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シーズンが終わりました

亀の尾乾燥中

11月に入ると北日本の日本海側は天候不順になり、ここ奥羽の里も毎日どれかの時間帯には必ず雨が降っているという気象がずっと続いています。10月中には終えなくてはならない稲の脱穀作業の後には、切り花りんどうの畑に残る残茎の刈り取りと運び出しが秋じまいのメインの作業になります。

とはいえ雨に濡れて、もはや乾くこともないずっしりとしたりんどう残骸の重さ。。株元から刈り取り後、とりあえず大まかな運び出し廃棄作業は済ませ、支柱からネットも外しました。そうすればあとは雪が降っても問題ありません。圃場全体に細かく散らかっているりんどう残渣をいま無理矢理集めて廃棄場所へ持ち出せば気分的にはすっきりしますが、むしろ別の新植りんどう畑の草取りなどを行っておいて、春になって軽くなった残骸を雪解け後に運び出すのがいいかな、などと逃げ道も頭をよぎっています。

今年もまもなく長野県茅野市に出張し、伝統製法の寒天作りに携わる時期になってきました。どこかで農作業は強制終了にして、目前の庭木や建物の雪囲いとか、ハウスのビニール片付けや、下の方の雪に曲げられてしまう直管パイプの金具を外し地面に下げておくなど、いろいろ目先の作業を思いつくままに片づけていると、昨日もあっという間に暗くなり。。

昨日は暗くなって籾摺り機と計量器をエアコンプレッサーを使って掃除して、大体のところは片付きました。籾摺りは、まだ籾のまま氷温貯蔵しているもう半分を残し、これは春の雪解け後に行って秋までの出荷分とするという計画です。その春の時にもまた掃除はしますが、その時はより完全に米ぬかっぽいクズを完全に除去しておかないと、暑い夏を越えて次の秋に使う時に困ったことになりますから、気が抜けません。

就農当初というのは、コンプレッサーも持っていませんし、籾摺り機の掃除など頭をかすめることはあっても、他のことに気を取られ、やり過ごして失敗し、米の品質を下げてしまうこととかもありました。年の功で蓄積が増していくと、前は気がつかなかったことも現実的な対象になってきて、そっちに投資することもできる余裕も出てきます。何十年もかけて、完成はありませんが、より高めていく。これ以外にはありませんね。

初めて、「亀の尾」を作付けしました。貴重な種籾を譲っていただいた秋田県沿岸部の方では7月の下旬に出穂したということでしたが、当地ではお盆を過ぎても穂が出ません!! ちょうど8月10日頃から岩手では強い低温に見舞われ、大変寒いお盆を過ごしました。ラジオでは暖房をつけたというリスナー報告まであったくらいで、ひどい寒さでした。中山間地向けの「いわてっこ」についてはまず穂の出揃った後でそれほどの影響はありませんでしたが、ひとめぼれに加え、ササニシキ、チヨニシキ、そして亀の尾という今年試験栽培した晩生系は収量を落とす結果になり、残念でした。この10日は続いたでしょうか、真夏の大低温は冷害といっても良いくらいに思いました。それでも世間の作況指数って平年どおりで、本当かなという気もしますが、ここ西和賀ではいわてっこからあきたこまちが主流で、ササニシキも亀の尾なども誰も植えていないので、まあ冷害が話題に上る感じでもなかったようです。

その亀の尾ですが、結局8月の下旬になって出穂が始まった感じで、揃いもまばらでこりゃだめかなと思いましたが、一番最終の10月14日まで待って稲刈りをし、上の写真のように乾燥を終え、そして脱穀籾摺りをしてみると、結果的には質・量ともに一番良い出来でした。やはり予想してたように背丈が長いために穂の籾もしっかり付いてくれて、しかも冷害に強いお米であったと思います。水口の冷水に当たりながらしっかりとした穂をつけた3本の稲穂が元になっているということで、本来の気候なら秋田に10日くらい遅れて8月8日くらいに出穂しようと思っていたところ、突然の低温がやってきて、ここでじっとこらえ、寒さが過ぎ去ってからおもむろに穂を出す。そしてそれからの登熟は一気に進み、10月14日という天日乾燥の農法にとっては最後の刈り入れと言っていい時期に無事間に合わせてくれた。

しかも当園で主にいわてっこで深刻ですが、カメムシの害というのがこの亀の尾では全くなくて、完全に食害される時期を違えることができたということと思います。緑色の米も少なくて、とても綺麗な玄米だったのには驚いています。やはり化学肥料を多投して倒伏に耐え高収量を出すという現代品種よりも、昔からある肥料もそんなにない時代の長稈種が適っていると改めて繰り返しになりますが思います。小麦のアリーナもまさにその通りの良い出来高でありました。

来週から長野での寒天作りの仕事に出かけますが、この亀の尾は持参し出荷に対応します。秤と袋の都合で10kgまでの出荷とさせていただきますが、お試しいただけたら幸いに思います。また、本来の亀の尾は山形県の庄内地方というこちらよりかなり暖かい場所が原産地となります。今回ここ冷涼な沢内で稔った籾をしっかり塩水選で選抜して来年の種籾とします。そういうことを繰り返していくことにより、こちらの環境で良く稔った個体の集積が田全体に及ぶことになり、地域に合ったお米になっていってくれることと思っています。

 

ブルーベリーの紅葉

秋も進み、ブルーベリー園も紅葉です(いま現在はもう過ぎて雪囲いの紐でぐるぐる巻きになっておりますが。。)。小果樹やベリー類も今年は結構新規植え付けをしました。ハスカップやアロニアなど比較的木という感じの大きさのものから、ラスベリー、クランベリー、リンゴンベリー、といった西洋のものからモミジイチゴ 、草いちご(これにはカジイチゴとか苗代いちごといった名称のものも含まれます)、そして種から育てたワイルドストロベリーも畑でかなり旺盛に展開中です。営農というよりはまずは楽しみです。自然のままに育てるようなやり方もあるし、出来る実の味にこだわっていろんな肥料資材の研究を行う栽培を試みるのも楽しみですね。

 

ルバーブ根塊

シーズン最後に、注文していたルバーブ根塊も11月になって到着して、すぐに植え付けをしました。クリムゾンチェリーという品種で鮮やかなピンクのジャムを作るとこができたらと、これも大きな楽しみであり、地元産直やネット販売で小さく始めながら、じっくり育てていきたい部門です。

 

ルバーブ園植え付け終了

わらカッターで稲わらの裁断したものをしっかり散布して全面耕耘し、それから根塊の数だけ植え穴を掘って有機物をたっぷり施して、植え付け覆土をし、鍬で畝を立てて2条列になっています(縦横共に1m間隔)。上に籾殻をしっかり撒いて、これでルバーブの秋の仕事は終わりになります。雪解け後が楽しみになりますね。大きい根塊も植えていて、これは来年から収穫もできるようです。来春以降、追ってまた報告いたします。

次回からは茅野市からの記事投稿になります。スマホからで写真のサイズや文字の打ち込みでやりづらさはありますが、貴重な製法での特産食品産業ですので、これも気力体力が続く限りしっかりと関わっていきたいと思っています。朝方に強く降った霜もそろそろ溶けてきたでしょうか。昨日に続くこの好天で最後の農作業を行いつつ、何か秋じまいで忘れていることはないか思い出しながら過ごしたいと思います。

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稲のハセ掛け中です

2021秋の作物風景

切り花りんどうを営む複合農家として、9月は本当に忙しいです。8月のお盆時期にかなりの低温があったことで、秋のお彼岸向けりんどうは開花が前進し、また稲では晩生系に低温影響がみられたようで、晩生系の多い当園は稲刈りは全般に遅れました。

その間にんにくの植え付けと小麦の播種が加わるため、猛烈に忙しい日々になります。作業場での選別作業はもっぱら電灯に頼る夜間の仕事となり、日暮れの早い日中の時間は順序を考えつつ有効に使わなくては間に合いませんね。

