えてくれる存在ですよね。だから、やっていられるのでしょう。農業カテゴリー自体の中に楽しみがなければ、やっていられないでしょう。あとは月に2日の軽トラお出かけとです。

ちなみに、ベリー類は、ブルーベリーやラズベリー、ブラックベリー、ハスカップ、カシス、クランベリーやコケモモなど西洋のものもありますが、草イチゴ、クマイチゴ、エビガライチゴ、ノウゴウイチゴ、バライチゴ、フユイチゴ、カジイチゴ、ナワシロイチゴ、ニガイチゴ、ホワイトピーチベリー(これは国籍不明)があります。木ではジューンベリーなどいまが食べ頃になっていて、庭でイチゴの実った姿を目にするのは楽しいものです。

 

Googleマップ
Screenshot

余談ですが、最近はPC等で一番よく楽しみに使っているのがGoogleマップです。中山間交付金申請でいまはアプリとしてはエクセルに最も向かっていますが、息抜きの「空想軽トラ旅」にGoogleマップは良き友です。たまたま家の近くをストリートビューで見てみたら、草刈り作業中の自分の姿が。。。小麦やタラノキの圃場を刈っております。いま現在、りんどうの早生品種の草取りと芽摘み作業が最優先で、この写真の圃場の草刈りはその後にすぐやりますから、もう少しお待ちくださいです。田んぼや小麦やその他広大な面積の草刈りと園芸品目の株の近辺の精密な草取り、そして田の除草とキリがありません。おいしくてボリュームもある定食の店はないかな、大雨が降って買い出しに出た時とかに、どういうスポットを訪れようかな、などついGoogleマップに逃げたりしながら、草との戦いと諸々の管理作業、そして地域の交付金のための事務作業をこなす日々が続いています。

 

天峰山・桂松院

先週のことですが、買い出しの用もあり盛岡へ出かけまして、その時、まあ命の洗濯と言って良いでしょうか、久々に盛岡からR455で岩泉方面への国道を走りました。天峰山・桂松院という地点をGoogleマップで見つけて、訪れてみまして、草の中、仏像と紫の衣を羽織った石仏さんの佇まいを見てきました。こういうあまり人々が訪れないスポットを見つけてさりげなく訪れるのが好きです。

 

天峰山から盛岡岩手山方面の眺望

天峰山というのは知りませんでしたが、R455から北へ入ったところに展望台がありました。外山という地域です。放送局の電波塔らしきものもありました。息抜き、は大事です。こうした場所を目指して走り、無心になる。こうして日々の激務も乗り越えられれば、です。

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稲作が終わり新米の季節へ

稲刈り2024

7月と9月に大雨があって、多雨多湿の2024年夏でした。気温は高かったと思いますが、晴天の印象が薄く、天候的には恵まれたとは言えないシーズンだったでしょうか。切り花りんどうなど園芸品目に病害が出て収量を落としましたが、いつもりんどうとお米は反対になり、今年の稲作は、大雨にもめげず病気にならないで平年よりは多収であったと思います。9月には雨が多かったものの、幸い稲刈り時期の下旬は田も割合乾いていて、去年のようにバインダーが進まないということはありませんでした。もちろん水のある中を用心して刈り進んだ箇所はありました。

 

稲扱き2024

脱穀の時期は割と秋晴れが多くて、今年は良い稲扱きができたと思います。とは言えこちらは気温の低い地域ですから自然乾燥に適しているとは言い難く、外のハセで15%まで水分を下げるというのは厳しいですね。三陸沿岸部とかで遅くまで掛けている風景を見たりしますが、長期間掛けていれば干せるだろうと思われますが、そうもいかなくて、特に11月に入って冬型の気圧配置になってくると、気温も低く小雨が多いぐずついた気候になってきます。籾の水分も下りはしません。10月中の取り込みは必須です。

 

ハウス稲の脱穀2024

そんな地帯ですので、この18間のハウスにも稲を掛けています。4mパイプ4段2連結が2列です。麦の乾燥の時は夏だし真ん中にもう1列作りますが、秋の稲の時は風通しの悪くなる中央部は設置せず2列で行います。それでも4段の下から2・2・1・1の束を掛けますし、ハーベスタに付けているメッシュのコンバイン袋ですが、ここから8袋穫れました。

 

わらカッター2024秋

外に干した通常の稲の脱穀後のわらは畜産農家さんに持って行ってもらいます。そしてこのハウスに掛けたわらについては、わらカッターで田んぼに戻します。ハウスには亀の尾を掛けていましたので、背も高くて効率が良いです。この意味でも長稈品種は助かります。ただ、このわらカット作業は結構体力を消耗します。通常田んぼは水を張っていて平面であるというイメージがあるかもしれませんが、それは慣行の農薬を使う人の田の話で、われわれは何度も除草機かけで田の中を歩きます。長靴の足跡で条間はボコボコになっています。なのでバインダーで刈る時もぶれそうになる動きを制御しながら刈っていきますが、バインダーはエンジンで走行します。このわらカッターは自走せず、エンジンは藁を切断し飛ばすための動力です。タイヤは一輪車に付いているようなタイヤで、自分で押して動かすので、これでわらを田の中で均一に散らかるように移動したり角度を変えたりして飛ばすのは結構力がいるのです。ちょっとした長靴の凹み跡でももう前進できません。むしろ移動は引っ張ることで行います。小さめの田で2枚に散布しました。ハウスに掛ける稲は5〜6アール分の稲なので、わらの量の入り具合は薄めになりますが、やはり毎年少しずつでも田んぼに還元したいものです。ハセ掛け栽培は稲わらを持ち出してしまうので。。

 

小麦の中耕除草

天気の良い日には小麦畑の中耕除草をします。今年は40cm間隔で播種しておりましたが、管理機とちょうど合っているようです。秋のうちに一度こうして除草しておくことは大事です。雪解け後の5月頃にも2度目を行いますが、やはり雪の押されて土も硬くなっていて、それほど綺麗に土が飛んでいかないのです。

 

南部小麦10月27日

10月27日の播種後約1か月後の南部小麦です。今年の秋は高温傾向だったため、秋に植え付けをするこの小麦やにんにくはとても生育が旺盛です。いつもとは違います。ああ、同じ岩手でも東北でもここより気温の高い場所は多いというかほとんどなので、みんな当たり前のように秋にこれくらいの生育になっているんだ、とつくづく感じます。こちらではそれが今年限りのラッキーな状況だということですかね。小麦の場合寒冷なのは悪いことじゃありませんが、早い根雪で年内の生育が早く終わり、遅い雪解けで春の再開が遅れることは結構ではありません。要するに雪がネックになるのが小麦栽培で、春先の雪腐れ病も原因は雪です。

雪腐れ病の対策は、連作をしないことと積雪前の年内の生育をしっかり充実させること、のようです。小麦と輪作できるのはにんにくくらいですが(あとは玉ねぎとか)、小麦と同じ面積のにんにくを交互に作付けするわけにもいきませんし、小麦の連作になってしまいます。そこで刈り取り後と次の播種の前の2か月余りの間にマメ科である緑肥のクロタラリアを栽培し、ある程度生育したところをトラクターですき込んで腐熟化し、小麦を播種するという形をとっています。マメ科を挟むことで連作の回避の意味と緑肥のチッソ分補給の両方を兼ねるのです。また、今回は、南部小麦よりも晩生であるアリーナの方を先に播種しました。ヨーロッパ原産のアリーナは南部小麦よりも雪腐れに弱いです。これは他のライ麦とかスペルト小麦などヨーロッパ小麦にも言えることで、まだアリーナは良い方ですが、それでも南部よりは危険なので、年内の生育量をしっかりキープするためには、早く蒔くということが大事になってきます。

前回も書きましたが、小麦播種は稲刈りと重なります。天気が良く土が乾いている時は稲刈りよりも小麦播種を優先します。ちょうど田植えが代かき後雑草の種が動き始める前に早く行うというのと同じで、小麦畑を耕耘ししかも土がこなれているうちに素早く播種を行う、できれば耕耘当日か翌日に、というのが鉄則になります。

 

焼石岳

いまはそんな激しかった繁忙期も終わり、一段落ついて秋仕舞いの時期になりました(とはいえ今度は雪の心配をしながらで、決して楽な時期というわけではありませんが)。それもごく最近からですが、ちょうど稲刈りが終わって、稲扱きにはまだ時間がある10月17日、かねてから計画していた焼石岳への紅葉登山をしてきました。

焼石岳はここ西和賀町に接する南本内岳から縦走すれば近いんですが、一般向けのコースじゃないので、初めてのコースで一人登山ではちょっと抵抗があり、ぐるっと胆沢ダムの方へ回ってから中沼のコースで登りました。胆沢ダムから登山口までの林道は結構な悪路でスピードも出せず、しかも紅葉の時期なのでもし駐車場が満車だったらどうしようとの心配もよぎります。その意味でその直前の3連休は天気が良かったものの入山はやめて農作業に専念し、新米時期限定の早期脱穀を行い新米を準備することができました。17日は紅葉もピークの好天の日でしたが、平日だったため、駐車場が満車ということはありませんでした(朝7時頃到着で3〜4割の駐車あり)。

 

中沼

地元じゃなく胆沢ダムからのコースにしたのは、紅葉の池を見たかったというのもありました。登山開始からすぐの中沼です。

 

上沼

やや進んで上沼。ここも素晴らしい紅葉です。

 

銀明水避難小屋

避難小屋があります。銀名水という湧き水のところです。避難小屋ってとても魅力的です。前にも書きましたが、予約も要らず値段も安い(あるいは無料)。2段ベッドが組み込まれてあってシュラフと食事の準備はもちろん必要ですが、快適に休めます。そんなに混むこともない。ただ、この場所は登山口から2時間くらいだし、焼石岳自体が日帰りの山ですので、よほど想定外のトラブルとかがない限りはなかなか利用する機会はなさそうです。6月に訪れた朝日連峰の以東岳の避難小屋は山頂近くで、大鳥池のコースで登山口から6時間。早朝に家を出て9時頃から登り始めて到着は夕方。ちょうど良い場所ですね。この以東岳も日帰りする客がいて、かなり強行になります。そのような方は前夜とかに登山口まで乗り入れて車中泊し、早朝から登り始めて日帰り登山をするのですが、そういう山行をするよりは、私は早朝に家を出て、そして山中で小屋泊をする、ということに惹かれます。人の多い関東の有名な山ではなかなかできませんが、東北の静かな山だからこそ、避難小屋を使って夜も昼も山を楽しみたいものです。

