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田植えが終わり農繁期はまだ続きます

田植え直後の亀の尾

6月に入り、初夏らしい天候が続いていて、早苗も順調に育っています。いろいろ品種等見直しの試験栽培になる今年の稲作ですが、1kgほど譲り受けた「亀の尾」がここ奥羽の冷涼地で育ってくれるのか、気にかかるところです。現代の慣行農法を前提に作られた水稲品種を無理して作付けするのではなく、背丈が取れて自然栽培の方々が多く作られている品種を導入することは、やはり自然なことと思います。まだまだ結果は予測できませんが、5品種作付けした中で、この亀の尾とひとめぼれの2種を作り続けることになると感じております。

 

亀の尾苗

1kgの種籾から14枚(5アール分)の苗ができました。「みくに式」という苗箱1枚1枚にローラー枠を滑らせながら籾を落としていく器具を使っての播種ですが、どうしてもムラのある蒔き方にはなりますし、より精度の高い播種法も検討していきたいところです。

 

田の除草機

今年は新しい除草機を導入しました。従来式のエンジン除草機に比べ、エンジン部分を背負うことで作業は楽になりました。背負式の刈り払い機の先端に除草機を接続したものです。ただ説明書等では水が少ない固い田や、前後に揺さぶるような操作はすぐにギアを壊してしまうということで、強度の面では十分ではなさそうで、あまり負荷をかけないようにエンジンを下げてそうっとただ前進するだけという風にやっていますので、ホタルイとかオモダカみたいなのは取りづらいですね。がっちり根を下ろした状態の雑草には不向きで、田植え後初期から中干しまでの期間、間隔を空けず1週間おきに3回作業しようと思います。現在は2度目が終了したところです。従来型よりは軽くて楽とはいえ、田の中を漕いで進むのですから、重労働ではあります。

 

南部小麦2021

南部小麦も出穂が進み、7月半ばには刈り取りになろうかと思います。雪が多かったこともあって、生育がよろしくない畑もありますが、アリーナ小麦も含め、まず概ね順調に育っています。

 

ライ麦

こちらは数年ぶりに復活させたライ麦の様子です。日本で入手できるライ麦というのは緑肥目的という発想のものの感が強く、パン目的のライ麦を作付けしたくて、ドイツの黒パン用に販売されている粒のままのライ麦を見つけ購入し、播種しました。無事出芽し、生育もとても良いです。数年前に種屋さんから普通に購入したライ麦と姿が異なっていて、どんな麦になるかワクワクするものがあります。問題は普通に熟して収穫適期を迎えることができるかですね。

 

りんどう新植

毎年1枚のりんどう畑を廃園し、1枚の新植を続けています。小規模生産者にとってりんどうの新植は労力を要するので、一度に大面積を植えることはできませんし、植える年植えない年があることは必ず収穫量に年ごとの波ができて、均一にならないからです。毎年同じ量の出荷を維持するには少しずつ毎年植え、その同じ面積を毎年廃園するという体制を維持することだと思います。

今年の5月は雨が多く、去年の7月を思い起こさせました。りんどうは田んぼからの転作になるので、田を乾かして一気に畑まで作り変えていくという厳しい条件下の作業になります。今年は田が乾かず、あまりこなれた畑にはなりませんでした。それでもプラグ苗を植えなければならず、通路のボコボコの土塊を手で崩して粒状にこなしてから、苗とマルチ下の畝の土の間に隙間ができないように植えていきます。時間はかかります。専用の調整されたピートモス系の培土もありますが、1袋しか用意してませんし、畝2本で使い切りました(全部で畝は12本)。

 

モミジイチゴ

今年は当園はいろんなイチゴ系(ベリー類)を新植しております。ブルーベリーとカシス、ハスカップ(1本)は前からありましたが、これにアロニア 、ラズベリーやブラックベリー、赤すぐり、コケモモ(リンゴンベリーとクランベリー)、クワ、クコ、それに日本の木いちご、野いちごを加え、狭い庭のあちこち、またブルーベリー園内のスペースなどに植え付けをしています。コケモモなどヨーロッパの伝統的食文化を担ってきた小果樹品目にも惹かれますが、特にこの何週間かは日本の自生するいちごに関心が向いて、モミジイチゴを筆頭に苗を入手しいろんな日当たり環境の場所に植えています。苗としては通販で手に入れているのですが、近所の川のそばでも自生株を見つけまして(写真)、これの枝から挿し木で何とか増やせないかと研究中のところです。自分の農業の部門に取り入れるとしたら、この沢内にも自生しているような日本の木いちご、野いちごが一番しっくりくると感じていて、モミジイチゴやクサイチゴ など味が良いと言われるものをこの自然環境の良い庭や畑で育て、時期には生で、またジャム等での加工品にも繋げていけたら楽しいかと思っています。

昨日も、いま廃園作業に追われている寿命がきたタラノキ園で自生していたイチゴを偶然2種見つけ、確保しました。1本は木、1本は草ですが、これがどういう名称のものかは調査中です。りんどうなど経営品目の管理に力を入れなくてはいけない時期ですが、畑へ行き来する際に植えたベリーの様子を観察し足を止めることが続く日々になっています。

まずは寿命を迎え枯れてしまったタラノキ園の木をバックホーで掘り起こし、運搬車で運んで廃棄するという結構気の遠くなる作業を終えたいところです。。

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稲作がスタートしました

田への米ぬか散布

昼間それなりに気温は上がってくれるようになりましたが、まだまだ寒気で寒い日も多く、晴れた夜は氷点下に下がり、まだ外の蛇口は夕方水を落としています。寿命が尽きた状態のタラノキ園は植え替えの真っ最中で、たらの芽は出荷に使える穂木の減少から早々に終了になり、外の仕事へと切り替わっています。しばらく天気が良くて風も強かったせいか、雪解け後急速にたが乾いてくれまして、連休中はしばらく雨続きということで、みんな田起こしをこの数日で終了させていました。

当園は肥料というのは米ぬかのみですし、まだ田植えまで1か月ありますから生で散布して(4月27日)、即日耕耘し土と混和させて発酵を進ませる形をとりました。作業場に積み上げて切り返したりする作業はかなり労力を使っていましたし、今年は米ぬかを施用しない田も多いので、直接の散布のスタイルとしてみました。

去年は7月の多雨が影響しひとめぼれの生育が振るわず、その反省から、農薬や化学肥料を使わない北東北の米作りに適した品種は何だろうと改めて考え直させられました。その際にこうした農法では、やはり最近の品種は不向きだと強く感じさせられもした次第です。現代も稲の新品種は続々できており、その総数は一体何百になるかと思います。しかし地理や農法を考えて品種を選ぶとなると本当に数少ない選択肢になります。この点、西日本のような暖地は選択肢が広まり有利ですね。

現代の育成品種は収量を上げるため化学肥料を多投しても倒伏しにくいように茎が短い(短稈)米になっておりますが、肥料を与えない我々には短すぎて穂の籾の量も減ってしまうしハセ掛けもうまくできない欠点があります。またいわゆる良食味と言われる米ほどいもち病に弱い傾向になります。欲しいのは背丈が長くて(長稈)、いもちに強い、寒冷地向けの米です。こうなるとなかなかありませんし、有機ということを推進してもいる農政の趨勢からすれば、それに見合った品種を作らないというのは逆行する現象じゃないかとも思います。自然栽培や有機栽培の農家は、自分たちの地域や農法に合う長稈品種を手探りで見つけ出して作付けしていると思います。肥料を入れないので倒伏の心配はありませんし、やはり古い品種の方が長稈で少肥の栽培に向くんですね。

もっとも逆行しているのはお前の方だと言われればそうなのかもしれませんが、ここ沢内に適しているとされる「いわてっこ」や新しい品種の「銀河のしずく」は短稈すぎて農法と合いません。ただ「いわてっこ」はいもちには強いので、これは山間部の盆地で低温多湿の傾向になる奥羽山系の当地においては、救いになります。ただ、背が低すぎる。。。ひとめぼれはいわてっこよりも長稈なのはありがたいですが、いもちには弱いですね。あきたこまちほどではありませんが。。

今年は同じシーズンの条件下で5品種を試験的に植えて試してみる予定で、現在育苗も進めております。長稈種であるひとめぼれとササニシキを比較します。両者とも米ぬかも入れず、完全に無肥料の自然栽培で作付けします。おそらくササニシキよりもひとめぼれが耐いもちとしては上のように思います。これを確認します。今年はでもササニシキも食べられるのは楽しみです。ここの風土で実がなってくれればの話ですが。。。

当園のメインであるいわてっこと比較するのは「亀の尾」と「チヨニシキ」です。亀の尾は一般には買えず、知り合いの農家さんから譲り受けて播種しました。チヨニシキという米は知りませんでしたが、他に長稈の候補が見つからず、ちょっとここでは寒すぎるかもしれませんが、試してみることにしました。「つがるロマン」なども長稈で魅力を感じましたが、青森から外へは出さない品種のようでした。岩手で「つがる」も変ですしね。亀の尾は有名な長稈種でこれも無肥料で行います。いわてっことチヨニシキには上の写真のように米ぬかを散布し耕耘しました。

 

 

南部小麦の春

こちら、南部小麦も春で生育再開です。この畑はとても良いのですが、雪が多くかぶさった別の畑ではちょっと遅れている箇所もあり、雪国の小麦栽培はやはり難易度は高いですね。。

 

 

農林61号蒔き直し

昨年の秋に蒔いた農林61号は見事に壊滅状態でした。前年のスペルト小麦もですが、仮に寒さには強いといっても、雪には弱い。まあ想定内のことでしたし、61号は春蒔きもできる品種ということで、秋に半分残しておいて、この後耕耘し蒔き直ししました。ちょうど雨が降らない週で、まだ芽は出ていませんが、この連休中に多分出るでしょう。

 

 

ベリー園整備

当園では、ブルーベリーを筆頭にベリー系の小果樹に取り組んでいます(正確には充実させようと努力しています)。ずっと前にラズベリーを植えたことがありましたが、剪定のこともよくわからず、勉強する心の余裕もなかなかなくて、結局あまり実もならないうちに耕耘廃棄してブルーベリーを植えた経緯があります。ただの興味本位では結果は出せませんね。今回はコケモモ園とラズベリー園を別個に用意し、挿し穂等で増やしながら一定量の生産を上げていきたく、勉強しながら進めていきます。ハスカップも1本植えていましたが、こちらも少し増やしたいと思います。