 

2021ハセ全景

ハセはハウスの中にも干していて、外はこれで全量になります。左から、いわてっこ、ひとめぼれ、ササニシキ、チヨニシキの順に刈り、掛けています。

 

亀の尾稲刈り日

こちらは最後の亀の尾です。ちょうど出穂期に低温に当たって出穂が遅れ、今年はあまり穫れないと思います。次回は多めに種子用を確保してしっかり塩水選もして、この寒冷地域で無事充実して実った当地向けの種籾を得たいと思います。種は何でもそのように採った方が購入種より良いですね。

 

ハウス乾燥中

こちらはハウス乾燥の稲です。いわてっこ、ひとめぼれ、ササニシキと運搬車1台分はこちらに掛けて、そしてハーベスタもすぐこの中に置いているので(写真は稲を掛けるためにハーベスタは外に出して運搬車が乗り込んでいますが)、数日の乾燥で17%前後に下がった状態で脱穀し、新米時期限定のやや高水分の米として出荷し、みずみずしいところを味わっていただいています。

通常の農協出荷のお米は最初から来年秋までの貯蔵を前提にした14.5%の乾燥が求められるので、一貫して低水分のお米になりますから、せっかく個別に自由に出荷する形態ですので当園ではこの時期だけは高水分米を提供しております。ササニシキまでここで乾燥し脱穀まで済ませた後、現在は刈り取りが一番遅れた亀の尾を全量このハウス内に掛けて乾燥を挽回しています。上記の外掛けはここのところ雨も多く、まだまだ乾かないでしょう。とはいえ11月になると冬型気象も増えてもう手遅れで、乾燥できるという状態でない気候になりますので、来週の晴れ間に勝負をかけることになるでしょう。長く掛ければ良いというものでないことを経験で学んでいます。

 

小麦播種

小麦の播種も終えました。やはり積雪地で年内の生育期間が短く春の再開も遅れるので、うかうかしていられません。収穫と植え付けのどっちを取るか問われれば、生鮮品の切り花や生野菜は別ですが、植え付けを優先します。

トラクター尾輪で蒔き溝を付けて手蒔きし、長靴で覆土して歩く、のくり返しですが、来年こそはゴンベエ播種機を買いたい。。

 

麦わらカッター

少し前のお盆過ぎ、乾燥が終わって脱穀した麦わらを、この夏に入手したワラカッターで裁断し畑に戻す作業を行いました。この後にここは鶏糞と石灰資材を入れて耕耘し、畝立てしにんにく圃場になって、現在は植え付けも終了し、そして本日はその畑の草取りも完了しました。ホワイト六片は出芽も終え生育中です。八木と八幡平は植え付けも遅くなり、植え付け前にまずはマルチ穴の草取りを行ってからという作業工程に。。出芽は来春です。

 

アリーナ出芽

出芽した最近のアリーナの様子です。アリーナは古い品種ということもあってか背丈が長く、その分収量も上がるようで、有機栽培向けの品種と言えます。作付けは南部小麦の方が面積は大きいですが、収穫量はそれほど上がっていません。南部も割と古くからの小麦ですが、アリーナほど古くはないですし、背丈もやや低い。多肥栽培向けの現代品種なのでしょう。でもパンにしたときの風味が好まれて、人気の高い小麦です。

あとはドイツから取り寄せたライ麦品種をちょっとだけ無肥料で蒔き、出芽もしております。今年はあまりにも背丈が伸びて、稲刈りもハセ掛けも脱穀も泣きそうになりました。

 

 

ポポー・ガマズミ・アロニア

実のなる庭木は田舎暮らしの楽しみで、今年はベリー系を中心に結構植えました。日本の野生いちごは珍しい品目にはなるでしょうが、それ以外の珍しい小果樹では、写真左よりポポー、ガマズミ、アロニアといったあたりです。ポポーは4年目くらい? ガマズミは8年? アロニアは今年の新植です。ポポーはまだ実はならずガマズミは今年よく実を付けてくれ、焼酎に漬けて赤いさっぱりした風味を楽しんでいます。

 

ヤマブシタケ

貴重な秋の味覚も頂戴しました。山に大変お詳しい人からの戴き物で、これはヤマブシタケです。野生の椎茸等とバター炒めでいただきました。

 

香茸

こちらは香茸(バクロウ)です。現在乾燥用ネット籠で乾燥しています。

 

香茸の乾燥

乾燥がやや進んだ段階です。白い細々したものがこぼれ出るそうで、それも一緒に食べるということで、新聞を敷いて香茸を乗せています。近所の方からもち米もいただいたので、近々油揚げと一緒に香茸の炊き込みご飯を作ります。

りんどう夜なべ残業もあと少しです。最後の品種、風雅もあと2回くらいの出荷で終わりです。選別は夜間にやりますが、いまは出荷が週3度で中2日空いたりしますので、明るいうちに選別を済ませ、箱の入り本数に足りない数を追加で採花に行き、次回出荷まで在庫の花を持ち越さないようにしています。夜なべ作業だと、あと10本でもう1箱できるのに暗くて採りに行けないということが起きますので。

昼の時間はこれからは秋植えした小麦の除草やりんどうの秋仕舞い(膨大な作業です)に使いたいところですね。

りんどうの出荷が終われば、夜はにんにく在庫の全皮剥き作業があり、青果品用だけでなく黒にんにく用も準備いたします。

とはいえ、繁忙期よりは早く上がって夜の余暇も少しは持てており、いまはコミックの「孤高の人」を読んでいます。壮絶な物語です。土曜日の朝NHK第1で「山カフェ」という番組を聴いていますが、とても良い放送です。ここで紹介された本書の情報も有益でしたし、登山家長谷川恒男氏の話題も40年ぶりに思い出し、その昔北アルプスの麓松本市で同じ下宿の友人と山について話していてハセツネ氏の話を聞いたなあと懐かしく思い出し、ネットで画像検索したら、やっぱり記憶していた通りのお顔でした。

今夜も「孤高の人」で楽しみます。

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2021盛夏です

2021お盆のりんどう出荷

1週間くらい前から、肌寒く太陽の出ない盛夏になっています。。ラジオでは、ストーブを出したといったお便りもあり、稲にとってはちょっと不安のよぎる低温傾向です。早生の「いわてっこ」は問題ないですが、ひとめぼれほか晩生の品種も結構植えており、出穂期のため低温が続くと心配です。今年は暑い夏で良かったと思っていたのですが、ちゃんと自然は帳尻を合わせますね。

早い梅雨明けと猛暑の前進到来のため、りんどうでは花の「日焼け」が起きて出荷できず畑に残したものも多かったです。またお盆需要期前の前進開花となって、日焼けで出荷量は減産の上に、安値の需要期前の時期に多くが当たってしまい、2021年のりんどうは良いとは言えない結果になっています。

暑いと稲に良くりんどうはダメで、寒いとりんどうに良くて稲に良くないといわれておりますが、今年は猛暑の来た時期のタイミングが悪く、りんどうにも稲にも不運な気候展開になっているようです。そもそも、全国的にある程度の中山間地でも35度になるような気候となっては、りんどうの栽培は難しくなってくると思います。当地はさすがに35度にはなりませんが。。

 

白りんどう

唯一、当園で救いとなったのが、青りんどうに続いて咲いてくる白りんどうが最需要期に頑張ってくれたことでしょうか。去年など7月の長雨で土壌の水分過多と排水不良により、白りんどうの「雪の妖精」(写真左)が根腐れに起因する葉のまだら褐色の病態に見舞われて、ほとんど出荷することが出来なかったのですが、今年はその圃場を春先から排水明渠をしっかり掘るなどの対策をしたことが良かったのか、そもそも梅雨時期が短かったからか、まだら病にはならず、りんどうの開花前進化によって逆にバッチリ需要期に咲いてくれて、それなりの値段で販売することができました。去年採らなかったことで株養成になって今年は割合良い出来だったのも幸いしました。何が災いで何が幸いになるかは人知では計り知れません。

