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2025年春、農作業スタートです

たらの芽栽培最盛期

ようやく雪が消えてきて、春作業がスタートしましたが、連日の雨続きでなかなか進みません。ただ雨が続いたおかげで雪が消えていったとも言えるので、これまでの雨は良かったのですが、これからはもういりません。これまでのメインの作業はたらの芽の収穫出荷でしたので、天候には左右されず進められました。最終盤を迎え、もう加温も控え気味にし、最後の数点の注文に応えるだけです。無事、できたものは完売しそうで、生鮮品生産としては心配だった無駄な売れ残りの廃棄等が出ずに良かったと思います。

とはいえ、たらの芽栽培は結構難易度は高いと思います。今期については、カビの発生を恐れるあまり、灌水を控えて経過させてしまったことが、駒木の乾燥を招き、気温の高い日に悪くしてしまう失敗がありました。換気により風通しを良くしつつも、新鮮な水を常に供給することが大事で、ビニールに開いていた穴からの漏水もあって、ちゃんと対策が必要と分かりながら、栽培期間中はビニールの細かい検証や交換もできず、修繕は生産終了後の課題になっています。

収穫が終わったら施設の細かい点検をして来年に備えたいものです。雨の日の仕事ですね。

 

たらの芽出荷荷姿

たらの芽をポケットマルシェというサイトに出品しています。米やにんにくと違い、収穫期を迎えたものはすぐに出荷しなければならない生鮮品目ですので、自分のサイトだけでは短期間に全部売り切ることはできません。その点、フリマサイトは多くのお客さんに見ていただけるのでありがたい存在です。たらの芽の場合、梱包が3cmの厚さで収まるために、クリックポストを使用します。写真のように専用の箱に折り目を付けて保護の薄いシートを敷いて300gを並べていき、梱包します。全国一律185円という安価なコストはありがたく、輸送に2日以上かかる点だけは生ものだけに心配ですが、到着後にすぐにザルやボウルで水にさらしてから冷蔵してもらえれば、シャキッと戻ります。

ゆうパックなど本格的な輸送形態を選択するならば、輸送コスト的にもっと大きいパッケージ(1kgとか)となりましょう。でも一般の家庭利用では300g程度が適量で、その価格帯にいきなり700〜1,000円の輸送コストを上乗せすることはできません。ここはやはりクリックポストの選択で進むしかないかと思っています。

山菜の豊富な土地柄である上に、もともと農閑期の仕事をということで始めたたらの芽栽培ですので、旬の畑の露路物や山の天然物と違い、促成栽培という選択になりました。天然物以外は食べる気がしないよ、というような意見もわかりますが、こうした促成栽培のたらの芽は色も緑が綺麗で柔らかく、お子さんも喜んで食べてもらえる品ではあります。

5月になればこの穂木の採取圃場であるタラノキ畑でも自然に芽吹いてきて、秋までに1枝から2本程度芽を仕立ててその2本の穂木を育てて伐採採取します。細い枝の場合は芽は1個だけにしますし、1本の枝の芽の数を調整して、太い枝が秋に得られるように努めます。芽かき作業ですね。で、その余分な芽を掻いて持ち帰り天ぷらにしたりしますが、それらは結構硬くてゴワゴワした感じです。自分の施設での栽培のたらの芽のハジキを期間中食べていますが、それに慣れてくると、むしろ柔らかい方が食べやすく思います。

旬の時期に深山に入って天然のたらの芽を採れば、日陰になっていることで、促成に近い感じにはなりますが、タラノキ園の木は日当たりが良いので野生的です。タラノキそのものは日光を好むのですが、柔らかい緑のたらの芽は日陰が良いのです。そうなれば、柔らかい天然の緑のたらの芽と促成栽培のたらの芽との差はあまりないということになります。

そんな収穫出荷の日々もあと数日で終わります。

 

風呂消毒と塩水選

並行して、稲の種籾の準備もこの時期の大きな仕事です。亀の尾やひとめぼれなど晩生品種を作付けていてかつ出芽機を使わないハウス内平置きの出芽法ですので、種まきは早めに行います。早い時期の田植えを計画しますのでそれからの逆算ですね。地区の中では一番早いと思います。まあ途中で追い越されてしまいますが。。

今年から農協の育苗センターで温湯消毒をしてくれなくなったため、自分の風呂で行いましたが、60℃にはなりませんで、やかんで沸騰させたお湯を足し足しして、何とか58℃を確保し15分浸漬しました。そしてすぐに塩水選を行い、あとはそのまま水に漬けて12日くらい。そしてハトムネ催芽機で芽出しをしてから播種します。

 

播種機

3月後半になるとハウスの除雪をしますが、雪が消えてハウスのビニール掛け、そして種籾の催芽、そして育苗の培土の準備が一致して初めて種まきができます。わが家は4月10日が種まき開始の日です。ハウス内の土を整地しますが、その前に昨年の麦や稲の脱穀の際に溜まっていたハーベスタから排出される殻などを綺麗に片付けてからです。平らにした地面にプール枠を組んで、ブルーシートを敷きます。作業場の2階から苗箱を下ろし、播種機をハウス内に設置して、土入れ・播種・覆土の作業がスタートします。

亀の尾が60枚、ササシグレが26枚、ひとめぼれが18枚、通常出荷はしませんがりんどうの廃園後翌年に作付けするいわてっこが今年1反歩で21枚、以上になりました。用意した亀の尾種籾が予定より少し足りず、多めに準備していたササシグレが少し増えました。ひとめぼれも需要はありますので7アール分1枚に作付けします。

ここは冷涼な地域です。有機稲作のセオリーで薄まきの大苗育苗を理想として播種を行って田植えしても、結果、分けつが暖地のようにはできません。ある程度厚く蒔き、1株当たりの植え付け本数を増やすことは、寒冷地という地理風土の必要な方法になります。そうしたこともあって亀の尾は種籾を多く使ったせいで箱の枚数がやや少ない結果になりましたが、その面積の中でしっかり穫れるよう努力いたします。

品種が増えるといろいろ面倒なのですが、現在どれも必要な品種と思い、なかなか数を減らせないでいます。いわてっこの方はともかくとして、亀の尾・ササシグレ・ひとめぼれから選択してお求めいただきたく思います。

以上のここまでは雪が残り雨が降っている時期でも進められる作業になります。

 

にんにくの目覚め

外の圃場に目を向けますと、4月17日に、大部分のにんにくが現れてきました。雪に押しつぶされてまだ呆然とした感じですが、これから一歩も二歩も他地域に遅れての再スタートですので、頑張って挽回してくれとエールを送るのみです。

 

アリーナ小麦の目覚め

同じ17日の小麦アリーナ畑です。ヨーロッパ由来で南部小麦よりは雪に弱いのですが、何とか生き残っていてくれました。まだ眠そうですし、株元に葉がいっぱい枯れていて、この枯れ葉の中からの復活を力強く遂げてほしいです。この枯れた部分を見越して播種時は厚まきにします。また秋の年内の生育が足りないで雪の覆われると雪腐れになりやすく、そのためにも早い時期の播種が必要です(9月中の播種)。

去年の晩秋は暖かい日が多くて、にんにくと小麦については大変ラッキーでした。いろんな品目を植えていると、何かが思わぬ恩恵を受けてくれたりするものです。水稲だけで、しかもコンバイン+乾燥機であれば、稲刈り後10月からの天気はもはや関係ありません。ハセ掛けのわれわれは稲刈り後の好天がとにかく必要ですし、同じく作付け直後のにんにくや小麦もお日様に助けられました。とはいえ、去年の秋がたまたまそうだったため、やっと他地域並みに育ったということですので、同じ岩手県内でも他の少雪地域の人たちはこのくらいの生育はいつも当たり前だよということになるわけでしょう。まあそれも寒冷積雪地の宿命で、それを何らかポジティブ要素に変えて生きていくしかありません。

なお、雪腐れ病に対処するために、小麦連作による障害を回避するという必要があり、そのためと、土作りやチッソの補給という面を併せてマメ科のクロタラリアを盛夏の休耕期間中に作付けし、小麦の播種前にすき込んでいます。その成果が確認されるのもこの雪解け時期になります。

 

ルバーブの株分け

一方、消雪後まもなく行うことの一つに、ルバーブの株分けがあります。近所の加工所でジャムにしてくれていますが、やはり赤いルバーブのジャムは綺麗で貴重です。赤いルバーブはいま入手が困難ですので、大事に増やしていきたい財産です。1株掘り上げてスコップで4個に分けます(写真は4つに切り分けたところ)。株分けをすればそれらは小さくなるので今年の収穫は控えなければならず、したがって、一気にではなく毎年少しずつの株分けになります。

 

乙部のイワテヤマナシ園

もう一つ春の作業に果樹の剪定と接木や挿し木の作業があります。去年4月に、寒天出張終了時に神戸大学から輸送したマメナシ台木にイワテヤマナシを接木しましたが、あまり成果が思わしくなく、多分台木自体を植え付けてすぐの接木だったせいもあったでしょうか、失敗した台木を掘り起こして盛岡市乙部の片山先生の圃場へ持って行き、プロの手によって台木を生かしてもらうこととしました。秋の時点で成功したかなと思われるものは私の園地でそのまま経過観察していますが、やはり幼木をこの多雪地帯で管理することは容易でないと思いました。細く小さい木の上に2mの雪がずしりとのしかかるので、いくら雪囲いをしても、テープで止めて固着したはずの接木部分が押されて曲がってしまったり。。むしろこういう豪雪地では挿し木などと同じくポットで管理して冬は作業場で管理し、何度か植え替えをし、3年くらい育ててから地植えする方が良いのでしょうか。小さい台木での接木育苗作業は雪のない盛岡に委ねることにして、当園ではすでにイワテヤマナシ成木が8本あるので、それらの一部を高接ぎで好みの品種に改変していく、あるいは一本まるごと別の木に改造していくという作業をメインにしたいと思っています。立派な成木に高接ぎを行えば、成功率も高く、また生育も早いです。雪による圧迫も地面から上に上がった空中のことなので回避できることになります。

たらの芽もですが、太い穂木(駒木)からは大きな芽が育ち、細い木からは小さな芽になります。太さが肝心なようです。イワテヤマナシは岩手特有の、岩手にだけ自生した、香ばしい匂いのする梨の実なので、これを活かし、いろんな産品に商品化したり、また果実のみの出荷販売もありですしね。まずは太い枝に理想の実をしっかりならせられるよう栽培管理に努力したいと思います。

 

玉泉寺

農業外では、久しぶりに地元のお寺「玉泉寺」(ぎょうくせんじ)に法事で出かけました。りっぱなお堂です。すばらしいです。仏教文化の高い芸術性を目の当たりにした気持ちです。こんな山奥の過疎の村にこのようなお寺があることは嬉しくなるし、誇りに思いますね。新興の住宅街とかでない太古からの暮らしの歴史を持つ山村であることを感じさせてくれるひとときでした。入植時にとても世話になった地元のおばあさんの3回忌でした。ご飯を食べながらご家族親戚の人たちと久しぶりにおばあさんの話や、四半世紀前の話でとても懐かしい時間を過ごしました。

そのおばあさんの土地を借りて農業を続けてきているし、そのうちの1枚の田を買っていまの住宅や作業場、ハウスなどがあります。都会育ちで農業のイロハも、また田舎で力強く生きていくためのすべをも持たない30そこそこの青年に、豊かな知識と技を伝授してくれたおばあさんでした。ポツンと一人でやって来て、しかも血縁もない豪雪の山村です。いまそれなりに暮らしが続いてこれたのも、このおばあさんの助けで生活の土台ができたからでしょう。車の運転ができないおばあさんと、その地元のお婆さんたちを乗せて、県内のいろんな場所を訪ねました。自分にとってそれらのドライブは岩手を知る発見の旅でもありました。ワゴンRの後ろの席をフラットにして、そこにばあさんたちが座っておしゃべりする様を見ながら温泉に行ったり、志和稲荷へ参拝に行ったり、バイキングにも行きましたしいろいろでした。

 

薪割り

さて、雪がある時期のもう一つの仕事は、薪の玉切りです。10年以上前にヤフオクで買った古いチェーンソーに頑張ってもらって、雪のあるうちに玉切りを行いました。薪割りは地面が出てからの作業で後回しですが。森林組合からの購入で3間の量ですが、今年のこのナラは地元産だそうで、県内他の木よりもとにかくここ奥羽の地で育った木は年輪が詰まってずしりと重い。切るのも苦戦し難儀でしたが、燃やすには火持ちも良くて、良い薪になるでしょう。

 

最近食べたランチから(大盛り系)

農閑期の間はいろいろ出かける用もあり、外出でランチする機会も割合ありました。寒天出張の時は3食デリバリー弁当でしたが、とにかく量が少なくて、もうご飯はいいからと結局おかずだけにしてもらって、ご飯は炊飯器で炊いて好きな量を食べていました。深夜からの長時間の勤務のため1日4食食べており、しかも酒を飲まない生活だったので、米も長野産コシヒカリを社長からもらって、自分の持ち込んだ玄米と交互に食べておりました。デリバリーのない4食目(夜食)はレトルトのカレーだったりしましたが、3食のデリバリーもおかずは少ないし病院食のようです。そういう体験をしていると、高級な意識高い系の上品なレストランよりも、大衆食堂の大盛り系に行きたくなってしまうのが人情ですね。