何を植えるにせよ、問題は雪です。ブルーベリーも毎年結構やられていますし、最近では横に張り出し気味の枝は切ってしまって、グルグル巻きに縛れるような樹形へと変形させています。クランベリーはどうなるでしょうか?? 一冬越してどうなっているかを見て、来年また検討を重ねたいところです。

やまなしも含め、なぜかマイナー系の果樹には惹かれるものがあります。「コケモモ」といえば子どもの頃に読んだ海外の児童文学になるでしょうか、必ずといっていいほど出てきましたね。「コケモモのジャム」「森に野いちごを摘みに行く」という下りは、遠い過去の映像として残っていて何かしらの郷愁を感じさせられます。そして、子育ての中で与える本によりそれはもう一度再現されることでもあります。また、賢治のやまなしを読んでやまなしの香りに懐かしさを感じる人も多いでしょう。そうした遠い過去の「記憶映像」が現代社会の忙しない暮らしの中でふと思い浮かび、一瞬現実から解き放たれることもあるでしょう。だから即コケモモのジャムを作ろうというふうには繋がるものでもありませんが、少なくとも子どもたちにはいろんなベリーを味わわせて、癒しや多様な果物の豊かさを与えてやりたいと思います。

子どもたちからも影響は受けますね。一番は漫画やアニメでしょうか。去年のいまごろからは「鬼滅の刃」を読み、アニメはAmazonでも観ましたし、今年の寒天出張帰りからはAmazonのアニメで「エヴァンゲリオン」(序・破・Qと映画館で新作)を、そしていま現在は「進撃の巨人」を観ています。コミックでは「ドクターストーン 」と「ブルー・ピリオド」も皆で読んでいますね。子どもたちが夢中の「呪術廻戦」はまだ私は手付かずです(「進撃」を観終わってからでしょうか)。。

3作に共通する、私なりに共感できる共通のことがあり、それは生死に関わることの限界に置かれた状況に向き合っていることでしょうか。命がけということを現在社会では日々痛感するということはないかもしれませんが、人間の一番ベーシックな部分でしょうから、その葛藤や気概をまっとうに描くスタイルに惹かれるんだと思います。

もう一つの共通項は、歴史的な文化遺産を背景として明確に持っている点でしょうか。日本の武士道みたいな背景とか、聖書の世界観だったり、私は好きなんですが中世ヨーロッパの町並みや宗教的な絵画などですね。伝統文化を尊重ししっかり学んだ上でのドラマ作りはスケールも大きいです。

にんにくの収穫が始まる7月からは夜の作業場作業が始まり、りんどうの収穫が終わる10月いっぱいまで続きます。これから5月6月が一番農家には夜の楽しみを享受できるシーズンですね。

昨日は雨降りでしたが、懸案だった山ぶどうとサルナシの棚を単管を使って設置しました。両者ともベリー系じゃないですが、魅力ある山里の果樹素材です。

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雪が残っているうちに。。。

炭粉の効果

4月になり新年度となりました。農作業のシーズンにおいても、4月1日はやはり新しい1年のスタートという気分で、少なくとも農業から最も離れた暮らしになっている1月1日に比べたら、よし農作業今年も頑張ろうという日付が4月1日かもしれません。

そうはいっても雪はまだ残って、田畑で土が露出しているのは今日3日の時点で10%くらいでしょうか。。高温になりますよと予報が出ていて農作物管理に注意を、なんて天気予報で言っていますが、雪で覆われて日中も気温が上がりにくい当地では、もっと上がれ、なんだ高温といってもこんなものか、という感じは正直しています。もう少し温暖化してくれても良いのだが、というのが隠れた本音でもあるのですが、それは西日本の暖地で生まれた遺伝子を引きずっているのかもしれませんし、実際温暖化は低気圧の発生を増強すると思いますので、多雨多湿は困ります(むしろ低気圧はシベリアからの北風を吹き込んで来るので寒冷化するとも感じています)。。

まだ調べ物でPCに向かっている時間も多く、雪がある状態ではまだ農閑期に相当するのですが、果樹類の剪定はできなくもないですし、いまのうちにと思っています。ブルーベリーの縛り紐を解いてみたりもしますが、まだ下の方は雪があって紐が取れない木もありますね。

 

 

イワテヤマナシ研究会

イワテヤマナシについて書きましたが、栽培面や高接ぎのやり方など、研修に出かけてきました。当園で植えているハンベエナシの受粉を成功させるために異種のイワテヤマナシ苗木を植えるとともに、ハンベエナシの枝自身にも異種の穂木を高接ぎする作業を行っています。並行してハシゴに登り剪定もやっておりますが、なかなか素人剪定なもので。。上は3月29日に九戸村で開催された研究会の剪定講習の様子です。

 

やまなしの高接ぎ

うちに帰って教わった通りにやってみました。素人作業で成功するかどうか。。実際のところ、イワテヤマナシといった品目に興味を示すのは、果樹専業農家ではなくて、米や野菜などの非果樹農家のようです。ナシの専業農家であればもっと基礎知識も応用力もあると思いますが、関心を示さないというか、経営上無駄な時間になると思われるのかもしれませんね。販路だって未確定だし作ってそれでどうなるの、という感覚になるかもしれませんね。やまなしという市場がそもそもないということなんでしょうが。。

 

九戸の作品

九戸の国道脇に木彫り作品が展示してありました。

ここのところせっかく天気が良いので、部屋にじっとしてはいられませんし、いまの時期に手をかけておくことで後に有効な結果をもたらすことを探し出しては丁寧に実行していく。そういう時期になります。去年と一昨年はWordPressと格闘していましたし、たらの芽作業も立て込んでおりました。今年は昨秋に確保できたタラノキ穂木が極端に少なく、ご注文に即応することができずに収穫適期が来るのを順番にお待ちいただいていて、とても心苦しい日々となっています。この春夏のタラノキ改植がうまく進むのか、現状の株で今年の秋に確保できる穂木の状態はどうなのか、心配事は尽きませんし、とりあえず現状を受け入れながら、少しずつ改良を施していくしかないかと思います。大胆な改良は投資を伴うものですが、タラノキの拡大については地道な改植しかないでしょう。

降水量の多い奥羽の山間地西和賀は、上にも触れましたが低温なのに過湿という環境になります。いま出荷しているたらの芽については低温期(伏せ込みに着手する2月後半から3月前半にかけて)ほど多湿になり、カビの発生が懸念されます。現在は気温も上がっていて、その分逆に並べた駒木の乾燥を防ぐために散水をしています。日中はビニールも開放しますので、その分湿度も低下します。カビは起きにくい環境になりこの点はありがたい季節です。

 

新植りんどう圃場排水掘り

りんどうの圃場も山に接している方が露出してきて、去年課題になっていた排水のための明渠(めいきょ)掘りの作業を行っています。元は田ですから水口と反対側に排水のパイプを設置していますが、圃場の四辺の排水側の一辺に溝を掘って、圃場内の水を湛水させず速やかに排水パイプに向かわせる排水路です。りんどうにしてもタラノキにしても保水性と水はけの両面が求められ、降雨後にいつまでも水が溜まっている状態はご法度になり、根に障害が出ます(いわゆる根腐れ現象)。根が働いていないとりんどうでは葉に褐変障害が出ますし、タラノキでは立ち枯れの発生につながります。スコップでコツコツ溝を掘る作業は、春作業がスタートして実際トラクター作業や施肥・芽かき・草取り等の作業が始まるとやっていられなくなりますが、極めて大切な作業になります。特に今年りんどう苗を新植するという圃場では、それは水田跡地であるし、畑にするための耕耘作業を行えるように田を十分乾かさなければならず、そのためにも明渠堀りが不可避であるわけです。これから雪解け水が圃場に溢れてくるわけで、それを速やかに排水するためにも、新植するしないにかかわらずいまやるべき作業になります。幸い、排水掘りする側の畦畔下が先に雪解けして露出しているのはありがたいことです。

 

2021種籾

水稲作業も、種籾の温湯消毒と浸漬が始まって、稲作スタートとなっています。昨日は花巻市の「花巻酵素」へ水稲培土を買いに行ってきました。ハウスのビニールは掛け終えており、4月10日までには種まきを行えるでしょう。雨の日とかに箱を並べる育苗プールを作っておきます。

去年の稲作は記憶にもまざまざと残る7月の多雨により、ひとめぼれの出来が極めて悪く、今期は「いわてっこ」のみの出荷とさせていただいています。いわてっこは病気にも強く当地のような中山間地向けの品種です。ただ、背丈が取れないのが残念なお米です。いわてっこも含め現代の品種は化学肥料を大量に入れ収量を上げることを前提に育種されており、肥料過多でも倒伏しにくいよう、短棹の傾向です。なので米ぬかしか与えないような農法では背が低く、ハセにも掛けづらいし、背が短ければ穂も短くて結局収量が上がらない、すなわち農法と合わないというギャップがあります。昔の品種は背が高い(長棹)稲が多く、多肥だと倒伏します。自然栽培向けになります。自ずと昔の品種を選ぶことになり、肥料も実質少ないわけで、それでも背丈を確保でき、少肥ゆえにいもち病にも対策できているということになります。昔の品種はいもちに弱い品種もあり、それは米ぬかすら控えて自然栽培にすべきと思っています。

ハセ掛け天日乾燥の唯一の欠点は、稲わらを持ち出してしまい、脱穀後に田に還元する作業が実際困難であるという点です。稲わらは田に還元したい、となると「わらカッター」が欲しくなります。脱穀後に稲わらをカッターに投入するとバラバラにして放出してくれる。脱穀は田のそばで行うので、そのまま田に返してやることができます。このわらカッターも、昔の農機具になり、新品も出てはいますが、中古で探すとなるとなかなか出回っていないです(新品で買うと30万弱といった金額)。

品種も、道具も昔のものを求めざるを得ない、農法の違いというのはいろんな面で時代に逆行しているし、でも逆行ではないですよね。有機農業が注目され振興すべきと言われている時代においても、実際はいろんな苦労の中で各農家が工面して間に合わせているということですね。