 

銀明水

こちらは銀明水という湧き水です。昔からある名水のようですね。中央に見えるパイプ?のようなものはなんでもなく、石の左下から流れてくる水をその出口の箇所で掬って飲みました。よくわかりにくいですが、木の踏み台みたいなものの右側は水の流れになっています。帰りに2L汲んで家でコーヒーや米の水に使いました。

全くの余談ですが、9月のNHK交響楽団の定期でブルックナー8番の「初稿」での演奏会があり、FMとテレビ番組とで放送がありました。指揮は現在常任のファビオ・ルイージです。今年は生誕200年ですしね。ビッグイベントです。

ビックリです。大学1年の頃から40年以上聴き続けてきた8番の初稿がこんなだったのか、と。1楽章の終わりが何と大きく盛り上がって終わるし、3楽章の頂点部ではシンバルが3連打!! 個人的にはここでシンバルが入らないハース版よりも1発大きく鳴るノヴァーク版の方が好きでしたが(その後でもう1発入りますが)、3連打は驚きでした。ノヴァーク版が好みというよりは、オイゲン・ヨッフムのブルックナーが好きだったことによります。いや、でもこの初稿は一番好きかもと思いました。発表後も改訂をくり返すことの多かったブルックナーの交響曲ですが、誰の意見に左右されず、まだ自分の完全な好みで描かれた初稿ですから、最もブルックナーらしさに満ちていると言えます。ブルックナー8番はやはり私には松本市での大学生生活の空気感がまとわりついています。10月になれば空気もぐっと下がってきて、湿度もなく、とても稲がよく乾きそうな。そういうヒヤッとした感覚が蘇りました。

しかし最近は、どちらかと言えば5番の方が好みになっています(私の趣味など別にどうでも良いことではありますが、5番には着目してもらいたい気持ちです)。2楽章も美しくて好きですが、やっぱり終楽章のコーダの部分が凄いですよね。ここの金管セクションはものすごい体力を消耗するそうです。金管が旋律を強奏し、弦楽器は完全に伴奏のリズムを刻みますが、この伴奏もまた良いんですよね。最近「カケルクラシック」という毎回ラジコで聴いている番組にゲスト出演した、NHK教育ピタゴラスイッチで有名な「栗コーダーカルテット」の一員の方が、自らの思い出深い演奏として東京カテドラルで行われた朝比奈隆の5番を挙げて、そのコーダ部分が放送で流れましたが、これもまたテンポも雄大で迫力でした。あまりに凄い演奏で、終演後誰も拍手を打ち鳴らせず沈黙が続いたそうです。オケは大フィルでなく東京都響だったように思いますが、CDで見つけることはできない特殊な音源なようでした。5番も朝比奈、ヨッフム、チェリビダッケの3人のライブ録音をよく聴いています。東京へ上京した最初の年に朝比奈/大フィルの8番を東京文化会館で聴き、バチバチと照明がショートする銀座線に乗って三軒茶屋から上野まで行きましたが(外苑前で乗り換えだったか)、その時は比較的早いテンポで進んでいましたが、生まれて初めての生の8番は感動的でありました。これが唯一の朝比奈体験でした(ハレー彗星の来た1986年です)。ちなみに、8番のヨッフム/バンベルク交響楽団の東京公演は大学生の頃に帰省中の広島でFMの生放送で聴き、これも凄い名演で、わなわなと震えました。NHKホールだったでしょうか、CDで持っていますが、私には8番のベストの演奏です。最後の3音の微妙にためながらの終わり方にもしびれました。東京へ出た年には、朝比奈だけでなく、実はヨッフムも来日していました。しかも確かすぐ近所の昭和女子大学人見記念講堂へ来たのに。。お金がなくて行けませんでした。まだサントリーホールができる前で、この人見記念講堂が日本のベストのホールとされた時期です。ブルックナー7番だったと思いますし、CDにもなっています。まだ未購入ですが、聴きたいですね。

後に、サントリーホールには出版社にいた頃にマーラーの「大地の歌」を聴きに行きましたが、オーケストラの大音量で歌い手の声が掻き消えた箇所があり、それは少し残念でしたが、マーラー自身この曲を耳にすることなく亡くなってしまっているので、オケと歌手の音量のバランスがわからなかったのかもしれませんね。オケの編成は確かに大きかったと思うので。

NHKホールにもよく行きました。1,000円の当日券D席で、会社を早めに退社して、確か6時頃から当日券発売だったような。。コンサートでは珍しいマーラーの3番や、記念碑的な8番もここで聴きました。両曲とも10年に一度くらいの稀なる演奏会ですね(地方では皆無で東京でですね)。マーラー8番の「千人の交響曲」を聴く機会など一生に一度でしょうから、貴重な体験でした。神保町の洋書屋さんでレクラム文庫版の「ファウスト」原書を買って、8番の歌詞を追ったものでした。最後の「hin an!」「上へ(天上へ)!」のラスト、懐かしいです。タムタムが一発荘厳に鳴り響き、終結する。この初演の時は当代の作曲家や指揮者はむろん、ホフマンスタール、シュテファン・ツヴァイクやトーマス・マンも会場にいたという話です。音楽のイベントが歴史的事象になった出来事と言われました。このマーラーの8番、出だしも強烈で、「Veni creator spiritus」(来たれ、創造主なる精霊よ)、でいきなり有無を言わさず引き摺り込まれるわけですが、当時就学以前の幼少の子どもたちに冒頭を聞かせながら、この意味をどうやって教えよう、「おいで、世界を作った妖精さん」で始まるんだと伝えたことも、懐かしい思い出です。

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2024年秋作業繁忙期です

アリーナ脱穀前乾燥中

今年の夏は梅雨の頃から雨が多く、梅雨明け後の晴天もそれなりにあったかもしれませんが、あまり記憶になくて、日照が少なくとにかく湿度が高くムシムシした夏、という印象が強いです。9月の10日頃になってようやく晴れ間のある時にカラッとした空気になってくれた、という感じです(とはいえいまはひどい雨降りになっておりますが)。ハウス内で乾燥を続けていた南部小麦とアリーナ小麦ですが、なかなか水分が落ちず、現在は写真の束の段階から脱穀、そして籾摺り機による選別も終え綺麗な玄麦ができているのですが、メッシュの袋に入れてハウス内で追加の乾燥を続けているところです。水分計での計測はその時の外気の湿度に影響されるので、湿度が高い時は水分も高めに出る傾向もありますし、実際湿度が100%であればどんなに風を送っても乾燥はしてくれないと思います。とはいえ、これから空気も変わってきますので、秋晴れっぽくなってくれることを期待しています。今年の小麦も宜しく願いいたします。なお、製粉しての出荷は、ある程度注文がまとまってからの発注になりますので、晩秋の頃になるかと思います。

 

クロタラリア

小麦の栽培に当たり、近年取り入れているのが、豆科緑肥のクロタラリアの栽培とすき込みです。小麦刈り取り直後の7月15日頃、すぐ耕耘しクロタラリアを播種し、浅い耕耘で覆土、そして9月の最初に耕耘しすき込んで2〜3週間寝かせ(腐熟させ)、最終に耕耘し直後に小麦を播種します(9月25日頃)。小麦は肥料を入れないとなかなか育たなく、また特にこちらのような豪雪地では小麦の連作によって雪腐れ病が発生します。小麦に連作障害があるとすれば、アメリカなど見渡す限りの小麦地帯などではどうやって何と輪作しているのだろう、小麦だけの連作以外考えられないんじゃないの、と思わずにはいられませんが、雪が多いこの地方では、雪腐れ病のためだけに、ということでも確かに連作は良くないようです。しかも高温多湿の日本(ここは高温というよりは低温での多湿になりますが)というのは、小麦には不利な条件と思います。

 

クロタラリアのすき込み耕耘

緑肥をいままで深くすき込もうとロータリーを深めにして掘っていましたが、そうすると1度の耕耘ではすき込めず、連続2回掘っていました。今回は浅めに設定して回転を早めてみまして、そうすると1度の耕耘ですき込めました。背丈がちょうど良かったということもあるでしょうが。。あとは小麦播種直前に最終耕耘し播種になり、この時に深めに掘ります。天気だけがいちばんの心配です。昨今のニュースで見るゲリラ豪雨などに見舞われれば、秋ですししばらくは土も乾かず、小麦は種の適期を逃してしまいます。こなれないボコボコの状態で播種しても発芽率が落ちます。今年は7月後半に厳しい大雨が続きまして、山形や秋田で水害が起こりました。その時の気象は日本海側の気候である当地にも影響を与え、ちょうどクロタラリアの播種の直後に当たり、特に粘土質系の畑では水たまりができまして、クロタラリアの発芽不良に見舞われました。南部小麦とアリーナ小麦の2種を作付けしていますが、ちょうど晩生のアリーナ刈り取り後に蒔いたクロタラリアが大雨の影響を受けた形です。

また小麦作付け時期からの逆算で、緑肥は9月アタマにすき込まなければなりませんが、アリーナ刈り取り後のクロタラリアの生育は南部小麦よりどうしても1週間は遅れるために、その分遅れ、背の低い状態ですき込まざるを得ず、緑肥効果としては損をするということにもなります。2か月ちょっとというギリギリの小麦休耕期間に緑肥を育てすき込むので、スケジュールはタイトです。雪のない地域であれば、ゆっくり緑肥を育て、10月の中頃にでも小麦を蒔いて十分育ちますので、これは過酷な条件ではあります。

有機での栽培としては緑肥はとても貴重で大事な要素です。ただ、緑肥は種子代金が結構かかります。また何度も耕耘を繰り返し、軽油代もかさみます。稲など無肥料で、しかも代掻きと合わせても3回のトラクターがけですが、小麦の場合、収穫直後・緑肥播種の後の覆土・緑肥すき込み・小麦播種前の耕耘、で4度の耕耘になり、そもそも収量も販売単価も米よりも低いという、ほとんど常識ではメリットがない作目になります。楽しみの面での生産という側面も確かにありますが、実際は合理性や経営判断で全部を水田にしてしまっても、作業的に大変だし在庫が捌けるほど販売できないかもしれない。また田んぼにできないような条件の悪い畑もあります。稲と小麦は作型が違うため労力を分散できる、といったメリットもあります。有機での麦作はほとんど流通がないし、自分が取り組み続けることは需要に応える意味でも確かに有益ではあります。乾燥ハウス麦束収納能力にも限界があり規模の拡大は難しいですが、現状の3〜4反歩で2品種をという作付けを続けていきたいと思っています。