左は盛岡市の「田舎家」という食堂の看板メニューの唐揚げ定食です。ご飯はまあ普通盛りですが、唐揚げの量が結構多くて、お腹いっぱいになりました。人気のお店で早い時間帯でないとかなり並ぶのではと思います。右は西和賀から横手へ向かう途中にある「山内食堂」で、オモウマイ店とかいう番組で取り上げられて行列の店になりました。昔はなかったと思うので、この10年くらいにできたのでしょうか。ユーリンチーというメニューです。写真じゃ分かりにくいですが、2枚の写真ともかなりの肉の量です。これでご飯が大盛りだったら食べきれないでしょう。油淋鶏というのは初めて食べましたが、醤油の甘酢とネギがふんだんにかかった美味しい唐揚げ料理でした。

寒天からの帰りに仙台で娘と「北京餃子」という中華店に行き、また先日は息子と「中華飯店」という店にも行きまして、ずいぶん中華を食べて、寒天生活の食の70日を挽回した気持ちです。「北京餃子」は中華が各種安価に食べられていろいろ頼んでシェアして食べたりしましたし、「中華飯店」は値段は結構しましたがどれも大盛り系で、いちばんのおすすめは春巻きでした。日立システムズホールというコンサートホールのすぐそばにありますので、コンサートの前後に出かけられてはいかがでしょうか。去年の夏にはここでモーツァルトのピアノコンチェルト20番とマーラーの「巨人」を聴き、その後で一緒に聴いた子どもたちと中華飯店に寄ろうと思いつつ、結局コンサートが夜9時頃までかかったので閉店して入れませんでした。

余談ですが、コンサートでは、先日NHK教育で観たマーラーの第2番「復活」がすばらしかったです。指揮者はカーチュン・ウォンというシンガポール出身の若手ですが、リハの映像からして、表情も豊かで人間味に溢れ、とても好感の持てる指揮者でした。この「復活」は合唱を伴った壮大な交響曲ですが、これまでコンサート経験も、曲の映像を動画で観たこともなかったので、とても刺激的で新鮮な体験でした。演奏ももちろん素晴らしいの一言です。いまの時代、語弊はあるかもですが、ブルックナーやマーラーのような壮大なシンフォニーというのは時代にマッチしていないように常日頃、感じています。自分自身がブルックナーやマーラーしか聴かないような狭いタイプなので余計に阻害感を意識してしまうのかもしれません。

想像するに、20世紀のバーンスタインやテンシュテット、ひいてはフルトヴェングラーのような気迫のこもった熱い演奏というのはいまの流行りではないのかもしれませんね。コンサートの曲目を見ても、ドビュッシーやサンサーンスなど、一見王道ではないよという作曲家の演目も東北の山形や仙台でも頻繁に行われるメジャー曲目だし、シベリウスなんかも演奏機会が多いですね。ラフマニノフなども人気の演目です。もちろんドヴォルザークだったり、シューマンだったり、演奏会いっぱいあります。ただ、ブルックナーやマーラーとなると、ちょっと「引いてしまう」というのが時代のムードなのかと感じています。え、やるの、という。。去年なんかブルックナーの生誕200年のメモリアルイヤーだったんですがね。私の偏見やひがみなんだと思われてもいけませんが、クラシックのトーク番組(FMの音楽番組)とかを聴いていても、敬遠されてるかなみたいに感じる節がありますね。だいたい女性はブルックナーが嫌いという説もあります。大袈裟な感情の発露とか、壮大なクライマックスとか、そういうのじゃなくてね、いまの気分はもっと身近な身の回りの感覚にマッチした音楽が求められているんじゃないの? そういうようなご時世という気がしますね。

「全身全霊でマーラー楽曲の表現を追究したい」という感じのことを「復活」の演奏に当たってカーチュン・ウォンは語っていました。復活の合唱はラストの10分くらいかと思いますが、歌い出しは「よみがえる」、で始まります(復活する、です。auferstehen)。歌詞を検証した上ではありませんが「生きるために死ぬ」とか、「自分が息絶えてしまうことも、それが生の糧になる」という感じの詩になりますね。後の傑作「大地の歌」の集結部では、「自分がこの世にいなくなった後も、花々は永遠に咲き誇るのだ、永遠に」の言葉で静かに終わっていきます。現代の感覚としては特異かもしれませんが、しかし「全身全霊」というカーチュン・ウォン氏の言葉は、非現実的な大袈裟なドラマを語るのではない、いま風に表現しマーラーのメッセージの核心を言い当てた言葉遣いに思いました。

カーチュン・ウォンと日本フィルでマーラーのチクルスを進めているそうで、その一環としての放送でした。それならば、いつか数年以内に第8番を演奏することになるのでしょう。「復活」と同じオルガンのあるサントリーホールですね。その時はぜひ東京へ行かなくては、と思いましたね。いまは日の目を見ないかもしれない時代の周辺部の人たちが集結しますね、きっと。ブルックナーの大作第5番のコンサートが東京で最近あったと思いますが、私が情報を目にした時は完売していました。いるのです。ブルックナーやマーラーに心を打たれ、時代の気分が何であろうと何十年もひたすら愛好して来た、自分の生きる道はこれだと貫いて来た、いまはたまたま特殊な愛好家として辺境地?に暮らす人たちが。。

マーラー8番は東京時代の最後の頃にN響の特別演奏会を30年前に渋谷で体験してはおりますが、楽しみに次回のその時を待つことにします。稲刈りとかお盆や彼岸のりんどう需要期でないことを願います。

 

石割桜2025

盛岡へ出かけた4月18日、盛岡市の石割桜が満開でしたので、車を停め写真を撮りました。外国人観光客がいっぱいいました。西和賀町まではまだインバウンドは及んでいません。が、早晩われわれのこの山あいの雪国にもお客は来ることでしょう。地元の若い人たちにもそういう読みはあるでしょうし、新たな形態の宿泊業への進出も取り組んでいます。

石割桜を見た後に、せっかくなので映画の「教皇選挙」(コンクラーヴェ)を観て来ました。カトリック教会のこと、ひいてはキリスト教の文化歴史的側面について、日本人はなかなか理解ができていないと思います。私自身もたとえば哲学の勉強の中で西洋思想史の中でのキリスト教の持つ意義というのは大大テーマであるとはいえ、その本質的部分は何となく避けて通って来た気がします。でも、子どもたちに対しても、世界を股にかけた仕事をするようになってほしいし、そういう時にギリシャ神話やキリスト教文化のことを知っておいた方がよく、同時に自国の「古事記」の個々の話なども外国人に説明できるようであってほしい、などと言いはします。その通りでしょうが、なかなか。。

次の教皇を決めるのは枢機卿(すうききょうと呼ぶのが正しいらしいです)団の人たちで、バチカンに集まって教皇の選挙を何日もかけて決まるまで行う、という話ですね。そのことは知っています。教皇が選出された時は特別な色の煙で地元住民に知らせるとかも何かで憶えていました。映画だけでなく実際にいろいろ策略や陰謀とかもあったことでしょう。そういう世界史の一コマを子どもたちには知ってほしいものです。

雪が溶けたいま、映画を見たりする余裕ももうなさそうです。去年よりも雪解けが遅くて春作業は遅れています。稲の育苗だけは進めていますが、ちょっと気温が低くて、いつものことですが出芽にヤキモキの日々です。平置き出芽でみんな使うシルバーシートですが、寒冷地では天気の悪い時は「保冷」になって箱の温度を低くしてしまうため日中は外して夜に「毛布」のつもりで掛けてやります。こうして出芽を待っているうちに、出芽機で出芽した苗をハウスに並べる地元の農家に追い越されてしまうのでした。。

これからりんどうの春作業が待ち構えています。支柱を直し、肥料をやり、ネットを掛けて芽かきをする。廃園予定の圃場はいまのうちにマルチを剥がしておくし、新たに新植する圃場は溝を掘って排水を進め、5月にはこなれた畑で畝立てができるよう準備をする。りんどう作業は何週間もかけて、夏までに終わらせるような息の長い作業です。田んぼの仕事はそれに比べれば、田おこしも代かきも、田植えもまあ数日で終わる話であり、問題は植え終わった後からの除草作業です。

とはいえ田もりんどうも除草がメインの作業になるということは春の作業の形が一段落し終わってからの話で、それがおよそ6月初めまでの仕事になります。一方、秋に植え付けをしたにんにくと小麦は、もういまは形ができているので、収穫の7月までは除草がメインになります。一方で秋はにんにく小麦の仕込みの時期であり、かつ稲刈りやりんどうの収穫時期であるため、最大の繁忙期になります。

まずはいまこの春の「形にしていく」時期を乗り切りたいところです。

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2024年秋作業繁忙期です

アリーナ脱穀前乾燥中

今年の夏は梅雨の頃から雨が多く、梅雨明け後の晴天もそれなりにあったかもしれませんが、あまり記憶になくて、日照が少なくとにかく湿度が高くムシムシした夏、という印象が強いです。9月の10日頃になってようやく晴れ間のある時にカラッとした空気になってくれた、という感じです(とはいえいまはひどい雨降りになっておりますが)。ハウス内で乾燥を続けていた南部小麦とアリーナ小麦ですが、なかなか水分が落ちず、現在は写真の束の段階から脱穀、そして籾摺り機による選別も終え綺麗な玄麦ができているのですが、メッシュの袋に入れてハウス内で追加の乾燥を続けているところです。水分計での計測はその時の外気の湿度に影響されるので、湿度が高い時は水分も高めに出る傾向もありますし、実際湿度が100%であればどんなに風を送っても乾燥はしてくれないと思います。とはいえ、これから空気も変わってきますので、秋晴れっぽくなってくれることを期待しています。今年の小麦も宜しく願いいたします。なお、製粉しての出荷は、ある程度注文がまとまってからの発注になりますので、晩秋の頃になるかと思います。

 

クロタラリア

小麦の栽培に当たり、近年取り入れているのが、豆科緑肥のクロタラリアの栽培とすき込みです。小麦刈り取り直後の7月15日頃、すぐ耕耘しクロタラリアを播種し、浅い耕耘で覆土、そして9月の最初に耕耘しすき込んで2〜3週間寝かせ(腐熟させ)、最終に耕耘し直後に小麦を播種します(9月25日頃)。小麦は肥料を入れないとなかなか育たなく、また特にこちらのような豪雪地では小麦の連作によって雪腐れ病が発生します。小麦に連作障害があるとすれば、アメリカなど見渡す限りの小麦地帯などではどうやって何と輪作しているのだろう、小麦だけの連作以外考えられないんじゃないの、と思わずにはいられませんが、雪が多いこの地方では、雪腐れ病のためだけに、ということでも確かに連作は良くないようです。しかも高温多湿の日本(ここは高温というよりは低温での多湿になりますが)というのは、小麦には不利な条件と思います。

 

クロタラリアのすき込み耕耘

緑肥をいままで深くすき込もうとロータリーを深めにして掘っていましたが、そうすると1度の耕耘ではすき込めず、連続2回掘っていました。今回は浅めに設定して回転を早めてみまして、そうすると1度の耕耘ですき込めました。背丈がちょうど良かったということもあるでしょうが。。あとは小麦播種直前に最終耕耘し播種になり、この時に深めに掘ります。天気だけがいちばんの心配です。昨今のニュースで見るゲリラ豪雨などに見舞われれば、秋ですししばらくは土も乾かず、小麦は種の適期を逃してしまいます。こなれないボコボコの状態で播種しても発芽率が落ちます。今年は7月後半に厳しい大雨が続きまして、山形や秋田で水害が起こりました。その時の気象は日本海側の気候である当地にも影響を与え、ちょうどクロタラリアの播種の直後に当たり、特に粘土質系の畑では水たまりができまして、クロタラリアの発芽不良に見舞われました。南部小麦とアリーナ小麦の2種を作付けしていますが、ちょうど晩生のアリーナ刈り取り後に蒔いたクロタラリアが大雨の影響を受けた形です。

また小麦作付け時期からの逆算で、緑肥は9月アタマにすき込まなければなりませんが、アリーナ刈り取り後のクロタラリアの生育は南部小麦よりどうしても1週間は遅れるために、その分遅れ、背の低い状態ですき込まざるを得ず、緑肥効果としては損をするということにもなります。2か月ちょっとというギリギリの小麦休耕期間に緑肥を育てすき込むので、スケジュールはタイトです。雪のない地域であれば、ゆっくり緑肥を育て、10月の中頃にでも小麦を蒔いて十分育ちますので、これは過酷な条件ではあります。

有機での栽培としては緑肥はとても貴重で大事な要素です。ただ、緑肥は種子代金が結構かかります。また何度も耕耘を繰り返し、軽油代もかさみます。稲など無肥料で、しかも代掻きと合わせても3回のトラクターがけですが、小麦の場合、収穫直後・緑肥播種の後の覆土・緑肥すき込み・小麦播種前の耕耘、で4度の耕耘になり、そもそも収量も販売単価も米よりも低いという、ほとんど常識ではメリットがない作目になります。楽しみの面での生産という側面も確かにありますが、実際は合理性や経営判断で全部を水田にしてしまっても、作業的に大変だし在庫が捌けるほど販売できないかもしれない。また田んぼにできないような条件の悪い畑もあります。稲と小麦は作型が違うため労力を分散できる、といったメリットもあります。有機での麦作はほとんど流通がないし、自分が取り組み続けることは需要に応える意味でも確かに有益ではあります。乾燥ハウス麦束収納能力にも限界があり規模の拡大は難しいですが、現状の3〜4反歩で2品種をという作付けを続けていきたいと思っています。

 