去年の稲作の反省を受けて、いろいろ選定に悩んだ結果、今年は3つの品種を導入し、同じシーズンの条件の中で栽培し比較することにしました。稲など本当に実際植えて育ててみないと結果はわかりません。同じ条件でないと比較できないので、1年に1種ずつ余分に植えてみるというのではだめです。「いわてっこ」と「ひとめぼれ」の2品種に加え、「ササニシキ」「チヨニシキ」「亀の尾」の3種を用意し、種まきに備えて浸漬しています。後者の3つは地区の育苗センターに持ち込んで、温湯消毒を施してもらいました。選定の基準は当地のような冷涼な気候でも育つ、背丈80cm以上の品種で入手可能なものです。現代の品種でも「つがるロマン」など魅力的ですが、青森県外では入手できないようですし、仮に問題なく買えても、地名が入った品種は他県では販売しにくいですよね。

昔の品種はいもちに弱く、陸羽132号がそうでした。米ぬかも控えて、無施用でやってみようと思います。生育の違いなどは随時記事で報告したいと思います。

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残雪期の沢内の春作業

炭の粉で消雪促進

まとまった降雪がしばらくなくて、割と暖かい日もあって2月時点で大雪と言われた今年の冬も終わりが見えかけています。積雪は平均で約50cm。建物や地形の関係でもっと多いところもありますが、西側に面した斜面の上(だいたい畦畔になっていますが)は土が露出したりしています。一時積雪が250cmを超えたということで、消雪資材(炭の粉)の助成が出まして、早生りんどう(お盆に咲かせたい品種)に散布し、残ったものをにんにくの畑にも散布しました。

今日など晴れて気温も上がってきておりますし(お昼時点で8〜9度)、無理して除雪機など入れたりするよりも、黒い粉の散布は楽で効果的でもあります。

 

やまなしの苗木を植栽

また、当園ではイワテヤマナシを植栽しており、香りの良いやまなしの品種なんですが、近くに別品種の木がないため受粉がうまくできず、花が咲いても実を付けられないという状態が数年続いていました。そこで、お世話になっていますヤマナシの研究者の神戸大学(食資源教育研究センター)の片山寛則先生からナツナシという異種の苗木を送っていただいて、2本、すぐに植え付けをしました。まだ気温が氷点下に下がるため、暖かい神戸でもし芽が動いていたら沢内では凍死する危険があるということで、ムシロで覆ってやっています。サネナシという木も1本送っていただいて、左奥に小さくムシロが写っています。異種のナシといっても開花期が合わなくてはいけません。それがこの品種になるようです。

その主役である当園の木は「ハンベエナシ」といっていまは同じ町内旧湯田町のある地区のお宅に植わっていた良質の実をならせる木を、上の片山先生が当地に調査に来られた際に見つけ枝を入手され、神戸で増やして育ったものを私が逆輸入する形で同じ町内である当園に植え付けをしたものです。

最初は木が小さいからまだ実がならないだろうとも思っていましたが、ここ数年、それなりに大きくなって花も咲かせるのに、どうしてかなと感じていて、先生に相談したところ、異種の木を植えることで解決ができるだろうということになって植え付けをしたものです。

同じ岩手県内でも県北の九戸村では、片山先生の指導のもとで生産グループが結成され産地化を目指してイワテヤマナシの栽培と加工品の生産が行われています。西和賀地域では私だけですので、何とも心もとない限りです(実もまだならないし。。)。もし県北の地域と同じ品種を植えていたら、逆に価値もあまり見出せないかもしれませんが、このハンベエナシは当園にしか植わっておらず、西和賀固有の品種になります。これを持っていることはここで農業を営む上で自然だし、ある意味良い持ち駒になるとも言えるわけですね。やまなしは木の個体ごとに違う品種かと言われるくらい、個体間の差が大きく、このハンベエナシは、ハンベエ屋号の家の木ということで、他には存在しないものですが、実が大きめで香りも良いのです。同じ研究会員として、来週は私も九戸村へ赴いてやまなしの剪定や接ぎ木について研修して来ます。賢治の童話に出てくる「やまなし」はイワテヤマナシであり、岩手が原産地の梨の木です。現代の品種が味や実の大きさを獲得して改良されていく過程で失ったものが、香りだと思います。芳醇なイワテヤマナシの香りはきっといろんな形で需要があるとも感じており、まずは生産をきっちりと行っていくことだと思っている次第です。

 

薪の玉切り2021

雪があるうちにいまみんな行っているのが、翌冬か翌々冬に使う薪の準備をすることです。雪が消えると田畑の仕事で忙しくなるし、雪のあるうちに雪の上で切るとチェーンソーの刃を石や地面に当てて傷める心配もないからです。この後の薪割りはさすがに雪の上ではできませんが。。薪割りは家族も手伝ってくれるので、私の仕事はもっぱら玉切りです。

 

たらの芽2021

たらの芽も収穫が始まっています。ただ、今年は木の状態が良くなくて、穂木が少なく、ご注文に追い付いていない日が続いています。タラノキ自体の寿命というのが一番の原因でしょうか。枯れてしまった木が多くて、残念な年になっています。7月に異常なまでに降雨が続いたことをご記憶されているかと思いますが、そうした雨による湿害もあるでしょう。稲の方も昨年は減収でした。

これは300gパッケージのたらの芽です。厚さ3cmのクリックポストの箱に入れて出荷しています。60サイズ等の宅配を使うとどうしても送料がかさむし容量もあるので、自ずと内容の価格も何千円かという単位になります。クリックポストは全国共通で198円ですので、私が負担し、お求め安いパッケージで出荷をしています。

現在タラノキの改植を進めていて、早く良質の穂木を多く得て生産量を伸ばしたいと願うところですね。

 

再開した黒にんにく

寒天の仕事から戻って、在庫のにんにくを用いて黒にんにくの製造も進めています。高額な装置を導入した高付加価値を目指す製品が多い中、当園は保温ジャーを用いてリーズナブルな単価の黒にんにくを作っています。大きさにもよりますが、元の青果にんにく70円を黒にんにくにして100円として+サービスとして小さめのも付けて梱包という感じです。3cmでは無理なのでクリックポストパッケージでの発送は難しく、60サイズ宅配で分量的に何千円かにはなるのですが、日々の常食としての普段使いの黒にんにくとして取り入れていただけたら幸いに思っています。自分で食べても確かに甘い出来です。

 

ハウス除雪

さて、水稲の育苗のためハウスの除雪も進めました。3月に入ってから降雪も落ち着いて来たので10日頃からスタートしました。

 

ハウス除雪難関場所

ハウス東側が、高い山になっていて、ちょっとやりづらいです。右にある小屋に強い西風が当たって跳ね返り、2mくらい離れたところにそそり立つ山を形成します。これは除雪機では一気に飛ばすことができず、何日か待ってみましたが、結局このあとスコップで地面へと掻き崩して、それを除雪機で飛ばしました(上2枚は3月11日震災の日の写真で2週間前のものです)。

 

オーブンでピザ焼き

寒天の仕事の出張期間中は、毎食すべて弁当で、今年は夜勤もあって夜食にカップ麺や持ち込んだ玄米の炊き込みご飯(レトルトの既製品ですが)などを食べていました。食べられなかったものは、お好み焼きやピザ、パスタ類、餃子、たこ焼きなどですね。こうしたのを帰ったら作って食べるぞ、というのが何となく励みになって過ごしていたという感じもありましたが、そういうこともあって、強力粉を使って初めてピザを焼いてみました。オーブン付き薪ストーブのオーブン室です。ケーキも一度焼いてみましたが、割と上手に膨らみました。オーブンの問題ではなく、良い生地を作れるか、みたいですが。。昨日は久々にお好み焼きを作りました。

雪が消えればそういうことはもうしていられませんし、あと2週間くらいでしょうか。とはいえ、ここから雪がゼロになるまでの道のりが長いのです。雪があるから日中の気温も上がりにくく、気温が低いので雪が消えにくい、という堂々巡りになっているわけです。来るべき繁忙期に備えて、そこで100%全開で働けるために、いまはじっくり休養しておいた方がいいのでしょうか? 逆に体がなまって動けないかも、ですが。。

上のハウス周りの雪は完全に消え、今日はビニール掛けに着手しました。とりあえず地面に接する腰巻や前後からです。珍しく土が乾いていたのでこのチャンスに。。雪解け水や降雨後は地際のビニペット付け作業で泥まみれになるんですよね。今日は泥だらけにならず、良いチャンスでした。屋根のビニールはもう少し待ってからにすべきです。まだいつまとまって雪が降るかもしれませんから。。もしそうなれば腰巻などまたしばらく作業できなくなりますから、早めにやっておくべきですね。

 

 

 

 

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いつもより残念だった稲刈り

稲刈りやまなし田2020

雨が多い稲刈り期になっています。降ればりんどう出荷をやり、晴れれば稲刈りをする。複合経営ですので、雨で何もすることがないということはあり得ず、だからこそオーバーワーク気味ではありますが、自分なりの暮らしの手応えを感じつつ、限られた時間枠の中で悔いなく過ごしていきたいと願う毎日です。現在は10月になり、稲刈りと小麦播種は終わりましたので、あとはにんにく植え付けが少し残り、極晩生のりんどう2品種を出荷しているところです。

今年の稲ですが、背丈が取れず、作柄としては良い感じではありません。全国的には出来が良いような報道だし、他地域では目で見ても確かに良い感じにも見え、ここはやはり気温が低い地帯で、7月の悪天の影響も他より色濃く出たかもしれませんね。8月はこちらも天気は良くて、盛り返してくれるかと期待したのですが。。

 

稲のハウス乾燥

5アール分の稲は今年もハウスの中に掛けて雨に当たらないようにしています。今年はひとめぼれは生育が悪く、いわてっこの方がメインの出荷になりそうです。ここ10年くらいの記憶の中では、今年の出来が最も良くなくて、稲作には残念なシーズンになったと感じます。稲作は本当に地域差があり、それはつくづく実感されますね。3年に1度は冷害が、と昔から言われる地域なのですが、品種改良や温暖化(?実感はできませんが)等でちょっと忘れていた言葉でしたね。いずれ出穂期の低温はありませんでしたので、冷害ではありませんね。

 