 

今年の優良にんにく種

8月の末より小麦と同じ作型であるにんにくの植え付けも進めています。今年は年明けの冬、長野県出張中の時期に、杉の枝とかで詰まった水路から水が畑に流入していて、にんにくがダメになってしまう事故があり残念な年になりましたことはお伝えしております。近年、土壌病害やウイルスに侵されていない生長点培養のにんにく種子を専門技術者の方から購入し量を増やしているところですが、この貴重な優良にんにくも水難で量が減り、この秋また新たに注文をし、来年以降に備えました。左はホワイト六片の原種に近い田子原産の品種、右はこの秋よりスタートする山形県の有名な「最上赤」になります。八幡平系統では西根(八幡平市内)の由来の種が追加になりました。あとは休眠が最も深い八幡平系の植え付けを残すのみになっていますが、水難に耐えて生き残った種子りん片はどれも小さく量も少ないです。八木と八幡平については来年夏の収穫物も今後の種使用を最優先することで、出荷に耐えうるサイズのにんにくは来年は供給できないかもしれません。その分、ホワイト六片系統は来年の食用の通常出荷に耐えうる量を植え付けしておりますので、来年はホワイト六片主体の出荷ということで宜しくお願いいたします。

 

彼岸りんどう夜なべ作業

彼岸りんどうの最需要期を何とか乗り切ることができました。市況を見てみて、結果は大体良いタイミングで出荷できたのかなという感じで、最も値段が上がるはずの18日出荷20日販売は出荷量が下降し、値段もやや下がって、これで終わり、になりました。量的には16日月曜日の市場が最大の出荷量になるようですね。当園でもそうでしたので、多分どこの産地も同じと思います。花屋さんは今週の前半に仕入れたりんどうをこの3連休に売っているでしょうが、現在は追加での新たな出荷はもうありません。天気も悪いお彼岸でしたので、売れ行きはイマイチ振るわなかったかもですね。。

今年は全ての作目が前倒し出荷になっていて、彼岸りんどうまでそのように今年の傾向に引きずられました。紅葉と同じで暑い夏だったから逆に開花が遅れるかなと思ったりしましたが、そうではありませんでした。もっとも、前倒しのため、逆に彼岸需要期に間に合わずこれから遅れて出荷されたりんどうが大量に出回る、ということはないわけなので、価格の暴落はないのかなと希望的に観測しています。これからは極晩りんどうの出荷がまだ残ります。とはいえ、今年は高温多湿(当地では主に7月の多雨)により病害が多く、出荷量は平年よりも少なくなってしまっています。お盆の時など7月半ばから開花が始まっていて、日々の管理作業との兼ね合いがちょっと間に合わないよと、とっかかりが遅れて畑にかなり残してしまった苦い経験もありました。もっともムリクリ出荷しても値段はかなり安かった時期です。りんどうは高温多湿に弱い作目ですので、今年のような多雨の夏の状態が今後も続くならば、当地よりも暑くさらに深刻にダメージを受ける地域はより増えることと思います。いつものことですが、米とりんどうの出来は逆になります。なので、米の出来は悪くはないのかと思いますが、どうでしょうか。。高温多湿化の進展で産地が何でも北へ北へと移動していくことになりそうです。米も同じで、新潟はコシヒカリの適地でなくなる日も遠くない気がします。

 

稲2024年9月16日

稲刈りも近づいています。りんどう彼岸出荷が終わったら、稲刈りするか、小麦を先に播種するか、で迷います。いずれまずハセを作らなければダメなので、それが手始めです。土が乾けば小麦の耕耘と播種が優先になります。稲の写真は9月16日の左がササシグレ、右が亀の尾です。水口付近からの撮影になります。いつも気温の低いここでは十分熟せないかな、という極晩生の亀の尾ですが、今年はここでもよく育ってくれました。収量も以前よりも上がっているかと思います。9月中には亀の尾含めて稲刈りが終わるかと思いますし、10月上旬には、ひとめぼれと亀の尾については少量ですが早期脱穀米(17%水分のみずみずしい新米)の出荷をさせていただきますので、その際は宜しくお願いいたします(いつもお買い上げいただいています方々にはご案内をさせていただきます)。

 

2024秋アリーナ播種

どの作業に着手するか迷いましたが、土が乾いていたので、小麦の播種、まずはアリーナを蒔きました。稲刈りの場合、雨の後で土が湿っていても、バインダーがぬかるほどでない限りは稲刈りできますが、小麦播種はまずトラクターで耕耘してからとなりますので、天気の具合を見て、まずアリーナ約17アール分の耕耘と、そしてすぐに播種を行いました。南部小麦よりも晩生のアリーナを先に播種したのは、アリーナはヨーロッパ原産で南部小麦よりも雪腐れに弱かったことから、雪腐れの原因の一つである「根雪となる年内までに十分な生育がなされていない」という事態を回避し生育を少しでも進めておきたいとの考えでした。これで来年の収穫期が早まるというわけではないでしょうが、早く蒔いて、もしかして少しでも早く熟し収穫できるようになれば、その分来年の緑肥クロタラリアを大きく育ててすき込めることにもつながるとも言えます。

しかし播種翌日の昨日9月20日から東北は大雨となり、発芽不良がとても心配されます。どうしても水溜まりが起きてしまうので、種の腐れと流されることが懸念されます。

 

111コーヒー

さて、娯楽面ですが、前から気になっていた町内の「111coffee」に行ってきました。ジャンボスライダーがある焼地台公園内にあり、地元の若者が営んでいます。初めて飲んでみましたが、これはこれまでの中でダントツの美味しさでした! この店のコーヒー豆を買って、自分で淹れて飲んだことはありましたが、全然違う。やはり淹れ方が大事なんですね。本当に感動的な味でした。写真では何かが浮かんでいるように見えていますが、窓の外の何か(木とか)が写り込んでいるようです。お菓子も手作りで、品があり、閑静な公園内だし良い場所があるんだなとつくづく思いました。町内でカフェやクラフト作家、新手の宿泊サービス等での起業の機運が高まっていて、とてもわれわれにとっても励みになる昨今の西和賀です。地域おこし協力隊がらみでの参入者も順調に増えてきていて、われわれ農家もより時代の流れを意識した新しいモノづくりの達人を目指して精進しなくてはなりませんね。

 

八時の芝居小屋

月に1回から1.5回でしょうか、息抜きも必要で、お盆のりんどうが一段落した8月28日、芝居を観てきました。去年はこの時期に月山に登ってきました。「八時の芝居小屋」という名目の小規模な劇で、盛岡の「もりげき」地下のタウンホールで不定期に行われているようです。盛岡まで1時間はかかりますし、行く時にはいろんな買い物や所用をすませますので、時間的には4時頃からの半日分のスケジュールになりますが、たまにはこうした観劇も必要ですよね。小規模な一人独白の短編が3つ4つという感じで大きな感動を得るタイプの回ではありませんでしたが、気分転換になりました。怪談系というかミステリー要素でした。11月にある四季の「ジーザスクライスト」も観てみたいですが、値段的に手が出ないでしょうね。。

「ジーザス」で思い出しましたが、春に出かけ私はとても感銘を受けた「大籠キリスト殉教公園」にお盆に帰省した子ども2人を仙台に送るという機会に連れて行きました。そしてその後には大川小学校の遺構にも。暑い日で大籠で300段の階段を上がるのは結構しんどかったですが、こうした施設を見せることは、経験した私が率先しない限りなかなか本人たちが思い立って足を運ぶということはないでしょうから、まあ連れて行って良かったのかなと思っています。

ちなみに、彼岸りんどうの出荷が一段落した昨日、9月20日は雨だったこともありますが、お昼前に出て、買い物がてら、盛岡で「ラストマイル」を観てきました。時間の余裕があったので、中央公園の駐車場に車を停めて、久しぶりに映画館まで(フォーラム盛岡)まで30分歩きました。ここの道は子どもたちが小さかった頃からよく通っていて、市民文化ホールのオルガンコンサートやら、ランチバイキングやら、映画やらで盛岡市街地へ向かう際によく歩いた道路です。また冬に盛岡の合同庁舎で土壌分析のアルバイトをしていた時も、雪で田沢湖線の電車が止まったりしたときなどに、ここまで車で来て、内丸まで歩いたものでした(約40分)。「ただ歩く」というのは農作業であれこれ忙しなく思案しながら歩くのと異なって、良い気分転換なんですね。傍観者として周りを観察する、という気持ちが心地よいのです。盛岡駅の中を横切って、西口から東口へ、そして開運橋を渡って大通りへ。帰路では途中クロステラスでいろんな地域の産品を眺めたり。冬の盛岡普及センターからの帰り道もそうでした。どんな地域で誰がどのような個性的な商品を出品しているのだろう。とても気にかかることです。ここにたらの芽を出荷していた時もあり、通勤する朝にたらの芽を出荷して、ということもやりました。盛岡へ通ったのは震災のあった年度から7冬でした。

「ラストマイル」から派生していまAmazonで「アンナチュラル」を観ております。面白いです。天気が回復すれば昼間稲刈り、夜りんどう、になりますので、いまだけの貴重な時間です。

 

唐揚げとエビチリ

8月の芝居鑑賞の時、前から気になっていた唐揚げが評判のお店へ寄ってみました(盛岡食堂高松店)。左ですがでっかい唐揚げが売り物です。NHK盛岡放送局のすぐ近くです。大衆食堂って良いですね。右は昨日「ラストマイル」を観る前に入ったエビチリのお店です。盛岡南イオンの近くのホーマック(いまはDCMとかいう?)そばの中華料理店です。PANOPANOというパン屋さん(昔サバの入ったパンを食べ美味しかったです)の路地へ入ってすぐそば、向かいはツルハドラッグです。わざわざ記事にするべきことでもありませんが、どうしてもエビチリが食べてみたくなって、検索し見つけた中華料理店です。大変美味しかったですが大衆食堂ではありませんでした。。私は量も多く食べますし、少なくとも食堂に関しては意識低い系の方が好みです。エビチリが食べられる店はそんなに多くなくて、弁当とかでも見ないですよね。見つけたのはやはりGoogleマップです。PCで一番使っている機能かもしれません。「エビチリ」で検索できるんですね。口コミも拾ってくれたりで。「大衆食堂」とかも打ち込んでおくと高級中華の店が排除されるかと思います。12:40頃の入店でも5分くらい待ったので、人気店ではあったと思います。写真のセットで1,100円でしたが、やはりもうランチも1,000円時代になってしまったんですね。