今年の優良にんにく種

8月の末より小麦と同じ作型であるにんにくの植え付けも進めています。今年は年明けの冬、長野県出張中の時期に、杉の枝とかで詰まった水路から水が畑に流入していて、にんにくがダメになってしまう事故があり残念な年になりましたことはお伝えしております。近年、土壌病害やウイルスに侵されていない生長点培養のにんにく種子を専門技術者の方から購入し量を増やしているところですが、この貴重な優良にんにくも水難で量が減り、この秋また新たに注文をし、来年以降に備えました。左はホワイト六片の原種に近い田子原産の品種、右はこの秋よりスタートする山形県の有名な「最上赤」になります。八幡平系統では西根(八幡平市内)の由来の種が追加になりました。あとは休眠が最も深い八幡平系の植え付けを残すのみになっていますが、水難に耐えて生き残った種子りん片はどれも小さく量も少ないです。八木と八幡平については来年夏の収穫物も今後の種使用を最優先することで、出荷に耐えうるサイズのにんにくは来年は供給できないかもしれません。その分、ホワイト六片系統は来年の食用の通常出荷に耐えうる量を植え付けしておりますので、来年はホワイト六片主体の出荷ということで宜しくお願いいたします。

 

彼岸りんどう夜なべ作業

彼岸りんどうの最需要期を何とか乗り切ることができました。市況を見てみて、結果は大体良いタイミングで出荷できたのかなという感じで、最も値段が上がるはずの18日出荷20日販売は出荷量が下降し、値段もやや下がって、これで終わり、になりました。量的には16日月曜日の市場が最大の出荷量になるようですね。当園でもそうでしたので、多分どこの産地も同じと思います。花屋さんは今週の前半に仕入れたりんどうをこの3連休に売っているでしょうが、現在は追加での新たな出荷はもうありません。天気も悪いお彼岸でしたので、売れ行きはイマイチ振るわなかったかもですね。。

今年は全ての作目が前倒し出荷になっていて、彼岸りんどうまでそのように今年の傾向に引きずられました。紅葉と同じで暑い夏だったから逆に開花が遅れるかなと思ったりしましたが、そうではありませんでした。もっとも、前倒しのため、逆に彼岸需要期に間に合わずこれから遅れて出荷されたりんどうが大量に出回る、ということはないわけなので、価格の暴落はないのかなと希望的に観測しています。これからは極晩りんどうの出荷がまだ残ります。とはいえ、今年は高温多湿(当地では主に7月の多雨)により病害が多く、出荷量は平年よりも少なくなってしまっています。お盆の時など7月半ばから開花が始まっていて、日々の管理作業との兼ね合いがちょっと間に合わないよと、とっかかりが遅れて畑にかなり残してしまった苦い経験もありました。もっともムリクリ出荷しても値段はかなり安かった時期です。りんどうは高温多湿に弱い作目ですので、今年のような多雨の夏の状態が今後も続くならば、当地よりも暑くさらに深刻にダメージを受ける地域はより増えることと思います。いつものことですが、米とりんどうの出来は逆になります。なので、米の出来は悪くはないのかと思いますが、どうでしょうか。。高温多湿化の進展で産地が何でも北へ北へと移動していくことになりそうです。米も同じで、新潟はコシヒカリの適地でなくなる日も遠くない気がします。

 

稲2024年9月16日

稲刈りも近づいています。りんどう彼岸出荷が終わったら、稲刈りするか、小麦を先に播種するか、で迷います。いずれまずハセを作らなければダメなので、それが手始めです。土が乾けば小麦の耕耘と播種が優先になります。稲の写真は9月16日の左がササシグレ、右が亀の尾です。水口付近からの撮影になります。いつも気温の低いここでは十分熟せないかな、という極晩生の亀の尾ですが、今年はここでもよく育ってくれました。収量も以前よりも上がっているかと思います。9月中には亀の尾含めて稲刈りが終わるかと思いますし、10月上旬には、ひとめぼれと亀の尾については少量ですが早期脱穀米(17%水分のみずみずしい新米)の出荷をさせていただきますので、その際は宜しくお願いいたします(いつもお買い上げいただいています方々にはご案内をさせていただきます)。

 

2024秋アリーナ播種

どの作業に着手するか迷いましたが、土が乾いていたので、小麦の播種、まずはアリーナを蒔きました。稲刈りの場合、雨の後で土が湿っていても、バインダーがぬかるほどでない限りは稲刈りできますが、小麦播種はまずトラクターで耕耘してからとなりますので、天気の具合を見て、まずアリーナ約17アール分の耕耘と、そしてすぐに播種を行いました。南部小麦よりも晩生のアリーナを先に播種したのは、アリーナはヨーロッパ原産で南部小麦よりも雪腐れに弱かったことから、雪腐れの原因の一つである「根雪となる年内までに十分な生育がなされていない」という事態を回避し生育を少しでも進めておきたいとの考えでした。これで来年の収穫期が早まるというわけではないでしょうが、早く蒔いて、もしかして少しでも早く熟し収穫できるようになれば、その分来年の緑肥クロタラリアを大きく育ててすき込めることにもつながるとも言えます。

しかし播種翌日の昨日9月20日から東北は大雨となり、発芽不良がとても心配されます。どうしても水溜まりが起きてしまうので、種の腐れと流されることが懸念されます。

 

111コーヒー

さて、娯楽面ですが、前から気になっていた町内の「111coffee」に行ってきました。ジャンボスライダーがある焼地台公園内にあり、地元の若者が営んでいます。初めて飲んでみましたが、これはこれまでの中でダントツの美味しさでした! この店のコーヒー豆を買って、自分で淹れて飲んだことはありましたが、全然違う。やはり淹れ方が大事なんですね。本当に感動的な味でした。写真では何かが浮かんでいるように見えていますが、窓の外の何か(木とか)が写り込んでいるようです。お菓子も手作りで、品があり、閑静な公園内だし良い場所があるんだなとつくづく思いました。町内でカフェやクラフト作家、新手の宿泊サービス等での起業の機運が高まっていて、とてもわれわれにとっても励みになる昨今の西和賀です。地域おこし協力隊がらみでの参入者も順調に増えてきていて、われわれ農家もより時代の流れを意識した新しいモノづくりの達人を目指して精進しなくてはなりませんね。

 

八時の芝居小屋

月に1回から1.5回でしょうか、息抜きも必要で、お盆のりんどうが一段落した8月28日、芝居を観てきました。去年はこの時期に月山に登ってきました。「八時の芝居小屋」という名目の小規模な劇で、盛岡の「もりげき」地下のタウンホールで不定期に行われているようです。盛岡まで1時間はかかりますし、行く時にはいろんな買い物や所用をすませますので、時間的には4時頃からの半日分のスケジュールになりますが、たまにはこうした観劇も必要ですよね。小規模な一人独白の短編が3つ4つという感じで大きな感動を得るタイプの回ではありませんでしたが、気分転換になりました。怪談系というかミステリー要素でした。11月にある四季の「ジーザスクライスト」も観てみたいですが、値段的に手が出ないでしょうね。。

「ジーザス」で思い出しましたが、春に出かけ私はとても感銘を受けた「大籠キリスト殉教公園」にお盆に帰省した子ども2人を仙台に送るという機会に連れて行きました。そしてその後には大川小学校の遺構にも。暑い日で大籠で300段の階段を上がるのは結構しんどかったですが、こうした施設を見せることは、経験した私が率先しない限りなかなか本人たちが思い立って足を運ぶということはないでしょうから、まあ連れて行って良かったのかなと思っています。

ちなみに、彼岸りんどうの出荷が一段落した昨日、9月20日は雨だったこともありますが、お昼前に出て、買い物がてら、盛岡で「ラストマイル」を観てきました。時間の余裕があったので、中央公園の駐車場に車を停めて、久しぶりに映画館まで(フォーラム盛岡)まで30分歩きました。ここの道は子どもたちが小さかった頃からよく通っていて、市民文化ホールのオルガンコンサートやら、ランチバイキングやら、映画やらで盛岡市街地へ向かう際によく歩いた道路です。また冬に盛岡の合同庁舎で土壌分析のアルバイトをしていた時も、雪で田沢湖線の電車が止まったりしたときなどに、ここまで車で来て、内丸まで歩いたものでした(約40分)。「ただ歩く」というのは農作業であれこれ忙しなく思案しながら歩くのと異なって、良い気分転換なんですね。傍観者として周りを観察する、という気持ちが心地よいのです。盛岡駅の中を横切って、西口から東口へ、そして開運橋を渡って大通りへ。帰路では途中クロステラスでいろんな地域の産品を眺めたり。冬の盛岡普及センターからの帰り道もそうでした。どんな地域で誰がどのような個性的な商品を出品しているのだろう。とても気にかかることです。ここにたらの芽を出荷していた時もあり、通勤する朝にたらの芽を出荷して、ということもやりました。盛岡へ通ったのは震災のあった年度から7冬でした。

「ラストマイル」から派生していまAmazonで「アンナチュラル」を観ております。面白いです。天気が回復すれば昼間稲刈り、夜りんどう、になりますので、いまだけの貴重な時間です。

 

唐揚げとエビチリ

8月の芝居鑑賞の時、前から気になっていた唐揚げが評判のお店へ寄ってみました(盛岡食堂高松店)。左ですがでっかい唐揚げが売り物です。NHK盛岡放送局のすぐ近くです。大衆食堂って良いですね。右は昨日「ラストマイル」を観る前に入ったエビチリのお店です。盛岡南イオンの近くのホーマック(いまはDCMとかいう?)そばの中華料理店です。PANOPANOというパン屋さん(昔サバの入ったパンを食べ美味しかったです)の路地へ入ってすぐそば、向かいはツルハドラッグです。わざわざ記事にするべきことでもありませんが、どうしてもエビチリが食べてみたくなって、検索し見つけた中華料理店です。大変美味しかったですが大衆食堂ではありませんでした。。私は量も多く食べますし、少なくとも食堂に関しては意識低い系の方が好みです。エビチリが食べられる店はそんなに多くなくて、弁当とかでも見ないですよね。見つけたのはやはりGoogleマップです。PCで一番使っている機能かもしれません。「エビチリ」で検索できるんですね。口コミも拾ってくれたりで。「大衆食堂」とかも打ち込んでおくと高級中華の店が排除されるかと思います。12:40頃の入店でも5分くらい待ったので、人気店ではあったと思います。写真のセットで1,100円でしたが、やはりもうランチも1,000円時代になってしまったんですね。

稲刈りで使う消耗品にバインダー紐がありますが、10年くらい前は1個700円くらいだったと思います(当園ではだいたい15アール分でしょうか)。いまは完全にその2倍の価格になっています。燃料代も上がっているし、お米の値段が上がるのも無理はないかもですね。南海トラフの注意喚起報道がきっかけだったかもしれませんが、今年は米は作柄が良いのではないかと思いますよ。去年の米をいっぱい買ってしまった人は、その分新米を買うのが遅くなりますよね。古いのから食べるでしょうから。当園では便乗で米を値上げすることはしませんが、ここ数年の間にゆうパック料金が小出しに値上がりし続けていて、自分の代金負担分が増えてきておりましたので、送料のみ、実際かかる額に改定させていただけたらと思っております。家に来てもらう集荷では高くなるので、郵便局へ持ち込みにし、スマホ割の料金で支払っております(土日祝日は出荷できません)。送料はその実費の額にさせていただいて、と思っています(実質100円ちょっとのご負担増になる感じですが)。

最後に、「そうそう」、で始まる講談師神田伯山のラジオが面白くて、作業中、普段のラジオでお気に入りの番組じゃない時に、ポットキャストでずっと遡って自動再生で聴いております(本当は遡りじゃなくて時系列で聴きたいんですが、できません)。聴いていて思ったことですが、前に村上春樹氏と小澤征爾氏の対談の本を読み、ちょっとした感銘を受けました。普段われわれは何かを感じ、思った時に、それをいちいち言語化しないで直観的に頭に浮かべている、ということをやっていると思います。ブログ記事にしたりする時はもちろん頭で言葉にして反芻してみたりもしますが、それ以前の段階では通常頭の中で、ある形態の意識が生じている、という感じなのかと思います。その感覚的なことを村上春樹は綺麗に言葉で表現してくれて、まさに「そうそう」、そういうことを私も考えていたよ、という共感になりましたね。音楽についての本だったから、余計にそのような直観→言語化の妙を感じることができたのかもしれません。伯山のラジオを聴いてもそういう気がしていまして、やはり語りのプロだな、と思いながら笑わせてもらっています。本人も語っていますが、「吟味された言葉の選び方」が工夫されていて、それが意識の事象をくっきりと形にしていることなので、偽りようのない「本音」なんだと思います。村上氏の時と同様に「そうそう」と心地よく感じられるのですね。

この雨、また強くなってきました。播種したアリーナ小麦が心配で。。

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にんにくと小麦の収穫期

にんにく乾燥中2023

秋田市では大変な大雨被害が出ましたが、ここ西和賀町は気象的にも秋田に近いせいもあって岩手で一番降ったようでした。川や水路の氾濫は気にかかり、消防でも見回りしたりしましたが、これだけ降っても浸水が起きにくいのはやはり舗装路が少なく、ほとんどが地面だからかもしれません。とはいえ氾濫や土砂崩れなどは山間地ではどこでも起こりうるので。。

自分の圃場も何度か見回りもします。水路で田に水を入れる箇所は水の取水栓の場所を石などを置いて水位を高くしていて、そこに急激に水が押し寄せて、置いた石で水が盛り上がり田畑に越水して流れ込んでいた場所を見つけ。。慌ててその石を退かせたりしました。