小麦播種

稲刈りに先立って、やはり蒔く方が先ということで、小麦の播種を今年は規模を若干拡大して行いました。根雪期間が早く来て雪解けも遅いので、にんにくにしても小麦にしても早く植え付けることが大事です。通常「ごんべえ」という播種機を使って蒔くのが主流ですが、まだ所持しておらず、トラクターで耕耘した時に尾輪で付けられる溝を蒔き溝として、そこに手で播種して長靴で覆土して歩くという方式になります。

 

小麦の蒔き溝

その尾輪による蒔き溝はこんな感じです。播種した後で足跡が付いています。小麦の列の間隔が50cm程度でトラクターの耕耘幅の約1/3ですから、この間隔で尾輪の溝を付けるために、一度耕した跡も重ねながら耕耘することで、土をこなれさせるということは利点でしょう。ぬかるんでボコボコの土では良く発芽できません。通常に耕していけばロータリーの幅約150cm間隔で尾輪痕が付き、離れすぎになりますから、重ねるとその3倍の時間がかかることになり、非合理的ですね。ただ、種を蒔き終わって余ってしまった種をもう一度均等に蒔き切ってから覆土ができるという点もメリットですね。ごんべえ播種機だとその都度覆土までしてしまうので、余ってしまった種子はいったいどうすれば? あるいはもし足りなくなった場合は? とか考えてしまいます。

 

ライ麦種子

こちらはライ麦になります。数年前に一度作付けし3作くらいやりましたが、あまり注文が来なくて、需要の多い南部小麦等の作付けに畑を使って、ライ麦は休止していました。が、昨今やはり需要もあるということで、もともと私もやりたいわけですし、種子を新規入手して蒔いてしまいました。

ライ麦栽培というのは日本では確立された部門ではなくて、種子について調べても、大体が緑肥栽培用で、実を穫るのではなくてすき込んで地力増進する目的の品目というイメージです。私の場合パンにするためのライ麦栽培が目的ですし、ライ麦パンというのは特にドイツで盛んと聞きます。どうせならとドイツ製のライ麦玄麦を入手して播種しました。通販で購入できまして、写真がその玄麦です。

 

ライ麦の出芽

輸入ですから時差も生じます。今年の夏の2020年産は10月以降に届くとのことで、こちら積雪地のため早く蒔きたいと思って、昨年産の玄麦を買いました。その分発芽率は確実に落ちますが、まあどうにかこうにかそれなりの発芽を確認できて、あとはこの異国の地日本の雪国で無事冬が越せるか、が気になる点です。食用という麦で種用というわけでもなかったことも、無事芽が出るか不安材料ではありました。

ライ麦は以前の時も大丈夫だったので、多分育ってくれるのではと思いますが、昨年秋に試したスペルト小麦は全滅だったので。。去年は1mくらいしか積雪はなかったのですがね。積雪量というよりは積雪期間が重要ですから、こちらは120日以上になりますので、原種に近い野性味の強さを持った麦であるとはいえ、ヨーロッパ産のものは多湿多雪の日本海側の気候には向いていないのではないかと心配されるところです。

 

最後の蒼い風

さて、こちらですが当地西和賀町のりんどうオリジナル品種の「蒼い風」。私が移住し就農した1996年頃に普及センターの花き担当の職員を中心に開発されていた品種です。その後種苗登録もされ、秋の彼岸出荷のメイン品種として20年栽培されて来ました。当時西和賀地区はまだ合併前で、沢内村と湯田町だったわけですが、農協としては「西和賀農協」と既に一体でした(現在は広域合併して花巻農協になりました)。この西和賀地域だけで栽培されるりんどうです。

岩手は現在はりんどう栽培の日本一となっていますが、そもそもは長野県が先発でして、その長野の高名な専門家が岩手へ赴任して試験場でりんどう品種開発に携わるようになって、岩手県としての有望りんどう品種が次々と作られ栽培されて、結果日本一になった次第です。そして岩手では安代町(現・八幡平市)が1番、西和賀が2番という感じでした。現在は西和賀は高齢化による作付け減少が進んで他地域に2位の座を譲っていると思いますが、それでも20年以上2位をキープし続けることができたのは、他の岩手県内の生産者が岩手県開発品種で出荷していたのに比べ、こちらの地域では「地域オリジナル品種」を持っていて市場に出し続けることができたことによると思います。もちろん全国首位の「安代りんどう」も専門の開発職員によってオリジナル品種を多数持っていることは言うまでもありません。岩手県の試験場の役割も大きかったですが、地元で品種を持つことができる点は重要なポイントでした。

西和賀は、この「蒼い風」を先駆けに新品種の開発を進め、以後、お盆には「さわ風」、彼岸には「錦秋の風」「藍の風」、極晩生の「雪ほたる」(白)、「風雅」といった品種を中心に、時期をずらしながら生産を維持し、まずは3か月のりんどう出荷期を途切れなく地元独自の品種で栽培することができています。

この「蒼い風」は20年経って、その役割を終えたなという気がしています。葉に斑らの生理的な枯れ症状が入ってくるようになったことや、チラチラして収穫に手間がかかり、時間がかかった割には出荷の箱の数が多くないこと、短命で3回(3年)も収穫すると、翌年以降品質が低下してくること、といった感触を私は持っていて、お彼岸の品種は「錦秋の風」、そして「藍の風」の2品種で構成することにし、蒼い風は今年で収穫を終えて廃園とし、再び作付けすることはないと思っています。写真は最後の収穫日の姿です。私はここ西和賀地域に移住した最初の年から、農業改良普及センターで冬期に土壌の分析のアルバイトを長くやっていて、この蒼い風開発者とも同じ職場で2冬8か月でしたか職場を共にしました。新品種の開発というのは時間がかかる作業で、根気のいる職人的な手仕事です。りんどうが好きでそういう作業が向いているとも自覚された方でしたし、私も愛着を持って栽培していましたが、ついにお別れをする時が来たようです(その担当した職員さんはもちろん県職員として「蒼い風」完成後、他の地域に赴任され、当地からは離れておられます)。

「品種」が年をとるというのはよくあることで、F1なので掛け合わせをする親株がありますが、雄雌両方ともに老化していきますし、その親株自体は培養等で同一の命を継いでいくわけですが(種だともちろん性質がばらけるので)、20年も経てば最初の頃の勢いが衰えてきて、やはり永遠のものではなくなるのです。県品種で「アルビレオ」という好きな品種がありましたが、これも親株の老化で供給が終了しました。

りんどう出荷の1つの期間を複数の2品種で構成することは、その分出荷時期がなだらかになることで、市場の需要期にそれとなく合わせていけることになります。1品種だと出荷ピークが狭い期間になり、ここで安い時期にぶつかったりすると、残念なことになりますから。。作業1人で10アールのお彼岸用出荷をするなら、1品種で10アールにして出荷ピーク時に過重労働になるよりは、5アールずつ2品種にした方が、ピークがなだらかになる分、日々の労働時間も安定する、ということも大きい理由です。

今年はりんどうは良い市場価格を維持しています。市場の反応としてりんどうに「品薄感があって」という言い方がされたりしていますが、そういう話を聞くと、値段が良いなら作付けしよう、ということになり、今度は過剰になって価格を下げる。そんなくり返しになっているのではないでしょうか。菊とかりんどうとかは施設栽培(ハウス)の花栽培に比べ、面積が広い露地栽培ですから、少人数でやるには辛い品目です。しかもりんどうは植え付けた年は収穫にはならず、翌2年目も遠慮しながら採らなければその後の寿命を短くしてしまう。その後良いところ3年も取ればその後は老化して質も量も下がり、廃園して水稲に戻し、3年以上水田にしてからまたりんどう作付けをする。こういう感じですので一般には取り組みにくい。田んぼをやっていないと出来ませんしね。出荷ピーク時には夜なべ夜なべの日々が続きますし、私らから見ると、ハウスで高単価の花を栽培する方が始めやすいし「楽」に見えますね。

りんどうをやめて山菜栽培が微妙に増えて来ている当地ですが、なかなか山菜ではお小遣いを超えて家計を支える屋台骨品目になりません。かつて地元の優れた大規模の農家の方が語ったことがありました。「沢内は寒くて春が遅く秋も短いので、なかなか実をならせるところまでは時間が足りない。その前段階の花ならちょうど良い」。これは葉や芽である山菜にも当てはまることですが、いずれ注文を待って個人に直接出荷する方式の当園のお米などは簡単に面積を増やせないのに比べ、市場出荷する品目ならば頑張って出した箱の数だけ、所得になります。頑張った夜なべはその分成果になるので、頑張れるし、過剰な働きもしなければなかなか家計を支えることができないですね。

新型コロナでステイホームと言われますが、われわれ農家はその生活は全く変わらずステイホームの中で去年と同じように朝から夜まで働き続けています。日々の暮らし方は変わらなくとも経営上はいろいろ影響を受けるでしょうし、花でもイベント関連需要の百合などは打撃を受けているはずです。幸いなことに、りんどうは家庭利用が多い品目かもしれません。まだ2品種残っていますし、あと3週間後には出荷は終わっています。まずは目の前のりんどうと稲刈り稲扱きを終わらせて、ホッと一息つきたいものです。

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秋作業本番です

秋彼岸ピーク時

毎年1番の繁忙期が9月になります。切り花りんどうの秋彼岸需要期の出荷が大きな仕事量になるのですが、その出荷ピークが始まる前に、追い立てられるように最終の草刈り(畦畔と農道)、新植したりんどうの草取り(結構大変な作業)、にんにくの畑作り(施肥・耕耘・畝立て・マルチ張り)を済ませ、間髪を入れずりんどうの大量出荷がやってきます。地元民放ラジオを聞いていると、りんどう農家から「眠い」「あと少しの頑張りだ」といった投稿が読まれ、みんな頑張っているから自分も負けられないみたいな気持ちにさせられますね。