稲刈りで使う消耗品にバインダー紐がありますが、10年くらい前は1個700円くらいだったと思います(当園ではだいたい15アール分でしょうか)。いまは完全にその2倍の価格になっています。燃料代も上がっているし、お米の値段が上がるのも無理はないかもですね。南海トラフの注意喚起報道がきっかけだったかもしれませんが、今年は米は作柄が良いのではないかと思いますよ。去年の米をいっぱい買ってしまった人は、その分新米を買うのが遅くなりますよね。古いのから食べるでしょうから。当園では便乗で米を値上げすることはしませんが、ここ数年の間にゆうパック料金が小出しに値上がりし続けていて、自分の代金負担分が増えてきておりましたので、送料のみ、実際かかる額に改定させていただけたらと思っております。家に来てもらう集荷では高くなるので、郵便局へ持ち込みにし、スマホ割の料金で支払っております(土日祝日は出荷できません)。送料はその実費の額にさせていただいて、と思っています(実質100円ちょっとのご負担増になる感じですが)。

最後に、「そうそう」、で始まる講談師神田伯山のラジオが面白くて、作業中、普段のラジオでお気に入りの番組じゃない時に、ポットキャストでずっと遡って自動再生で聴いております(本当は遡りじゃなくて時系列で聴きたいんですが、できません)。聴いていて思ったことですが、前に村上春樹氏と小澤征爾氏の対談の本を読み、ちょっとした感銘を受けました。普段われわれは何かを感じ、思った時に、それをいちいち言語化しないで直観的に頭に浮かべている、ということをやっていると思います。ブログ記事にしたりする時はもちろん頭で言葉にして反芻してみたりもしますが、それ以前の段階では通常頭の中で、ある形態の意識が生じている、という感じなのかと思います。その感覚的なことを村上春樹は綺麗に言葉で表現してくれて、まさに「そうそう」、そういうことを私も考えていたよ、という共感になりましたね。音楽についての本だったから、余計にそのような直観→言語化の妙を感じることができたのかもしれません。伯山のラジオを聴いてもそういう気がしていまして、やはり語りのプロだな、と思いながら笑わせてもらっています。本人も語っていますが、「吟味された言葉の選び方」が工夫されていて、それが意識の事象をくっきりと形にしていることなので、偽りようのない「本音」なんだと思います。村上氏の時と同様に「そうそう」と心地よく感じられるのですね。

この雨、また強くなってきました。播種したアリーナ小麦が心配で。。

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小麦とにんにくの準備と夏休み

クロタラリアのすき込み

りんどうの切り花出荷をしていると、お盆と彼岸の出荷の山があり、その谷間の時期は、小麦とにんにくの圃場作りやホワイト六片の植え付け、草刈り、諸々の草取りの作業で、谷間の時期とはいえかなり慌ただしい日々になり、夜は夜で乾燥を終え冷蔵保存中(氷温冷蔵)のにんにくの出荷のための皮剥き作業で過ごしています。

彼岸のりんどうが咲いて来る前に秋植えの畑の準備を終わらせるために、逆算して結構煽られる時期になります。とはいえ、何かレジャーやお出かけができるのはこの時期ならではなのですが。。

小麦畑では、収穫後の休耕期間に播種したマメ科のクロタラリアが旺盛に茂っていて、これをトラクター(ロータリー)ですき込む作業を行いました。何回か書いておりますが、小麦は連作障害があり、またそれに起因して豪雪地では雪腐れ病を起こしやすくなるために、イネ科でなくマメ科の緑肥を作付けし連作回避をするとともに、小麦栽培に必要なチッソの補給を行うという工程を組み入れています。自然栽培であればこれのみで良いのですが、冬が長く気温の低い当地では、加えて鶏糞等も施すことで、収穫量を見込むことになります。

小麦の刈り取りから次の播種まで2か月という短い期間に生育させてすき込みし、しかもその後播種まで腐熟の期間が2〜3週間必要です。速攻で旺盛に育つ品種のマメ科の緑肥というと限られていて、小麦ではクロタラリアという緑肥を組み合わせることになります。

 

ネマコロリ

去年は同じクロタラリアという種でもネマックスという丸葉で柔らかいタイプの緑肥種子を栽培しました。ただ値段も結構高かったため、今年はいくらか安いネマコロリという品種のクロタラリアを購入し作付けしました。7月23日に播種し、8月26日にすき込みをしました。断然こちらが早いです。すき込み時点で背丈は120cm。1か月ですごい生育です。ネマコロリは細葉タイプで、生育は旺盛だがすき込み作業に困難な場合もあり、その際は早めの段階ですき込むようにという記述も見かけましたので、トラクターで手に負えなくなってしまうくらい伸びる前に、また天気もちょうど翌週から雨模様になるとの予報もあり、少し早いんでしょうがすき込みをしました。

しかし想定していた以上に柔らかくすき込むことができました。おそらく、今年の猛暑を受けて、暑さを好むクロタラリアは例年以上に短期間でぐんぐん生育し、かえって柔らかい状態で体が大きくなったのではと思います。西和賀のワラビが豊富な雪解け水といきなりの春の日照で急激に太く柔らかく育つ、というのと同じ感じの理屈? 今年の天候はクロタラリア緑肥にとっては好条件だったようです。背丈が伸び植物体の量が増えることでチッソ量も増すし、旺盛な生育で雑草を抑えることにも貢献してくれています。これから3週間以上かけて腐熟させたのちに、2度目の耕耘をして、そして小麦播種をします。

 

南部小麦とアリーナ乾燥中

乾燥中の、右が南部小麦、左がアリーナ小麦です。8月15日に脱穀しました。まだ脱穀直後そのままの状態なのですが、近々、籾摺り機でゴミの茎葉や殻などのゴミ飛ばしと玄麦に付着した薄皮の除去の作業を行い、玄麦として完成します。注文もいただいておりますので、早めに行い出荷をしたいです。米の籾摺りの時に小麦が混じるため、本当は小麦用の籾摺り機もあったら便利なんですが、なかなかそこまでは余裕がありません。。

 

ツキザワの家クラフト展1

さて、お盆には、去年もでしたが、古民家ツキザワの家でクラフト展が完済され、行ってきました。右奥はウッド工房ブナの森の竹澤さんのブースです。このサイトでも書いておりますが、栗の木の片袖机を作っていただいた方です。不慮の火事で工房の建物を失い、自宅の中に工房を再構築しての制作活動をされています。飾られている写真はこの古民家のオーナー、写真家瀬川強さんの写真です。

 

ツキザワの家クラフト展2

こちらは山のうえアイアン田中正博さんの鉄アートの品々です。また今回、木の家具製作の「nokka」工藤さんと、西洋木皿作家「waranoue」藤原さんとお会いすることもできて、良い時間を過ごさせていただきました。

 

菊池・nokka・waranoue

初対面であったnokkaさん、waranoueさんと話し込んで時間が過ぎ閉館時間となってしまい、詳しく写真を撮ることができませんでした。左は、木工竹澤さんと同じく古くから陶芸をなさっている菊池窯・菊池啓二さんの作品、右が新しい作家2名、上がwaranoue、下がnokkaの作品です。どうぞご本人のサイトで大きい写真もご覧いただけたら幸いに思います。

これも前にも書いていることなのですが、私自身はアート創作とは無縁な無芸の人間ですが、農業の土台に、芸術や創作活動の気持ちを持っていたいと常々持っていて、農業の営みは創作の精神とは無縁であってはいけないと感じている者です。そういう意識を持っていると、自ずと文芸やアート活動に取り組む人たちに対し親近感を覚え、関係性ができてくる気がしています。彼らとの交流は大切にしたいと思っています。

 

カズグリ自生地

さて、冬の手首骨折の関係で時々北上市への通院があるのですが、その際は遠回りの遠足を楽しむこととしていまして、今回はお盆繁忙期の後の休息ということで診療後に足を伸ばして探索してきました。

花巻市東和町の「カズグリ自生地」の探訪です。っカズグリというのは野生種の栗の突然変異種で、唯一ここにある木だけです。囲いの柵の中には唯一の変異株の木から接ぎ木で増やした数本が実を付け始めています。家のそばの栗の木が既にイガを形成していたのを見て、かねてからチェックしていた自生地に訪れることにした次第です。

 

カズグリ

数個のイガが数珠つなぎに連なっている不思議な栗の実です。

 

早池峰ダム

そのあとに、早池峰ダムに出かけました。早池峰山が奥に写っております。

折壁峠から早池峰山

帰路に着き、折壁峠を至りました。ここからは広大な山裾の背後に早池峰山が構えていて、とても良い景観をなしております。ここから紫波町方面へ抜け、花巻経由でなめとこラインを通って西和賀に戻りました。

 

月山山頂

7月の下旬にちょ山形県の山、月山に登る予定だったのが、りんどうの出荷が激しく、断念。そのリベンジでお盆後に月山8合目の駐車場がやや空くだろう8月22日(火)に月山行きを決行しました。正面が月山の頂上である月山神社ですね。上りが3時間ちょっと、下りが2時間ちょい、という感じのスケジュールでした。ほとんどが岩で組まれた登山道のため、つまづいて転びそうになるようなゴロゴロの岩の道でして、ここで転んだら骨折だな、という意識で一歩一歩進む感じでしたね。昔会社の近くにあった登山靴の店(巣鴨の辺り)で足の形を取って作ってもらった軽登山靴が活躍してくれました。

 

goro登山靴

30年前に購入したgoroの軽登山靴です。いまはこのような茶色の川の登山靴はあまり見かけませんかね。30年前のスタイルでした。。またいまは多くの方がストックを両手に持って登っていましたが、これは岩の道での転倒防止や、また斜面を登る時のヨイショの力入れにも使えます。自分は急な登りの場所は太ももを手で押すようにして登ってましたが、ストックを使った方がずっとスマートですね。

 

八紘一宇

八紘一宇、、全ての事象には差別などなく、一つの家に平和に暮らすように生きることが理想とする、というように解釈されるんでしょうか。そのような、信仰の雰囲気に満ちた山なんですね。随所に見られたお花畑も、どこか現実を超えた世界のごとくに咲いておりました。

 

月山登山入り口鳥居

下って、ほとんど駐車場近く。鳥居の中に写るのが月山です。登る時に撮影すべきですが、上りは別ルートでした。

 