いまはまさににんにくと小麦の収穫期。例年より1週間早い進みで、にんにくは全て掘り終えて根茎を切り乾燥ハウス内の金属ハセに掛けて自然乾燥中です。この乾燥棚には小麦も入ります(写真右)。今年は小麦用にもう1棟ハウスを準備しました。にんにく乾燥ではハウス内が30度以上に上がりにくくするため、にんにくの頭上の部分だけを黒い遮光シートで覆っています。これでかなり気温上昇を防げます。小麦の箇所は日が差し込みます。

 

八木収穫2023

近年ご注文を多くいただいている秋田原産の「八木」です。赤みが特徴です。形としてはいびつだったり、土の付いた表皮を剥いた後の出荷の荷姿はホワイト六片のように美しくはないのですが、手に入りにくいにんにくですし、当園でも大きめの種子を使って植えますが、分球が不完全だったり、なかなか手ごわい栽培の難しい品種であります。

今年は全般に割合大きめのにんにくになっているようでした。周りに栽培農家のいない手探り農業技術なのですが、深く掘る・深く植える・早く(早い時期に)植える、の3点と、草取りなんだと思います。浅植えになったにんにくは収穫時の抜き取りは楽ですが、総じてそれらは小さめでした。深植えでは抜き取りに難儀し、茎がちぎれたりする場合もあり移植ベラ片手で起こしながらの収穫になったりしますが、大きいものを採るためには必要な努力かもしれません。

 

南部刈り取り2023

にんにくの後は小麦の収穫です。適期を迎えたとたん雨が続き、タイミングを探しておりましたが、昨日の7月15日は災害級の豪雨だとの予報を見て、13,14日の両日で何とか南部小麦の刈り取りを済ませました。14日夕方最後の1枚は雨に当たってしまいましたが、とりあえず畑から全部集め軽トラや運搬車の荷台、あるいは乾燥ハウスの中の地面に積み上げて翌日の豪雨から守り、そして大雨の昨日の午前中に全部ハセに掛け終えて、南部小麦の収穫作業は完了しました。1か月間ハセで乾かして、お盆過ぎに脱穀し玄麦を手にすることができます。

今回はは種機を使っては種したことは割合良い結果に至ったと思います。問題はやはり雑草対策で、春に一度管理機で中耕し、また草刈り機でも畝間除草したりしましたが、草が多発する場所はあり、また小麦に接している雑草はそのままなんともできぬまま大型化しバインダーで一緒に刈り取ることにもなります。田の除草にも言えることですが、一番難しいのが草対策です。

 

ササシグレ中干し中

こちらは今年初めて挑戦したササシグレです。割合分けつもし、いい感じで生育し中干しの時期を迎えています。冷水と低温多湿の傾向がある当地では、暖地よりもいもちが心配される土地柄です。これからの2週間は要警戒期になります。

 

金命水

今年は免許証の更新に行かねばならず、月1度の7月分のドライブの楽しみを兼ねる日としました。更新ですが、大型免許のため「深視力検査」があり、これが苦手なのです。。それでちょっと検索して、ユーチューブで前日に少し練習をしました。それで少し目が慣れたのか、当日は割とすんなりクリアすることができました。何の練習もなくいきなり検査に挑むのは結構厳しいと思います。寝床でスマホでの動画視聴でも、やっておいてよかったと思います。

免許証を手にした後は。ホームセンターでの買い物の後、今まで通ったことのない道路を走り、初めて地図で目にした阿原山という高原に向かいました。ここには金命水という名水があるとのマップの記載があって、そちらにまずは出かけました。ここは歩かなくても、車を停めてすぐの場所でした。4Lの焼酎ペットポトルに水をいただいて、いま朝のコーヒーに使用しています。

 

阿原山

そして阿原山に行き、賢治の詩碑等を見て一度水沢方面の市街地へと降りました。写真をとっている地点が三角点になります。

 

胆沢ダム

そしてまだ時間があったので、胆沢ダムへ向かいました。ここはその展望できる地点からの眺めです。そしてダムへ向かい、さらに湖の周囲を車で走りました。

 

弘法の枕石

弘法の枕石という場所がありました。1200年前に弘法大師が秋田へ旅する途中にこのそばの山中にあるという「於呂閇志神社」に詣った後にこの岩で一晩休んだと言われ、ダムを作るときに発見されたようなのですが、そのままだとダムの底に沈んでしまうことから、ものすごい苦労をして上まで引っ張り上げたそうです。

その於呂閇志神社にも車で向かい、かなりの悪路を走行したのですが、突然にUターンできるくらいの空き地が現れて行き止まりに。。夕方にもなっていたし、下車して歩いて深入りすることは避け、そのまま引き返しました。家に帰って検索してみると、よく見れば近くに歩いて向かう参道があったように見受けました。

それから秋田へそのままR397号で抜けて横手の山内経由で帰宅しました。帰りは横手方面の市街地へ出ず、東成瀬村から山内(さんない)への山道を経由して普段横手へ出る時のR107号へ合流できました。

397号は国道とはいえ車も少なく山道です。途中、久々に熊を見ました。子熊と思いますが、道脇の林へと去っていく姿はどことなく愛嬌がありました。すぐに見えなくなって、写真などは撮れませんでした。

前回の記事でも書いていますが、月1くらいで何かの用事に合体して未走行の道を探してドライブすることは良いリフレッシュになります。ふだんからGoogleマップはよく見ています。これからあともう1種アリーナ小麦を1枚ですが刈り、農道畦畔の草刈り2回目を終わらせ、りんどうの草取りやネット管理をしていれば、すぐにりんどうの出荷が始まります。

 

アリーナ刈り取り

7月17日、最後に残ったアリーナ小麦を刈りました。予報は雨の連続でしかも強い雨になっています。雨が数時間止んだ間隙を縫って、濡れてはいましたが刈るべきと判断しました。コンバインじゃないので麦に傷をつける心配はありません。水が溜まるような圃場ではないので機械作業は可能でしたが、土が柔らかくなっているので刈り取り部を持ち上げるようにしての作業となります。

 

アリーナ集め

アリーナは結構かさばるのです。全部集め終えました。すぐにハウスに向かいます。

 

アリーナハセ掛け中

ハウスに掛け終わりました。汚れたバインダーを洗浄機で洗い、今年の刈り取り作業完了です。右側は南部小麦です。早く雨が終わって猛暑になってほしいものです。。

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田植えが終わりました

田植え2023

真夏の暑さが来たかと思うと雪が降りそうな寒さで乱高下した気候の5月が終わりました。亀の尾とひとめぼれ、それに昨秋分けていただいた「ササシグレ」の苗などを植え、今年の田植えがまず終わりました。2回目の植え代かきをタプタプの水量にして回転を上げてトロトロ層を作る狙いのやり方をしてみましたが、部分的に凹凸になったりもし、そう簡単ではないなという感じもしました。今期は地域おこし協力隊による援農活動も加わっていて、例年以上に、よりきめ細かく稲作の諸作業をきっちりこなしていけたらと思っています。

何より、ササシグレがこちらの冷涼な気候でどうなのか、これが最大の関心事です。

 

チェーン除草2人版

そして苗の活着を待ち、チェーン除草をしました。写真はひとめぼれの田です。協力隊員の彼と2人で引っ張り合うことで、直接背中にたすき掛けロープで田の中を曳きずって歩かずにすみますね。田の短い幅の方を向かい合って往復でチェーンがけしておりますが、この後の動力除草機を使った作業は長い面を進行することになるので、90度逆の引き方をしてみました。うっすらと既に生えた雑草を取ることはできませんが、撹拌して泥水を作ることには効果があることと思います。あんまり田植え直後ですと苗に影響がいくし、遅れると田面が固くもなり、タイミングが非常に難しいです。

 

にんにく2023年5月

にんにくも旺盛に育っています。やはり雪解けが早かったのはありがたかったですね。春になって株元の草取りをし、次はトウ摘みですが、その前に気になっていた通路の雑草の草刈りも、今日完了できました。

 

2023年5月末の小麦とにんにく

にんにくと並んだ6月1日の南部小麦の生育状況です。いつもはこの6月になってからの出穂ですので、1週間程度前倒しで進んでいます。去年秋の播種は播種機を使用しました。均一に蒔けるというメリットもありますが、おそらく一番の効能は、覆土が深くならないで済むという点と思います。溝を掘って手で播種し鍬や長靴等で覆土するというやり方ではどうしても覆土が厚い深蒔きになってしまい、それが生育や、あるいは積雪地の難題「雪腐れ」菌に負けるという状態を招くと考えられ、播種機はそれを防いでくれるようです。

写真は南部小麦ですが、雪解けが早かったからか、その播種機使用が良かったか、これまでにない生育の良さです。一方のアリーナ小麦は、マメ科緑肥のクロタラリアの漉き込みの効果によってか、昨年の壊滅状態に比べるとそこそこに生育してはいますが、まだいくらか雪腐れの影響は受けているようです。アリーナは今度の秋は別の圃場で緑肥も行った上で作付けしてみようと思います。アリーナはヨーロッパの品種だけに、基本、雪には弱いのだと思います。それでもここ沢内でこれまで何年もしっかり育ってはくれました。畑を変えることで再び長稈の濃い葉色の姿を再現したく思います。

それにしても、南部小麦は雪腐れには非常に強いことは検証できました。とはいえ、ここは豪雪地です。雪腐れの原因となる連作を避けるためにも南部小麦圃場にもマメ科緑肥栽培を盛夏の休耕期間中に、全圃場とはいかなくても、順次行っていきたいと思います。緑肥の種代はかなり高価なので、そこが難点です。

 

自家製ルバーブのジャム

2021年晩秋に植え付けをしたルバーブが、昨年2022年の1作を収穫せずしっかり養成し充実させて、今年初めて収穫しました。当園とも共同で農産加工を手がける「味工房かたくり」の加工場でジャムになりました。第1号です。

 

ルバーブ園2023

「クリムゾン・チェリー」という品種になります。西日の強くない畑に籾殻や稲わらをたっぷり入れ、有機質(油粕)のみの栽培になります。近年は夏場の高温猛暑が特に西日本東日本では顕著なようです。ルバーブは暑さを嫌う作物でもあり、ここ沢内のような冷涼地で適度な雨により過乾燥にならない土地柄はかえってルバーブに向いているとも思われます。反面過湿にも弱いため、排水面の配慮は必要です。この場所は住宅の敷地と隣接した元々は田んぼでしたが、川のそばで石が多く、それはマイナスではありますが、水はけはとても良いのです。田としてはザルで不利でも、ルバーブにはきっと味方してくれる気がしております。

 

ルバーブ根塊

植え付けした時のルバーブの根塊です。今後数年間隔で、適宜株を掘り上げてはスコップや押し切りで4等分くらいにし、増やしていくという作業が晩秋または早春に必要になります。

 

タラノキ園2023

タラノキ園の管理も進めています。タラノキは根(種根)より発芽して増殖するのですが、いまこの雑草に覆われた通路部分で、地下に張り巡らされた種根から芽(ヒコバエと言ったりします)がにょきにょきと出て来ていて、それを見つけスコップで土が崩れないように掘り取って、別に作った畝の定位置に植えていくという作業をしています。たらの芽は受注が多く、生産が追いつかないので、できればしっかりと穂木が確保されるよう拡大努力をしたいし、それはいまのこの時期の作業になります。根を直接掘り取って育苗箱等で人工的に発芽させポット育苗して移植するというやり方もありますが、温度湿度管理は難しいですし、こうした切り取った根でなく土中の生きた根から発芽し地上に出現するヒコバエは質量ともに圧倒的に良好です。

逆に、家の敷地内に安易にタラノキを植えることは要注意です。定期的に草刈りで刈っていればいつか絶えてしまいますが、そうでなければあちこちにタラノキが出現し、いろいろ困ることもあるでしょう。庭木の方はご留意ください。

7月に入ると成木の畝は繁茂してもう畑に立ち入れなくなるし、いまのうちに草取り等の管理作業もしっかり進めておきたいものです。写真向こうの方はまだ植えたばかりの苗状態なので秋まで圃場に立ち入れますし、小さい苗のうちはしっかり8月まで草取り作業をしたいと思います。

 

早池峰神社

さて、現在左手首の治療をしているのですが、午前中で終わる診察の後に、病院のある北上市から遠野の早池峰神社に足を伸ばしてみました。雨の日ということもあり、農作業しなきゃと足早に帰るのでなく、やはり時々車を走らせていろんな土地を見ることで心と体のバランスが取れる気がしています。盛岡の知人から早池峰神社の由来についてなど聞く機会があり、関心を持っていました。附馬牛(つきもうし)という遠野の山間部にあり、なんか良い感じの景観でしたね。附馬牛、自分には心地よい土地柄でした。

 

早池峰神社山の神

阿仁でマタギ資料館や山の神を祀る神社に行ったりしましたが、この早池峰神社の中にも「山の神」の碑がありました。

 

早池峰神社馬の絵

遠野は馬産地ですよね。味わい深いです。時々ぼーっとこういう場で安らぎたいと感じます。

 

地早池峰神社地図

入り口付近にあったとてもわかりやすい案内図です。薬師岳がありその向こうはいったん谷間で幹線道路が走り、そしてその奥に早池峰山がそびえているんですね。静かな佇まい。月並みですが、心身の洗濯になった気がします。

 