秋の品種の方が、お盆のりんどうよりも株のボリュームがあって、面積当たりの出荷本数も多く、限られた時間でいかに数をこなすかが決め手になります。葉先枯れ、葉全般の枯れ症状とか、老花、ネット管理不十分による出荷できない曲がり、病害虫被害、などがあれば、手を加えて除去したりする時間もかかり、全体の質が悪ければ出荷本数も減ります。この出荷時において、これまで半年の管理作業が全て集約されていて、何のためらいもなくスムーズに選別台に並べ、5段、4段、3段、2段とよどみなくに作業が流れて行くのがプロの仕事ですね。今日のいまのこの作業が、こういう結果に直結する、という手応えを実感しつつ農作業を進めてきたか、ただ漫然のマニュアルお通りにやるべきとされていることをやった(つもりになっている)か、といった点は全て出荷時に現れてきますね。

毎年必ず失敗があります。今年はどうしようもない7月の長雨がありました。やはり畝の根域に湿害が出て、葉にまだらの枯れ症状が発生したほ場もありました。春先から入念に田(りんどう畑)の排水の側にしっかりとした明渠を掘り(30cmとか気合いを入れて)、対策していたら起きなかったかもしれません。来年の課題です。定植時に深く掘ることも必要ですし、欲張らないで溝付け用に排水側の土の余白をしっかり取って畝作りすることも意識すべきですね。一度畝作りすると6年間そのままなので。。一番理想なのは弾丸暗渠等を施すことですが、莫大な費用がかかるそうで。。

今年花き栽培で心配されたのは新型コロナによる需要減、ということでしたが、結果的にはお盆の市場価格はまずまずで(盆需要直前の7月最終週の下落はひどくて、出荷を見合わせるほどでしたが)、お盆後と彼岸の間の谷間の時期も価格は維持していました。今回9月の彼岸需要期の価格は総じて高く、おととい18日金曜日のセリは彼岸需要期最大の仕入れピークの市場だったのですが、いままでにない高価格が付きました。反面、この後の極晩品種の価格が反動で逆に心配になりますが。。

 

にんにく植え付け2020

こちらはにんにく植え付けの様子です。ホワイト六片は休眠が浅く9月になったら植え付けをします。当地は気温の低い寒冷地である上に、根雪が早く訪れることから、遅く植えてしまうと結果的に小さいものばかりになってしまいます。ましてや有機質のみでの栽培ですし、日本一積雪期間が長いと言われている地方です。今年は9月9日に、有志の方々が集まって植え付けを手伝ってくれました。本当にありがたいことです。

カケラに割る作業がまず前半の大きな作業で、作業場で座ってする作業ですが、次いで畑に出て、棒で植え穴を開ける人、カケラをマルチの穴に合わせて4個ずつ配って歩く人、穴に植えて行く人、そして私が鍬で通路の土を畝に掘り上げ、最後にそれを手で植え穴にならして入れ覆土をする作業、に分担されます。左畝は手前は土を載せるところまで進んだ段階。覆土した後も土はマルチの上に残るようにして、雪が降る前に米ぬかをマルチ全体に散布して、この土と混ぜ合わさって春先に植え穴に入って追肥効果になってくれればと思っています。そういうことをしない慣行のにんにく栽培でも土はマルチ状に覆いかぶさった状態にしているようです。りんどうとかでも同じですが、芽が出た苗とかがビニールマルチで保温された暑い空気にさらされないように、マルチを床土と密着させることが大事みたいですね。

全体の7割がホワイト六片なので、これが片付くだけでも気持ちはずいぶん楽です。

 

にんにく植えランチ

昼食は敷地内の栗の木の木陰で。当園の小麦を買っていただいて、この植え付け会に合わせて玄麦を引き取りに来てくださった秋田市近郊のパン屋さん「薪窯ベーカーカボチャ」さんと潟上市の農家「ファームガーデンたそがれ」のお二方と、岩手県内から大迫、花巻、北上の農家関係あるいは農に近い気持ちの消費者の方々が集っていただいて、相互の交流の時間も取れて、楽しいひと時でした。

 

カボチャのパン

「カボチャ」さんが当園の南部小麦で作って持ってきてくださったずっしりと重いパンです。カンパーニュと言うのでしょうか。南部小麦の頭文字「N」が刻まれています。秋田ではあまり南部小麦は作付けされていないようですが、この品種を気に入っていただけて嬉しく思います。

ちょうどいま小麦の播種準備をしています。種まきは「ごんべえ」という知られた播種機を使う方が多いのですが、私はまだ使ったことがなく、確かに植え付けから覆土まで一気に終わってしまうので便利とは思います。ただ、経験がないせいですが、準備した播種量をぴったりと使い切りたく、そのまま蒔かれた種を見るとこなく覆土が済んでしまうのは不安な気もしますね。時間はかかりますが、トラクターの尾輪で蒔き溝を付けつつ耕耘していくというやり方を今年まではやっています。来年こそはごんべえ導入にしましょうか。。

 

ゴハンヤmeetsランチ

手伝ってくださった皆さんに用意したお昼の弁当です。昨年秋に西和賀町内湯本地区にオープンした「ゴハンヤmeets」さんにお願いしました。インスタグラムでのやりとりということで、おそるおそるアプリを使って送信し、すぐに返事も来て、注文できました。メニュー写真の中に「山賊焼き」の文字が見えたので、長野県には縁もあるし、実際美味しいので、山賊焼きのメニューにしていただきました。山賊焼きは鶏肉の唐揚げと同じですが、1枚の大きい肉を揚げて切って食べる形です。にんにくと生姜の両方が漬け込みダレに入っていることも必須条件と思います。うちでは普通に唐揚げを作るときもにんにくと生姜の両方を使います。みなさんそうされているかとは思いますが。

いずれ美味しいし、人気店です。町外の参加者もゴハンヤのことを知っていました。今度は店舗で食べたいと思います。が、地元で食堂に行く機会というのはそうそうないんですよね。。

 

大ケ生1

ちょっと時間は遡りますが、8月23日の日曜日に、閉伊川に釣りに行きました。指導してくれる方と午後からの待ち合わせでしたので、午前に花巻方面へ出かけました。いま当地沢内と花巻を結ぶ「なめとこライン」は土砂崩れの工事で通行止めになっていますが、日曜と祝日のみは工事を休むため通行できるということです。それで日曜日でしたし、中3の息子となめとこラインで花巻へ行き、花巻市の博物館で原爆展を開催していたのを見ました。息子も何らかのことを感じ取ったでしょう。

次いで、閉伊川を目指す途中の盛岡市の大ケ生(おおがゆう)という地区にある廃坑になった坑道を見学して来ました。前に紫波町の洞窟を探索しましたが、この時と同じくIBCラジオでレポートしていて知ったのでした。ここが坑道の入り口です。案内の方が詳しい方の妹さんということで、照明の付け方がわからないということで、携帯の照明を頼りに進んで行きました。

 

大ケ生2

「萬寿坑」という坑道跡になりますが、これが入ってすぐの地点から奥を見た様子です。通行できるのは100mくらいだったでしょうか。とても涼しく、また脇には冷たい流水が奥から湧き出て流れておりました。この水を使って水路下流の方ではクレソンを栽培しているそうです。

 

大ケ生3

萬寿坑入り口近くの小屋に資料展示がありました。金が採れたらしいですね。ここはやや山に入ったところですが、平地まで降りた紫波町の辺りには精錬所もあったそうです。

 

大ケ生4

金が採れたのは昔の話です。。

 

大ケ生5

概要の説明文です。こういうのを撮影した際にはまっすぐ正面からは撮れず歪みが出るのですが、Photoshopでは自由変形という機能があって、まっすぐに修正することができ、こういう時に便利です。

 

閉伊川の釣り

さて午後から閉伊川で渓流釣りをしました。ベテラン釣り師の佐々木さんに指導を受けました。前にうちに来訪していただいた時、家の前で簡単なアドバイスでその場ですぐに息子がイワナ(ヤマメだったか)を釣り上げました。この方は盛岡市在住ですが、出身がこの閉伊川のある川井(いまは宮古市)で、私よりは若いのですが幼い頃から山の暮らしの知恵、技術を受け継いで来られた方で、山仕事をしている人から実地に習った釣りの技を備えていらして、それを私や息子に伝授していただいたのでした。ネットや本での知識というのは実際釣り場では使えないことが多く、使えないというよりは自分が真に会得していないということなんですが、こうして直接に教えられるということが、とても大事だと思います。岩手で育ったといっても皆が皆その地方の深い生きる術とか技とかを備えているわけではありません。家系は早池峰の神社の神職の系統にもつながるそうで、古くは山伏としての血筋でいらっしゃるとのこと。そういうことを代々「家」の習わしとして受け継いで来た。釣りの技を含めそうした山暮らしのベーシックな部分をいま現在はあまり求められることはなくなってきていて、われわれがそうした実践的な伝統文化というのでしょうか、それに興味を持っているために、伝授をしてくれる気持ちになってもらえたのだと思っております。

この方が実際にどんな身のこなしで魚を釣り上げるかは、まだ見ておりません。いつかこの奥羽の山里でもその技を披露していただけたらと願ってやみません。

お盆の安比八幡平と、この花巻から閉伊川への旅で夏は終わり、いまは秋めいた気候の中、またぐずついた気候が続いていますが、小麦播種、稲刈り、にんにく残りの八木・八幡平の植え付けをすませつつ、まだもう2品種残るりんどう極晩成品種の出荷を無事終えたいところです。去年は10月に突風で車庫が飛ばされる被害もありました。まだまだ台風シーズン中ですし、これから稲もハセに掛けるわけで、脱穀無事終了まであと1か月ちょっとですが頑張りたいと思います。

 

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小麦を収穫しました

アリーナ刈り取り

毎日必ず雨がいつかの時間に降っているという、異例の年になっています。気温的にはいまのところ冷夏とは言えないですが、湿度があまりにも高く、りんどうにも、また稲にも病害が出ないか非常に不安な昨今です。当園ではお盆需要期から彼岸をまたぎ10月下旬までの約3か月間、切り花りんどうを出荷しています。ちょうどにんにくと小麦の収穫が終わって、それからりんどうの出荷が始まるという形になっていて、りんどうの出荷が立て込んでくる前に、いつもハラハラと天候を見て刈り取り時期を思案するのがアリーナ小麦になります。

アリーナ小麦は二戸市にかつて布教に訪れ滞在したシュトルム神父がスイスから持ち込んだ小麦と聞いていて、それを継いでいるものです。時代的にはとても古い品種になると思いますが、パンによく合うと評価いただいており、絶やすことなく作り続けたい小麦です。当地の日本一(世界一?)とも言われる長大な積雪期間にも耐えてくれるありがたい小麦です。