月山8合目ライブカメラ

月山登山が気になり始めてから、月山8合目の駐車場のライブカメラというサイトを時々見ておりました。全部で170台停められるそうですが(右奥にまだスペースがあります)、苦労してカーブの多い狭い山道を上り詰めここまで来て車が停められない、となると結構悲惨ですよね。土日やお盆は到底無理でしょう。朝岩手を発って向かうというのでは。。ほぼ下山したタイミングでのライブカメラの画像を記念に保存しておきました。ちなみにこの日は火曜日で、混雑予想はなかったので、まず安心はしていましたが、時間はけっこうかかり、朝4:45に家を出ても結局8:30過ぎての到着でした。途中すき家で朝ごはんも食べましたし。

いずれ山形に入り真室川から最上川を下って鶴岡へ向かう道を走り、途中から左側(南側)へ曲がって山道をかなり走ります。今回、帰りは山形市へ出てから岩手に戻ったので、コースとしては月山スキー場の方からのルートの方が近かったかもしれません。が、情報ではそちらの駐車場代で1,000円かかることと、多分使いたくなるリフトに乗るならば往復で確か1,500円だったか、です。一人での登山でしたし、節約したわけですが、大回りの走行時間でガソリン代と、少し使った高速代を入れれば大差はないかもしれませんが。。いずれ、鶴岡の月山8合目からのルートの方が正統の道のようで、まあこちらにして良かったのかもです。

山形市では博物館等のある大きな公園のすぐそばの「かすみが温泉」に入ってきました。ここは市営で入浴料も200円、シャンプーや石鹸付きという穴場的な温泉でした。駐車場も問題なく停められました。夕食にラーメンを食べ、おみやげに山形の地酒セット等を買い、深夜の12時頃に家に着きました。かなり暑い日で下山して車でお風呂に向かうまでの間に500mlの飲み物を3本飲みました。月山の山頂部では涼しい風も吹いていて汗が冷たく感じられたくらいでしたが、下界の山形県内はかなり相当暑く、登山によりかなり水分も消費したのだと思います。

それに比べ、当地西和賀沢内では、数日前に初めて32.0℃の今期最高記録が出たとラジオで言っていた通り、35℃とかにはならない地域です。それはありがたいことですが、外で作業をしていると30℃でも暑いものです。でも田にとっては高温が大事ですので、寒さの夏をオロオロ歩くよりは、猛暑の方がずっとありがたいですね。

あとは、もう、彼岸りんどうの出荷までに草取りと草刈りに専念するのみです。隙間を見てにんにく植え(ホワイト六片から)も始めておきたいものです。とはいえ秋の品種も咲き進んできて、もうじき最初の1箱ができるまでとなり、お尻に火が着いた状態で他の済ませるべき農作業を進めています。

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にんにくと小麦の収穫期

にんにく乾燥中2023

秋田市では大変な大雨被害が出ましたが、ここ西和賀町は気象的にも秋田に近いせいもあって岩手で一番降ったようでした。川や水路の氾濫は気にかかり、消防でも見回りしたりしましたが、これだけ降っても浸水が起きにくいのはやはり舗装路が少なく、ほとんどが地面だからかもしれません。とはいえ氾濫や土砂崩れなどは山間地ではどこでも起こりうるので。。

自分の圃場も何度か見回りもします。水路で田に水を入れる箇所は水の取水栓の場所を石などを置いて水位を高くしていて、そこに急激に水が押し寄せて、置いた石で水が盛り上がり田畑に越水して流れ込んでいた場所を見つけ。。慌ててその石を退かせたりしました。

いまはまさににんにくと小麦の収穫期。例年より1週間早い進みで、にんにくは全て掘り終えて根茎を切り乾燥ハウス内の金属ハセに掛けて自然乾燥中です。この乾燥棚には小麦も入ります(写真右)。今年は小麦用にもう1棟ハウスを準備しました。にんにく乾燥ではハウス内が30度以上に上がりにくくするため、にんにくの頭上の部分だけを黒い遮光シートで覆っています。これでかなり気温上昇を防げます。小麦の箇所は日が差し込みます。

 

八木収穫2023

近年ご注文を多くいただいている秋田原産の「八木」です。赤みが特徴です。形としてはいびつだったり、土の付いた表皮を剥いた後の出荷の荷姿はホワイト六片のように美しくはないのですが、手に入りにくいにんにくですし、当園でも大きめの種子を使って植えますが、分球が不完全だったり、なかなか手ごわい栽培の難しい品種であります。

今年は全般に割合大きめのにんにくになっているようでした。周りに栽培農家のいない手探り農業技術なのですが、深く掘る・深く植える・早く(早い時期に)植える、の3点と、草取りなんだと思います。浅植えになったにんにくは収穫時の抜き取りは楽ですが、総じてそれらは小さめでした。深植えでは抜き取りに難儀し、茎がちぎれたりする場合もあり移植ベラ片手で起こしながらの収穫になったりしますが、大きいものを採るためには必要な努力かもしれません。

 

南部刈り取り2023

にんにくの後は小麦の収穫です。適期を迎えたとたん雨が続き、タイミングを探しておりましたが、昨日の7月15日は災害級の豪雨だとの予報を見て、13,14日の両日で何とか南部小麦の刈り取りを済ませました。14日夕方最後の1枚は雨に当たってしまいましたが、とりあえず畑から全部集め軽トラや運搬車の荷台、あるいは乾燥ハウスの中の地面に積み上げて翌日の豪雨から守り、そして大雨の昨日の午前中に全部ハセに掛け終えて、南部小麦の収穫作業は完了しました。1か月間ハセで乾かして、お盆過ぎに脱穀し玄麦を手にすることができます。

今回はは種機を使っては種したことは割合良い結果に至ったと思います。問題はやはり雑草対策で、春に一度管理機で中耕し、また草刈り機でも畝間除草したりしましたが、草が多発する場所はあり、また小麦に接している雑草はそのままなんともできぬまま大型化しバインダーで一緒に刈り取ることにもなります。田の除草にも言えることですが、一番難しいのが草対策です。

 

ササシグレ中干し中

こちらは今年初めて挑戦したササシグレです。割合分けつもし、いい感じで生育し中干しの時期を迎えています。冷水と低温多湿の傾向がある当地では、暖地よりもいもちが心配される土地柄です。これからの2週間は要警戒期になります。

 

金命水

今年は免許証の更新に行かねばならず、月1度の7月分のドライブの楽しみを兼ねる日としました。更新ですが、大型免許のため「深視力検査」があり、これが苦手なのです。。それでちょっと検索して、ユーチューブで前日に少し練習をしました。それで少し目が慣れたのか、当日は割とすんなりクリアすることができました。何の練習もなくいきなり検査に挑むのは結構厳しいと思います。寝床でスマホでの動画視聴でも、やっておいてよかったと思います。

免許証を手にした後は。ホームセンターでの買い物の後、今まで通ったことのない道路を走り、初めて地図で目にした阿原山という高原に向かいました。ここには金命水という名水があるとのマップの記載があって、そちらにまずは出かけました。ここは歩かなくても、車を停めてすぐの場所でした。4Lの焼酎ペットポトルに水をいただいて、いま朝のコーヒーに使用しています。

 

阿原山

そして阿原山に行き、賢治の詩碑等を見て一度水沢方面の市街地へと降りました。写真をとっている地点が三角点になります。

 

胆沢ダム

そしてまだ時間があったので、胆沢ダムへ向かいました。ここはその展望できる地点からの眺めです。そしてダムへ向かい、さらに湖の周囲を車で走りました。

 

弘法の枕石

弘法の枕石という場所がありました。1200年前に弘法大師が秋田へ旅する途中にこのそばの山中にあるという「於呂閇志神社」に詣った後にこの岩で一晩休んだと言われ、ダムを作るときに発見されたようなのですが、そのままだとダムの底に沈んでしまうことから、ものすごい苦労をして上まで引っ張り上げたそうです。

その於呂閇志神社にも車で向かい、かなりの悪路を走行したのですが、突然にUターンできるくらいの空き地が現れて行き止まりに。。夕方にもなっていたし、下車して歩いて深入りすることは避け、そのまま引き返しました。家に帰って検索してみると、よく見れば近くに歩いて向かう参道があったように見受けました。

それから秋田へそのままR397号で抜けて横手の山内経由で帰宅しました。帰りは横手方面の市街地へ出ず、東成瀬村から山内(さんない)への山道を経由して普段横手へ出る時のR107号へ合流できました。

397号は国道とはいえ車も少なく山道です。途中、久々に熊を見ました。子熊と思いますが、道脇の林へと去っていく姿はどことなく愛嬌がありました。すぐに見えなくなって、写真などは撮れませんでした。

前回の記事でも書いていますが、月1くらいで何かの用事に合体して未走行の道を探してドライブすることは良いリフレッシュになります。ふだんからGoogleマップはよく見ています。これからあともう1種アリーナ小麦を1枚ですが刈り、農道畦畔の草刈り2回目を終わらせ、りんどうの草取りやネット管理をしていれば、すぐにりんどうの出荷が始まります。

 

アリーナ刈り取り

7月17日、最後に残ったアリーナ小麦を刈りました。予報は雨の連続でしかも強い雨になっています。雨が数時間止んだ間隙を縫って、濡れてはいましたが刈るべきと判断しました。コンバインじゃないので麦に傷をつける心配はありません。水が溜まるような圃場ではないので機械作業は可能でしたが、土が柔らかくなっているので刈り取り部を持ち上げるようにしての作業となります。

 

アリーナ集め

アリーナは結構かさばるのです。全部集め終えました。すぐにハウスに向かいます。

 

アリーナハセ掛け中

ハウスに掛け終わりました。汚れたバインダーを洗浄機で洗い、今年の刈り取り作業完了です。右側は南部小麦です。早く雨が終わって猛暑になってほしいものです。。

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初夏の管理作業進行中〜草との戦いの日々

トウ摘みの頃のにんにく畑

東北南部まで異例の梅雨明けと猛暑になっているようですが、こちらは梅雨の真っ最中で、最低気温が20度、最高気温が25度という感じで推移しています。風があって涼しさは感じられる時もありますが、湿度が高く、作物には心配です。

田植えが終わり、当園の柱品目でもある切り花りんどうの苗の新しい定植や、採花する株の芽かき(株仕立て)をあらかた終えて、そのりんどうや田、小麦畑の除草作業が毎日続いています。にんにくの収穫という期日までに草取り作業をまず終えることが課題になり、にんにく収穫・乾燥調整、そして小麦の刈り取り・ハセ掛け、に続き、りんどうの出荷の夏を迎えます。