稲荷穴

早池峰神社に向かう前に、いまは遠野市の宮守(ワサビの産地)でワサビラーメン定食を食べ(ラーメンと餃子にワサビが。。)、そして近くの「稲荷穴」という洞窟を見学しました。洞窟は好きなんですが、ここはちょっと中に入って探検という感じではなく狭い洞窟内に川が流れているというものでした。平日だし、ほぼ誰もいない山道のドライブです。長野県最南端天竜川沿いの誰もいない道路を走ったことを思い出しました。ここよりも天龍の方が秘境感があったかな。

 

宮守眼鏡橋

同じ宮守の「眼鏡橋」、昔子どもたちと来たはずですが、あまり記憶に残っておらず。。銀河鉄道が地上から空へ駆け上っていくシーンが彷彿されますね。

ちなみに、映画「銀河鉄道の父」を観て来ました。賢治の地元県というだけあり、平日でもかなりのお客さんでした。つくづく、妹トシが不憫ですよね。聡明で、賢治を励まし、最大の理解者でしたのに。。賢治の持つ迷いや心の弱い部分、内面の葛藤や自己批判的な傾向、現実を直視しようと力みながらも自分の慣れ親しんだイメージ世界にこもりたがる傾向。。こうした点はとてもわかり、自分も近いのかなと思います。役所広司が演じた父親像は、息子への愛と理解しようとする気持ちに満ち溢れていました。いままで何となく解釈していた賢治の父の印象とは異なっており、私には意外に思えました。

 

旧岩谷堂共立病院

かつて子どもたちを連れて訪ね、その断片的な記憶だけが頭に残って、あれはどこだったかな、と気になってGoogleマップで調べてみる、ということを夜に最近よくやっておりますが、この「旧岩谷堂病院」もその一つで、賢治の映画を観た後に、思い立って訪ねてみました。江刺の「えさし藤原の郷」の近くにあり、15年くらい前に「種山ケ原」へ行った帰りに見つけて立ち寄ったと思います。今回、管理人さんがいて(美しい人)、他に誰もいませんしとても丁寧に解説していただきました。

子どもたちが大きくなっていくにつれ、小さかった時の記憶が遠のいていって記憶が幻のように感じる時があります。そういう記憶の断片像をたどり直してみたい気持ちは後ろ向きであまり健全なことでもないのかもしれませんが、田畑で黙々と稼ぎながらも、時に田畑を飛び出して映画を観る、いろんな土地を訪ね歩く。。先にも述べましたが、そういうことを織り交ぜてくらしていくのが自然なことなのだと最近思います。

子どもたちが小さかった頃というのは農業面でも栽培技術的にまだ確立していないさまざまに不安定な面もあったし、そんな中でも子どもらにいろんな世界を見せたいという願望もあって、農業と外出スケジュールをこなすので精一杯でした。その出かけた先の中身などしっかり味わえていなかったかもしれませんね。前回同じように思って訪れた「マリア観音」について書きましたが、過去の不完全燃焼の部分をたどり直してみたい、そんな気持ちは誰しもあると思いますし、時々は田畑から出て何かしらの見聞を続けたいものです。

年齢的にも、人生の集大成をという年頃に達して来たのかもですね。。

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農シーズンが終わり、そして寒天製造時期になり

米ぬか施肥後のにんにく圃場

奇跡的に無積雪の11月が終わり、12月を迎えています。ありがたいことです。にんにくの雑草はかなりの茂みになっていましたが、全部取り切ることができました。そしてフィニッシュは米ぬかの散布です。生の米ぬかですが、これから冬場にゆっくりと腐熟して雪解け時には土作り効果、追肥効果をもたらせてくれると思っています。

日暮れが早く夕方4時半には外作業は終了。あとは作業場で黒にんにくの準備製造をしたり、会計の記帳をしたり、補助金等への事務作業をしたり、年賀状の作成をしたり、これまでできなかった事務作業も山のようにあり、これも何とか終了し、そして農作業のシーズンが終了しました。冬支度に漏れはないか、あちこち見回って、シーズン最終日を終えました。

 

タラノキ伐採2022

最後の収穫作業はタラノキ穂木です。悔しいことですが、育苗がうまく進まず芽の素材量は少なめで、作業はすぐに終わりました。作業場に保管しており、2月の芽吹かせを待ちます。

 

アイアン・横手

余裕もできてきて、お隣横手市での展示会に誘われて、知人の職人の技を見てきました。山のうえアイアンの鉄工アートです。

 

ブナの森・横手

こちらは「ブナの森」竹澤氏の木工展示です。飛ぶように売れていく品々ではありませんが、こうした作品群が然るべき買い手の元に届いてくれたらと願わざるを得ません。

 

あがたの森

そして11月が終わり、例年通りに長野への寒天製造の出張の日が来ました。今年は開始がやや遅く、11月29日に家を出て、翌30日、群馬の嬬恋村から長野入りしました。旅行支援で安く泊まれた上に3,000円のクーポンももらえ、食費に充てたところです。

上田から松本へ着き、学生時代を過ごした街を少し歩きました。

懐かしいスパイスの「キッチン南海」でカレーを食べ、旧制松本高校跡地である「あがたの森」公園を散策しました。ここは初めて足を踏み入れました。ヒマラヤ杉並木が有名です。家の庭木でも姿形の良い針葉樹が好きで植えておりますが、ヒマラヤ杉はちょっと手に入りにくそうですね。巨大になりそうだし。すぐ近くにはイオンモールもできています。今回は行きませんでしたが、ナワテ通りの辺りが好きです。

 

北アルプス

アルプス公園にも出かけてみましたが、木が邪魔でアルプスは見えず、進入した駐車場を間違ったかと退却し、すぐ近くの学生時代によく訪れた岡田神社奥にある芥子坊主という高みより北アルプスを眺めました。さっきまで見えていた常念が急に雲隠れしましたが。。

北アルプスに別れを告げいつものごとくひどい渋滞に巻き込まれながら茅野市を目指しました。19号はあんまりにも渋滞がひどくて我慢できず、ルートを東寄りの小高い南北に走る道路にチェンジし、塩尻から諏訪を経由し寒天工場のある茅野市に入りました。長野県の渋滞状況を見ていると、いつもながらやはり関東地方の人口密集度は東北とは異なるなと感じます。

 

庭

寒天の準備作業がスタートし、田んぼ(庭と言います)に藁敷きをし、杭を打って杉の間伐材の長木を上に載せて縛り、「とかし」作りをします。生寒天の台(「カイリョウ」)が乗り、日中の暖かい日差しを受けて溶けて、それが夜に凍って、をくり返して、東北でいえば凍み大根のような天日干し角寒天が出来上がります。

 

釜

私の係は釜のテングサ茹で業務なので、庭の準備ができれば釜の持ち場へ移ります。右の釜で茹でた草と煮汁をクレーンのバケットで掬い、左の舟には布を被せますが、その布の上に移し、濾した液(「のり」)が底に溜まっていきます。それをポンプで青いモロブタに移し、やや固まった状態で天切り包丁で切って庭に出し(「天出し」)、庭で寒天になっていきます。

 

 

舟の内部

舟の木枠にはタルキで溝を付けており、そこに竹のすだれを被せ、さらに布で覆います。毎日漉してはカスを捨て、のくり返しです。何十回で終わりになるでしょうか。今夜12月16日から深夜のクレーン作業とのりつぎ、天切り、草入れの釜作業が始まります。

 

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長雨の夏です

にんにくの収穫

7月からずっと雨ばかり続いています。7月初旬のにんにく掘り、中旬の小麦刈り取りも雨の中に行ったようなものでしたが、それに輪をかけて8月の上旬からまたお盆にかけてしつこい長雨と時には豪雨で、まいったまいったの夏になっております。当地は物理的な災害は免れましたことは幸いに思っておりますが、同じ東北の知人関係では圃場の被害にも遭われており、大変でした。お見舞いいたします。

7月に掘った今年のにんにくに関しては、割合と大きめなものにできていて、この点は安堵しています。ちょうどハウスに掛け干してから1か月経ち、お盆用りんどう出荷戦が終わったことから、いま集中的に皮むき作業を進め、出荷を開始しているところです。今年のにんにくもどうぞ宜しくお願いいたします。

ホワイト六片・八木ともに例年よりはM品(当園では最上位規格)が多いですが、量的にはSサイズが主流にはなっています。八幡平だけはどうしてもMサイズに至らずS品あるいはSS規格品になり、この点は少し限界も感じています。八幡平は100%トウ立ちする品種で、これは折り取ってにんにくの芽として食べているわけですが、取り遅れるとにんにくが小型化しますため、まめに見歩いて折り取っていたつもりではあるのですが、どうしたものか、大きく出来るコツを得たいものです。

 

小麦の収穫

小麦については、既に報告させていただいていますが、アリーナ小麦とライ麦が雪により融雪時に消失していて、改めて大雪の冬だったということと、雪で株が消失する=「雪腐れ病」なんだという事態を認識しました。長期間の積雪に耐え切れず枯死してしまったというような物理的現象ではなくて、多雪による原因菌の増殖作用した病気であるということのようです。北海道の産地ではこの対策として晩秋に薬剤散布までしているそうでした。薬とかの問題じゃないんじゃないのと思っていましたが、とにかくれっきとした病気だということです。当園で行うべき耕種的防除について専門家にも尋ね、知見も得られたので、来年こそはと思っています。

・肥料が少ないと菌に負けやすい。
・麦を連作していると菌に負けやすい。
・播種の覆土が深くなっていると菌に負けやすい。

こういうことが調べた結果として得られました。肥料については化学肥料を使いませんので鶏糞や豚糞を使用しており、これは現状通りとします(本当は牛糞が良いのですが)。田と違って麦は無肥料の自然栽培は難しいです(ライ麦はOKです)。ヒントは緑肥にあり、マメ科緑肥で窒素分をしっかり補給するとともに、同じくマメ科等緑肥を使うことで麦→豆→麦の作型となって、連作障害を回避する効果も得られます。この緑肥の使用は既に行っており、収穫後すぐに耕耘して種を蒔きました。ここ沢内は融雪の遅れから平地より刈り取りが3週間遅れ(今年は増してや遅かったです)、また次の積雪が早いため小麦の播種も遅らせることができません。他より短い小麦の休耕期間に緑肥を蒔き、十分成長させてからすき込んで、土になじませ、そして小麦の播種ができます。今年のような雨続きの天気だと、小麦の刈り取りができないイライラよりも、早く緑肥を蒔きたいストレスでした。十分に緑肥が生育しないうちに時間切れとなり耕耘して小麦を蒔くというのは効果も薄いですから。緑肥の種代も結構高額になるんです。

 

クロタラリア (ネマックス)

小麦に先んじて行ったにんにくの収穫の跡地、秋にアリーナの作付け予定地となる畑にマメ科のクロタラリア という緑肥の播種(商品名はネマックス)を7月18日に行いました。ほぼ30日後の8月16日のクロタラリアの様子です。緑肥を蒔いたのは別の南部小麦の畑も同様で、雪腐れに強い南部小麦でもやはり連作が続くことはマイナスですのでマメ科を挟み、雪腐れ菌により強く、かつ地力窒素増強で収量も上げたく、やれることは行ってみています。

みなさん大抵の方は「ごんべえ」などの播種機で種まきをされると思います。大規模の農家はトラクターの後ろに何条もの播種装置を設置して5条とか7条蒔きをしていきますが、当園の規模では手押しのタイプになります。この度やっと導入するに至り、この秋の播種から使用します。いままでトラクターの尾輪で蒔き溝を付けて蒔いておりましたが、播種機使用で覆土も一定になり、各条間もマークを付けて正確に隣接畝の位置を決められるので、その間を除草中耕することで草対策もできます。

なお、小麦に関しましては、今回の8月上旬の集中豪雨で(豪雨というのは一時的にですが)、春蒔きの農林61号は収穫が不能となり、アリーナやライ麦に続き残念な結果となりました。61号は茎が極端に細くて、昨年も登熟期になると折れてしまってそういう穂が集中的に鳥害に遭ったりという感じでした。初年度は秋蒔きで春に完全雪腐れ、そしてすぐその春に春蒔きした2作目の去年は上記の状態に、そして3作目の今年は思い切って相当量の豚糞を投入し前半は生育も良く、やっぱり雪の影響を受けない春蒔きは良いなと思ったりしましたが、7月末からお盆までりんどう出荷に集中していたこの2週間の間です。長雨による茎折れとやっぱりの鳥食害、それに雨で一層進んだ雑草繁茂で状態が一変し、バインダーを畑に入れてみましたが、収穫を諦めました。ここはかなり頑張って草取りしたのですが、やはり小麦と雑草が春に同時出芽スタートになるというのは農薬を使わない栽培には致命的なんですね。麦はほんと難しいです。

長雨については、ブルーベリーにも影響があり、晴れていればちょうど完熟して良い感じだな、というべきものが、収穫してみるとぶよぶよした感じで張りがなく、食べても発酵臭のような風味でものにならず、出荷には至りませんでした。こちらも時期的にはりんどうのお盆出荷と合致し、ふだんでしたらお盆出荷終了後のお盆最中にちょうど完熟で良かったりしたのですが、やはり時期が重なる品目というのは農家として避けなければならず、結果的にどちらかを捨てる事態になるのだなということを、長雨が元凶ではあるのですが、感じさせられました。薄力品種で期待もしていた農林61号は作付けをやめることにしますし、ブルーベリーについてはりんどう出荷前の小木ながら風味の良い「アーリーブルー」だけに絞って植栽を続けたいと思います。これは前から思っていたのですが、毎年雪で折られてアーリーブルーが順調に育っていないのが現状です。来春もまた10本以上挿し木をし、3年かけて定植に持っていきたいと思います。