市場でお盆の需要期前に大量出荷になると、需要期は品薄になるので値段が下がらず、それはお盆の最中(本来なら需要期は終わり)にも割合と良い値段で推移し売れてくれて、よくあるお盆後の暴落にはならなかったようです。

いずれこういう年もあるので、いろんな品種を植えておいた方が、どれかがそれなりにカバーしてくれるということで、白りんどうも植え続けていこうと改めて感じた次第です。「雪の妖精」は定植後の欠株が多く、もう一つの同じ時期に咲く白品種「雪の舞」(写真右)を、今後も植えることになると思います。

 

収穫期のにんにく

なかなか記事を投稿することができなくて、田植え以降の時期に、にんにくの収穫と小麦の刈り取りが、上記りんどうのお盆出荷の前にありました。今年のにんにくは、なぜなのか本来あまりトウ立ちしないホワイト六片が多くトウ立ちし、トウ摘みが遅れてしまったのでしょう。小さめになってしまい、ちょっと残念な作柄になりました。反面トウ立ちしない「八木」は大きめでMサイズ品もかなり出来、成功の部類になったと思います。この点からトウ摘みが大事なんだろうと改めて思ったし、100%トウ立ちする「八幡平」も見過ごすことなくより早い時期のトウ摘みをすることが来年の課題になりました。

それにしても、本来1~2割しかトウ立ちしないホワイトがなぜ8割9割の高確率でトウ立ちしてしまったのか、不思議に思うところです。

 

収穫期のライ麦

麦の部門では、今年はライ麦に久々に挑戦し、3~4アールの小面積ですが、面積の割にはよく穫れた感じとなっています。以前ライ麦は栽培した年もあり2年くらい続けましたが、実際はあまり注文が来ず、南部小麦の方は早くから完売していたりで、ライ麦の場所をも南部小麦にした方がよかろうということでやめてしまっていました。近年、またライ麦自体の需要が伸びている感じがいたしまして、再挑戦を考えて去年のいま頃は品種についていろいろ検討していたところでした。日本ではライ麦は緑肥のカテゴリーであって、決してパンに利用するという発想じゃないように思っています。たまたまドイツの黒パンのライ麦を食用の目的で輸入販売しているサイトがあって、粉ではなく粒(玄麦)で販売していたので、輸入の関係で1年前の2019年産でしたが、数キロ買って去年の秋に蒔き、それが何とバッチリ発芽して今年2021年7月に無事刈り取りを終えることができました。

ただ、結果から言うと、ライ麦はあまりやりたくない作目でした。とにかく長くて、バインダーで刈るのも、それを集めて運びハセに掛けるのも一苦労、そして最後にハーベスタで脱穀するのも一苦労(結束部のカバーを外して結束自体のひもも取り外して脱穀)。植えた畑が長年草だらけの耕作放棄地で土が肥えていたんでしょうか。

今度の秋には、来月のことですが、石カラ畑でこれまでどの麦を植えても満足に背丈が伸びなかった良くない3アールの小さい畑があります。ここに植えて肥料も一切何もやらず、もう一度だけ試してみます。より短くできればその畑の専門品目にあてがって続けることができそうです。。

このライ麦は既にある注文品と種以外はすべて、といっても20㎏ですが、製粉委託しました。この20㎏の精粉のみ、今期は出荷いたします。良かったらどうぞお試しになってみてください。合わせて南部小麦の方も製粉注文が来ましたので、併せて製粉委託中です。こちらと混ぜてご使用いただくのもよろしいかと思います。少量ですが、宜しくお願いいたします。

 

南部小麦刈り取り日

こちらは刈り取り日の南部小麦です。良い出来のようにも思いましたが、量的には大した収量ではなく、いかに収量を上げるかが課題になります。同じ面積から換算してアリーナ小麦の方がずっと収量が上がりますので。

 

南部小麦の脱穀

今年は作付面積を増やしたことで、稲のプール育苗に使っているハウスだけでは場所が足りず、金属の三脚ハセを新規購入し、畑にもハセ場を作りました。問題は雨にあたることです。。この写真のハセを囲むようにパイプハウスのアーチパイプをセッティングし、ビニールを掛けて簡易乾燥施設を作ったものの、数時間の雷雨と風で見事にひっくり返されてしまいました。やはりビニールを掛けるなら、それなりにしっかり組んだパイプ施設を作らないと役に立たず、課題です。きちんと直管も入れてハウスっぽいものを作ろうとするなら、それは一時的な簡易なものを畑に設営するというのではなく、雪払いもしてやりながら通年設置したままにできるものを家の近くとかに作って、積雪期は見回りをし、上部の雪を払って潰されないように努力しつつ、麦と、そして稲にも使えるようなものを「建てる」ことですね。

これから次のりんどうの山、彼岸出荷が9月の頭から始まります。現在の冷涼な気象で彼岸りんどうも前進化が予想されます。それまでの間に、ラストの草刈り、廃園りんどうのネットや支柱の除去と耕耘、にんにくや小麦予定地の施肥や耕耘などを進めておかなくてはいけません。にんにくは特に畝立て作業もあるし、秋の定植も、彼岸りんどうや稲刈りの後では大きくなれるタイミングを逸してしまうので、8月中に済ますことができればベストです。限られた労力でいかに多種大量の作業をこなしていけるか。曇天をにらみながら、土が乾きトラクターが入れるようになる日をまずは待っています。

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田植えが終わり農繁期はまだ続きます

田植え直後の亀の尾

6月に入り、初夏らしい天候が続いていて、早苗も順調に育っています。いろいろ品種等見直しの試験栽培になる今年の稲作ですが、1kgほど譲り受けた「亀の尾」がここ奥羽の冷涼地で育ってくれるのか、気にかかるところです。現代の慣行農法を前提に作られた水稲品種を無理して作付けするのではなく、背丈が取れて自然栽培の方々が多く作られている品種を導入することは、やはり自然なことと思います。まだまだ結果は予測できませんが、5品種作付けした中で、この亀の尾とひとめぼれの2種を作り続けることになると感じております。

 

亀の尾苗

1kgの種籾から14枚(5アール分)の苗ができました。「みくに式」という苗箱1枚1枚にローラー枠を滑らせながら籾を落としていく器具を使っての播種ですが、どうしてもムラのある蒔き方にはなりますし、より精度の高い播種法も検討していきたいところです。

 

田の除草機

今年は新しい除草機を導入しました。従来式のエンジン除草機に比べ、エンジン部分を背負うことで作業は楽になりました。背負式の刈り払い機の先端に除草機を接続したものです。ただ説明書等では水が少ない固い田や、前後に揺さぶるような操作はすぐにギアを壊してしまうということで、強度の面では十分ではなさそうで、あまり負荷をかけないようにエンジンを下げてそうっとただ前進するだけという風にやっていますので、ホタルイとかオモダカみたいなのは取りづらいですね。がっちり根を下ろした状態の雑草には不向きで、田植え後初期から中干しまでの期間、間隔を空けず1週間おきに3回作業しようと思います。現在は2度目が終了したところです。従来型よりは軽くて楽とはいえ、田の中を漕いで進むのですから、重労働ではあります。

 

南部小麦2021

南部小麦も出穂が進み、7月半ばには刈り取りになろうかと思います。雪が多かったこともあって、生育がよろしくない畑もありますが、アリーナ小麦も含め、まず概ね順調に育っています。

 