今年のにんにくは現在産地では盛んに行われているようで、今年は出来が良いとの新聞記事や知人情報もありました。融雪が遅れる当地では約2週間遅れての収穫になり、雪の多かった今年はいつもより遅れています。7月初頭にホワイト六片を掘り、やや置いて八木・八幡平の順に掘っていき15日頃に完了する流れになろうかと思います。

 

八幡平にんにくの芽

6月20日頃から1週間、いつも八幡平のトウ摘みを行い、その2週間後が収穫という感じになっています。100%トウが立ちしかも美味しいのが八幡平の特徴です。一方、八木は100%トウが立たず、ホワイト六片は2割くらいにトウ立ちを認めるという品種間の相違があります。味としてはそれほど品種間の差はないのですが、八木や八幡平は休眠が深く、その分植え付けもゆっくり稲刈り後にすることができるし(別に早く植えてもいいのですが、9月は忙しいですね)、収穫後の食用にんにくとしても、早くから出芽し緑色が混ざってくるホワイト六片より、休眠が深い=持ちが良いという特性があります。

 

6月下旬の南部小麦

南部小麦もそこそこに伸びており、写真は6月21日ですが、いまがそろそろ収穫期という東北標準地の小麦と異なって、7月15日頃からの刈り取りとなります(例年よりもう少し遅れそうな気もします)。今年はヨーロッパ系であるアリーナ小麦とライ麦が春の融雪後に大部分が消失してしまっているという異常事態の小麦部門でして、もともと雪に弱いとされていた農林61号が以前に同様の目に遭ったことは仕方ないにしても、強健とされるライ麦やまた前に試みたスペルト小麦が雪に負け、そしてこれまで頑張ってくれたアリーナもまた今年の雪には勝てなかったという事実は、改めて寒さではなく雪が小麦の強敵であり、そしてヨーロッパに比べて日本が多雪の国であり、もしかしたら世界一なのかもしれません(新潟の津南や、青森八甲田山系酸ヶ湯など)。ただ、新潟や福島の豪雪地に比べ雪の量としてはやや少ない当地西和賀ですが、結局北にあり寒冷地でもあって、雪解けがうんと遅いのがネックなんですね。もっとも、さらに北の奥地の酸ヶ湯には負けますがね。

そんな中、日本産、岩手由来の南部小麦が豪雪に負けず春からの生育を屈強に再開してくれたことは、日本品種の誇りとも言えましょう。

 

農林61号出穂前畝間刈り後

なお、こちらは春蒔きした農林61号の出穂前6月22日の様子です。昨年も春蒔きしたのですが、痩せ地だったこともありうまく育たず、収穫できるものではありませんでした。小麦は肥料がないと特に寒冷地では難しいと思います。今年は別の畑で、鶏糞等肥料を多めに投入して播種しました。春蒔きのため雑草の発芽と同時スタートになることが、草対策の面で秋蒔きより難しくなるけれど、雪の影響が関係ない分は素晴らしいことです! われわれにとっては。

かなり繁茂していた畝間の雑草は、草刈り機で刈り取りました。完全じゃないですが、刈り草が畝間に横たわることは土作り上も好ましいことです。3アールそこそこの畑ですが、畝間刈りに2時間くらい要しました。収穫は本来の秋蒔きより当然遅れて、お盆頃になろうと思いますので、それまで7月にもう2時間草刈りに歩かなくてはなりません。。反面、狭いハウスでの小麦の乾燥スペースには苦慮していますが、南部小麦が乾燥し脱穀して空いた後のハセに61号を刈り取って掛けることができるのは利点です。

 

除草機後のひとめぼれ

田んぼは除草機がけを行っていて、ヒエやコナギが大量に浮かんできます。これが沈んで活着しないよう、常に深水を維持しています。今週3回目をかければあとは中干しの季節になり、草取りは終了します。なお、中干し中に株元の雑草を刈り取る用のアタッチを購入しましたので、水が引いて歩きやすくなった後に試してみたいと思います。

このような寒冷地では、稲の分けつがどうしても進みません。自然栽培・有機栽培の原則は大きい苗を育て少ない本数で、しかも間隔を空けて植える、という形です。基本はそのように努力していますが、果たして暖地のセオリーがこちらで通用するのか、いつも疑問には思うところです。確かに大苗を植えればいきなり深水にして抑草に役立つでしょう。しかし肥料が少ない農法で気温が低い環境では分けつが進みません。除草機をかけるのは分けつを促す目的もあるのですが、自然環境には逆らえず限界があります。成苗大苗を作るには時間もかかり、その分田植えは遅れます。それよりも苗が小さいうちに、ある程度密植で茎数を確保し早めに田植えすることが、秋の収量に関わってくる気がします。寒冷地は分けつが進みにくいだけでなく、当然登熟も遅れ稲刈りが遅れます。亀の尾にしてもひとめぼれにしても、もともと寒冷地用に作られた品種ではないですし、それを寒冷地で作付けする場合には、やはり早めの田植えというのが基本になり、大苗に育つのをじっくりと待つ余裕はないと言えるのではと思っています。

稲作は本当に地域ごと、田ごとに違った形になり、全国一律のやり方なんていうのはないと言っていいと思います。そういった微妙な部分を、ネット等の共通常識みたいな情報をうのみにするのではなく、自分の田に合うように修正をしていく作業が必要で、そのためには何年何十年と時間がかかるものですね。

 

やまなしの花遠景

田植え前、代かきの頃にちょうどやまなし(生物種としての名称はイワテヤマナシ)の花が咲きます。今年も5月15日頃に開花しました。ただ、このハンベエナシ(品種名というよりはこの個体名)という一種のみでは結実が難しく、現在サネナシ・ナツナシ(これらは品種名です)の2種の苗木を植え、開花に至る成長をしてくれるのを待っているところです。ハンベエナシは、優良な西和賀町左草地区由来の木を神戸大学の研究機関により接木植栽をし増殖したものを、再びこの西和賀町に搬送し植え付けたやまなしになります。

 

やまなしの花近景

実がなるのは9月頃で、割と大きめ、匂いも味も良好とのことで、本当に楽しみにしております。やまなしの花は写真ではわかりませんがうっすらと灰色がかっている白さが特徴で、町内にも屋敷内や保育所とかに植えてあります。「クラムボンは笑ったよ」「カプカプ笑ったよ」で知られるやまなしは、賢治さんも言っているように香りが特徴で、昔よく食べたなぁ、懐かしいと老人の方はおっしゃいますね。ただ、現在はほとんど食されることもなく、道路に落ちて車に轢かれたりしているような状況だったりもします。何とか復活させ、活用していきたいと思います。美味しいお酒になると物語で語られていますしね。

 

水沢のやまなし圃場

このイワテヤマナシを植え、商品化し活用していこうという岩手県内の取り組みについては紹介したこともありますが、水沢市の「パイオニア牧場」(畜産農家兼ステーキ屋さん)でも植栽を進め、この春に、上述したイワテヤマナシ研究者である神戸大学の片山先生の指導で多種のやまなしを植え付けしました。

 

水沢のやまなし看板

クラムボンとは何か。泡の形状をした霊的存在のようなイメージですが。。パイオニア牧場の上の看板の大きな画像はこちらからどうぞ。

 

ワイルドストロベリー 近景

当園ではブルーベリーを始め、ベリー類をいろいろ植栽しております。まだまだ始めたばかりでほとんど趣味の域というか試行錯誤の試み段階というもので、果樹と言えるサルナシやハスカップ、カシス、桑(マルベリー)、アロニア等のほか、コケモモ、特にイチゴについてはいろんなものを収集しています。スーパーに並ぶイチゴではなく昔からの野生由来のもので、野イチゴというカテゴリーになろうかと思います。自分なりの解釈ですが、野イチゴは木イチゴと草イチゴに分かれ、それぞれ西洋のもの、日本のものがあって、面白いものです。

ブラックベリーやラズベリーなどは西洋の木イチゴになりますが、日本にも木イチゴがあり、モミジイチゴ 、熊イチゴ、冬イチゴ、苗代イチゴなどです(寒冷地では難しいカジイチゴ、それにバライチゴというのも最近入手できました)。そのほかの野イチゴというのは、木化が少ない草イチゴと呼ばれるものになります。ヘビイチゴという草イチゴ系もあり、タラノキ畑に自生していたのを移植しましたが、美味しくないです。また外国の野イチゴ(草イチゴ系)も興味深いものがあり、代表的なのはワイルドストロベリーで、写真のようにいま盛んに採れていますが、ランナーの出ないウッドランドストロベリー というのもあり、今年植えてみました。さらにヨーロッパの野イチゴとして、森のイチゴといわれるフレーズ・デ ・ボア(高級感がありますね)や、アルパインストロベリー といったものもあって、これらも試しに植えていまして、いま苗状態のところを観察しているところです。

最初はこうして名のわかっている種や苗を購入して植えていますが、植えてみて特徴を知れば、山や川で見つけたときに何イチゴかわかるようになりますね。盗掘はよろしくないでしょうが、実から種を得ることはできますね。ヨーロッパの野いちごは種や苗で買って増やすしかありません。いろいろ肥料にも工夫して風味を醸成できればそれも楽しみだし、野イチゴジャムとして、木イチゴジャムと草イチゴジャム枠の2種製品を、あるいは全イチゴからブレンドして、オリジナルな野イチゴジャムを作るというのも面白そうです。フレーズデボアなどは単独で作った方が良いかも知れませんが。。

とはいえ、私自身は栽培農家ですので、そうした希望を持つ方々への食材提供というのがまずは役割かと思っています。やまなしもいろいろ加工してみたい方に果実を提供できればと思うところです。

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稲のハセ掛け中です

2021秋の作物風景

切り花りんどうを営む複合農家として、9月は本当に忙しいです。8月のお盆時期にかなりの低温があったことで、秋のお彼岸向けりんどうは開花が前進し、また稲では晩生系に低温影響がみられたようで、晩生系の多い当園は稲刈りは全般に遅れました。

その間にんにくの植え付けと小麦の播種が加わるため、猛烈に忙しい日々になります。作業場での選別作業はもっぱら電灯に頼る夜間の仕事となり、日暮れの早い日中の時間は順序を考えつつ有効に使わなくては間に合いませんね。

 

2021ハセ全景

ハセはハウスの中にも干していて、外はこれで全量になります。左から、いわてっこ、ひとめぼれ、ササニシキ、チヨニシキの順に刈り、掛けています。

 