ちなみに、改めていまシュトルム神父を検索していて、伝記が刊行されていることを知り、注文をしました。追って、シュトルム神父やこの小麦についても得られることがあったらお伝えしたいと思います。

 

アリーナ小麦

アリーナは長棹品種で極晩生。いつも7月25日頃に刈り取りしています。今年は雪解けが早かったことと、このあとしばらく雨が続く感じなので、昨日23日に刈り取りし、ハウスの中へと搬送してハセ掛けをしました。

アリーナはにんにくと交互に輪作しています。その関係でにんにくの残り肥料を吸って育つため無肥料になります。にんにくと1:1じゃなくアリーナの方が少し広いため、にんにくでなく小麦連作になる箇所も少しあり、ここはやはり生育が劣ります。単純明快です。

 

 

ハセ掛けした南部小麦

こちらはハセ掛け中の南部小麦。これは7月18日に刈り取りしました。南部小麦の畑は単独の小麦地帯で、やはり収量はそれほど上がっていません。稲は地力で穫れ、小麦は肥料で穫れと言われるように、小麦については肥料分が必要なんですね。自然栽培という農法が最も高度な農業の形であることは言うまでもないと思いますが、肥料分を米ぬかや籾殻等に求めるやり方では本当になかなか大変だと思います。特に当地のような多雪の寒冷地では。。もちろん草対策にどれだけ手がかけられるかも大きいため、肥料だけの話ではありませんし、そもそも自然栽培には収量とはまた別次元の価値もあり消費者は共感を覚えます。とはいいながらも、にんにくの助けを借りているアリーナと、南部小麦の収量の差を見るにつけ、肥沃な畑の価値を改めて痛感させられる次第です。

この南部小麦は、今年はすでに予約分でいっぱいになっているために、新規での出荷はできません。この秋は南部小麦も畑の面積を増やし、かつ施肥についても鶏糞の使用になりますがこれまでよりも多めに施用する計画です。草取り対策がどれだけできるか心配ではありますが、来年のいま頃はもっと大手を振って南部小麦の出荷販売にアピールもしていけたらと願っております。

 

アリーナ乾燥中

アリーナ小麦の方は、肥料のせいもあって今年は例年よりも多く穫れている手応えです。脱穀してみないとわかりませんが、こちらはしっかり供給できればと思っています。

また、この秋には、以前栽培しつつ受注が少なかったために一度やめたライ麦を再開します。去年はそれに似た思いから古代品種の「スペルト小麦」を秋に播種しましたが、この春、見事に消失し、雪に対する弱さだったのかと実感したところですが、ライ麦は経験があるので大丈夫と思います。以前は玄麦での販売主体で売れ行きがよくなかったことから、今度は製粉主体で販売したいと思っています。できてみないとわかりませんが、ライ麦は背もかなり高くまたバインダーでの結束不良が起きやすくて、刈り取りも、ハセ掛けもワザがいります。

 

 

緑肥の漉き込み

南部小麦を増やす畑です。ここは去年まで牧草地になっておりましたが、春に一度耕耘し、緑肥用エンバク・ヘイオーツを播種しました。播種から2か月余り経ち、トラクターですき込んでいるところです。南部小麦を刈り取った同じ日に、その小麦跡地とこちら新規南部小麦予定地の両方を耕耘しました。エンバクがこれから2か月の間に地力増進に役立ってくれることを期待し、来年の南部小麦の収量アップにつながってほしいものです。

 

小麦跡地米ぬか散布

 

さて、昨日刈り取ったアリーナ小麦の跡地は、今度はにんにくの植え付けになるため、今日、早速土作りに米ぬかを散布しました。かなり大量に入っています(8アールで300kgくらいです)。

当園は米ぬかを多用する農法を特徴としています。たらの芽が始まる頃から米ぬかの採取を始め、3〜6月前半採取分は5月初めの耕耘前の田の元肥ボカシと田植え後の米ぬか層を作るための散布になり、6月後半からの採取は7月末のこのアリーナ小麦刈り取り後のにんにく向けの散布になり、このあと本日午後に耕耘します。併せて、花巻酵素社製の「ライズ」を10kg余り撒いています。そして8月以降に採取した米ぬかは、10月後半あるいは11月の初めににんにくの畝の上に撒いて、これは雪解け後に腐熟した米ぬかが追肥に作用してくれるようにとの施用です。11月から2月前半までは米ぬかの採集はお休みです。寒天出張に行ったりもしていますし。

この米ぬかを撒いた後はすぐ耕起し、そして1か月後の8月下旬に鶏糞と貝化石資材(石灰補給)を撒いて耕耘し、そして畝立てをしてにんにく植え付けがいつでも始められるようにします。9月は大変忙しいので、9月1日を過ぎたら、作業の空き時間を見てホワイト六片の植え付けを少しずつでも進めます。そして彼岸りんどう出荷、小麦種まき、稲刈り、を経て10月になったら八木と八幡平を植え付けします。ホワイト六片はせわしなく、稲刈りなどを挟みながら9月末までに植え終えられるようにします。それを過ぎてしまうと小さくなってしまうので。。

 

りんどうの本格出荷が始まる前に、いろいろと終えておかなくてはならず、今日日中の晴天はとても貴重です。

 

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にんにくを掘っています

ホワイト六片収穫始め

7月に入り、毎日のように雨が降り続いています。九州は集中豪雨になっていて大変お気の毒に思います。梅雨前線が上昇してくればこちらも同じ状況があり得ますが、台風とかだと勢力が落ち着いてから来ることが多く、その点は南西の地域の方々が深刻と思います。土砂降りの雨というよりも、霧雨から小雨がずっと続くという傾向が強いここ奥羽の7月です(これから下旬はどうなるかわかりませんが)。

そういう悪天続きの中ですが、少しでも雨の中休みがあれば、間髪を入れずにんにく掘りを最優先に作業を進めています。とはいえまず雨露が消えてくる10時以降にならないと着手できませんが。。

まずは早生であるホワイト六片から始め、7月6日に全部掘り終えました。全体の5/8がホワイト六片ですので、一気というわけにはいきませんで、何回かに分けての収穫です。にんにくは掘り遅れてそこに雨が続くと茎葉が軟弱になってくる上に、結球の上部が裂け始めてきて、抜くと切れてしまいます。これは一番嫌な状態で、商品性も著しく低下します。遅れてこうなるよりはむしろ早めに掘った方が、見た目も綺麗で商品性も高いと思っています。毎年梅雨のさなかの収穫になるので、当園のように1反歩弱でも神経を使うのですから、何倍もやられている産地の専業の方の気苦労はいかばかりかと思います。理想の掘るタイミングの期間は結構タイトなので、1週間くらいの間に決着をつけているのではないでしょうか。規模の大きい方はきっと収穫機械で掘っているんですね。動画で見たことがありますが。

その点当園では早生のホワイトに加え、中生の八木、晩生の八幡平とあるので、収穫時も、また植え付け時も長いスパンの中で作業ができるのは好都合です。青森の産地のようにホワイト六片だけで何反部とか何町歩となると、やっぱり機械なんでしょう。

 

根茎切り

掘ったにんにくは何時間か畑のその掘った場所に置いてざっと乾燥させ、そして黒いコンテナに集めて作業場に搬送します。これでまずは一安心。今日掘ったものが全部室内に揃えばまずは雨が降っても大丈夫です。ここでコンテナから1本ずつ取って茎と根を切ります。この写真の時は朝大慌てで掘っていた時に雨が降り始め、ちょっと濡らしてしまいました。それで根と茎を切った後、すぐにコンテナやネットに入れずに、ハウスの中へ持って行き、1個1個が重ならないように並べてムレが取れるようにしました。今日あたりはもう次の工程として乾燥させるためにネットに入れて、吊るす作業をします。

 

Mサイズ品

今年は例年よりもちょっと大きめにできました。雪解けが早かったことで生育の期間がいつもよりあったことと、去年の秋のうちに米ぬかを畝全体(マルチ全体に)に散布して、雪の下で良い感じに熟成して春に追肥になれ、と撒いた米ぬかの効果もあったかと思います。米ぬか追肥、今年もやって、加えて乳酸菌の補給の効果も与えたいところです。春の雪消えを早めるには、現状では3月終わり頃に炭の粉を雪に撒いて消雪を早めてやることしか手立てはありません。除雪機でにんにくの上の雪を歩いて飛ばすのもおっかないですし、炭の粉は土壌にも効果があると思います。

 

八木の1列と八幡平

こちら、八木にんにくは1列の面積で、同じく7月6日に掘り上げました。こうしてしばらく並べてから集めるわけですが、その日の予定分を全部掘って並べ終わってから、さあ集めようとする流れにすると、途中で雨が降ってきた際に雨に当ててしまうことになります。何度かに分けて、適度に乾いたら集めつつ、次のにんにくを掘って行き、最後に回収という感じで進めます。梅雨時ですから。ましてや今年の梅雨空は例年以上です。

 

八木2020

今年の八木です。こちらもやや大きめにできました。八木は分球が良くないものも多いです。こちら西和賀の積算気温が足りないせいなのかもしれませんが、2片しかないようなものは見た目も良くないので、種に回します。1片としてはその分大きくなっているので種向きです。Mサイズも採れているのですが、それは残念ながら出荷用ではなくて種用に回すしかありません。そもそもの量も少ないですので。

 

にんにくスライム種

こちらは、私が勝手に「スライム」と呼んでいる1片ものです。土から掘り上げる通常のにんにくは土壌から何らかの病害を得てしまっていることもありますが、「珠芽」と呼ばれる空中の茎の部分にできる赤い塊は土壌の病害からは安全な種として活用することができます。珠芽そのものは小さくて、それが翌年の収穫で写真のようなスライム形の1片ものになることがあります。結球して2〜3片に分球している場合ももちろんありますが、それらは植え付けりん片としては小さすぎて、廃棄します。上のようなスライムはこれで1個の植え付けになるため、翌年は立派なにんにくになることが期待でき、かつ、病害を受けていにくい安全性を期待することができるわけです。にんにくの種を購入するのは、実は危険な行為で、最も安全性が高いのが、珠芽から新しい畑で栽培をすることと言われております。