 

下駄除草

田んぼは6月にひたすら除草を続け、その後に中干し、そして現在出穂の時期になっていますが、田についても限られた除草期間(田植え後1週間後から1か月間)を今年も何とか精を出しやりました。エンジン除草機で3回除草機かけを行い、それで残る最終工程は中干し作業直前(6月末)の除草下駄踏みで締めくくります。

 

除草下駄

岩手県金ケ崎町の方が製造した除草下駄は大きくなった雑草もひと踏みで泥に沈めてくれます。今年は3回除草機で歩いたため土が固くならず、どの田も容易に踏み込むことができました(土が硬い場合は無理です)。エンジン除草機についてはある程度雑草が根を張り生育してしまうと上を撫でるだけで除草になりません。また株の直近や株間はできません。できるだけ初期に2回集中的に行い、3回目は無駄だったかなとも思い、2回+この除草下駄にするという流れで次年度は臨みます。ごく初期にチェーン除草をかけることも株間条間関係なく除草できる点はメリットですが、植えたての活着前の稲ではダメージを与え、タイミングは難しいです。

有機栽培の基本は大きい成苗を2本植えするというものですが、当地のような寒冷地では分けつが進まず2本では足りないという見方が大勢です。それに加え活着の早さを考えるとより小さめの苗の段階で早く植えるということが、除草開始時期の上でもとても大事な気がします。寒冷地では田植えの遅れることが嫌われます。特に亀の尾やひとめぼれは奥手ですので、植え遅れは厳禁です。小さめでも早く4本くらいずつ植えて、小さければそれだけ早く活着し早めの除草に入る。まさに草を見ずして草を取る。種蒔き時に薄蒔きにすれば、それだけ育苗にも時間がかかり、また薄蒔きは田植えでの欠植がつきものですね。来年の籾播種はいろいろ考えながら、教科書セオリーではなく土地の風土に合った農法を見つめ直してみたいと思います。

今年は稲の出穂が遅れています。騒がれているような猛暑では東北北部は決してないのです。今日などは多分25度まで上がらないでしょう。お盆を過ぎたら秋の気配ですね。長雨の多湿でいもち病も心配ですし、稲刈りも遅れます。今月上旬のしつこい前線は既に秋雨前線だったんでしょうか? 夏よ去るな、が本音です。

 

虚空蔵堂ご開帳

さて、地元ラジオカー684号リポートで知ったのですが、盛岡に、丑年と寅年だけを守ってくれるお寺があるそうで、不退院虚空蔵堂(ふたいいんこくぞうどう・浄土宗)という仙北町にあるお寺ですが、13年ぶりに本尊のご開帳が行われるという情報がありました。ちょうど私は寅年でもありますし、これはお参りに行った方がいいなと思って、その開帳の日7月13日は雨でもありにんにく掘りも終わっていましたので、出かけて、またこの機会に祈祷を受けてきたところです。

写真のご本尊が13年ぶりに公開された虚空蔵菩薩です。隣に丑と寅が描かれていますね。

 

虚空蔵堂お助け観音

境内にはお助け観音なる仏像が。いろいろお寺の方(というか地元町内会の方のようでしたが)に話を聞いたのですが、このお助け観音像か秘仏虚空蔵菩薩のどちらか忘れたのですが、雫石の御所湖の辺りの河原で流されてあるのを発見した人が祀った、と言われていました。何を助けてくれるのでしたか。。私は日中に行きましたが、裏の方には既に出店がいっぱい並んでいて、夕方からは地元の子どもたちが楽しみに出歩く行事になっていると思われます。下の娘は丑年なのでご開帳じゃくても来年も参拝してみましょうか。住職からも改めて話を聞いてみたいところです。

 

丑寅を守ってくれる

参拝料を払って住職に祈っていただき、お札をもらいました。うちに神棚はあるんですが、お寺でいただいたものを棚にあるお宮?に入れるのも変ですので、とりあえずその隣の同じ棚に直接置いていますが、こういう場合はどうすれば良いんでしょうね。

広島長崎の日を迎え、終戦の日も過ぎました。広島の日はりんどう出荷のまさに頂点の日になっています。りんどう選別の残業をしながら夜ラジオを聞きますが、原爆の日には特別な番組があります。今年はFMシアターというラジオ劇で『とうがきの花ことば』という作品を放送していました。とうがきとはイチジクのことだそうです。広島弁も上手で、ストーリーもわかりやすく結束機械の作業音を挟みながらもすっと入ってきて印象に残りました。介護施設で暮らすおばあさんが書き記す原爆の日直後の様子を担当の介護士さんが読みながら、だんだんと古老の若い日の姿に思いを馳せていくという話でしたが、良い番組でした。

同じ時期、作家の高橋源一郎さんの番組「飛ぶ教室」、これは毎週聞いていますが、広島市から生放送された8月5日の回も印象深く残っています。ちなみに、高橋さんのお母さんが8月6日当日の朝の広島に朝8時に着く列車の切符を買うために並んでいて、すぐ前の人で売り切れとなって切符が買えず、汽車に乗れず、という話をしていました。もし切符が買えていたら自分もいまこの世の中にいなかったと。

2番組を聴いて、平和や核兵器廃絶の概念を訴え続けることで戦争体験が継承されていくだけじゃないんだなと感じましたね。理論や説を学ぶのではなくて、個人の個別の戦争生活体験、それは多少後から脚色があったり記憶が変異したりする部分があっても構わないことで、一つ一つの実体験を物語として見聞きするということが、私たち後世の者が脳裏で追体験することになり、自分の自身の映像イメージを得ることにつながります。ニュースや報道、活字で論理によって(「抑止」の意味とか)戦争の危険を伝えることはもちろん大切でしょうが、ある意味「それはもっともなことだね」という概念の理解にとどまってしまうことかもしれない。そこから踏み込んでいくために、「物語」ということの大事さがあると感じました。純粋理性だけでなく実践理性を、ということにもなりましょうか。

ちなみに、「飛ぶ教室」はいろんな本を紹介し、それは結構参考にしたりしています。ちょっと古いところでは東京芸大への入試を扱った美術系の漫画『ブルーピリオド』が紹介され、買って娘とともに読みましたが、最近紹介されていた、松村圭一郎という人類学者の方が書いた『うしろめたさの人類学』がとても自分の感覚にフィットして、入手しました。まだページをめくる前にりんどうの深夜残業が到来し、少し印象が薄れてしまってますが、「商品と贈与」といった注目すべき論点を含んでいて、他日またお伝えできたらと思っています。

今日もまた雨が降り続いています。これから次の彼岸向けりんどう出荷、そして稲刈り等で忙しくなる前に、最後3回目の草刈りやりんどうの草取り、中間品種のりんどう収穫、にんにく畑の準備等々、気を抜くことはできません。夜間はにんにくの出荷準備のための皮むき作業になります。昨日は7月に刈り取ってハウス内に掛けていた南部小麦を脱穀し、そしてダメになった農林61号の畑をトラクターで麦・雑草もろとも綺麗に耕耘整地しました(秋に南部小麦を蒔けるための準備になります)。事務作業もいくつか残っておりました。

 

 

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初夏の管理作業進行中〜草との戦いの日々

トウ摘みの頃のにんにく畑

東北南部まで異例の梅雨明けと猛暑になっているようですが、こちらは梅雨の真っ最中で、最低気温が20度、最高気温が25度という感じで推移しています。風があって涼しさは感じられる時もありますが、湿度が高く、作物には心配です。

田植えが終わり、当園の柱品目でもある切り花りんどうの苗の新しい定植や、採花する株の芽かき(株仕立て)をあらかた終えて、そのりんどうや田、小麦畑の除草作業が毎日続いています。にんにくの収穫という期日までに草取り作業をまず終えることが課題になり、にんにく収穫・乾燥調整、そして小麦の刈り取り・ハセ掛け、に続き、りんどうの出荷の夏を迎えます。

今年のにんにくは現在産地では盛んに行われているようで、今年は出来が良いとの新聞記事や知人情報もありました。融雪が遅れる当地では約2週間遅れての収穫になり、雪の多かった今年はいつもより遅れています。7月初頭にホワイト六片を掘り、やや置いて八木・八幡平の順に掘っていき15日頃に完了する流れになろうかと思います。

 

八幡平にんにくの芽

6月20日頃から1週間、いつも八幡平のトウ摘みを行い、その2週間後が収穫という感じになっています。100%トウが立ちしかも美味しいのが八幡平の特徴です。一方、八木は100%トウが立たず、ホワイト六片は2割くらいにトウ立ちを認めるという品種間の相違があります。味としてはそれほど品種間の差はないのですが、八木や八幡平は休眠が深く、その分植え付けもゆっくり稲刈り後にすることができるし(別に早く植えてもいいのですが、9月は忙しいですね)、収穫後の食用にんにくとしても、早くから出芽し緑色が混ざってくるホワイト六片より、休眠が深い=持ちが良いという特性があります。

 

6月下旬の南部小麦

南部小麦もそこそこに伸びており、写真は6月21日ですが、いまがそろそろ収穫期という東北標準地の小麦と異なって、7月15日頃からの刈り取りとなります(例年よりもう少し遅れそうな気もします)。今年はヨーロッパ系であるアリーナ小麦とライ麦が春の融雪後に大部分が消失してしまっているという異常事態の小麦部門でして、もともと雪に弱いとされていた農林61号が以前に同様の目に遭ったことは仕方ないにしても、強健とされるライ麦やまた前に試みたスペルト小麦が雪に負け、そしてこれまで頑張ってくれたアリーナもまた今年の雪には勝てなかったという事実は、改めて寒さではなく雪が小麦の強敵であり、そしてヨーロッパに比べて日本が多雪の国であり、もしかしたら世界一なのかもしれません(新潟の津南や、青森八甲田山系酸ヶ湯など)。ただ、新潟や福島の豪雪地に比べ雪の量としてはやや少ない当地西和賀ですが、結局北にあり寒冷地でもあって、雪解けがうんと遅いのがネックなんですね。もっとも、さらに北の奥地の酸ヶ湯には負けますがね。

そんな中、日本産、岩手由来の南部小麦が豪雪に負けず春からの生育を屈強に再開してくれたことは、日本品種の誇りとも言えましょう。

 

農林61号出穂前畝間刈り後

なお、こちらは春蒔きした農林61号の出穂前6月22日の様子です。昨年も春蒔きしたのですが、痩せ地だったこともありうまく育たず、収穫できるものではありませんでした。小麦は肥料がないと特に寒冷地では難しいと思います。今年は別の畑で、鶏糞等肥料を多めに投入して播種しました。春蒔きのため雑草の発芽と同時スタートになることが、草対策の面で秋蒔きより難しくなるけれど、雪の影響が関係ない分は素晴らしいことです! われわれにとっては。

かなり繁茂していた畝間の雑草は、草刈り機で刈り取りました。完全じゃないですが、刈り草が畝間に横たわることは土作り上も好ましいことです。3アールそこそこの畑ですが、畝間刈りに2時間くらい要しました。収穫は本来の秋蒔きより当然遅れて、お盆頃になろうと思いますので、それまで7月にもう2時間草刈りに歩かなくてはなりません。。反面、狭いハウスでの小麦の乾燥スペースには苦慮していますが、南部小麦が乾燥し脱穀して空いた後のハセに61号を刈り取って掛けることができるのは利点です。

 

除草機後のひとめぼれ

田んぼは除草機がけを行っていて、ヒエやコナギが大量に浮かんできます。これが沈んで活着しないよう、常に深水を維持しています。今週3回目をかければあとは中干しの季節になり、草取りは終了します。なお、中干し中に株元の雑草を刈り取る用のアタッチを購入しましたので、水が引いて歩きやすくなった後に試してみたいと思います。

このような寒冷地では、稲の分けつがどうしても進みません。自然栽培・有機栽培の原則は大きい苗を育て少ない本数で、しかも間隔を空けて植える、という形です。基本はそのように努力していますが、果たして暖地のセオリーがこちらで通用するのか、いつも疑問には思うところです。確かに大苗を植えればいきなり深水にして抑草に役立つでしょう。しかし肥料が少ない農法で気温が低い環境では分けつが進みません。除草機をかけるのは分けつを促す目的もあるのですが、自然環境には逆らえず限界があります。成苗大苗を作るには時間もかかり、その分田植えは遅れます。それよりも苗が小さいうちに、ある程度密植で茎数を確保し早めに田植えすることが、秋の収量に関わってくる気がします。寒冷地は分けつが進みにくいだけでなく、当然登熟も遅れ稲刈りが遅れます。亀の尾にしてもひとめぼれにしても、もともと寒冷地用に作られた品種ではないですし、それを寒冷地で作付けする場合には、やはり早めの田植えというのが基本になり、大苗に育つのをじっくりと待つ余裕はないと言えるのではと思っています。

稲作は本当に地域ごと、田ごとに違った形になり、全国一律のやり方なんていうのはないと言っていいと思います。そういった微妙な部分を、ネット等の共通常識みたいな情報をうのみにするのではなく、自分の田に合うように修正をしていく作業が必要で、そのためには何年何十年と時間がかかるものですね。

 