ライ麦

こちらは数年ぶりに復活させたライ麦の様子です。日本で入手できるライ麦というのは緑肥目的という発想のものの感が強く、パン目的のライ麦を作付けしたくて、ドイツの黒パン用に販売されている粒のままのライ麦を見つけ購入し、播種しました。無事出芽し、生育もとても良いです。数年前に種屋さんから普通に購入したライ麦と姿が異なっていて、どんな麦になるかワクワクするものがあります。問題は普通に熟して収穫適期を迎えることができるかですね。

 

りんどう新植

毎年1枚のりんどう畑を廃園し、1枚の新植を続けています。小規模生産者にとってりんどうの新植は労力を要するので、一度に大面積を植えることはできませんし、植える年植えない年があることは必ず収穫量に年ごとの波ができて、均一にならないからです。毎年同じ量の出荷を維持するには少しずつ毎年植え、その同じ面積を毎年廃園するという体制を維持することだと思います。

今年の5月は雨が多く、去年の7月を思い起こさせました。りんどうは田んぼからの転作になるので、田を乾かして一気に畑まで作り変えていくという厳しい条件下の作業になります。今年は田が乾かず、あまりこなれた畑にはなりませんでした。それでもプラグ苗を植えなければならず、通路のボコボコの土塊を手で崩して粒状にこなしてから、苗とマルチ下の畝の土の間に隙間ができないように植えていきます。時間はかかります。専用の調整されたピートモス系の培土もありますが、1袋しか用意してませんし、畝2本で使い切りました(全部で畝は12本)。

 

モミジイチゴ

今年は当園はいろんなイチゴ系(ベリー類)を新植しております。ブルーベリーとカシス、ハスカップ(1本)は前からありましたが、これにアロニア 、ラズベリーやブラックベリー、赤すぐり、コケモモ(リンゴンベリーとクランベリー)、クワ、クコ、それに日本の木いちご、野いちごを加え、狭い庭のあちこち、またブルーベリー園内のスペースなどに植え付けをしています。コケモモなどヨーロッパの伝統的食文化を担ってきた小果樹品目にも惹かれますが、特にこの何週間かは日本の自生するいちごに関心が向いて、モミジイチゴを筆頭に苗を入手しいろんな日当たり環境の場所に植えています。苗としては通販で手に入れているのですが、近所の川のそばでも自生株を見つけまして(写真)、これの枝から挿し木で何とか増やせないかと研究中のところです。自分の農業の部門に取り入れるとしたら、この沢内にも自生しているような日本の木いちご、野いちごが一番しっくりくると感じていて、モミジイチゴやクサイチゴ など味が良いと言われるものをこの自然環境の良い庭や畑で育て、時期には生で、またジャム等での加工品にも繋げていけたら楽しいかと思っています。

昨日も、いま廃園作業に追われている寿命がきたタラノキ園で自生していたイチゴを偶然2種見つけ、確保しました。1本は木、1本は草ですが、これがどういう名称のものかは調査中です。りんどうなど経営品目の管理に力を入れなくてはいけない時期ですが、畑へ行き来する際に植えたベリーの様子を観察し足を止めることが続く日々になっています。

まずは寿命を迎え枯れてしまったタラノキ園の木をバックホーで掘り起こし、運搬車で運んで廃棄するという結構気の遠くなる作業を終えたいところです。。

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稲作がスタートしました

田への米ぬか散布

昼間それなりに気温は上がってくれるようになりましたが、まだまだ寒気で寒い日も多く、晴れた夜は氷点下に下がり、まだ外の蛇口は夕方水を落としています。寿命が尽きた状態のタラノキ園は植え替えの真っ最中で、たらの芽は出荷に使える穂木の減少から早々に終了になり、外の仕事へと切り替わっています。しばらく天気が良くて風も強かったせいか、雪解け後急速にたが乾いてくれまして、連休中はしばらく雨続きということで、みんな田起こしをこの数日で終了させていました。

当園は肥料というのは米ぬかのみですし、まだ田植えまで1か月ありますから生で散布して(4月27日)、即日耕耘し土と混和させて発酵を進ませる形をとりました。作業場に積み上げて切り返したりする作業はかなり労力を使っていましたし、今年は米ぬかを施用しない田も多いので、直接の散布のスタイルとしてみました。

去年は7月の多雨が影響しひとめぼれの生育が振るわず、その反省から、農薬や化学肥料を使わない北東北の米作りに適した品種は何だろうと改めて考え直させられました。その際にこうした農法では、やはり最近の品種は不向きだと強く感じさせられもした次第です。現代も稲の新品種は続々できており、その総数は一体何百になるかと思います。しかし地理や農法を考えて品種を選ぶとなると本当に数少ない選択肢になります。この点、西日本のような暖地は選択肢が広まり有利ですね。

現代の育成品種は収量を上げるため化学肥料を多投しても倒伏しにくいように茎が短い(短稈)米になっておりますが、肥料を与えない我々には短すぎて穂の籾の量も減ってしまうしハセ掛けもうまくできない欠点があります。またいわゆる良食味と言われる米ほどいもち病に弱い傾向になります。欲しいのは背丈が長くて(長稈)、いもちに強い、寒冷地向けの米です。こうなるとなかなかありませんし、有機ということを推進してもいる農政の趨勢からすれば、それに見合った品種を作らないというのは逆行する現象じゃないかとも思います。自然栽培や有機栽培の農家は、自分たちの地域や農法に合う長稈品種を手探りで見つけ出して作付けしていると思います。肥料を入れないので倒伏の心配はありませんし、やはり古い品種の方が長稈で少肥の栽培に向くんですね。

もっとも逆行しているのはお前の方だと言われればそうなのかもしれませんが、ここ沢内に適しているとされる「いわてっこ」や新しい品種の「銀河のしずく」は短稈すぎて農法と合いません。ただ「いわてっこ」はいもちには強いので、これは山間部の盆地で低温多湿の傾向になる奥羽山系の当地においては、救いになります。ただ、背が低すぎる。。。ひとめぼれはいわてっこよりも長稈なのはありがたいですが、いもちには弱いですね。あきたこまちほどではありませんが。。

今年は同じシーズンの条件下で5品種を試験的に植えて試してみる予定で、現在育苗も進めております。長稈種であるひとめぼれとササニシキを比較します。両者とも米ぬかも入れず、完全に無肥料の自然栽培で作付けします。おそらくササニシキよりもひとめぼれが耐いもちとしては上のように思います。これを確認します。今年はでもササニシキも食べられるのは楽しみです。ここの風土で実がなってくれればの話ですが。。。

当園のメインであるいわてっこと比較するのは「亀の尾」と「チヨニシキ」です。亀の尾は一般には買えず、知り合いの農家さんから譲り受けて播種しました。チヨニシキという米は知りませんでしたが、他に長稈の候補が見つからず、ちょっとここでは寒すぎるかもしれませんが、試してみることにしました。「つがるロマン」なども長稈で魅力を感じましたが、青森から外へは出さない品種のようでした。岩手で「つがる」も変ですしね。亀の尾は有名な長稈種でこれも無肥料で行います。いわてっことチヨニシキには上の写真のように米ぬかを散布し耕耘しました。

 

 

南部小麦の春

こちら、南部小麦も春で生育再開です。この畑はとても良いのですが、雪が多くかぶさった別の畑ではちょっと遅れている箇所もあり、雪国の小麦栽培はやはり難易度は高いですね。。

 

 

農林61号蒔き直し

昨年の秋に蒔いた農林61号は見事に壊滅状態でした。前年のスペルト小麦もですが、仮に寒さには強いといっても、雪には弱い。まあ想定内のことでしたし、61号は春蒔きもできる品種ということで、秋に半分残しておいて、この後耕耘し蒔き直ししました。ちょうど雨が降らない週で、まだ芽は出ていませんが、この連休中に多分出るでしょう。

 

 