亀の尾稲刈り日

こちらは最後の亀の尾です。ちょうど出穂期に低温に当たって出穂が遅れ、今年はあまり穫れないと思います。次回は多めに種子用を確保してしっかり塩水選もして、この寒冷地域で無事充実して実った当地向けの種籾を得たいと思います。種は何でもそのように採った方が購入種より良いですね。

 

ハウス乾燥中

こちらはハウス乾燥の稲です。いわてっこ、ひとめぼれ、ササニシキと運搬車1台分はこちらに掛けて、そしてハーベスタもすぐこの中に置いているので(写真は稲を掛けるためにハーベスタは外に出して運搬車が乗り込んでいますが)、数日の乾燥で17%前後に下がった状態で脱穀し、新米時期限定のやや高水分の米として出荷し、みずみずしいところを味わっていただいています。

通常の農協出荷のお米は最初から来年秋までの貯蔵を前提にした14.5%の乾燥が求められるので、一貫して低水分のお米になりますから、せっかく個別に自由に出荷する形態ですので当園ではこの時期だけは高水分米を提供しております。ササニシキまでここで乾燥し脱穀まで済ませた後、現在は刈り取りが一番遅れた亀の尾を全量このハウス内に掛けて乾燥を挽回しています。上記の外掛けはここのところ雨も多く、まだまだ乾かないでしょう。とはいえ11月になると冬型気象も増えてもう手遅れで、乾燥できるという状態でない気候になりますので、来週の晴れ間に勝負をかけることになるでしょう。長く掛ければ良いというものでないことを経験で学んでいます。

 

小麦播種

小麦の播種も終えました。やはり積雪地で年内の生育期間が短く春の再開も遅れるので、うかうかしていられません。収穫と植え付けのどっちを取るか問われれば、生鮮品の切り花や生野菜は別ですが、植え付けを優先します。

トラクター尾輪で蒔き溝を付けて手蒔きし、長靴で覆土して歩く、のくり返しですが、来年こそはゴンベエ播種機を買いたい。。

 

麦わらカッター

少し前のお盆過ぎ、乾燥が終わって脱穀した麦わらを、この夏に入手したワラカッターで裁断し畑に戻す作業を行いました。この後にここは鶏糞と石灰資材を入れて耕耘し、畝立てしにんにく圃場になって、現在は植え付けも終了し、そして本日はその畑の草取りも完了しました。ホワイト六片は出芽も終え生育中です。八木と八幡平は植え付けも遅くなり、植え付け前にまずはマルチ穴の草取りを行ってからという作業工程に。。出芽は来春です。

 

アリーナ出芽

出芽した最近のアリーナの様子です。アリーナは古い品種ということもあってか背丈が長く、その分収量も上がるようで、有機栽培向けの品種と言えます。作付けは南部小麦の方が面積は大きいですが、収穫量はそれほど上がっていません。南部も割と古くからの小麦ですが、アリーナほど古くはないですし、背丈もやや低い。多肥栽培向けの現代品種なのでしょう。でもパンにしたときの風味が好まれて、人気の高い小麦です。

あとはドイツから取り寄せたライ麦品種をちょっとだけ無肥料で蒔き、出芽もしております。今年はあまりにも背丈が伸びて、稲刈りもハセ掛けも脱穀も泣きそうになりました。

 

 

ポポー・ガマズミ・アロニア

実のなる庭木は田舎暮らしの楽しみで、今年はベリー系を中心に結構植えました。日本の野生いちごは珍しい品目にはなるでしょうが、それ以外の珍しい小果樹では、写真左よりポポー、ガマズミ、アロニアといったあたりです。ポポーは4年目くらい? ガマズミは8年? アロニアは今年の新植です。ポポーはまだ実はならずガマズミは今年よく実を付けてくれ、焼酎に漬けて赤いさっぱりした風味を楽しんでいます。

 

ヤマブシタケ

貴重な秋の味覚も頂戴しました。山に大変お詳しい人からの戴き物で、これはヤマブシタケです。野生の椎茸等とバター炒めでいただきました。

 

香茸

こちらは香茸(バクロウ)です。現在乾燥用ネット籠で乾燥しています。

 

香茸の乾燥

乾燥がやや進んだ段階です。白い細々したものがこぼれ出るそうで、それも一緒に食べるということで、新聞を敷いて香茸を乗せています。近所の方からもち米もいただいたので、近々油揚げと一緒に香茸の炊き込みご飯を作ります。

りんどう夜なべ残業もあと少しです。最後の品種、風雅もあと2回くらいの出荷で終わりです。選別は夜間にやりますが、いまは出荷が週3度で中2日空いたりしますので、明るいうちに選別を済ませ、箱の入り本数に足りない数を追加で採花に行き、次回出荷まで在庫の花を持ち越さないようにしています。夜なべ作業だと、あと10本でもう1箱できるのに暗くて採りに行けないということが起きますので。

昼の時間はこれからは秋植えした小麦の除草やりんどうの秋仕舞い(膨大な作業です)に使いたいところですね。

りんどうの出荷が終われば、夜はにんにく在庫の全皮剥き作業があり、青果品用だけでなく黒にんにく用も準備いたします。

とはいえ、繁忙期よりは早く上がって夜の余暇も少しは持てており、いまはコミックの「孤高の人」を読んでいます。壮絶な物語です。土曜日の朝NHK第1で「山カフェ」という番組を聴いていますが、とても良い放送です。ここで紹介された本書の情報も有益でしたし、登山家長谷川恒男氏の話題も40年ぶりに思い出し、その昔北アルプスの麓松本市で同じ下宿の友人と山について話していてハセツネ氏の話を聞いたなあと懐かしく思い出し、ネットで画像検索したら、やっぱり記憶していた通りのお顔でした。

今夜も「孤高の人」で楽しみます。

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2021盛夏です

2021お盆のりんどう出荷

1週間くらい前から、肌寒く太陽の出ない盛夏になっています。。ラジオでは、ストーブを出したといったお便りもあり、稲にとってはちょっと不安のよぎる低温傾向です。早生の「いわてっこ」は問題ないですが、ひとめぼれほか晩生の品種も結構植えており、出穂期のため低温が続くと心配です。今年は暑い夏で良かったと思っていたのですが、ちゃんと自然は帳尻を合わせますね。

早い梅雨明けと猛暑の前進到来のため、りんどうでは花の「日焼け」が起きて出荷できず畑に残したものも多かったです。またお盆需要期前の前進開花となって、日焼けで出荷量は減産の上に、安値の需要期前の時期に多くが当たってしまい、2021年のりんどうは良いとは言えない結果になっています。

暑いと稲に良くりんどうはダメで、寒いとりんどうに良くて稲に良くないといわれておりますが、今年は猛暑の来た時期のタイミングが悪く、りんどうにも稲にも不運な気候展開になっているようです。そもそも、全国的にある程度の中山間地でも35度になるような気候となっては、りんどうの栽培は難しくなってくると思います。当地はさすがに35度にはなりませんが。。

 

白りんどう

唯一、当園で救いとなったのが、青りんどうに続いて咲いてくる白りんどうが最需要期に頑張ってくれたことでしょうか。去年など7月の長雨で土壌の水分過多と排水不良により、白りんどうの「雪の妖精」(写真左)が根腐れに起因する葉のまだら褐色の病態に見舞われて、ほとんど出荷することが出来なかったのですが、今年はその圃場を春先から排水明渠をしっかり掘るなどの対策をしたことが良かったのか、そもそも梅雨時期が短かったからか、まだら病にはならず、りんどうの開花前進化によって逆にバッチリ需要期に咲いてくれて、それなりの値段で販売することができました。去年採らなかったことで株養成になって今年は割合良い出来だったのも幸いしました。何が災いで何が幸いになるかは人知では計り知れません。

市場でお盆の需要期前に大量出荷になると、需要期は品薄になるので値段が下がらず、それはお盆の最中(本来なら需要期は終わり)にも割合と良い値段で推移し売れてくれて、よくあるお盆後の暴落にはならなかったようです。

いずれこういう年もあるので、いろんな品種を植えておいた方が、どれかがそれなりにカバーしてくれるということで、白りんどうも植え続けていこうと改めて感じた次第です。「雪の妖精」は定植後の欠株が多く、もう一つの同じ時期に咲く白品種「雪の舞」(写真右)を、今後も植えることになると思います。

 

収穫期のにんにく

なかなか記事を投稿することができなくて、田植え以降の時期に、にんにくの収穫と小麦の刈り取りが、上記りんどうのお盆出荷の前にありました。今年のにんにくは、なぜなのか本来あまりトウ立ちしないホワイト六片が多くトウ立ちし、トウ摘みが遅れてしまったのでしょう。小さめになってしまい、ちょっと残念な作柄になりました。反面トウ立ちしない「八木」は大きめでMサイズ品もかなり出来、成功の部類になったと思います。この点からトウ摘みが大事なんだろうと改めて思ったし、100%トウ立ちする「八幡平」も見過ごすことなくより早い時期のトウ摘みをすることが来年の課題になりました。

それにしても、本来1~2割しかトウ立ちしないホワイトがなぜ8割9割の高確率でトウ立ちしてしまったのか、不思議に思うところです。

 

収穫期のライ麦

麦の部門では、今年はライ麦に久々に挑戦し、3~4アールの小面積ですが、面積の割にはよく穫れた感じとなっています。以前ライ麦は栽培した年もあり2年くらい続けましたが、実際はあまり注文が来ず、南部小麦の方は早くから完売していたりで、ライ麦の場所をも南部小麦にした方がよかろうということでやめてしまっていました。近年、またライ麦自体の需要が伸びている感じがいたしまして、再挑戦を考えて去年のいま頃は品種についていろいろ検討していたところでした。日本ではライ麦は緑肥のカテゴリーであって、決してパンに利用するという発想じゃないように思っています。たまたまドイツの黒パンのライ麦を食用の目的で輸入販売しているサイトがあって、粉ではなく粒(玄麦)で販売していたので、輸入の関係で1年前の2019年産でしたが、数キロ買って去年の秋に蒔き、それが何とバッチリ発芽して今年2021年7月に無事刈り取りを終えることができました。

ただ、結果から言うと、ライ麦はあまりやりたくない作目でした。とにかく長くて、バインダーで刈るのも、それを集めて運びハセに掛けるのも一苦労、そして最後にハーベスタで脱穀するのも一苦労(結束部のカバーを外して結束自体のひもも取り外して脱穀)。植えた畑が長年草だらけの耕作放棄地で土が肥えていたんでしょうか。