やまなしの花遠景

田植え前、代かきの頃にちょうどやまなし(生物種としての名称はイワテヤマナシ)の花が咲きます。今年も5月15日頃に開花しました。ただ、このハンベエナシ(品種名というよりはこの個体名)という一種のみでは結実が難しく、現在サネナシ・ナツナシ(これらは品種名です)の2種の苗木を植え、開花に至る成長をしてくれるのを待っているところです。ハンベエナシは、優良な西和賀町左草地区由来の木を神戸大学の研究機関により接木植栽をし増殖したものを、再びこの西和賀町に搬送し植え付けたやまなしになります。

 

やまなしの花近景

実がなるのは9月頃で、割と大きめ、匂いも味も良好とのことで、本当に楽しみにしております。やまなしの花は写真ではわかりませんがうっすらと灰色がかっている白さが特徴で、町内にも屋敷内や保育所とかに植えてあります。「クラムボンは笑ったよ」「カプカプ笑ったよ」で知られるやまなしは、賢治さんも言っているように香りが特徴で、昔よく食べたなぁ、懐かしいと老人の方はおっしゃいますね。ただ、現在はほとんど食されることもなく、道路に落ちて車に轢かれたりしているような状況だったりもします。何とか復活させ、活用していきたいと思います。美味しいお酒になると物語で語られていますしね。

 

水沢のやまなし圃場

このイワテヤマナシを植え、商品化し活用していこうという岩手県内の取り組みについては紹介したこともありますが、水沢市の「パイオニア牧場」(畜産農家兼ステーキ屋さん)でも植栽を進め、この春に、上述したイワテヤマナシ研究者である神戸大学の片山先生の指導で多種のやまなしを植え付けしました。

 

水沢のやまなし看板

クラムボンとは何か。泡の形状をした霊的存在のようなイメージですが。。パイオニア牧場の上の看板の大きな画像はこちらからどうぞ。

 

ワイルドストロベリー 近景

当園ではブルーベリーを始め、ベリー類をいろいろ植栽しております。まだまだ始めたばかりでほとんど趣味の域というか試行錯誤の試み段階というもので、果樹と言えるサルナシやハスカップ、カシス、桑(マルベリー)、アロニア等のほか、コケモモ、特にイチゴについてはいろんなものを収集しています。スーパーに並ぶイチゴではなく昔からの野生由来のもので、野イチゴというカテゴリーになろうかと思います。自分なりの解釈ですが、野イチゴは木イチゴと草イチゴに分かれ、それぞれ西洋のもの、日本のものがあって、面白いものです。

ブラックベリーやラズベリーなどは西洋の木イチゴになりますが、日本にも木イチゴがあり、モミジイチゴ 、熊イチゴ、冬イチゴ、苗代イチゴなどです(寒冷地では難しいカジイチゴ、それにバライチゴというのも最近入手できました)。そのほかの野イチゴというのは、木化が少ない草イチゴと呼ばれるものになります。ヘビイチゴという草イチゴ系もあり、タラノキ畑に自生していたのを移植しましたが、美味しくないです。また外国の野イチゴ(草イチゴ系)も興味深いものがあり、代表的なのはワイルドストロベリーで、写真のようにいま盛んに採れていますが、ランナーの出ないウッドランドストロベリー というのもあり、今年植えてみました。さらにヨーロッパの野イチゴとして、森のイチゴといわれるフレーズ・デ ・ボア(高級感がありますね)や、アルパインストロベリー といったものもあって、これらも試しに植えていまして、いま苗状態のところを観察しているところです。

最初はこうして名のわかっている種や苗を購入して植えていますが、植えてみて特徴を知れば、山や川で見つけたときに何イチゴかわかるようになりますね。盗掘はよろしくないでしょうが、実から種を得ることはできますね。ヨーロッパの野いちごは種や苗で買って増やすしかありません。いろいろ肥料にも工夫して風味を醸成できればそれも楽しみだし、野イチゴジャムとして、木イチゴジャムと草イチゴジャム枠の2種製品を、あるいは全イチゴからブレンドして、オリジナルな野イチゴジャムを作るというのも面白そうです。フレーズデボアなどは単独で作った方が良いかも知れませんが。。

とはいえ、私自身は栽培農家ですので、そうした希望を持つ方々への食材提供というのがまずは役割かと思っています。やまなしもいろいろ加工してみたい方に果実を提供できればと思うところです。

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2021盛夏です

2021お盆のりんどう出荷

1週間くらい前から、肌寒く太陽の出ない盛夏になっています。。ラジオでは、ストーブを出したといったお便りもあり、稲にとってはちょっと不安のよぎる低温傾向です。早生の「いわてっこ」は問題ないですが、ひとめぼれほか晩生の品種も結構植えており、出穂期のため低温が続くと心配です。今年は暑い夏で良かったと思っていたのですが、ちゃんと自然は帳尻を合わせますね。

早い梅雨明けと猛暑の前進到来のため、りんどうでは花の「日焼け」が起きて出荷できず畑に残したものも多かったです。またお盆需要期前の前進開花となって、日焼けで出荷量は減産の上に、安値の需要期前の時期に多くが当たってしまい、2021年のりんどうは良いとは言えない結果になっています。

暑いと稲に良くりんどうはダメで、寒いとりんどうに良くて稲に良くないといわれておりますが、今年は猛暑の来た時期のタイミングが悪く、りんどうにも稲にも不運な気候展開になっているようです。そもそも、全国的にある程度の中山間地でも35度になるような気候となっては、りんどうの栽培は難しくなってくると思います。当地はさすがに35度にはなりませんが。。

 

白りんどう

唯一、当園で救いとなったのが、青りんどうに続いて咲いてくる白りんどうが最需要期に頑張ってくれたことでしょうか。去年など7月の長雨で土壌の水分過多と排水不良により、白りんどうの「雪の妖精」(写真左)が根腐れに起因する葉のまだら褐色の病態に見舞われて、ほとんど出荷することが出来なかったのですが、今年はその圃場を春先から排水明渠をしっかり掘るなどの対策をしたことが良かったのか、そもそも梅雨時期が短かったからか、まだら病にはならず、りんどうの開花前進化によって逆にバッチリ需要期に咲いてくれて、それなりの値段で販売することができました。去年採らなかったことで株養成になって今年は割合良い出来だったのも幸いしました。何が災いで何が幸いになるかは人知では計り知れません。

市場でお盆の需要期前に大量出荷になると、需要期は品薄になるので値段が下がらず、それはお盆の最中(本来なら需要期は終わり)にも割合と良い値段で推移し売れてくれて、よくあるお盆後の暴落にはならなかったようです。

いずれこういう年もあるので、いろんな品種を植えておいた方が、どれかがそれなりにカバーしてくれるということで、白りんどうも植え続けていこうと改めて感じた次第です。「雪の妖精」は定植後の欠株が多く、もう一つの同じ時期に咲く白品種「雪の舞」(写真右)を、今後も植えることになると思います。

 

収穫期のにんにく

なかなか記事を投稿することができなくて、田植え以降の時期に、にんにくの収穫と小麦の刈り取りが、上記りんどうのお盆出荷の前にありました。今年のにんにくは、なぜなのか本来あまりトウ立ちしないホワイト六片が多くトウ立ちし、トウ摘みが遅れてしまったのでしょう。小さめになってしまい、ちょっと残念な作柄になりました。反面トウ立ちしない「八木」は大きめでMサイズ品もかなり出来、成功の部類になったと思います。この点からトウ摘みが大事なんだろうと改めて思ったし、100%トウ立ちする「八幡平」も見過ごすことなくより早い時期のトウ摘みをすることが来年の課題になりました。

それにしても、本来1~2割しかトウ立ちしないホワイトがなぜ8割9割の高確率でトウ立ちしてしまったのか、不思議に思うところです。

 

収穫期のライ麦

麦の部門では、今年はライ麦に久々に挑戦し、3~4アールの小面積ですが、面積の割にはよく穫れた感じとなっています。以前ライ麦は栽培した年もあり2年くらい続けましたが、実際はあまり注文が来ず、南部小麦の方は早くから完売していたりで、ライ麦の場所をも南部小麦にした方がよかろうということでやめてしまっていました。近年、またライ麦自体の需要が伸びている感じがいたしまして、再挑戦を考えて去年のいま頃は品種についていろいろ検討していたところでした。日本ではライ麦は緑肥のカテゴリーであって、決してパンに利用するという発想じゃないように思っています。たまたまドイツの黒パンのライ麦を食用の目的で輸入販売しているサイトがあって、粉ではなく粒(玄麦)で販売していたので、輸入の関係で1年前の2019年産でしたが、数キロ買って去年の秋に蒔き、それが何とバッチリ発芽して今年2021年7月に無事刈り取りを終えることができました。

ただ、結果から言うと、ライ麦はあまりやりたくない作目でした。とにかく長くて、バインダーで刈るのも、それを集めて運びハセに掛けるのも一苦労、そして最後にハーベスタで脱穀するのも一苦労(結束部のカバーを外して結束自体のひもも取り外して脱穀)。植えた畑が長年草だらけの耕作放棄地で土が肥えていたんでしょうか。

今度の秋には、来月のことですが、石カラ畑でこれまでどの麦を植えても満足に背丈が伸びなかった良くない3アールの小さい畑があります。ここに植えて肥料も一切何もやらず、もう一度だけ試してみます。より短くできればその畑の専門品目にあてがって続けることができそうです。。

このライ麦は既にある注文品と種以外はすべて、といっても20㎏ですが、製粉委託しました。この20㎏の精粉のみ、今期は出荷いたします。良かったらどうぞお試しになってみてください。合わせて南部小麦の方も製粉注文が来ましたので、併せて製粉委託中です。こちらと混ぜてご使用いただくのもよろしいかと思います。少量ですが、宜しくお願いいたします。

 

南部小麦刈り取り日

こちらは刈り取り日の南部小麦です。良い出来のようにも思いましたが、量的には大した収量ではなく、いかに収量を上げるかが課題になります。同じ面積から換算してアリーナ小麦の方がずっと収量が上がりますので。

 

南部小麦の脱穀

今年は作付面積を増やしたことで、稲のプール育苗に使っているハウスだけでは場所が足りず、金属の三脚ハセを新規購入し、畑にもハセ場を作りました。問題は雨にあたることです。。この写真のハセを囲むようにパイプハウスのアーチパイプをセッティングし、ビニールを掛けて簡易乾燥施設を作ったものの、数時間の雷雨と風で見事にひっくり返されてしまいました。やはりビニールを掛けるなら、それなりにしっかり組んだパイプ施設を作らないと役に立たず、課題です。きちんと直管も入れてハウスっぽいものを作ろうとするなら、それは一時的な簡易なものを畑に設営するというのではなく、雪払いもしてやりながら通年設置したままにできるものを家の近くとかに作って、積雪期は見回りをし、上部の雪を払って潰されないように努力しつつ、麦と、そして稲にも使えるようなものを「建てる」ことですね。

これから次のりんどうの山、彼岸出荷が9月の頭から始まります。現在の冷涼な気象で彼岸りんどうも前進化が予想されます。それまでの間に、ラストの草刈り、廃園りんどうのネットや支柱の除去と耕耘、にんにくや小麦予定地の施肥や耕耘などを進めておかなくてはいけません。にんにくは特に畝立て作業もあるし、秋の定植も、彼岸りんどうや稲刈りの後では大きくなれるタイミングを逸してしまうので、8月中に済ますことができればベストです。限られた労力でいかに多種大量の作業をこなしていけるか。曇天をにらみながら、土が乾きトラクターが入れるようになる日をまずは待っています。

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にんにくを掘っています

ホワイト六片収穫始め

7月に入り、毎日のように雨が降り続いています。九州は集中豪雨になっていて大変お気の毒に思います。梅雨前線が上昇してくればこちらも同じ状況があり得ますが、台風とかだと勢力が落ち着いてから来ることが多く、その点は南西の地域の方々が深刻と思います。土砂降りの雨というよりも、霧雨から小雨がずっと続くという傾向が強いここ奥羽の7月です(これから下旬はどうなるかわかりませんが)。

そういう悪天続きの中ですが、少しでも雨の中休みがあれば、間髪を入れずにんにく掘りを最優先に作業を進めています。とはいえまず雨露が消えてくる10時以降にならないと着手できませんが。。

まずは早生であるホワイト六片から始め、7月6日に全部掘り終えました。全体の5/8がホワイト六片ですので、一気というわけにはいきませんで、何回かに分けての収穫です。にんにくは掘り遅れてそこに雨が続くと茎葉が軟弱になってくる上に、結球の上部が裂け始めてきて、抜くと切れてしまいます。これは一番嫌な状態で、商品性も著しく低下します。遅れてこうなるよりはむしろ早めに掘った方が、見た目も綺麗で商品性も高いと思っています。毎年梅雨のさなかの収穫になるので、当園のように1反歩弱でも神経を使うのですから、何倍もやられている産地の専業の方の気苦労はいかばかりかと思います。理想の掘るタイミングの期間は結構タイトなので、1週間くらいの間に決着をつけているのではないでしょうか。規模の大きい方はきっと収穫機械で掘っているんですね。動画で見たことがありますが。

その点当園では早生のホワイトに加え、中生の八木、晩生の八幡平とあるので、収穫時も、また植え付け時も長いスパンの中で作業ができるのは好都合です。青森の産地のようにホワイト六片だけで何反部とか何町歩となると、やっぱり機械なんでしょう。

 