ベリー園整備

当園では、ブルーベリーを筆頭にベリー系の小果樹に取り組んでいます(正確には充実させようと努力しています)。ずっと前にラズベリーを植えたことがありましたが、剪定のこともよくわからず、勉強する心の余裕もなかなかなくて、結局あまり実もならないうちに耕耘廃棄してブルーベリーを植えた経緯があります。ただの興味本位では結果は出せませんね。今回はコケモモ園とラズベリー園を別個に用意し、挿し穂等で増やしながら一定量の生産を上げていきたく、勉強しながら進めていきます。ハスカップも1本植えていましたが、こちらも少し増やしたいと思います。

何を植えるにせよ、問題は雪です。ブルーベリーも毎年結構やられていますし、最近では横に張り出し気味の枝は切ってしまって、グルグル巻きに縛れるような樹形へと変形させています。クランベリーはどうなるでしょうか?? 一冬越してどうなっているかを見て、来年また検討を重ねたいところです。

やまなしも含め、なぜかマイナー系の果樹には惹かれるものがあります。「コケモモ」といえば子どもの頃に読んだ海外の児童文学になるでしょうか、必ずといっていいほど出てきましたね。「コケモモのジャム」「森に野いちごを摘みに行く」という下りは、遠い過去の映像として残っていて何かしらの郷愁を感じさせられます。そして、子育ての中で与える本によりそれはもう一度再現されることでもあります。また、賢治のやまなしを読んでやまなしの香りに懐かしさを感じる人も多いでしょう。そうした遠い過去の「記憶映像」が現代社会の忙しない暮らしの中でふと思い浮かび、一瞬現実から解き放たれることもあるでしょう。だから即コケモモのジャムを作ろうというふうには繋がるものでもありませんが、少なくとも子どもたちにはいろんなベリーを味わわせて、癒しや多様な果物の豊かさを与えてやりたいと思います。

子どもたちからも影響は受けますね。一番は漫画やアニメでしょうか。去年のいまごろからは「鬼滅の刃」を読み、アニメはAmazonでも観ましたし、今年の寒天出張帰りからはAmazonのアニメで「エヴァンゲリオン」(序・破・Qと映画館で新作)を、そしていま現在は「進撃の巨人」を観ています。コミックでは「ドクターストーン 」と「ブルー・ピリオド」も皆で読んでいますね。子どもたちが夢中の「呪術廻戦」はまだ私は手付かずです(「進撃」を観終わってからでしょうか)。。

3作に共通する、私なりに共感できる共通のことがあり、それは生死に関わることの限界に置かれた状況に向き合っていることでしょうか。命がけということを現在社会では日々痛感するということはないかもしれませんが、人間の一番ベーシックな部分でしょうから、その葛藤や気概をまっとうに描くスタイルに惹かれるんだと思います。

もう一つの共通項は、歴史的な文化遺産を背景として明確に持っている点でしょうか。日本の武士道みたいな背景とか、聖書の世界観だったり、私は好きなんですが中世ヨーロッパの町並みや宗教的な絵画などですね。伝統文化を尊重ししっかり学んだ上でのドラマ作りはスケールも大きいです。

にんにくの収穫が始まる7月からは夜の作業場作業が始まり、りんどうの収穫が終わる10月いっぱいまで続きます。これから5月6月が一番農家には夜の楽しみを享受できるシーズンですね。

昨日は雨降りでしたが、懸案だった山ぶどうとサルナシの棚を単管を使って設置しました。両者ともベリー系じゃないですが、魅力ある山里の果樹素材です。

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雪が残っているうちに。。。

炭粉の効果

4月になり新年度となりました。農作業のシーズンにおいても、4月1日はやはり新しい1年のスタートという気分で、少なくとも農業から最も離れた暮らしになっている1月1日に比べたら、よし農作業今年も頑張ろうという日付が4月1日かもしれません。

そうはいっても雪はまだ残って、田畑で土が露出しているのは今日3日の時点で10%くらいでしょうか。。高温になりますよと予報が出ていて農作物管理に注意を、なんて天気予報で言っていますが、雪で覆われて日中も気温が上がりにくい当地では、もっと上がれ、なんだ高温といってもこんなものか、という感じは正直しています。もう少し温暖化してくれても良いのだが、というのが隠れた本音でもあるのですが、それは西日本の暖地で生まれた遺伝子を引きずっているのかもしれませんし、実際温暖化は低気圧の発生を増強すると思いますので、多雨多湿は困ります(むしろ低気圧はシベリアからの北風を吹き込んで来るので寒冷化するとも感じています)。。

まだ調べ物でPCに向かっている時間も多く、雪がある状態ではまだ農閑期に相当するのですが、果樹類の剪定はできなくもないですし、いまのうちにと思っています。ブルーベリーの縛り紐を解いてみたりもしますが、まだ下の方は雪があって紐が取れない木もありますね。

 

 

イワテヤマナシ研究会

イワテヤマナシについて書きましたが、栽培面や高接ぎのやり方など、研修に出かけてきました。当園で植えているハンベエナシの受粉を成功させるために異種のイワテヤマナシ苗木を植えるとともに、ハンベエナシの枝自身にも異種の穂木を高接ぎする作業を行っています。並行してハシゴに登り剪定もやっておりますが、なかなか素人剪定なもので。。上は3月29日に九戸村で開催された研究会の剪定講習の様子です。

 

やまなしの高接ぎ

うちに帰って教わった通りにやってみました。素人作業で成功するかどうか。。実際のところ、イワテヤマナシといった品目に興味を示すのは、果樹専業農家ではなくて、米や野菜などの非果樹農家のようです。ナシの専業農家であればもっと基礎知識も応用力もあると思いますが、関心を示さないというか、経営上無駄な時間になると思われるのかもしれませんね。販路だって未確定だし作ってそれでどうなるの、という感覚になるかもしれませんね。やまなしという市場がそもそもないということなんでしょうが。。

 

九戸の作品

九戸の国道脇に木彫り作品が展示してありました。

ここのところせっかく天気が良いので、部屋にじっとしてはいられませんし、いまの時期に手をかけておくことで後に有効な結果をもたらすことを探し出しては丁寧に実行していく。そういう時期になります。去年と一昨年はWordPressと格闘していましたし、たらの芽作業も立て込んでおりました。今年は昨秋に確保できたタラノキ穂木が極端に少なく、ご注文に即応することができずに収穫適期が来るのを順番にお待ちいただいていて、とても心苦しい日々となっています。この春夏のタラノキ改植がうまく進むのか、現状の株で今年の秋に確保できる穂木の状態はどうなのか、心配事は尽きませんし、とりあえず現状を受け入れながら、少しずつ改良を施していくしかないかと思います。大胆な改良は投資を伴うものですが、タラノキの拡大については地道な改植しかないでしょう。

降水量の多い奥羽の山間地西和賀は、上にも触れましたが低温なのに過湿という環境になります。いま出荷しているたらの芽については低温期(伏せ込みに着手する2月後半から3月前半にかけて)ほど多湿になり、カビの発生が懸念されます。現在は気温も上がっていて、その分逆に並べた駒木の乾燥を防ぐために散水をしています。日中はビニールも開放しますので、その分湿度も低下します。カビは起きにくい環境になりこの点はありがたい季節です。

 

新植りんどう圃場排水掘り

りんどうの圃場も山に接している方が露出してきて、去年課題になっていた排水のための明渠(めいきょ)掘りの作業を行っています。元は田ですから水口と反対側に排水のパイプを設置していますが、圃場の四辺の排水側の一辺に溝を掘って、圃場内の水を湛水させず速やかに排水パイプに向かわせる排水路です。りんどうにしてもタラノキにしても保水性と水はけの両面が求められ、降雨後にいつまでも水が溜まっている状態はご法度になり、根に障害が出ます(いわゆる根腐れ現象)。根が働いていないとりんどうでは葉に褐変障害が出ますし、タラノキでは立ち枯れの発生につながります。スコップでコツコツ溝を掘る作業は、春作業がスタートして実際トラクター作業や施肥・芽かき・草取り等の作業が始まるとやっていられなくなりますが、極めて大切な作業になります。特に今年りんどう苗を新植するという圃場では、それは水田跡地であるし、畑にするための耕耘作業を行えるように田を十分乾かさなければならず、そのためにも明渠堀りが不可避であるわけです。これから雪解け水が圃場に溢れてくるわけで、それを速やかに排水するためにも、新植するしないにかかわらずいまやるべき作業になります。幸い、排水掘りする側の畦畔下が先に雪解けして露出しているのはありがたいことです。