 

進入路造成工事

さて、長年、このタラノキの下の田んぼには機械の進入路がなくて、隣の畑の畦畔部をおそるおそる通ってトラクターや運搬車などを圃場に入れていました。今回、地元の水路工事のついでの作業で、よく慣れた重機使いの方に進入路を造作してもらいました。タラノキ園はちょうど重機のいるあたりが無駄な畦畔スペースになっていたので、そこまで進出していたタラノキを何本か倒すことになりますが、立派な進入口を作ってもらえて大満足です。

 

船久保洞窟1

さて、話は変わりますが、岩手県紫波町にある「船久保洞窟」に子どもたちと行ってきました。IBCラジオでレポートしていたのを聞き、これは行ってみなくてはと思っていて、5日の日曜日に訪れました。予約の電話を入れ、地元の案内ガイドの方に導かれての洞窟探索でした。

 

船久保洞窟2

洞窟内は見事な鍾乳石群で覆われていて、空中にはコウモリが飛び交っていました。

 

船久保洞窟3

龍泉洞や安家洞のような大規模のものではありませんが、もちろん他に誰もいなくて、洞窟を満喫することができました。上から垂れる石灰を含んだ水が石筍を形成しています。私は広島生まれで、小学校の修学旅行ではお隣山口県の秋芳洞や秋吉台を見て以来、こうした場所が大好きです。

 

船久保洞窟4

天井にはキクガシラコウモリが止まっています。案内の方は噛まれたこともあるらしいですが、穏やかな気質のコウモリらしく、また日本にいるコウモリはコロナウイルスとかは持っていないということでした。でもあまり刺激するようなことはしない方が良いとのことでした。いまは昼で休息している時間なので、そっとしていれば何も攻撃は仕掛けてこないということで。

 

船久保洞窟5

この狭い箇所は最初の洞窟の入り口からすぐのところで、光も見えています。が、ここは後にあとから作られた入り口で、本当の入り口は別のもっと険しい感じのところにあるそうです。ここは縄文人たちが住んでいて、土器や火を焚いた後の炭なども残っていて、いまはどこかの博物館に保管してあるそうです。縄文の後期だとか。ただいつからいつまでの期間というのはわからないそうで。後期の作風の土器があったという話でした。岩手の冬は厳しいため、冬だけここで過ごしていたのではという解説でした。この写真の入り口はなかったので、もっと険しい方から出入りしていたのだと思われます。コウモリもそこから出入りしているんですね。

 

 

船久保洞窟6

茶色っぽくなっているのは、石灰岩の性質にコウモリの糞などが合わさって化学反応を起こした形なのだとか。

 

船久保洞窟7

入り口にある看板です。中は電灯もあり、解説を聞きながらの約30分程度の探索になります。高校生以上300円。中学生以下200円の料金がかかります。岩手でもあまり知られておらず、ひっそりと佇んでいます。興味がおありの方は紫波町観光協会のサイトをご覧ください。他にも洞窟専門のサイトにも掲載されています。

気温は12度で、夏場の方が良さそうですね。

この辺りから東は北上山地になり、龍泉洞のある岩泉なども含めて石灰岩が豊富な洞窟地帯です。石灰岩があるところは大昔は海だったという話です。松茸とかトリュフとかも採れるのでしたね。われわれの地方は奥羽山系になり、こっちは酸性土壌で洞窟も石灰岩もありません。。。

 

志和稲荷2020年

紫波町を旅したのにはもう一つ目的があり、それは志和稲荷神社の参詣です。こっちへ移住した当初の20数年前に、田植えなどの一連の春作業が一段落する6〜7月の時期に、近所のおばあさんたちがここ志和稲荷へ行きたいとのことで、私が運転して訪れていました。私自身は全くこういうのには縁もゆかりもありませんでしたが、農業という仕事が自然任せの五穀豊穣をただ祈るのみのような不安定な業種でもありますし、ましてや私は他業種から転向した素人です。神様の力に頼らずにはやっていけなかったことでしょう。いまはおばあさんたちは高齢で参拝もできませんが、私自身習慣になっていて、できるだけ訪れようと思っています。去年は来ませんでした。それで、というわけでもないでしょうが、秋の台風19号では小さな車庫が飛ばされてしまい、急遽撤去して再建するという思わぬ大きな出費が打撃となりました。やはり神様の力ですね。

というわけで、一度来ると、来なかった時にこういう理由づけにもなってしまいますし、毎年参拝した方が良いのでしょう。思想として云々ということは私は考えていませんし、子どもたちにも、日本のこの東北の山村に生まれたものとして自然に身についた文化なんだというように捉えて欲しいと思っています。

写真は中風除とあり、祀られている木彫りの神様を撫で、自分の頭を撫でて中風(脳血管の病気)になりませんように、と願う場所です。

 

 

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束の間の釣り行脚

下野除草の効果

 

田植えやりんどう苗の植え付けも終わり、にんにくや小麦の収穫までのいまの時期は、ひたすら草取り、草刈りの毎日です。そこに面倒な中山間直接支払いの事務作業も加わり、第5期が始まるということでいろいろあって、農作業的には少し落ち着いた雰囲気はあるものの、いずれせわしない毎日です。

とりあえず田の除草作業は終了としました。チェーン除草を何回かかけて、フィニッシュは除草下駄です。ある程度草が大きくなり、田の土も少しふわっとした泥の柔らかさが取れて、それでいて固すぎずちゃんと草を埋め込んでくれる微妙な土の感触。この辺りでは田植え後1か月、6月20〜25日頃がベストのタイミングでしょうか。踏んだところは写真のごとく綺麗に埋め込んでくれるのですが、株間は残ります。全部の面積を2本の足で歩き覆い尽くさなければなりません。

1反歩で4時間という感じですね。

最終的に下駄で踏み潰すのであればチェーン除草はいらない気もしますが、初期の抑草は無駄ではないし、株間は下駄で踏めないので、この株周りはあらかじめチェーンで抑えておきたいということですね。

 

 

除草下駄ピアノ線

除草下駄の構造はこの通りです。このピアノ線で雑草を泥に埋め込みます。青い取っ手を手に持って緑の紐を持ち上げるようにしながら歩きます。長靴の足は黒い、昔のトイレの下駄のような帯に入れます。通販で購入しましたが、製作しているのは岩手県金ケ崎町の農家の方でした。

下駄除草は雨の日や朝の早い時間帯など、りんどうの葉や土が濡れているような時に行います。りんどうはお盆・彼岸と家計を支えてくれる重要な品目で、乾いているときはりんどうの草取りを中心に行っています。宿根草なので、春に整地して植えるような畑とは違い、経年の雑草たちがうごめいていて、放置しておけばネットも引き上げられず、りんどう自身も見えなくなってしまいます。りんどうはハウス栽培の花々とは違って、土地利用型。面積があるために、低単価の量で稼ぐ品目。もともと田に植えるため、面積も広い。草取りは大変な作業になるのです。

農作業全般に言いえることですが、これまで、農業を始めて10年経っても、なかなか感覚がつかめずに、これくらいの作業にこれくらいの時間がかかって成果はこれくらいだ、という感触のないままにがむしゃらに突き進んできた感じがありました。思いや意志だけ突っ走って、頭で思ったようには進まないで、挫折感っぽいものを常にどこかで感じながら1日が終わっていく。

20年を過ぎたこの頃は、その辺りが少しは見えていて、客観視できてきているんでしょうか。この作業はこの成果、という行動と結果がわかり始めている気もします。20数年経ってやっと、です。。冷静になれている分、野球で言えばボールがスローで見える。去年はこれでダメだったからこうしてみるかというところも、行動→その結果、が見えていないと、自信のない勘に頼ったむやみな試みで成果もわからない、という虚しさが残ります。理想が高すぎても、もちろん低くてもダメですね。いまのこの目の前の状況と自分の現状をピタリと見て取り、手応えのある作業を積み重ねていく。そんな農家でありたいものです。

 

アリーン出穂

アリーナ小麦がうっすら色づいてきました。岩手でも大半の地域はそろそろ小麦の刈り取り時期です。しかし雪消えが遅く気温も低いこの地域は2〜3週間遅くなります。雪が早く消えた今年も5月にすごく寒くて、プラマイゼロのいつも通り。特に極晩生であるアリーナは7月末の刈り取りで、南部小麦が当地で7月15日頃なのでプラス2週間という感じです。岩手の各地より2週間遅れになる西和賀地方です。

 

部分日食

部分日食がありました。以前子どもたちに太陽を見るぺらっとしたレンズを買ったものですが、突然日食だと言われても所在がわかりません。でもスマホで写すと写真のように別位置に欠けた太陽が小さく写し出されるのです。不思議なことです。メインの太陽は欠けているとあまりわかりませんが。

 

七内川

さて、中3になった息子と遊ぶ機会もだんだんなくなって寂しいところです。部活がぎっしりで仕方ないんですけど、中総体というスポーツの節目が終わって、3年生は引退ということになり、これからは高校受験に専念という時期になります。とりあえず息子に時間ができたので、イワナ釣りに行きました。

最初に行ったのはうちの前の川をしばらく遡った上流の堰堤です。前々から気になっていたところで、竿を出し、餌釣りとルアーとをやってみましたが、イワナの姿は見えたものの、釣れませぬ。雪解け直後頃のもっと水量がある時期なら釣れるのではないでしょうか。

 

和賀川1

別に日には和賀川本流からやや林道を奥まで進んで橋のところから入って釣ってみました。奥羽山脈の深い源流域ですが、結構明るく開けた感じ。本当の奥はまだまだあるのですが、それを極めるにはテントを背負って2日くらいの行程で、とネットでも記載があり、そこまでは踏み込みません。林道がちゃんと進めるかどうかもわかりませんしね。

 

和賀川のイワナ

でも、写真の浅い川で息子が1匹釣りました。上に写るのは私の竿で、息子はこの時テンカラで釣ったと言っていました。この1匹で終わり。県道まで戻り、コイン精米所から米ぬかを採取して戻りました。

 