根茎切り

掘ったにんにくは何時間か畑のその掘った場所に置いてざっと乾燥させ、そして黒いコンテナに集めて作業場に搬送します。これでまずは一安心。今日掘ったものが全部室内に揃えばまずは雨が降っても大丈夫です。ここでコンテナから1本ずつ取って茎と根を切ります。この写真の時は朝大慌てで掘っていた時に雨が降り始め、ちょっと濡らしてしまいました。それで根と茎を切った後、すぐにコンテナやネットに入れずに、ハウスの中へ持って行き、1個1個が重ならないように並べてムレが取れるようにしました。今日あたりはもう次の工程として乾燥させるためにネットに入れて、吊るす作業をします。

 

Mサイズ品

今年は例年よりもちょっと大きめにできました。雪解けが早かったことで生育の期間がいつもよりあったことと、去年の秋のうちに米ぬかを畝全体(マルチ全体に)に散布して、雪の下で良い感じに熟成して春に追肥になれ、と撒いた米ぬかの効果もあったかと思います。米ぬか追肥、今年もやって、加えて乳酸菌の補給の効果も与えたいところです。春の雪消えを早めるには、現状では3月終わり頃に炭の粉を雪に撒いて消雪を早めてやることしか手立てはありません。除雪機でにんにくの上の雪を歩いて飛ばすのもおっかないですし、炭の粉は土壌にも効果があると思います。

 

八木の1列と八幡平

こちら、八木にんにくは1列の面積で、同じく7月6日に掘り上げました。こうしてしばらく並べてから集めるわけですが、その日の予定分を全部掘って並べ終わってから、さあ集めようとする流れにすると、途中で雨が降ってきた際に雨に当ててしまうことになります。何度かに分けて、適度に乾いたら集めつつ、次のにんにくを掘って行き、最後に回収という感じで進めます。梅雨時ですから。ましてや今年の梅雨空は例年以上です。

 

八木2020

今年の八木です。こちらもやや大きめにできました。八木は分球が良くないものも多いです。こちら西和賀の積算気温が足りないせいなのかもしれませんが、2片しかないようなものは見た目も良くないので、種に回します。1片としてはその分大きくなっているので種向きです。Mサイズも採れているのですが、それは残念ながら出荷用ではなくて種用に回すしかありません。そもそもの量も少ないですので。

 

にんにくスライム種

こちらは、私が勝手に「スライム」と呼んでいる1片ものです。土から掘り上げる通常のにんにくは土壌から何らかの病害を得てしまっていることもありますが、「珠芽」と呼ばれる空中の茎の部分にできる赤い塊は土壌の病害からは安全な種として活用することができます。珠芽そのものは小さくて、それが翌年の収穫で写真のようなスライム形の1片ものになることがあります。結球して2〜3片に分球している場合ももちろんありますが、それらは植え付けりん片としては小さすぎて、廃棄します。上のようなスライムはこれで1個の植え付けになるため、翌年は立派なにんにくになることが期待でき、かつ、病害を受けていにくい安全性を期待することができるわけです。にんにくの種を購入するのは、実は危険な行為で、最も安全性が高いのが、珠芽から新しい畑で栽培をすることと言われております。

 

進入路造成工事

さて、長年、このタラノキの下の田んぼには機械の進入路がなくて、隣の畑の畦畔部をおそるおそる通ってトラクターや運搬車などを圃場に入れていました。今回、地元の水路工事のついでの作業で、よく慣れた重機使いの方に進入路を造作してもらいました。タラノキ園はちょうど重機のいるあたりが無駄な畦畔スペースになっていたので、そこまで進出していたタラノキを何本か倒すことになりますが、立派な進入口を作ってもらえて大満足です。

 

船久保洞窟1

さて、話は変わりますが、岩手県紫波町にある「船久保洞窟」に子どもたちと行ってきました。IBCラジオでレポートしていたのを聞き、これは行ってみなくてはと思っていて、5日の日曜日に訪れました。予約の電話を入れ、地元の案内ガイドの方に導かれての洞窟探索でした。

 

船久保洞窟2

洞窟内は見事な鍾乳石群で覆われていて、空中にはコウモリが飛び交っていました。

 

船久保洞窟3

龍泉洞や安家洞のような大規模のものではありませんが、もちろん他に誰もいなくて、洞窟を満喫することができました。上から垂れる石灰を含んだ水が石筍を形成しています。私は広島生まれで、小学校の修学旅行ではお隣山口県の秋芳洞や秋吉台を見て以来、こうした場所が大好きです。

 

船久保洞窟4

天井にはキクガシラコウモリが止まっています。案内の方は噛まれたこともあるらしいですが、穏やかな気質のコウモリらしく、また日本にいるコウモリはコロナウイルスとかは持っていないということでした。でもあまり刺激するようなことはしない方が良いとのことでした。いまは昼で休息している時間なので、そっとしていれば何も攻撃は仕掛けてこないということで。

 

船久保洞窟5

この狭い箇所は最初の洞窟の入り口からすぐのところで、光も見えています。が、ここは後にあとから作られた入り口で、本当の入り口は別のもっと険しい感じのところにあるそうです。ここは縄文人たちが住んでいて、土器や火を焚いた後の炭なども残っていて、いまはどこかの博物館に保管してあるそうです。縄文の後期だとか。ただいつからいつまでの期間というのはわからないそうで。後期の作風の土器があったという話でした。岩手の冬は厳しいため、冬だけここで過ごしていたのではという解説でした。この写真の入り口はなかったので、もっと険しい方から出入りしていたのだと思われます。コウモリもそこから出入りしているんですね。

 

 

船久保洞窟6

茶色っぽくなっているのは、石灰岩の性質にコウモリの糞などが合わさって化学反応を起こした形なのだとか。

 

船久保洞窟7

入り口にある看板です。中は電灯もあり、解説を聞きながらの約30分程度の探索になります。高校生以上300円。中学生以下200円の料金がかかります。岩手でもあまり知られておらず、ひっそりと佇んでいます。興味がおありの方は紫波町観光協会のサイトをご覧ください。他にも洞窟専門のサイトにも掲載されています。

気温は12度で、夏場の方が良さそうですね。

この辺りから東は北上山地になり、龍泉洞のある岩泉なども含めて石灰岩が豊富な洞窟地帯です。石灰岩があるところは大昔は海だったという話です。松茸とかトリュフとかも採れるのでしたね。われわれの地方は奥羽山系になり、こっちは酸性土壌で洞窟も石灰岩もありません。。。

 

志和稲荷2020年

紫波町を旅したのにはもう一つ目的があり、それは志和稲荷神社の参詣です。こっちへ移住した当初の20数年前に、田植えなどの一連の春作業が一段落する6〜7月の時期に、近所のおばあさんたちがここ志和稲荷へ行きたいとのことで、私が運転して訪れていました。私自身は全くこういうのには縁もゆかりもありませんでしたが、農業という仕事が自然任せの五穀豊穣をただ祈るのみのような不安定な業種でもありますし、ましてや私は他業種から転向した素人です。神様の力に頼らずにはやっていけなかったことでしょう。いまはおばあさんたちは高齢で参拝もできませんが、私自身習慣になっていて、できるだけ訪れようと思っています。去年は来ませんでした。それで、というわけでもないでしょうが、秋の台風19号では小さな車庫が飛ばされてしまい、急遽撤去して再建するという思わぬ大きな出費が打撃となりました。やはり神様の力ですね。

というわけで、一度来ると、来なかった時にこういう理由づけにもなってしまいますし、毎年参拝した方が良いのでしょう。思想として云々ということは私は考えていませんし、子どもたちにも、日本のこの東北の山村に生まれたものとして自然に身についた文化なんだというように捉えて欲しいと思っています。

写真は中風除とあり、祀られている木彫りの神様を撫で、自分の頭を撫でて中風(脳血管の病気)になりませんように、と願う場所です。

 

 

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にんにくの草取りから稲の籾蒔きへ

福寿草2020

暖冬の反動なんでしょう。とても寒い4月になっていて、このまま種まきなどしてしまって良いのか、と不安になる昨今です。雪解け自体は早く、4月8日に福寿草の開花を見られるという異例の年になっています。

覆土機を導入

とはいえ、時期ですから、水稲の種まきも完了しました。去年の9月、消費税が8%のうちに、「みくに式覆土機」を購入していて、初めて使用しました。播種機は長らく使ってきて、は種を終えた後に土を入れて覆土も兼用していました。今回覆土機を別途導入してみて、播種機とそんなに違いはなかったですが、レールが2個になったことで2箱ずつ作業ができたし、種籾と培土を最後に使い切る帳尻合わせ段階の時に(あと1箱できるかというような時)、播種と覆土を2台の器具で素早く行えてよかったですね。

 

箱並べ・シート掛け

昨日もですが、ずっと寒い日が続いています。雪はもう降らないでほしいです。特に当園は芽出し機械を使って出芽させることはしませんので、籾はハトムネ催芽の状態で土の中にあります。土から芽を出すまでの1週間は大変気を使います。一番上に掛けているシルバーは、温度を抑制する面があり、晴れの時は良いですが、曇りや雨が続く時は十分に箱を温めてくれません。そういう時は透明なシートを一番下に掛けて、その上にラブシートという2枚重ねで日中に保温します。夜は0度くらいまでまだ下がるので、布団の意味でこのように3枚目にシルバーを掛けて対策しています。

 

八幡平の出芽

同じく4月8日、1週間前となってしまいましたが、八幡平にんにくの出芽が確認できました。黒マルチを使用し、秋にその上にスコップで土を乗せて植えた穴にしっかり覆土をするという形で植え付けをしております。そこに米ぬかを散布して、乗った土と混ざり合う形で現在は黒い土となっていますが、この中の米ぬか成分は追肥として作用してくれると思います。

 

草取り後のにんにく

9月に植え付けたホワイト六片は、植え付けが早い分雑草も旺盛でしたが、ようやく草を取り切りました。すがすがしい気持ちです! 春の生育再開時期にはカルシウム分を欲しがるという記述を見た記憶があって、いつもカキガラを撒いています。あと2か月半ですが、このまま草取りしなくても収穫までもってくれるか、どうか。。ただ例年は一斉に迫り来る諸々の作業に追われにんにくの草取りにまで手が回っておらず、今年は早い雪消えのおかげでした。寒風に当たりながらの寒い草取り作業でしたが。。

 

アリーナ小麦2020春

こちらは同じ日のアリーナ小麦。起こされたばかりでまだ眠そうに見えます。雪解けが早いことはにんにくや小麦など秋植えで冬をまたいで翌春に生育再開する作目にとってはありがたいことです。

 

玉切り2020

頼んでいた薪が届き、チェーンソーで玉切りを開始。作業はまる1日の工程になりますが、このあと雪も積もったり、とても風雨が強くて外作業ができなかったりで4日くらいの中で完了です。次は薪割りですね。

まだ夜は氷点下になったりするし、雪も降ります。車の夏タイヤ交換もまだ待っているところです。いずれ新型コロナの影響を色濃く受ける農シーズンになるでしょう。りんどうは経営を支える柱の品目なのですが、このまま経過していけば、夏秋の需要期に需要はなく、大変厳しい減収の年になると見込まれています。食べ物の方はそんなに需要減があるとは思えませんが、当園ではインターネット通販がほぼ100%で、閲覧していただいて注文を待つという状況ですが、自宅待機が進むということでの、ネットでの注文が激増なんてことはあんまりなさそうです。アマゾンでは注文増を見込んで職員を増員するというニュースがありましたが、われわれ小規模の独自サイトまではなかなか、ですね。

引き続き、この春先の課題だったショッピングカート導入による諸々の設定改善作業は進めていて、より見やすくいろんな層の方からの集客を目指すことは経営者として当然の努力になります。現在、送料の設定で腐心しています。米5kgの注文では60サイズになりますが、10kgになると80サイズでの価格になる。配送地域ごとに送料を変えるのは簡単なんですが、この個数セレクトのボタンと連動させて注文の量により、正確な送料を導き出すというのが実に難題でして、現在、技術的に詳しい方のアドバイスを得ながら立ち向かっています。現状では、一般的な送料価格(米だと10kgの場合)を表示する形にしていて、あとでこちらからメールで実際の送料をお伝えする、というやり方で、ずっと通販開始時以来やってきました。ここが改められて、数量を入力した途端にカートでは実際の量に見合った送料が表示される、という風にできれば、とても画期的なことです。とはいえ、究極的には、米ににんにくをプラスした時とかの組み合わせ対応ができることが理想ですが、それは現在楽天などを見ていてもやれていないと思います。そもそも大手の方々はどんなサイズでも一律の送料だし、さらには楽天もアマゾンのように送料込み価格にするということが社会問題化したりしていましたね。こうした場合は複雑な実送料をはじき出すシステムは不要です。

さらにいつもお買い上げくださる方には送料の減額を申し出ておりますが、それは送料設定ではできないでしょうから、クーポンみたいな機能がカートに付いていて、それを使用したいと思いますが、まだ理解できていません。

 

芽吹き前の山

HPは見やすく、必要な情報が的確に掲載されているという内容面の改良が一番と思いますが、不安を感じさせないようなお買い物の進め方、送料とか、自動メールに記載される文言とか、付随した細かい課題がいろいろとあって、どうすれば安心安全のよりわかりやすいサイトになるか、修正を重ねていきたいと思います。

いつも外作業始めはうっすらと新緑が始まっているのですが、今年は雪だけ早く解け、山の芽吹きはまだ冬です。見える畑は秋のうちにりんどうを廃園し、茎葉を全部すき込んでさら地になっているところです。手前は田に、奥は小麦とにんにくの畑になります(その植え付け時までは水張り水田にし土壌改良します)。