 

2021種籾

水稲作業も、種籾の温湯消毒と浸漬が始まって、稲作スタートとなっています。昨日は花巻市の「花巻酵素」へ水稲培土を買いに行ってきました。ハウスのビニールは掛け終えており、4月10日までには種まきを行えるでしょう。雨の日とかに箱を並べる育苗プールを作っておきます。

去年の稲作は記憶にもまざまざと残る7月の多雨により、ひとめぼれの出来が極めて悪く、今期は「いわてっこ」のみの出荷とさせていただいています。いわてっこは病気にも強く当地のような中山間地向けの品種です。ただ、背丈が取れないのが残念なお米です。いわてっこも含め現代の品種は化学肥料を大量に入れ収量を上げることを前提に育種されており、肥料過多でも倒伏しにくいよう、短棹の傾向です。なので米ぬかしか与えないような農法では背が低く、ハセにも掛けづらいし、背が短ければ穂も短くて結局収量が上がらない、すなわち農法と合わないというギャップがあります。昔の品種は背が高い(長棹)稲が多く、多肥だと倒伏します。自然栽培向けになります。自ずと昔の品種を選ぶことになり、肥料も実質少ないわけで、それでも背丈を確保でき、少肥ゆえにいもち病にも対策できているということになります。昔の品種はいもちに弱い品種もあり、それは米ぬかすら控えて自然栽培にすべきと思っています。

ハセ掛け天日乾燥の唯一の欠点は、稲わらを持ち出してしまい、脱穀後に田に還元する作業が実際困難であるという点です。稲わらは田に還元したい、となると「わらカッター」が欲しくなります。脱穀後に稲わらをカッターに投入するとバラバラにして放出してくれる。脱穀は田のそばで行うので、そのまま田に返してやることができます。このわらカッターも、昔の農機具になり、新品も出てはいますが、中古で探すとなるとなかなか出回っていないです(新品で買うと30万弱といった金額)。

品種も、道具も昔のものを求めざるを得ない、農法の違いというのはいろんな面で時代に逆行しているし、でも逆行ではないですよね。有機農業が注目され振興すべきと言われている時代においても、実際はいろんな苦労の中で各農家が工面して間に合わせているということですね。

去年の稲作の反省を受けて、いろいろ選定に悩んだ結果、今年は3つの品種を導入し、同じシーズンの条件の中で栽培し比較することにしました。稲など本当に実際植えて育ててみないと結果はわかりません。同じ条件でないと比較できないので、1年に1種ずつ余分に植えてみるというのではだめです。「いわてっこ」と「ひとめぼれ」の2品種に加え、「ササニシキ」「チヨニシキ」「亀の尾」の3種を用意し、種まきに備えて浸漬しています。後者の3つは地区の育苗センターに持ち込んで、温湯消毒を施してもらいました。選定の基準は当地のような冷涼な気候でも育つ、背丈80cm以上の品種で入手可能なものです。現代の品種でも「つがるロマン」など魅力的ですが、青森県外では入手できないようですし、仮に問題なく買えても、地名が入った品種は他県では販売しにくいですよね。

昔の品種はいもちに弱く、陸羽132号がそうでした。米ぬかも控えて、無施用でやってみようと思います。生育の違いなどは随時記事で報告したいと思います。

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残雪期の沢内の春作業

炭の粉で消雪促進

まとまった降雪がしばらくなくて、割と暖かい日もあって2月時点で大雪と言われた今年の冬も終わりが見えかけています。積雪は平均で約50cm。建物や地形の関係でもっと多いところもありますが、西側に面した斜面の上(だいたい畦畔になっていますが)は土が露出したりしています。一時積雪が250cmを超えたということで、消雪資材(炭の粉)の助成が出まして、早生りんどう(お盆に咲かせたい品種)に散布し、残ったものをにんにくの畑にも散布しました。

今日など晴れて気温も上がってきておりますし(お昼時点で8〜9度)、無理して除雪機など入れたりするよりも、黒い粉の散布は楽で効果的でもあります。

 

やまなしの苗木を植栽

また、当園ではイワテヤマナシを植栽しており、香りの良いやまなしの品種なんですが、近くに別品種の木がないため受粉がうまくできず、花が咲いても実を付けられないという状態が数年続いていました。そこで、お世話になっていますヤマナシの研究者の神戸大学(食資源教育研究センター)の片山寛則先生からナツナシという異種の苗木を送っていただいて、2本、すぐに植え付けをしました。まだ気温が氷点下に下がるため、暖かい神戸でもし芽が動いていたら沢内では凍死する危険があるということで、ムシロで覆ってやっています。サネナシという木も1本送っていただいて、左奥に小さくムシロが写っています。異種のナシといっても開花期が合わなくてはいけません。それがこの品種になるようです。

その主役である当園の木は「ハンベエナシ」といっていまは同じ町内旧湯田町のある地区のお宅に植わっていた良質の実をならせる木を、上の片山先生が当地に調査に来られた際に見つけ枝を入手され、神戸で増やして育ったものを私が逆輸入する形で同じ町内である当園に植え付けをしたものです。

最初は木が小さいからまだ実がならないだろうとも思っていましたが、ここ数年、それなりに大きくなって花も咲かせるのに、どうしてかなと感じていて、先生に相談したところ、異種の木を植えることで解決ができるだろうということになって植え付けをしたものです。

同じ岩手県内でも県北の九戸村では、片山先生の指導のもとで生産グループが結成され産地化を目指してイワテヤマナシの栽培と加工品の生産が行われています。西和賀地域では私だけですので、何とも心もとない限りです(実もまだならないし。。)。もし県北の地域と同じ品種を植えていたら、逆に価値もあまり見出せないかもしれませんが、このハンベエナシは当園にしか植わっておらず、西和賀固有の品種になります。これを持っていることはここで農業を営む上で自然だし、ある意味良い持ち駒になるとも言えるわけですね。やまなしは木の個体ごとに違う品種かと言われるくらい、個体間の差が大きく、このハンベエナシは、ハンベエ屋号の家の木ということで、他には存在しないものですが、実が大きめで香りも良いのです。同じ研究会員として、来週は私も九戸村へ赴いてやまなしの剪定や接ぎ木について研修して来ます。賢治の童話に出てくる「やまなし」はイワテヤマナシであり、岩手が原産地の梨の木です。現代の品種が味や実の大きさを獲得して改良されていく過程で失ったものが、香りだと思います。芳醇なイワテヤマナシの香りはきっといろんな形で需要があるとも感じており、まずは生産をきっちりと行っていくことだと思っている次第です。

 

薪の玉切り2021

雪があるうちにいまみんな行っているのが、翌冬か翌々冬に使う薪の準備をすることです。雪が消えると田畑の仕事で忙しくなるし、雪のあるうちに雪の上で切るとチェーンソーの刃を石や地面に当てて傷める心配もないからです。この後の薪割りはさすがに雪の上ではできませんが。。薪割りは家族も手伝ってくれるので、私の仕事はもっぱら玉切りです。

 

たらの芽2021

たらの芽も収穫が始まっています。ただ、今年は木の状態が良くなくて、穂木が少なく、ご注文に追い付いていない日が続いています。タラノキ自体の寿命というのが一番の原因でしょうか。枯れてしまった木が多くて、残念な年になっています。7月に異常なまでに降雨が続いたことをご記憶されているかと思いますが、そうした雨による湿害もあるでしょう。稲の方も昨年は減収でした。