今度の秋には、来月のことですが、石カラ畑でこれまでどの麦を植えても満足に背丈が伸びなかった良くない3アールの小さい畑があります。ここに植えて肥料も一切何もやらず、もう一度だけ試してみます。より短くできればその畑の専門品目にあてがって続けることができそうです。。

このライ麦は既にある注文品と種以外はすべて、といっても20㎏ですが、製粉委託しました。この20㎏の精粉のみ、今期は出荷いたします。良かったらどうぞお試しになってみてください。合わせて南部小麦の方も製粉注文が来ましたので、併せて製粉委託中です。こちらと混ぜてご使用いただくのもよろしいかと思います。少量ですが、宜しくお願いいたします。

 

南部小麦刈り取り日

こちらは刈り取り日の南部小麦です。良い出来のようにも思いましたが、量的には大した収量ではなく、いかに収量を上げるかが課題になります。同じ面積から換算してアリーナ小麦の方がずっと収量が上がりますので。

 

南部小麦の脱穀

今年は作付面積を増やしたことで、稲のプール育苗に使っているハウスだけでは場所が足りず、金属の三脚ハセを新規購入し、畑にもハセ場を作りました。問題は雨にあたることです。。この写真のハセを囲むようにパイプハウスのアーチパイプをセッティングし、ビニールを掛けて簡易乾燥施設を作ったものの、数時間の雷雨と風で見事にひっくり返されてしまいました。やはりビニールを掛けるなら、それなりにしっかり組んだパイプ施設を作らないと役に立たず、課題です。きちんと直管も入れてハウスっぽいものを作ろうとするなら、それは一時的な簡易なものを畑に設営するというのではなく、雪払いもしてやりながら通年設置したままにできるものを家の近くとかに作って、積雪期は見回りをし、上部の雪を払って潰されないように努力しつつ、麦と、そして稲にも使えるようなものを「建てる」ことですね。

これから次のりんどうの山、彼岸出荷が9月の頭から始まります。現在の冷涼な気象で彼岸りんどうも前進化が予想されます。それまでの間に、ラストの草刈り、廃園りんどうのネットや支柱の除去と耕耘、にんにくや小麦予定地の施肥や耕耘などを進めておかなくてはいけません。にんにくは特に畝立て作業もあるし、秋の定植も、彼岸りんどうや稲刈りの後では大きくなれるタイミングを逸してしまうので、8月中に済ますことができればベストです。限られた労力でいかに多種大量の作業をこなしていけるか。曇天をにらみながら、土が乾きトラクターが入れるようになる日をまずは待っています。

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稲作がスタートしました

田への米ぬか散布

昼間それなりに気温は上がってくれるようになりましたが、まだまだ寒気で寒い日も多く、晴れた夜は氷点下に下がり、まだ外の蛇口は夕方水を落としています。寿命が尽きた状態のタラノキ園は植え替えの真っ最中で、たらの芽は出荷に使える穂木の減少から早々に終了になり、外の仕事へと切り替わっています。しばらく天気が良くて風も強かったせいか、雪解け後急速にたが乾いてくれまして、連休中はしばらく雨続きということで、みんな田起こしをこの数日で終了させていました。

当園は肥料というのは米ぬかのみですし、まだ田植えまで1か月ありますから生で散布して(4月27日)、即日耕耘し土と混和させて発酵を進ませる形をとりました。作業場に積み上げて切り返したりする作業はかなり労力を使っていましたし、今年は米ぬかを施用しない田も多いので、直接の散布のスタイルとしてみました。

去年は7月の多雨が影響しひとめぼれの生育が振るわず、その反省から、農薬や化学肥料を使わない北東北の米作りに適した品種は何だろうと改めて考え直させられました。その際にこうした農法では、やはり最近の品種は不向きだと強く感じさせられもした次第です。現代も稲の新品種は続々できており、その総数は一体何百になるかと思います。しかし地理や農法を考えて品種を選ぶとなると本当に数少ない選択肢になります。この点、西日本のような暖地は選択肢が広まり有利ですね。

現代の育成品種は収量を上げるため化学肥料を多投しても倒伏しにくいように茎が短い(短稈)米になっておりますが、肥料を与えない我々には短すぎて穂の籾の量も減ってしまうしハセ掛けもうまくできない欠点があります。またいわゆる良食味と言われる米ほどいもち病に弱い傾向になります。欲しいのは背丈が長くて(長稈)、いもちに強い、寒冷地向けの米です。こうなるとなかなかありませんし、有機ということを推進してもいる農政の趨勢からすれば、それに見合った品種を作らないというのは逆行する現象じゃないかとも思います。自然栽培や有機栽培の農家は、自分たちの地域や農法に合う長稈品種を手探りで見つけ出して作付けしていると思います。肥料を入れないので倒伏の心配はありませんし、やはり古い品種の方が長稈で少肥の栽培に向くんですね。

もっとも逆行しているのはお前の方だと言われればそうなのかもしれませんが、ここ沢内に適しているとされる「いわてっこ」や新しい品種の「銀河のしずく」は短稈すぎて農法と合いません。ただ「いわてっこ」はいもちには強いので、これは山間部の盆地で低温多湿の傾向になる奥羽山系の当地においては、救いになります。ただ、背が低すぎる。。。ひとめぼれはいわてっこよりも長稈なのはありがたいですが、いもちには弱いですね。あきたこまちほどではありませんが。。

今年は同じシーズンの条件下で5品種を試験的に植えて試してみる予定で、現在育苗も進めております。長稈種であるひとめぼれとササニシキを比較します。両者とも米ぬかも入れず、完全に無肥料の自然栽培で作付けします。おそらくササニシキよりもひとめぼれが耐いもちとしては上のように思います。これを確認します。今年はでもササニシキも食べられるのは楽しみです。ここの風土で実がなってくれればの話ですが。。。

当園のメインであるいわてっこと比較するのは「亀の尾」と「チヨニシキ」です。亀の尾は一般には買えず、知り合いの農家さんから譲り受けて播種しました。チヨニシキという米は知りませんでしたが、他に長稈の候補が見つからず、ちょっとここでは寒すぎるかもしれませんが、試してみることにしました。「つがるロマン」なども長稈で魅力を感じましたが、青森から外へは出さない品種のようでした。岩手で「つがる」も変ですしね。亀の尾は有名な長稈種でこれも無肥料で行います。いわてっことチヨニシキには上の写真のように米ぬかを散布し耕耘しました。

 

 

南部小麦の春

こちら、南部小麦も春で生育再開です。この畑はとても良いのですが、雪が多くかぶさった別の畑ではちょっと遅れている箇所もあり、雪国の小麦栽培はやはり難易度は高いですね。。

 

 

農林61号蒔き直し

昨年の秋に蒔いた農林61号は見事に壊滅状態でした。前年のスペルト小麦もですが、仮に寒さには強いといっても、雪には弱い。まあ想定内のことでしたし、61号は春蒔きもできる品種ということで、秋に半分残しておいて、この後耕耘し蒔き直ししました。ちょうど雨が降らない週で、まだ芽は出ていませんが、この連休中に多分出るでしょう。

 

 

ベリー園整備

当園では、ブルーベリーを筆頭にベリー系の小果樹に取り組んでいます(正確には充実させようと努力しています)。ずっと前にラズベリーを植えたことがありましたが、剪定のこともよくわからず、勉強する心の余裕もなかなかなくて、結局あまり実もならないうちに耕耘廃棄してブルーベリーを植えた経緯があります。ただの興味本位では結果は出せませんね。今回はコケモモ園とラズベリー園を別個に用意し、挿し穂等で増やしながら一定量の生産を上げていきたく、勉強しながら進めていきます。ハスカップも1本植えていましたが、こちらも少し増やしたいと思います。

何を植えるにせよ、問題は雪です。ブルーベリーも毎年結構やられていますし、最近では横に張り出し気味の枝は切ってしまって、グルグル巻きに縛れるような樹形へと変形させています。クランベリーはどうなるでしょうか?? 一冬越してどうなっているかを見て、来年また検討を重ねたいところです。

やまなしも含め、なぜかマイナー系の果樹には惹かれるものがあります。「コケモモ」といえば子どもの頃に読んだ海外の児童文学になるでしょうか、必ずといっていいほど出てきましたね。「コケモモのジャム」「森に野いちごを摘みに行く」という下りは、遠い過去の映像として残っていて何かしらの郷愁を感じさせられます。そして、子育ての中で与える本によりそれはもう一度再現されることでもあります。また、賢治のやまなしを読んでやまなしの香りに懐かしさを感じる人も多いでしょう。そうした遠い過去の「記憶映像」が現代社会の忙しない暮らしの中でふと思い浮かび、一瞬現実から解き放たれることもあるでしょう。だから即コケモモのジャムを作ろうというふうには繋がるものでもありませんが、少なくとも子どもたちにはいろんなベリーを味わわせて、癒しや多様な果物の豊かさを与えてやりたいと思います。

子どもたちからも影響は受けますね。一番は漫画やアニメでしょうか。去年のいまごろからは「鬼滅の刃」を読み、アニメはAmazonでも観ましたし、今年の寒天出張帰りからはAmazonのアニメで「エヴァンゲリオン」(序・破・Qと映画館で新作)を、そしていま現在は「進撃の巨人」を観ています。コミックでは「ドクターストーン 」と「ブルー・ピリオド」も皆で読んでいますね。子どもたちが夢中の「呪術廻戦」はまだ私は手付かずです(「進撃」を観終わってからでしょうか)。。

3作に共通する、私なりに共感できる共通のことがあり、それは生死に関わることの限界に置かれた状況に向き合っていることでしょうか。命がけということを現在社会では日々痛感するということはないかもしれませんが、人間の一番ベーシックな部分でしょうから、その葛藤や気概をまっとうに描くスタイルに惹かれるんだと思います。

もう一つの共通項は、歴史的な文化遺産を背景として明確に持っている点でしょうか。日本の武士道みたいな背景とか、聖書の世界観だったり、私は好きなんですが中世ヨーロッパの町並みや宗教的な絵画などですね。伝統文化を尊重ししっかり学んだ上でのドラマ作りはスケールも大きいです。

にんにくの収穫が始まる7月からは夜の作業場作業が始まり、りんどうの収穫が終わる10月いっぱいまで続きます。これから5月6月が一番農家には夜の楽しみを享受できるシーズンですね。

昨日は雨降りでしたが、懸案だった山ぶどうとサルナシの棚を単管を使って設置しました。両者ともベリー系じゃないですが、魅力ある山里の果樹素材です。