和賀川2

そして昨日、3回目。ここは結構な大きさの堰堤。魚影も濃いのですが、朝10時頃来た時には残念、先客がいて、家に戻り、午後3時に出直して竿を出しました。ここでもやはり息子が1匹。私もこの場所ではかつて釣ったことがありますが、今回は息子にやられました。先客がいた影響もあったでしょうか。どんな山奥でも、釣り人はいるものです。関東から来る人はおそらく和賀川本流の源流域を目指すんだと思いますが、車で簡単に行ける支流部は、どこも盛岡とか北上など近郊からの客に責められています。私の家の近くも釣り人は多く、農道に平気で車を停められて自分の農業車両が入って行けず腹立たしい思いもさせられること多々です。

ここはルアーもやってみましたが、釣れず。こういうところでは川虫も採取できないので、ミミズに頼るしかありません。春先に釣具屋で買ったミミズをバケツに移し、畑の土を入れて飼っています。水をやりすぎても、干からびさせてもダメで、とにかくミミズの存在を忘れないことです。草取りをしていてミミズを見つけたらこのバケツに放ちます。とりあえず2か月あまり元気です。飼っている土に牛乳をかけると良いと昔何かで読みました。

最初に、中山間の事務に追われつつ、と書きましたが、実際、この地区には430の田があり(これでも小さい地域です)、これをその農家ごとにプリントして、管理者の異動はないか、5年10年後の田畑の管理はどういう計画で考えているのか、を1筆ごとに書けと言う。こういう結構辛い事務負担を農家に強いるのですね。当然、ほ場データはエクセルで管理することになりますが、国から降りてきたんでしょう、今回の第5期対策用の書式に、現状の430筆の地番や面積、管理者のデータを移植する作業は、まず同じエクセルの別データからコピペでできはしました。しかし、それを各農家ごと、団地ごと、作付け品目ごとに並び替えるフィルターができる環境がちゃんと準備されていない。想定されていない。各地域の事務担当(ここは私ですが)で適当にやってくれ、という感じで、しらっと大変な負担を求めてくるんですね。この並べ替え作業の解決に半日要しました。そうしないと各農家ごとにほ場一覧を渡せませんから(国は分かっていないんだろうか)。

もともと農家なので、エクセルにそんなに通じているわけじゃありません。中山間事業の事務も、多くは農協や役場をリタイヤした人がやっているのです。もともと補助金関係の事務に通じた人たちですね。役場や農協職員はどの地域にも必ずいるのですから、そういう人向けに、天下りじゃありませんが、事務の仕事を与える事業なのか、と疑ってしまいますね。。まあ私も事務手当はもらっていますし、やるしかないですけどね。

一般の会社勤めでも何かとエクセルくらいはできないとダメでしょうが、いかんせん私は編集職上がりなんで、お役所文書も統計っぽい計算事務もやったことはないんですね。。まあでもエクセルでデータの並べ替え設定は何とか自力でできましたので、農家ごとに分けてプリントし、農地の現状を各農家に記入してもらう段取りは無事できました。

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田植えも終わり暖かい初夏に

田植え後の早苗2020

いつも田植え前後は寒気が入り続け寒い日が多いのですが、今年は5月半ばにかなりの低温が1週間あった後に突然初夏らしい好天に恵まれました。そして6月に入り、南の方で梅雨入りの声が聞こえる頃のいま、こちらが梅雨入りするまでの6月前半の時期だけはいつも晴天が続きます。水はふんだんに来ているし、りんどうのように成長期に水を欲しがる作目は田の取水口から水を入れてやり、灌漑します。土も乾いていたので、昨日今年初めてのりんどう灌漑を行いました。

 

やまなし開花2020

代かきの頃に、やまなしの花が咲きました。去年はまるで実がならなかったのですが、今年はどうでしょうか。実の元のようなのはできてはいますが。

 

タラノキ6月初め

タラノキも芽吹き始めて1か月でずいぶん大きく育ちました。飲食店需要が減って販売に苦戦した今年のたらの芽出荷でしたが、来年はまた何事もなかったかのように例年通りに受注が戻ってくれたら良いのですが。。タラノキは本当に成長がすごいです。5月連休頃にぷくっと米粒くらいの緑の塊が現れて、ぐんぐんと枝葉を付けて成長します。目に見えない遺伝子の設計情報が展開されて造形が進いんでいく姿には圧倒するものがあります。

周囲の畦畔や農道の草刈りもしなければなのですが、りんどうの苗植えもあり、いろいろ優先事項が多くて、草刈りは後手後手に。。

 

 

鯨山山頂からの展望

さて、コロナ禍でお出かけもなくひたすら仕事のみの日々でしたが、5月の最終日の日曜日に、三陸に行って来ました。田植えも終わったし区切りをつける「さなぶり」ですね。「鯨山」の登山というかハイキングです。山田町にある陸中海岸青少年の家に車を泊めて(ここは息子は学校のスポーツ行事関連で宿泊したことがあるようでした)、登り2時間、下り1時間といったコースです。鯨山山頂付近は大槌町になりますか。山頂からその方面が見えています。

結構傾斜が急な鎖場もあって、上り下りともに難儀した箇所もありましたが、天気も良く、楽しい休日となりました。

 

 

鯨山山頂鳥居

山頂には、鯨山神社。立派な鳥居があります。去年の夏に「鯨と海の科学館」に行った記事も書きましたが、この地方では捕鯨の伝統があったのですね。それで漁から帰港する時に見える大槌辺りの山が鯨の形に見えたことから、くじらさんと呼ばれているようです。こうして神社があるということは、豊漁や海の安全を願ったことと察せられますね。

 

 

鯨山神社(山頂)

こちらは鳥居のそばの神社ですね。

帰路は途中から登りの稜線コースと違う沢コースで下山しようと思っていましたが、登りの時にこの沢コースへの分岐点がわからず、ちょうど山頂で行き会ったベテランハイカーの方に分岐地点について尋ねてみたところ、では分岐点や迷いそうな場所にピンクの標識を付けてあげると言ってくれて、到着した私たちとすれ違いに下山されていきました。カップのスープやほっか弁で昼食を終え、帰路につきましたが、そのわかりにくい分岐点も標識を付けていただいてわかり、道中そのピンクじるしを見つけては回収し、終点の青少年の家へ着くちょっと前にその方に合流することができて、標識を返したのでした。ありがたいお心遣いに感謝でした。

NHKラジオ土曜朝の「山カフェ」で、登山道のピンク標識について話題になっていたことがありました。林道の道作りとか植生調査とか、さまざまな目的で山に入る人がそれぞれの目的でしるしを付けているものなので、登山客が登山のための道しるべだと思い込んではいけないということでした。確かに鯨山にも登山とは関係なさそうな意味の標識が多数あって、あまり頼りにはしませんでしたし、私たちのために付けていただいた今回の標識も紛らわしくなってはいけないので回収してお返ししたという次第です。こんな回収の機会も初めての経験でしたね。

 

吉里吉里海岸で釣り

1日の旅に色々盛り込みすぎるのが私の悪い癖なのですが、今回もせっかく海に来たのだからと竿をちょっとだけ出してみました。釣り餌が買えるところを探したり、砂浜を探したりするのに時間を取られ、結局わずかな時間の竿出しでしたが、釣れませんでした。三陸の道はいま震災後に大きく変わっていて、カーナビはあまり役に立たず、また、砂浜自体が少なくて、釣りをしない次女の希望で砂浜を探すのには結構難儀しました。あちこちで工事もしていて、あまり釣りという感じではなく、ここ吉里吉里海岸(海水浴場)は貴重でした。ここも工事中ではあったようですが日曜日だったので稼働はしていませんでした。

砂浜からの投げ釣りは秋田の方が良いかもしれず、三陸では船を除けば堤防釣りがメインになりそうです。が、海遊びしたい者には堤防じゃつまらないんですよね。。

息子が、今度は川釣りに行こうと言い、確かに奥羽の山深く、和賀川源流域に住んでいるので、やはりわれわれは地元を中心に渓流釣りをやって行こうと内心決意した次第でした。釣り関係では何十年も前の知識しかありませんで(釣りキチ三平の時代)、アマゾンで安い入門書を2冊購入しました。現代はイワナやヤマメもルアー釣りが盛んなようで、こうした分野は全くわかりませんで、学びながらやってみたいものです。

 

南部小麦畑

南部小麦が出穂してきました。いつも6月1日が標準出穂期なので、3日程度遅れています。雪解け自体は早かったけど、4月5月は確かに寒かったです。早い雪解けの恩恵はありません。あるとしたら、それは私の農作業が早くから始められた点で、それは何よりのことでしたが。

 

南部小麦の穂

麦や稲の穂を撮ろうとすると、必ずピンボケになるんですよね。ちょうど開花期になるいまの時期、雨があまり降らないことを願います。

 

りんどう定植2020

りんどうの苗も配布され、植え付けを進めています。128個入りのプラグ苗1枚植えるのに約1時間ですかね。これだけに集中すれば1日に10枚は植えられるのですが、いろんな作業や用事があるので、遅れていきます。

 

チェーン除草2020

こちら、田の除草も待ったなしです。長女と田の向こうとこっちでチェーン除草器具を引っ張りあいこで進めました。3枚の田で約1時間。残りはロープを外して私が直に田に入り引きました。しゃがんでのりんどうの植え付け作業をしながら、疲れて来たらチェーンを引く、という感じで仕事の能率上メリハリをつけます。

このチェーン除草だけでは除草は難しく、次は除草下駄の出動です。田植え後少しでも早くチェーンを引くことが理想ですが、あまり早く始めると草への効果は高くても、苗を傷めてしまうので、判断が難しいのです。昨日6月6日の1回でチェーン除草は終わりになりますか。除草下駄は後半戦で大きくなった草を埋め込む作業ですが、これも今度は遅くなりすぎると(たとえば7月になったりとか)、田が固くなってうまく田の泥に埋め込めなくなります。

その前に、米ぬかの散布があります。これは風のある晴天時は撒いた米ぬかが偏って沈殿してしまうので、雨の日の散布が理想です。雨が強ければ強いほど、撒いたその場所で米ぬかが沈んでくれるのです。それでしばらくトロトロ層を形成してくれるのを待って、除草下駄の登場となりますね。

6月は田の除草月間です。7月に入って上旬に中干しをすると、もう除草は実質上できません。作業は次のはにんにくの収穫、小麦の刈り取りに移ります。

間髪を縫ってイワナ釣りができればいいのですが。。