これは300gパッケージのたらの芽です。厚さ3cmのクリックポストの箱に入れて出荷しています。60サイズ等の宅配を使うとどうしても送料がかさむし容量もあるので、自ずと内容の価格も何千円かという単位になります。クリックポストは全国共通で198円ですので、私が負担し、お求め安いパッケージで出荷をしています。

現在タラノキの改植を進めていて、早く良質の穂木を多く得て生産量を伸ばしたいと願うところですね。

 

再開した黒にんにく

寒天の仕事から戻って、在庫のにんにくを用いて黒にんにくの製造も進めています。高額な装置を導入した高付加価値を目指す製品が多い中、当園は保温ジャーを用いてリーズナブルな単価の黒にんにくを作っています。大きさにもよりますが、元の青果にんにく70円を黒にんにくにして100円として+サービスとして小さめのも付けて梱包という感じです。3cmでは無理なのでクリックポストパッケージでの発送は難しく、60サイズ宅配で分量的に何千円かにはなるのですが、日々の常食としての普段使いの黒にんにくとして取り入れていただけたら幸いに思っています。自分で食べても確かに甘い出来です。

 

ハウス除雪

さて、水稲の育苗のためハウスの除雪も進めました。3月に入ってから降雪も落ち着いて来たので10日頃からスタートしました。

 

ハウス除雪難関場所

ハウス東側が、高い山になっていて、ちょっとやりづらいです。右にある小屋に強い西風が当たって跳ね返り、2mくらい離れたところにそそり立つ山を形成します。これは除雪機では一気に飛ばすことができず、何日か待ってみましたが、結局このあとスコップで地面へと掻き崩して、それを除雪機で飛ばしました(上2枚は3月11日震災の日の写真で2週間前のものです)。

 

オーブンでピザ焼き

寒天の仕事の出張期間中は、毎食すべて弁当で、今年は夜勤もあって夜食にカップ麺や持ち込んだ玄米の炊き込みご飯(レトルトの既製品ですが)などを食べていました。食べられなかったものは、お好み焼きやピザ、パスタ類、餃子、たこ焼きなどですね。こうしたのを帰ったら作って食べるぞ、というのが何となく励みになって過ごしていたという感じもありましたが、そういうこともあって、強力粉を使って初めてピザを焼いてみました。オーブン付き薪ストーブのオーブン室です。ケーキも一度焼いてみましたが、割と上手に膨らみました。オーブンの問題ではなく、良い生地を作れるか、みたいですが。。昨日は久々にお好み焼きを作りました。

雪が消えればそういうことはもうしていられませんし、あと2週間くらいでしょうか。とはいえ、ここから雪がゼロになるまでの道のりが長いのです。雪があるから日中の気温も上がりにくく、気温が低いので雪が消えにくい、という堂々巡りになっているわけです。来るべき繁忙期に備えて、そこで100%全開で働けるために、いまはじっくり休養しておいた方がいいのでしょうか? 逆に体がなまって動けないかも、ですが。。

上のハウス周りの雪は完全に消え、今日はビニール掛けに着手しました。とりあえず地面に接する腰巻や前後からです。珍しく土が乾いていたのでこのチャンスに。。雪解け水や降雨後は地際のビニペット付け作業で泥まみれになるんですよね。今日は泥だらけにならず、良いチャンスでした。屋根のビニールはもう少し待ってからにすべきです。まだいつまとまって雪が降るかもしれませんから。。もしそうなれば腰巻などまたしばらく作業できなくなりますから、早めにやっておくべきですね。

 

 

 

 

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寒天作りが終わり農家へ戻りました

釜の湯気

久しぶりに岩手から記事を書きます。2月12日の朝に寒天の私の作業が終わり、茅野市を発って、帰路に向かいました。

寒天の釜の仕事は前日お昼頃の草入れから始まり、エアコンプレッサーによる「棒立て」で釜の中の草を混和する作業を3回行って、それからクレーンで中身を舟に移し、朝方に濾過した液を箱(もろぶた)に注入して、それが固まるのを待って包丁で切って、箱を運搬車で庭に運ぶ、という一連の流れになります。

庭に運び終わって庭の人たちに引き渡して工程が終了となり、最後の煮込みもこの2月12日の朝の庭への運び出しを持って完了しました(午前8時過ぎ)。

 

クレーン作業

夜中から始まる作業は、先ほどの庭へ運び出して寒天として並べていく天出しの作業(10数人で行う)から逆算し、組み立てられています。リモコンでクレーンを操作して、舟に液と草を移すバケット作業は最初の大仕事と言えます(深夜12時から2時頃まで)。要はUFOキャッチャーのようなもんですが。

 

舟

バケットで釜から草と液を隣の舟に移します。白い布はコーヒーフィルターと同じ役目です。へりに草を置いていて、これは後に防波堤の役目になります(防波堤はまだ未完成です)。

 

満杯になった舟

バケットで釜から移し終える頃にはこのように舟は溢れそうになります。先の防波堤がないと舟の布どうしの隙間箇所とかから下層部に草が落ち混入していき、純粋な寒天の液に「オリ」として草が混じってしまうのをできるだけ防ぐためです。

 

舟下部のつらら

その舟の下層部がこちらです。舟には各セクションに竹製のフィルターが設置してあって、その上に布を敷きます。それで濾された液がこの部分に溜まっていきます。したたる液はこのように上部につらら状にもなっていて、鍾乳洞のような面白い光景を見せてくれます(コリコリした歯ごたえで旨い)。この撮影時にはもちろん液はなく、箱に全部出し終わって最後に溜まったオリを掃除している時に撮影したものです。

毎日が長時間にわたる辛い作業ではありました。終わっていま岩手へ戻っていますが、その戻ったあとの時間の経つのの早いこと。もう10日以上になります。夜10時半に起きて次の日の夕方5時に寝る作業は大変でしたし、この10日間は疲労回復の期間のようで、久々のパソコンに向かいながらゆっくりと過ごしています。とはいえ、除雪をしたり、籾摺り作業をしたり、そしてタラノメの作業を開始したり、にんにくの皮むき、決算と申告の準備をしたり、決して暇ではないんですが。。強風で切れた光ケーブルの修理に立ち会う日もありました。吹雪の中、業者さんがケーブルを修理して無事インターネットが復旧したのは嬉しいことでした。

 

松本ピカドン

今回の長野からの帰路では上田の「無言館」を訪れる計画でした。そのために松本を経由しますが、まだ、ありました。信州大学前の食堂「ピカドン」。広島の原爆投下を後世の松本市民に伝えるメッセージで名付けられたと思います。40年経ってるんですね。。八十二銀行も懐かしい。チキンカツカレーを食べました。

本当は信大の生協で昼を食べたかったのですが、駐車するのに時間がかかりそうで、今回はパスしました。学食の方が入っている人の数も密ですしね。

この前に、ルバーブを栽培されている農園を見学させていただいたのですが、それについては春以降また改めて記事にも挙げていきたく思います。

 

無言館

松本から上田に向かい、現在は無料になった三才山トンネルを越えて、無言館に到着しました。戦死した画学生の残した絵を収集している記念館です。多くは二十歳前後の絵画を志す若者の遺作が展示され、絵のそばにはその若者や絵についての説明が記されています。若い生命のほとばしりを感じますし、その後この人はまもなく突然の戦死を遂げるのだということを前提に絵に接するという鑑賞です。。

敷地内にはもう一つ別館もあって、そんなに広くはないのですが、1時間ちょっとかけて、この貴重な空間に滞在してまいりました。写真は撮ることができません。

 

無言館別館

無言館の第2の新館です。こちらも静寂な時間が流れていて、今朝までの次々と目前の作業に迫られて追われるように過ごした80日間から、すうっと意識が切り替わっていきます。ポストがあります。実際に配達されるポストではないですが、思いを書き連ねた手紙を投函することができる、そういうポストです。三陸にもこのようなポストがありましたか。いや、公衆電話でしたか。。

 

真田神社

上田市では、息子が高校受験を迎えますので、2年前の長女の時と同様、真田神社で合格祈願のお参りをし、お守りを買ってきました。落ちない城、不落城ということで受験の祈願も多いとかです。

そしてこの後はすぐ高速に乗って、その日の宿になっている新潟市に向かいました。夜の10時半に起きてずっと仕事をしてそのあとの夕方ですし、もう寝るべき時間に上信越道を高速運転するというのは、結構辛い行程でした。毎日5時間しか寝られませんでしたしね。10分くらいのうたた寝は休憩時間にしてましたが。上田から軽自動車でも料金が4,500円かかったので、距離としてはかなりあったということですね。何とか新潟市に着き、無事予約していたホテルに到着しました。

 

おまけ1カレー

おまけ1。寒天工場では食事は3食給食センターが配達してくれる弁当です(正月や日曜日は休みになるため、寒天の専務が弁当を買って届けてくれる)。金曜日の昼はカレーと決まっていまして、これは結構美味しかったです。最後の金曜日は出発でギリギリ食べれませんでしたが、ピカドンでチキンカツカレーを食べましたね。

ちなみに、天草を煮る釜の仕事は夜食が必要で、これは家から玄米を持参して、釜飯の素を買って味付けし食べておりました。

 

おまけ2バイキング

おまけの2です。新潟のホテルの翌朝の朝食バイキングです。盛り付けしてる時はもちろんマスク着用ですね。この後コーヒーとヨーグルトをデザートにいただきました。朝コーヒーが飲めるのは喜ばしいことで、寒天の時もコーヒーメーカーで作ってましたし(起きてすぐという意味で夜食を食べる23時過ぎに作ってましたが)、またホテルの予約でも大概はコーヒー欲しさに朝食付きにしています。もっとも道中にコンビニでもコーヒーは買って飲むんですが。。

朝これだけしっかり食べれば、コロナ禍での県外の移動になりますし、昼ご飯は無理になくても大丈夫です。結局はいろんな店に買い物で立ち寄ることにはなりましたが、昼は食べなくてOKで。。

これからの時期はタラノメに集中して、飲食店からの受注が厳しい状況下で、無事販売ができるよう努力していかなくてはなりません。これまで買っていただいていたお店の方にこれまでのようにどうでしょうかと電話をかけるのも、すごく抵抗を感じてしまいます。。季節のものと比べ、柔らかくて緑が綺麗なタラノメは需要もあると思いますし、冬の仕事の1部門として続けていきたいと思います。ちなみに、このタラノメがあるために寒天の仕事は2月上旬までにしてもらっています。庭で寒天の作業に携わる10数人は2月末あるいは3月初めまで外の仕事を続けております。最後の2月12日に出した天も寒天になるのはこの月末頃になるわけです。ただ、もう新たな「天出し」は13日以降はないですので、並行して庭の片付けも進めていくことになりますね。青森から赴任していた人たちもそろそろ帰宅時を迎えることでしょう。

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寒天を煮ています

釜
12月と1月は長野県茅野市で寒天作りに従事するようになり、4冬目となっています。これまで3冬はテングサを洗う役でしたが、今年はテングサを煮る釜仕事に変わりました。

大きな釜で毎日500kg(乾燥重量)の草を煮て、煮汁の生天を作っています。

写真は草を投入した直後の釜です。

 

舟

夜も深まり12時頃から昔からの舟にクレーンのバケットで草と煮汁を移し、布で漉して下部のコンクリート槽に液を溜め、ポンプでモロブタに流し込む流れです。

棒で吊り下がっているのは石を麻袋で包んだ重石です。これで草まみれの液から液だけを搾り込みます。

 

のりつぎ

上の舟から漉した液(ノリ)をポンプで吸い上げて、こうしてモロブタに注入し、約2時間くらいで固まり天になります。それを包丁で21本の寒天に切って、運搬車で庭に運び、カイリョウと言われる台に天出しします。あとは凍ったり溶けたりを繰り返して乾燥した角寒天になります。その間庭人たちはカイリョウを積んだり広げたりを繰り返す重労働を日々こなしています。

この天出しをしてからは庭仕事の担当になります。釜の仕事は深夜11時頃から釜より舟へ移す作業、3時過ぎから舟からモロブタに注入するノリツギ作業、6時40分頃から固まった天を切って庭に運ぶまでの作業、そして去年までやってました洗われたテングサを釜の前に搬入し準備を整えて、湯が沸いたところで草を投入する作業(午前11時頃から)、そして草が入り終わった後3回ですが棒で釜の底をつついて草が固着しないで流動するようにさせる作業(棒立て)に分かれます。棒立ては最近はエアーコンプレッサーを使います。

 

クレーン

クレーン舟移しに3時間、ノリツギと濾した草のカスのトラックへの積載で3時間、固まった天を切る天切りと草の搬入で3時間、草の釜への投入で3時間、棒立ては3回で1時間という感じです。

 

バーナー

あと2時間に1度バーナーを切って掃除してやることになっています。

何歳になっても新しい仕事に挑戦することは大事で、ついつい自分の流れでやっているのではないか、新しい学びや気づきから遠ざかっていないか、考えさせてくれる。

まずきつい長時間の作業になりますが、無事2月上旬まで勤め上げられればと思います。

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長野への旅路

華厳の滝

慌ただしく12月に突入しています。11月22日に岩手を発って、寒天作りの仕事に就くために長野へ向けて出発しました。ギリギリまでいろんな用事や事務作業、秋仕舞い、またタラノメ栽培室の外壁ポリカの張り替え作業など、もうクタクタになりながら、時間のなさに煽られながら、出発の日を迎えました。

横手市からずっと南下して今回は日本海に出ず、寒河江、喜多方、会津若松を経て鬼怒川温泉辺りを通過して、初めて日光へ行きました。日光駅前のビジネスホテルで一泊し、翌朝いろは坂を通って日光華厳の滝を見て来ました。なんともいえぬ風格というか重厚なたたずまいは印象に残る光景でした。

 

いろは坂

軽トラでいろは坂は厳しいものもありましたが、S字カーブを堪能して来ました。天気も良く、冬型で悪天の日本海側と異なり良い天気です。

 

男体山

男体山は日光の主峰でしたか。赤茶けた山肌が特徴なんですね。

その後、いろは坂を戻って足尾銅山の方へ向かい、前橋、高崎。この辺り道路も狭い一車線で渋滞気味です。車ものんびりノロノロ運転が多い感じでした。やっと郊外へ抜けて横川の釜飯(釜飯屋さんは昼時を過ぎていても大勢の観光客)を越えて、またもS字峠越えで軽井沢。白樺湖を越えて茅野市の寒天工場に到着しました。この11月23日より、冬の出張生活がスタート。江戸時代から続く伝統製法の寒天作りに従事いたします。

 

ワラシキ

翌日24日から仕事始め。稲刈りの終わった寒天予定地の田に大量に藁を敷いていくワラシキからスタートです。

東北の田のようにコンバイン等の轍に雨水が溜まってぬかるんでいるような田じゃありません。もともと冬場は降水量が少ない上に水捌けも良い田です。そうは言ってもこのワラシキで泥とかが付かない製造ができるわけですね。

こうした外の寒天作りは庭の仕事と言いますが、ここに寒天を並べていくための棚を設置していく準備作業があるわけで、実際に生天が外に出ていくまでは10日ほどの準備期間を要します。そして別工程で天草の準備、釜の準備も並行しており、次回はこの話題を報告いたします。